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【インタビュー】ゲイリー・バーロウ、7年ぶりのソロ作品『Music Played By Humans』を語る

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ゲイリー・バーロウ『Music Played by Humans』

ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第42回。今回は2020年11月27日に7年ぶりの新作ソロ・アルバム『Music Played By Humans』が発売となったテイク・ザットのメンバー、ゲイリー・バーロウ(Gary Barlow)とのインタビューをお届けします(これまでのコラム一覧はこちらから

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テイク・ザット&ロビー・ウィリアムズによるリモートコンサート


 

ゲイリー・バーロウのソロ・アルバム『Music Played By The Humans』が発売になりました。ゲイリーにとって7年振りのソロになります。2019年夏、テイク・ザット結成30周年となる<オデッセイ・グレイテスト・ヒッツ・ライヴ・ツアー>を大成功に収め、休むまもなくソロ・アルバムの制作に入ったゲイリー。今回は、オーケストラを入れ、仲の良いアーティストとのコラボレーションを中心に、新しいアプローチによるアルバムを制作しました。このアルバムは、実はイギリスが最初のロックダウンに入る2週間前に、オーケストラのレコーディングを終わらせていたと言うことです。

ところが、新型コロナウィルスが世界中に蔓延し、Stay Homeを余儀なくされてからは、アルバムをほぼ完成させてはいましたが、他のアーティスト同様ゲイリー自身も、新作リリースに向けての活動を一旦中断せざる終えなくなりました。

ご存知のように、ゲイリーはそんな状況下の中で、「The Crooner Sessions」と題されたリモートでの音楽活動を始めました。ほぼ毎日、40組以上のアーティストとのコラボレーションを提供し、即席とは思えない、ゴージャスで、パーフェクトなライヴは、世界中の人たちに音楽の素晴らしさを伝え、癒しの時間を与えることになりました。その中には、テイク・ザット&ロビー・ウィリアムズとのスペシャル・ライブもありましたね。

最初は、このアーティストとのコラボレーションこそが、ゲイリーのソロ・アルバム制作のきっかけになったのかと思っていましたが、実は逆で、ソロ制作でのコラボレーションが、あのような「The Crooner Sessions」につながったというわけです。また、『Music Played By The Humans』では、本格的なラテン音楽に着手し、明るい未来を待ち望んでいる人たちへの光となるような、前向きなアルバムに仕上げられています。マイケル・ブーブレ、べバリー・ナイト、アリーシャ・ディクソン、そして名MCジェイムズ・コーデンとのコラボレーションも話題です。

それでは、アルバムのすべての作業を完成させ、発売日が決まった直後の10月8日に行われたゲイリーとのリモート・インタビューをご紹介します。テイク・ザットの『Odyssey』リリース以来、2年振りのインタビューとなります。

Q:まずは、日本のファンのみなさまにご挨拶をお願いします。

みなさん、こんにちは、ゲイリーバーロウです。彼女に初めてインタビューを受けたのは僕が9歳の時でした。(笑)

Q:そうすると、私も9歳でしたね(笑)。

もちろんだよ〜。来年の1月で50歳になるんだけど、もう30年の知り合いになるんだね。

Q:本当ですね。まあ、歳の話はこれくらいでやめましょう(笑)。

でもすごいと思わないかい?今もこうして同じ仕事で会えるって!

Q:本当にそうですね。感謝ですね。

僕も同じ気持ちだよ。

Q:まずは、Stay Home期間に、多くのアーティストとのコラボレーション<The Crooner Sessions>で、私たちを楽しませてくれてありがとう。

僕だけじゃなく、世界中の人たちが同じ状況だった訳だけど、あの時、僕ができることは、僕がつながっているアーティストと、何かを始めて、みんなに音楽を届けたいという気持ちだった。僕自身、楽しんでやることができて、とても嬉しかった。毎日毎日音楽を演奏して、それは何かの宣伝ではなくて、お互いを励まし合う意味があって、それが多くの人たちの気持ちを高めることができたわけだからね。その喜びを僕も感じることができたよ。

Q:そんな中で、こんな壮大なアルバムをプランしていたとは思いませんでした。ソロアルバムの準備はいつ頃から始めたのですか?

