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ローリング・ストーンズ新作発売記念Podcast第4回日本語訳:新作タイトルや収録楽曲を語る

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ザ・ローリング・ストーンズが7月10日に発売したニュー・アルバム『Foreign Tongues』。この発売を記念して公式のポッドキャスト『Speaking In Tongues』が公開となっている。その内容をほぼ全文、日本語でお届けします。こちらは第4回(第1回~第3回はこちら)。

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The Rolling Stones – Speaking In Tongues | The Official Podcast (Episode 4)

 

ロニー・ウッド:そうだね、これは物事が動き始める、その始まりなんだ。そう、『Hackney Diamonds』から本当にすぐ新しいアルバムが出るんだよ。素晴らしいことだ。またみんなに会えるのも楽しみだね。日曜にニューヨークへ行くんだ。向こうで4、5日ほどプロモーションをやる予定なんだよ。だから、この作品をどうプロモーションしていくのか、その方向性が見えてくるのは楽しみだね。面白いのは、俺が普段アルバムを作るときは、“リリースされる”というより“逃げ出していく”みたいな感じなんだ。ソロ作品ではあまりプレス対応もしない。でもストーンズとなると大ごとだから、「おお、これは楽しみだな」って感じになる。話す場であれ、演奏する場であれ、どんなステージに立つにしてもね。

ナレーター:2026年7月10日、ローリング・ストーンズは25枚目のスタジオ・アルバムをリリースしました。このポッドキャストではこれまで、ストーンズ本人たち、そして親しい友人やコラボレーターたちによる独占インタビューを通じて、このレコードがどのように作られたのかをお届けしてきました。いまや作品は世に出ました。これからは楽しむ時間です。では、『Foreign Tongues』を形作る真新しい楽曲の数々を、深く掘り下げていきましょう。私はノラ・ジョーンズ。これはローリング・ストーンズ公式ポッドキャスト『Speaking in Tongues』です。第4回「Foreign Tongues」です。

 

「The Cockroaches」

ナレーター:『Foreign Tongues』が正式に発表される前から、ストーンズ陣営で何かが起きていることを示す手がかりはありました。4月1日、世界各地の都市に「The Cockroaches」というバンドを宣伝する謎めいたポスターが現れたのです。そして事情を知る人にとって、その名前には聞き覚えがありました。それはストーンズの古い別名であり、必要に迫られて使われた名前でもありました。ミック・ジャガーに話を聞くと、彼はすべてを説明してくれました。

ミック・ジャガー:「The Cockroaches」というのは、テープ箱に書いていた名前だったんだ。誰のものか分からないようにして、テープ保管庫から盗まれないようにするためだったと思う。たぶん、そういうことだった。というのも、当時の多くのレコーディング・スタジオでは、セキュリティがあまり良くなかったからね。自分たちのものが他の人たちのものと一緒に置かれるんだ。巨大な部屋があって、そこに巨大なテープ・ライブラリーがある。24トラックのテープなんて、巨大な本みたいなものだよ。一つひとつが分厚い本みたいなんだ。

そこに3か月もいると、とんでもない量がたまっていく。それを管理するだけでも大変だ。そして1本なくなる。「あの曲はどこだ?」ってなる。1曲につきテープ箱が5つくらいあったりするからね。それがスタジオから盗まれて、ブートレッグとして出回ることもあった。「The Cockroaches」は俺のアイデアではなかった。レコード会社のアイデアだった。でも確かに覚えているよ。「The Cockroaches」……ああ、そうだ、思い出した。あれをどうやっていたか覚えている。だから、45回転盤で、この「Rough and Twisted」というブルース曲を出したときにね……。つまり、これはブルースなんだ。ポップ・ソングではない。とてもオリジナルなローリング・ストーンズらしさがある。でも、ローリング・ストーンズが1965年に録音していたようなものではないね。

ナレーター:古き良きものの最高の部分と、新しいものの衝撃。2026年4月11日に「Rough and Twisted」が店頭に並ぶと、世間が点と点を結びつけるまでに時間はかかりませんでした。即完売。ファンの熱は最高潮に達しました。そして5月5日、その憶測は正式に確認されました。ストーンズが戻ってきたのです。そして新作のタイトルはどう決まったんでしょうか。

The Rolling Stones – Rough And Twisted (Official Lyric Video)

 

新作のタイトル

ミック・ジャガー:『Foreign Tongues』というアルバム・タイトルにするには、かなり難しかった。他にもいい候補がいくつかあったんだ。そこが問題なんだよ。ちゃんと上のほうに来るものでなければならない。みんなが参加してね。みんなリストを持っているんだ。俺はいつもこう言う。「録音を始めたらすぐに、アルバム・タイトルを教えてくれ。ボードに書き始めよう」って。昔はいつもそうしていた。ボードがあったんだ。でもスタジオにいると、3週間のつもりが4か月もぐったりしている、みたいなことになる。だから終わったあとで、「よし、みんなに出してほしい」となる。みんなというのは基本的にキース、ロニー、俺、そしてアンディだ。でも他の人にも聞き始めると、「これはどこにも向かっていないな」となる。だから俺はたいてい歌詞を見ていく。そこから始まるんだ。必ずしもうまくいくとは限らないけど、動き出すきっかけにはなる。

