Join us

Columns

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』とザ・ザのマット・ジョンソンとのエピソード

Published on

ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第72回。今回は、現在公開中の映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のサウンドトラックについて寄稿頂きました。

<関連記事>
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』サントラ全曲解説
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』新予告編にレインボーの名曲が使用
レインボー「Since You’ve Been Gone」:第2期グラハムの歌声でヒットした1曲

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」【銀河一の落ちこぼれチーム最後の大暴れ⁉】

 

今の時代を生きる過去の名曲

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のサウンドトラック収録曲が、またまた懐かしい楽曲が揃いワクワクです。2014年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、2017年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のオリジナル・サウンドトラックも70年代、80年代のヒット曲満載でした。

先日、私が制作に携わっているFMヨコハマ「ZERO-8」(毎週金曜日22:00生放送)のDJ八村倫太郎君(WATWING)、Reiji君(FlowBack)が、エレクトリック・ライト・オーケストラの「Mr. Blue Sky」を選曲し、最近のお気に入り楽曲として紹介していました。「20代の彼らが、なんでこの曲を選んだのだろうか」と思っていたら、その選曲理由は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』で聴いたとのことでした。映画のオープニングで流れ、とても印象的に使われています。Z世代にも刺さる70年代、80年代の曲。改めて、素晴らしい楽曲は、時代の流れとは関係なく、聴かれ継がれていくことを実感しました。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、先日最新作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』が公開になったばかりです。このシリーズは、これまでに、映画の第1作、第2作、Disney+で配信された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』を挟んで、今回が映画として3作目となります。樹木型のヒューマノイド、グルートのスピン・オフ・シリーズもDisney+で公開になっているので、MARVELファンは、様々な角度でキャラクターの魅力にハマることができます。

私は、昨年のクリスマス・シーズンに放映された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』も大好きで、主人公ピーターの憧れのケヴィン・ベーコンが登場し、ケヴィン・ベーコンが彼の代表映画『フットルース』のセリフを言ったり、これまで出演した映画の名セリフまで言ってしまう、大判振る舞いのサービス精神に、ニマニマしながら見ていました。

それでは新作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のサウンドトラックから何曲かご紹介しましょう。

ハート「Crazy On You」

サウンドトラックは、レディオヘッドの初ヒットとなる1992年の「Creep」のアコースティック・ヴァージョンからスタート。そしてハートの1975年の「Crazy On You」へ。ファースト・スタジオ・アルバム『Dreamboat Annie』に収録されているロック・ナンバーで、ナンシー・ウィルソンのアコースティック・ギターのサウンドとアン・ウィルソンのパワフルなヴォーカルが印象的な曲です。

このアルバムには「Crazy On You」と並ぶ名曲「Magic Man」が収録されています。ハートが80年代、「Alone」「These Dreams」などで、インターナショナルなヒットを出す前の、ロック然とした時代のサウンドです。

当時、マッシュルーム・レコードとの訴訟問題もあり、ハートにとって、セカンド・アルバムに当たる『Magazine』は、お蔵入りにしたかった作品であるにも関わらず、レーベルが勝手にリリースしてしまった、という問題を抱えていました。実質的には、3枚目の『Little Queen』までを第一期とすると、女性版ロバート・プラントと言われていたアン・ウィルソンのヴォーカリストとしての才能が高く評価された時代と言えます。

Heart – Crazy On You (1977) • TopPop

 

レインボー「Since You Been Gone」

第2期レインボーの大ヒット曲「Since You Been Gone」は、リッチー・ブラックモア・ファンの度肝を抜く楽曲として世の中に出ました。ロニー・ジェイムズ・ディオのロック・ヴォーカルが好きだった私も、グラハム・ボネットがロニーに代わってメンバーに加入した時は、腰が抜けるほど驚きました。この曲は、ラス・バラードのカバーですが、レインボー・ヴァージョンが多くの人に愛されています。

楽曲としては、ポップさを取り入れた名曲になっていますが、この曲を何が何でも収録したかったのが、リッチー・ブラックモアだったことに驚きました。ドラマーのコージー・パウエルとの仲に、徹底的な亀裂が入った原因としても知られています。でも、コージーのタイトで小気味の良いドラミングも要にはなっている楽曲です。レインボーというよりも1979年を代表するヒット曲という存在となっています。

Rainbow – Since You've Been Gone

 

スーペスホグ「In the Meantime」

今回のサントラで一番嬉しい収録だったのがスーペスホグの「In the Meantime」。1995年の『Resident Alien』に収録されているグラマラスなロック・サウンドが印象的な曲。当時、大好きな1曲として、私はラジオ番組で、かなりプッシュしていました。T・レックス、デビッド・ボウイ、クイーンに影響されたという、ヴォーカルのロイストン・ラングドンのなんとも言えない、荒さの中にも、セクシーな色気を感じるヴォーカル・スタイルが好きでした。ニューヨークで結成されたバンドですが、メンバー全員UKのリーズ出身。ロイストンは、スティーヴン・タイラーの娘、リヴ・タイラーと2003年から2008年まで結婚していて、2人の間には18歳の息子がいます。