実は、このプロジェクトは、テイク・ザットの<オデッセイ・グレイテスト・ヒッツ・ライヴ・ツアー>が終わった時に、アイデアが生まれたんだ。そして2019年の夏に曲作りを始めて、ちょうどロックダウンになる2週間前に、最後のオーケストラのレコーディングを終えたというわけ。

Q:じゃあ、オープニングのゲイリーの声は、ロックダウン前だったんですか?とても意味深い言葉に聞こえました。

そう、ロックダウン前なんだ。このアルバムは本当に多くの人たちに参加してもらって作ったアルバムで、コラボレーションもたくさんあるんだけれど、今はそういう作品を作る状況にないから、奇跡的に生まれたアルバムだって言える。

Q:アルバムは、ラテン・サウンドをベースに、映画の作品を見ているようなヴォーカル・ナンバーがあったりと、いろいろなサウンドが聴こえてきましたが、このアルバムはゲイリーにとって、どんなソロになりましたか?

すごく僕自身が作りたかったアルバムなんだって言える。テイク・ザット30周年のツアーを終えても、僕自身はすごく前向きだった。まだ何かを作りたいっていう気持ちだったんだ。7年振りのソロアルバムだから、とてもエキサイティングだったし、自分の音楽にオーケストラを入れるというアイデアにワクワクしたし、そして仲の良い友達だったり、尊敬しているアーティストとのコラボレーションがあって、それだけじゃなくて、歌詞、サウンド、パフォーマンスに至るまで、自分が望んでいたことができるという、ポジティヴな気持ちの中にいた。そして良い人たちと、良い場所で作ることができて、とてもエキサイティングだったんだ。

Q:ファースト・シングルの「Elita」を聴いて思ったのですが、ゲイリーはこれまでに、ラテン・フレーバーのサウンドを作ったことがありましたっけ?

いや、なかった。実はこの曲が最終的にこういうサウンドになるまで、長い旅をしてきた気分なんだ。昨年11月、マイケル・ブーブレと初めてリモートでミーティングをした時に、歌詞の内容は、ブラジルの女性ダンサーが主人公だと伝えたんだ。でもそれはあくまでも比喩で、女性全体を意味しているん歌なんだけどね。そこで、セバスチャン・ヤトラが参加したことによって、イギリス人がラテン・フレーバーを入れたサウンドをやっているよ、という曲じゃなくて、リアルなラテンに変わっていったんだ。この楽曲は、最初に作り始めてから、どんどん良くなっていった。

Gary Barlow – Elita (Official Video) ft. Michael Bublé, Sebastián Yatra

Q:「Enough Is Enough」もラテン・フレーバーが入っていますね。ソーシャル・ダンスで人気でそう。

そうだね!ベバリー・ナイトに参加してもらったんだけど、当初は少しレイドバックした感じの曲だったんだ。それが彼女が参加したことによって、方向性がどんどん変わっていった。スタジオで20分もしないうちに、全然違うスタイルになっていったんだ。このアルバムの良いところは、暗い部屋で一人で曲を作っているのではなく、コラボレートした相手に導かれる作品に仕上げられたってことだね。

Enough Is Enough

Q:アルバムには他にも、多くのアーティストがゲストで参加していますが、(英国人の有名司会者)ジェームズ・コーデンは、テイク・ザットのファンである事は周知の事実ですが、いつ頃からコラボの話をしていたんですか?