そして最終的に、何らかの形で合意にたどり着く。なぜか分かるんだ。「これが正しいものになるな」って。『Hackney Diamonds』のときは、友人でマーク・クインというアーティストがいて、カバーなどについて話していた。すると彼がそのタイトルを出してきたんだ。俺が考えたわけじゃない。それでロニー、キース、アンディに「このタイトルはどうだ?」と聞いたら、「いいね、大好きだ」と言った。でも俺が思いついたわけではなかった。今回は歌詞を見ていって、最終的にその一つが『Foreign Tongues』だった。「Rough and Twisted」の最後の歌詞に出てくるんだ。「Teach me all those foreign tongues」とね。みんなが「うん、それでいい」と言った。じゃあ、それで行こう、と。

ナレーター:簡単そうに聞こえます。しかしミックがすることは何でもそうですが、そこには多くの考えが込められていました。

ミック・ジャガー:今でも机の上に残っているよ。タイトルのリストを手書きで書いているんだ。1日だけ気に入るものもあるし、分からないからね。それに、オリジナルなタイトルを考えるのも本当に難しい。すでに同じタイトルの本が書かれていたりするから。

 

シングル「In The Stars」「Jealous Lover」

ナレーター:アルバム発表から10日後、最初のシングル「In The Stars」が公開されました。

ロニー・ウッド:あれもまた、ミックの小部屋から出てきたような小さなアイデアの一つだった。「こんなアイデアがあるんだ」って感じで……メロディを口ずさんでね。それが形になっていった。すべての断片はそろっていて、すでに曲だったんだ。

【和訳】The Rolling Stones – In The Stars / ザ・ローリング・ストーンズ – イン・ザ・スターズ

ナレーター:ロニー・ウッドにとって、それはアルバムの中でヒットの可能性を持つ唯一の曲ではありませんでした。

ロニー・ウッド:「Mr. Charm」もあるし、「Side Effects」もあるし、いろいろな曲がある。「Back in Your Life」もある。シングル候補は山ほどあるよ。だから俺はメンバーに任せている。ミックの曲だからね。彼がこれを出したいなら、俺たちはそれに従うよ。

ナレーター:そして今頃は、3枚目のシングル「Jealous Lover」もすでに耳にしているかもしれません。

キース・リチャーズ:ミックはしばらく前からあの曲を持っていたと思う。『Hackney Diamonds』の時点では、まだ完全には準備ができていなかったんじゃないかな。アイデアやスタイルをいじっていた記憶がある。でも次に会ったとき、たしか去年の初め頃には、ドンと形になっていた。それで俺は「よし、これならやれる」と言ったんだ。美しい曲だよ。もっと知りたいなら、ミックに聞いてくれ。

ミック・ジャガー:「Jealous Lover」みたいな曲の場合、すべてが一気に来るんだ。5分くらいの爆発で、全体が起こる。コーラスが出てきて、コーラスの言葉が全部出てきて、それから真ん中の部分が出て、ヴァースが出てくる。全部が5分くらいで起こるんだ。それをやっていたら、アンディから電話がかかってきた。俺は「ちょっと待ってくれ、アンディ。いまこの曲をやっているんだ」と言った。彼は「弾き続けて、弾き続けて」と言った。俺はスピーカーフォンにしていて、彼が「それ、すごくいい」と言うから、俺は「どうもありがとう。でも今これを仕上げなきゃいけないから、じゃあね」と言ったんだ。

アンドリュー・ワット:ミックは本当に何でもできる。たとえば「Jealous Lover」は、カーティス・メイフィールドやプリンスのようでもあり得る。でも同時に、ものすごく彼自身でもある。あれはミックが『Emotional Rescue』をやっているようなものなんだ。あのミックの声でね。

「Jealous Lover」は信じられない曲だ。あの録音のすべてが素晴らしい。バンド、ミック、言葉、メロディ、全部だ。僕はあれにかなり取り憑かれている。あの曲を作ったとき、転機だったとは言いたくない。というのも、このアルバムではずっとポジティブだったからだ。でも、「よし、ここで『Hackney Diamonds』とは違う領域に入っているな」と感じた。2作目のアルバムをどうするか。どうやって1作目と違うものにするか。ストーンズがソウル・ミュージックをやる、あのレベルのもの。「Beast of Burden」的な、彼らがやる絡み合い。前のアルバムではそこには触れていなかった。だから「すごくクールで、違っていて、特別なものをこの作品で手に入れた」と本当に感じたんだ。

ナレーター:次に語ってくれたのはスティーヴ・ウィンウッド。スペンサー・デイヴィス・グループ、トラフィック、ブラインド・フェイスでの活動、そして大きなソロ・キャリアで知られる人物です。スティーヴは『Foreign Tongues』でキーボードを演奏しています。

