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ロビー・ウィリアムスの過去のインタビュー、そしてテイク・ザットとの関係性

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ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第77回。

今回は、2023年11月8日にNETFLIXで公開された全4話のドキュメンタリー『ロビー・ウィリアムス』が話題となっているロビー・ウィリアムスについて、過去のインタビュー中心に寄稿頂きました。

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Robbie Williams | Official Trailer | Netflix

 

ロビー・ウィリアムスのドキュメンタリー『ロビー・ウィリアムス』が、Netflixで公開になりました。この配信情報が伝えられた時、一つの不安が過ったのです。もしかしたら、テイク・ザット時代の暴露的な内容になっていて、再度メンバー間に溝が出来てしまうのでは、とあらぬ心配をしました。

実際、このドキュメンタリーで語られている真実は、ロビー自身でさえも、4人の子供たちに聞かせたくないようなショッキングな内容も含まれています。しかし、この作品は、ロビーが一人の人間としての挫折とそこからの脱却、成長が描かれていて、何が大切であるかをクライマックスで語る4部構成のドキュメンタリーとなっています。

その1部には、アイドルとしてのテイク・ザット時代を、2部はソロになるまでの葛藤、そして成功、3部はトップになってからの苦悩、4部は何が大切なのかを問う、そんな内容になっています。また、ロビー自身が、この映像を見ながら解説するといった構成で、それがさらにリアルなドキュメンタリーとなっているのです。

 

インタビューでの印象

私は、その4部構成のうちの、1、2、3部時代に、何度かロビーにインタビューしました。テイク・ザット時代は、とにかくキュートな男の子、でもメンバーとは距離感を持っていたのが印象的でした。初来日時のイベント後には、長袖Tシャツの袖をハサミでジョギジョギ切って、それを頭に被って、僕の変な行動にも注目して、と言わんばかりのヤンチャな子。

その後何度かのインタビューがあり、最後となるドイツ公演の楽屋で会ったロビーは、チュッパチャップスを舐めながらインタビューに応え、その行動、言動には落ち着きがなく、常に伏し目がちでした。グループの一員であったときは、ロビーのそんな行動をフォローするメンバーがいたので、当時はあまり気になることはなく、ただ、ヤンチャという言葉で片付けていたように思います。

あの頃のテイク・ザットは異常なまでの人気者でした。自分自身を保ちながら活動を続けていくのは、ロビーだけでなく、他のメンバーでさえも大変だった時期かと思います。そういえばマーク・オーウェンも、プライベートな時間さえ持てない時代の初来日レセプションパーティーで、「ちょっと抜け出して、みんなでケーキを食べていこう」と、お茶目な言動がありました。その時は笑っていましたが、アジアの国に来て、少しだけ羽目を外したい気分だったのでしょうか。「ちゃんとパーティーでみなさんに挨拶しないとダメだよ」と嗜めていた私でした。

Take That – Everything Changes (Live in Berlin)

 

寂しげな表情のロビー

異端児扱いされていたロビーは、ご存知のように、結局グループを脱退し、ソロになりました。1997年、ファースト・ソロ・アルバム『Life thru a Lens』のリリースに併せて、ソロ・アーティストとしてプロモーション来日し、FMヨコハマのスタジオで久しぶりに再会しました。

その時のロビーは、晴々していたというよりは、どこか寂しげな表情をしていたのが印象的でした。その表情は、その後何度か会った時も変わりませんでした。LAに居を移した時も、何かをしながらでないと落ち着かない、そんなロビーでした。

ツアー中のパリで会った時は、少しはアッパーな彼を見ることができたけれど、会うたびに、もっと自信を持てばいいのに、といつも思っていました。それはこのドキュメンタリーを観て、少しだけわかったような気がします。彼はいつも何かと葛藤していたのです。

 

「Angels」のエピソードとテイク・ザット再結成

またこのドキュメンタリーでは、彼の代表曲「Angels」の存在の大きさも語られています。初めてこの曲を聴いた時の興奮は、私も忘れません。来日中のロビーに、もし生演奏してもらえるなら、「Angels」にして、とお願いすると、本人はいいよ、と応じてくれました。しかし、マネージャーが「この曲は数ヶ月後にシングルカットする大事な曲だから、今は生演奏では歌えない」と言い、別曲になったことがありました。アルバム収録曲ではありましたが、改めてプロモーションするほどのビッグソングを誰もが信じていたのです。

Robbie Williams – Angels

ドキュメンタリーのラスト・エピソードは、ソロ・アーティストとして、グループ在籍時以上の成功を収めたロビーが、さらに暗い闇へと入っていく姿が描かれています。そこからの脱却は、奥さんとの出会い、そして旧友たちの助けでした。ロビーは再結成を果たしたテイク・ザットが第1期よりも成功を収め、素晴らしいライヴでヨーロッパをツアーして回っている様子をちゃんとチェックしていました。

特にロビーの目を引いたのは「サーカス・ツアー」でした。そのライヴを観てワクワクした気持ちが湧き、「また一緒にやりたい」と強く思うようになったとのことです。メンバーたちは、いつでも彼のための席はある、と発言をしていたので、ロビーは、自然な流れでメンバーと合流できました。と言っても、このプロジェクトは超極秘で進められ、多くの人たちが神経を擦り減らし、繊細な出来事として注意を払っていたことは想像できます。

時間をかけて、5人のテイク・ザット再結成を準備し、アルバム『Progress』は完成しました。お互いを思いやりながら、大人として成長したテイク・ザットとしての活動は、ようやく5人が家族になれた、そんな思いだったのではないでしょうか。アルバムは全英1位に輝き、テイク・ザットは第2黄金期を迎えるのです。この時代の映像を見ているロビーは、とても穏やかで、楽しかった日々を懐かしく思い出しているようでした。精神的にボロボロになったロビーは、4人の仲間たちによって救われたと話します。

Take That – The Flood (Official Video)

 

それぞれの道を歩き始めた5人

現在ロビーテイク・ザットの活動には参加していませんが、節目節目のイベントだったり、コロナ禍でのリモート演奏では、メンバーとのミニ・コンサートを配信したり、グレイテスト・ヒッツ『Odyssey』の制作などにも、協力をしてきました。再び脱退したというよりも、彼は子供との時間を優先したという事実を、ドキュメンタリーで明かしています。

ちなみに、テイク・ザットは今年の11月24日に新作『This Life』をリリースしました。アメリカ中部でのレコーディングは、テイク・ザットのサウンドに大きな影響を与えたということですが、テイク・ザット節は健在で、ソングライターとしてさらに磨きをかけた3人の才能を感じることができます。

今は、それぞれの道を歩き始めた4人(ジェイソンも入れて5人ですね)。ロビーは久しぶりに家族から離れて、ヨーロッパ、オーストラリア・ツアーを行いました。でも、きっといつか、何かのタイミングが来たら、自然に4人、いえ5人は集まることでしょう。

今やテイク・ザット、ロビー・ウィリアムスは、英国を代表する音楽家集団となっています。これほど大きな存在になるとは、デビュー時には思わなかったでしょう。そんな彼らが、日本でももっともっと注目に値するグループとして存在していくことを願わずにはいられません。

Written By 今泉圭姫子




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