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グレタ・ヴァン・フリート、サム・キスカが新作や“ツェッペリンらしい”と言われることを語る

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Greta Van Fleet
Photo by Alysse Gafkjen

ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第47回。今回は、2021年4月16日にセカンド・アルバム『The Battle at Garden’s Gate』を発売したグレタ・ヴァン・フリート(Greta Van Fleet)について、バンドメンバーでベーシストのサム・キスカとのインタビューも掲載。これまでの連載一覧はこちらから

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2017年にリリースされたデビュー・シングル「Highway Tune」は、多くのロック・ファンを驚かせた 1曲でした。平均年齢20歳の若者から生まれたサウンドは、なんとも懐かしい音色を奏で、ロックのヘヴィさと美しさが融合されていた1970年代を彷彿とさせる響きがありました。ジョシュ、ジェイク、サムのキスカ3兄弟とダニー・ワグナーによる4人組グレタ・ヴァン・フリート。

「Highway Tune」で、米ビルボードのメイン・ストリーム・ロックとアクディヴ・ロック・チャートにおいて4週連続 1位となり、そのレッド・ツェッペリンを彷彿とさせるサウンドに、大人のロック・ファンは諸手を挙げて喜び、音楽をストリーミングで聴くことに慣れてしまっている若い世代には、グレタ・ヴァン・フリートの作品で、ロック・アルバムを初体感し、音楽リスナーとして、新たな扉を開けることができたのかもしれません。

Greta Van Fleet – Highway Tune (Official Video)

2018年にリリースしたファースト・フル・スタジオ・アルバム『Anthem of the Peaceful Army』は、当然のように米ビルボードのロック・チャート1位に輝き、トップ・アルバム・セールス・チャートでも 1位に輝きました。そして、2019年のグラミー賞では、最優秀新人賞、最優秀ロック・パフォーマンス賞、最優秀ロック楽曲賞、最優秀ロック・アルバム賞の4部門にノミネートされ、2枚目のEP『From The Fires』が最優秀ロック・アルバムを受賞しました。これは、彼らにとってデビュー2年目にしての快挙であり、低迷を続けるロック・シーンの中から、救世主の如く現れたグレタ・ヴァン・フリートへの大きな期待による結果でしょう。

そんなグレタ・ヴァン・フリートが、ついにセカンド・アルバム『The Battle At Garden’s Gate』をリリースしました。ライフ・パフォーマーとして世界中をツアーしてきた彼らは、ツアーと同時に次なる作品作りを計画していましたが、世界中を襲ったパンデミックにより計画変更を余儀なくされました。そんな状況の中で、彼らはどのような過程を経て、アルバム制作をしてきたのでしょうか?バンドの末っ子サム・キスカ(ベース、キーボード)にリモート・インタビューを試みました。

Q:セカンド・アルバム『The Battle At Garden’s Gate』が発売になりました。ライヴ活動を大切にしてきたバンドにとって、この1年はその手をもがれた状態だったと思いますが、どのような思いの中で創作活動をしてきましたか?

今までと全く違う 1年でした。これまでの3年間は、ツアーばかりの生活を送ってきたからね。それがなくなってしまったわけだけど、ツアーがないから、クリエイティヴになんでもできるという開放感はありました。でも、やっぱりツアーが大好きで、ライヴをやるミュージシャンとしては、ずいぶんこれまでとは違う生活になってしまったというわけです。

Q:そんな生活の中で、音楽には没頭できたのですか?それとも何か他のことで気持ちを上げていったのでしょうか?

もちろんアルバムを作ることは、常に考えていたことだったけれど、ツアー以外にできることを考えなくては、といった妙な感覚がありました。でもそれをチャンスと捉え、例えばビデオを作るとか、アルバムのパッケージに力を入れるとか、これまではツアーがあるからできなかったことに、あえて集中しようという気持ちに切り替えてみた。そして僕らのファンに、何かを供給したいという思いを強くしたんです。

Q:ファースト・アルバムが全米1位となり、グラミー賞も受賞し、ワールドツアーも大成功を収めました。セカンド制作に向けた思いは、ファーストの成功が、どのような後押しになりましたか?