この曲は、最後にレコーディングした1曲だった。曲そのものは長い間温めていた。ユーモアのある曲に仕上げたかったんだけど、コメディ・ソングにはしたくなかった。言うなれば、とてもブリティッシュなユーモアセンスに溢れた曲にしたかった。日本のみなさんには、ユニークなイギリスの文化を知るきっかけになるかもしれない(笑)!例えば、イギリス人が君のこと大好きだよ、と言ったら、それはストレートな意味じゃなくて、相手を侮辱する時に言うことでもあるんだ。よく友達同士でも、君のことを気にかけてるよって。でもそれは、素直な意味じゃなくて、からかっているブリティッシュな言い方。この曲のアイデアが浮かんだとき、コラボレーションするのは、彼しかいないと思ったよ。レコーディング中もすっごく笑いが絶えなかった。素晴らしいコラボレーションになった。

Q:「Supernatural」のようなアップテンポな曲は、ゲイリーのソロとしては珍しいな、と思いました。

この曲を作っている時、僕はライヴを想定していた。この曲でオーケストラをステージに上げたらいいだろうな、とか。先を読みながら作った1曲なんだ。

Supernatural

Q:ゲイリーは、休むことを知らないかのように、常に音楽制作をしている印象がありますが、創作する上で、最もインスピレーションを受ける特別な場所はありますか?

特別な場所はないかな〜。どこででもアイデアが浮かんでくるんだ。これは恵まれてもいることなのかもしれないけれども、呪われていることになるかもしれない。アイデアが止まらないんだよ。車まで歩いている時にでも、アイデアが浮かんでくる。それに旅が多いから、世界中に作業できるスタジオがあるんだよね。とにかく、自分がやっていることが大好きなんだ。

Q:日本にもスタジオを作っておいてください。

OK! 良いアイデア!ずいぶん行ってないけど、楽しい思い出がいっぱいあるよ!

Q:新作ももちろん大好きですが、最初のソロ・アルバムの1曲「Open Road」は、今でも大好きな曲なので、歌い続けて欲しいです。

もちろん、「Open Road」は歌い続けるよ。

Q:またいつか、昔の思い出を語りましょう。

それはいいね。来年は、ぜひロンドンで、僕の新しいショウを見て欲しい。

Q:6月のツアーですね(*2021年11月に延期になりました)。

そのツアーではなくて、別のコンセプトのステージなんだ。もうすぐ発表できると思うよ。でもまだ誰にも言わないでね。

Q:これオフィシャル・インタビューですが……(笑)。

そうだった!(笑)

Q:最後に日本のファンにメッセージをください。

OK!みんなが元気でいてくれることを願っているよ。こんな状況になったけど、音楽を聴いて癒されてくれたら嬉しい。音楽は、今こそとても大切なものだと言える。すべてのミュージシャンに代わって、愛を送ります。

Written & Interviewed by 今泉圭姫子 / Interpreted by Kyoko Matsuda


ゲイリー・バーロウ『Music Played By Humans』
2020年11月27日発売
iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music




今泉圭姫子のThrow Back to the Future』 バックナンバー


今泉圭姫子(いまいずみ・けいこ)

ラジオDJ、音楽評論家、音楽プロデューサー
1978年4月、湯川れい子氏のラジオ番組「全米Top40」のアシスタントDJのオーディションに合格し、この世界に入る。翌年大貫憲章氏とのコンビでラジオ番組「全英Top20」をスタート。以来現在までにラジオDJ以外他にも、テレビやイベント、ライナー執筆など幅広く活動。また、氷室京介のソロ・デビューに際し、チャーリー・セクストンのコーディネーションを行い、「Angel」のLAレコーディングに参加。1988年7月、ジャーナリスト・ビザを取得し、1年間渡英。BBCのDJマーク・グッドイヤーと組み、ロンドン制作による番組DJを担当。
1997年、ラジオ番組制作、企画プロデュースなど活動の場を広げるため、株式会社リフレックスを設立。デュラン・デュランのジョン・テイラーのソロとしてのアジア地域のマネージメントを担当し2枚のアルバムをリリース。日本、台湾ツアーも行う。
現在は、Fm yokohama「Radio HITS Radio」に出演中。

HP:http://keikoimaizumi.com
Twitter:https://twitter.com/radiodjsnoopy
Radio:Fm yokohama「Radio HITS Radio」

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