Spacehog – In the Meantime (Official Music Video)

 

ザ・ザのマット・ジョンソンとのエピソード

もう1曲ご紹介しましょう。ザ・ザの1983年の「This Is the Day」。ロンドン出身のザ・ザは、ヴォーカルのマット・ジョンソンのプロジェクトと言われています。デビュー当時から、評論家受けし、ポリティカルなメッセージを打ち出した、ちょっと気難しいタイプのミュージシャンとして知られていました。そんな彼に、まさに1983年、ロンドンでインタビューをしました。とにかく、会う前から、気難しい、気難しいと、情報をインプットされていて、胃が痛くなるほど、その日が来るのが辛くて仕方ありませんでした。ならばインタビューしなくてもいいのでは?とお思いかもしれませんが、そうはいかなかったのです。

レーベルのフィルム・コンサート(この時代はビデオコンサートではありません笑)用に、様々なアーティストに会って、そのアーティストにインタビューしたり、日本の不思議グッズを持っていて、当ててもらうというクイズも企画されていた映像収録だったのです。

その時のアーティスト・リストの中にあったストラングラーズのヒュー・コーンウェルとマット・ジョンソンだけは、その使命から逃れたいと粘ったのですが、業界入って5年目の新人には、出来ないなんてわがままは言えませんでした。

マットには、当時自宅でできるお灸が人気だったので、「千年灸」を持っていき、「これな〜んだ」と聞くシーンを撮らなければいけなかったのです。気難しいと言われている人の前で「これな〜んだ」なんて言って、その場で帰っちゃったらどうしよう、などと悪い方に考えが向いてしまっていました。場所は彼がこだわったロンドンの映画館を、貸し切りにしての撮影でした。結果、彼はお灸を当てられず、苦笑い!大人な対応をしていただきました。でも、いまだにザ・ザと聞くと、胃が痛くなっちゃうトラウマは残っています。

当時の写真

映画では、ピーターが母親から譲られた、ヒット曲満載のカセット・テープが、宇宙で生きる彼の救いとなります。カセットウォークマンを破壊されてからは、ヨンドゥから楽曲数も増えたZuneをもらい、音楽を再び取り戻しました。

Vol3をこれから見る私は、どんな新しいストーリーとなっているのか、今から楽しみです。Vol3は、Vol2での父との関係性を乗り越えたピーターの新しい冒険となるのでしょうか?  今回もシルヴェスター・スタローンが出演、スタローン好きとしては嬉しいです。

Written By 今泉圭姫子



『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 オーサム・ミックス Vol. 3(オリジナル・サウンドトラック)』
2023年5月4日発売
国内盤CD


ジェームズ・ガン監督/マーベル・スタジオ劇場公開最新作
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
5月3日(水・祝)全国劇場公開

公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/gog-vol3

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」【銀河一の落ちこぼれチーム最後の大暴れ⁉】

©Marvel Studios 2023



今泉圭姫子のThrow Back to the Future』 バックナンバー


今泉圭姫子(いまいずみ・けいこ)

ラジオDJ、音楽評論家、音楽プロデューサー
1978年4月、湯川れい子氏のラジオ番組「全米Top40」のアシスタントDJのオーディションに合格し、この世界に入る。翌年大貫憲章氏とのコンビでラジオ番組「全英Top20」をスタート。以来現在までにラジオDJ以外他にも、テレビやイベント、ライナー執筆など幅広く活動。また、氷室京介のソロ・デビューに際し、チャーリー・セクストンのコーディネーションを行い、「Angel」のLAレコーディングに参加。1988年7月、ジャーナリスト・ビザを取得し、1年間渡英。BBCのDJマーク・グッドイヤーと組み、ロンドン制作による番組DJを担当。
1997年、ラジオ番組制作、企画プロデュースなど活動の場を広げるため、株式会社リフレックスを設立。デュラン・デュランのジョン・テイラーのソロとしてのアジア地域のマネージメントを担当し2枚のアルバムをリリース。日本、台湾ツアーも行う。
現在は、Fm yokohama「Radio HITS Radio」に出演中。

HP:http://keikoimaizumi.com
Twitter:https://twitter.com/radiodjsnoopy
Radio:Fm yokohama「Radio HITS Radio」

 

 

Share this story
Share
日本版uDiscoverSNSをフォローして最新情報をGET!!

uDiscover store

Click to comment

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Don't Miss