『The Battle At Garden’s Gate』のようなアルバムをずっと作りたいと思っていたんです。だけど、これまではそれが出来なかった。僕らにしてみたら、ついに実現したっていう思いさ。僕ららしさ、今の時代らしさを、今だから出来たんだというアルバムになったんじゃないかな。ある意味、これまでの成功を踏まえて、何でもできるぞってね。歌詞に関しても、これまでジョシュが書いたことのないテーマに挑んでみたり、曲作りでは、メンバーと一緒に作ることがうまくできるようになったんです。これも進化の一つ。機材に関しても、うまく使いこなせるようになったので、自分たちが望むような音を作り出すことができたんです。その結果、1曲 1曲が独自性のある世界観を描けたんじゃないかと思います。

Greta Van Fleet – My Way, Soon (Official Video)

Q:デビュー当時は、良い意味で”レッド・ツェッペリンの再来”と言われていましたが、セカンドからの「Heat Above」を聴いていると、根底に流れるのは良きアメリカンロックの匂いだったりしました。

まずは、ありがとうございます。それこそが、こういうアルバムを作りたかったという理由なんです。

まさに、Greta Van Fleetの音は、ここで生まれて、今から始まるんです。そして世界に届けていく。バンドの成長があったからこそ、それが可能になった。前作のようなアルバムを作ることは簡単だったけど、その繰り返しに僕らは興味がないし、どんどん前進していきたいと思っています。新しいことをやっていきたいんです。そんな気持ちの中で、このアルバムが生まれた。こんなアルバムが作りたかったという思いや自信は、そこに理由があります。これまでツェッペリンのトリビュート・バンドンのように、かなり言われてきました。ある時点から、ツェッペリンらしい、ということが悪いことなんじゃないかって思うようになったんです。でも今は、こういったアルバムを作ることができて、ツェッペリンらしいということに”Yes”さ。とても影響を受けたしね。でも、そこから僕らはミュージシャンとして成長したんだって言いたい。

Q:グレタ・ヴァン・フリートはこんなロックバンドだ!とひと言で表すとしたら?

Now!!

Q:「Heat Above」のMVは、白を基調にしたユニークな作品ですね。

白の衣装は必ずしも”Pure”なものを象徴しているわけじゃないんです。舞台となっているのは、パーフェクトワールド。再生とか、煌びやかさを意味することで、白をまとっている。曲は、みんなでひとつになって、頭上の星に向かって、上っていこうよ、と。つまり最後は愛が勝ち、愛の導きのままに進んでいけたら、そういう社会になれば、ということを歌っています。

Greta Van Fleet – Heat Above (Official Video)

Q:最後に、サムのお気に入りの1曲を紹介してください。

「The Barbarians」かな。インテリジェント・ソングです。曲の構成もユニークで、思いがけないエンディングを迎えるんです。人の邪悪さを見せつつ、皆パワフルだから大丈夫っていう意味。

Greta Van Fleet – The Barbarians (Audio)

Written By 今泉圭姫子 (thanks to Kazumi Someya)


グレタ・ヴァン・フリート『ザ・バトル・アット・ガーデンズ・ゲート』
グレタ・ヴァン・フリート『The Battle at Garden’s Gate』
2021年4月16日発売
CD / iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music


今泉圭姫子のThrow Back to the Future』 バックナンバー


今泉圭姫子(いまいずみ・けいこ)

ラジオDJ、音楽評論家、音楽プロデューサー
1978年4月、湯川れい子氏のラジオ番組「全米Top40」のアシスタントDJのオーディションに合格し、この世界に入る。翌年大貫憲章氏とのコンビでラジオ番組「全英Top20」をスタート。以来現在までにラジオDJ以外他にも、テレビやイベント、ライナー執筆など幅広く活動。また、氷室京介のソロ・デビューに際し、チャーリー・セクストンのコーディネーションを行い、「Angel」のLAレコーディングに参加。1988年7月、ジャーナリスト・ビザを取得し、1年間渡英。BBCのDJマーク・グッドイヤーと組み、ロンドン制作による番組DJを担当。
1997年、ラジオ番組制作、企画プロデュースなど活動の場を広げるため、株式会社リフレックスを設立。デュラン・デュランのジョン・テイラーのソロとしてのアジア地域のマネージメントを担当し2枚のアルバムをリリース。日本、台湾ツアーも行う。
現在は、Fm yokohama「Radio HITS Radio」に出演中。

HP:http://keikoimaizumi.com
Twitter:https://twitter.com/radiodjsnoopy
Radio:Fm yokohama「Radio HITS Radio」

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