スティーヴ・ウィンウッド:「Jealous Lover」は素晴らしい。つまり、ヴィンテージ・ストーンズだよね。彼らはどういうわけか、無理にそうしようとしなくても、やることすべてがヴィンテージ・ストーンズのように聴こえるんだ。それができるのは、驚くべき技術だと思う。うまくいかないもの、あるいは彼ら自身がうまくいかなかったと思うものですら、それでもヴィンテージ・ストーンズなんだ。

【和訳】The Rolling Stones – Jealous Lover / ザ・ローリング・ストーンズ – ジェラス・ラヴァー

ナレーター:ミックは自身の歌声で語りますが、キース・リチャーズは彼のトレードマークであるギターを通して語ります。5弦、オープンGチューニング。それはストーンズのサウンドにとって、同じくらい重要です。そしてアンドリューにとって、「Mr. Charm」という曲はまさにそのギター・ワークについての曲です。

アンドリュー・ワット:「Mr. Charm」には形があった。1つのコード上にあるヴァースのようなものと、コーラスがあった。でもあのリフはジャムから生まれたんだ。録音している最中に、キースがそのリフを見つけた。彼は同じことを二度弾かない。曲を始めようとしていたまさにそのときに出てきて、「よし、ヴァースはこの上に乗るべきだ」となった。ミックはそのヴァースの上で歌っている。

The Rolling Stones – Mr Charm (Official Visualiser)

 

「Back in Your Life」と「Ringing Hollow」

ナレーター:キースとメロディを織り上げていないとき、『Foreign Tongues』ではロニーがリードを取る場面もあります。

ロニー・ウッド:「Back in Your Life」は本当に好きなんだ。あのソロはもともと9分続いていたんだよ。俺が入っていったとき、アンドリュー・ワットを泣かせてしまった。「これは今まで聴いた中で最高だ、君はロニーだ……」ってね。本当に素晴らしかった。でもソロには、そのうち4分だけを使ったんだ。

ナレーター:ロニーのソロを聴きたいですか? アルバムはもう出ています。何をすればいいかは分かりますよね。

The Rolling Stones – Back in Your Life (Official Visualiser)

アンドリュー・ワット:アルバムに関わっていた全員が、それを聴いた瞬間、「なんてことだ、これは……」という感じになった。そこから一つの出来事のようになったんだ。あの曲でのロニーのソロは、本当に信じられないものだった。人々が目を閉じて、その瞬間に入り込み、互いに反応していくのを見ると、それこそがミュージシャンであることの最も大切な部分なのだと改めて思い出させられる。

ロニー・ウッド:あれはとても、とても胸を打つものだったし、俺にとって素晴らしい表現になったんだ。「Ringing Hollow」では、あの古いドブロを弾くのが好きなんだ。

ナレーター:ミュージシャンシップ、化学反応、素晴らしいプロダクション、そして尽きることのないグルーヴを求めているなら、このレコードはあなたのためのものです。しかし『Foreign Tongues』で、ストーンズはメッセージを発することからも逃げていません。

キース・リチャーズ:いくつかの曲には、今でもまさに関係のあることが含まれていると思う。たとえば「Ringing Hollow」は、何人かに少し考えさせるんじゃないかな。ミックがあれを書いたのは、俺たちがアメリカを愛しているからだ。困っている友人を見たら、「痛いな」と思うだろう。基本的に、それを言うにはあれが最良の方法の一つだと思う。ミックに脱帽だよ。

The Rolling Stones – Ringing Hollow (Official Visualiser)

 

チャック・ベリーの「Beautiful Delilah」

アンドリュー・ワット:僕が育った頃、父は自分の若い頃の音楽を全部聴かせてくれた。僕らはストーンズやビートルズを一緒に聴いた。60年代や70年代に育った父親を持つ他の子どもたちと同じようにね。7歳か8歳の頃、父と一緒に「Sympathy for the Devil」を聴いていたのを覚えている。父は、あの曲に出てくる人物たちが誰なのか、ケネディ家とは誰なのか、なぜそれが大きな意味を持つのか、そしてあの語り方がどういうふうに風刺なのかを説明してくれた。「彼が演じている役割があるんだ」とね。だから、あれは僕にとってずっと巨大な存在だったんだ。

ナレーター:ジャガー=リチャーズのパートナーシップは、驚くべき音楽を生み出してきました。しかし、彼らにも始まりがありました。『Foreign Tongues』には、彼らをそのルーツへと連れ戻すカバー曲が収められています。チャック・ベリーで有名になった「Beautiful Delilah」です。ストーンズがこの曲を初めて演奏したのは1964年、BBCの『Saturday Club』でのライヴでした。

キース・リチャーズ:それが正しいかどうかは俺には分からないけど、そう聞かされている。ああ、そうだね。驚きはしないよ。当時の俺たちのクラブでのレパートリーの一つでもあったからね。それに俺たちは『Saturday Club』にも出ていた。BBCはかなり困っていたけどね。でも彼らはストーンズを断れなかった。そこが面白かったんだ。

ナレーター:今回のバージョンでは、彼らは曲を削ぎ落としています。

キース・リチャーズ:「Beautiful Delilah」は素晴らしいチャック・ベリーの曲だ。歌詞も本当にすごい。それに俺たちは、「バーン」と言いたかったんだ。ほら、曲はいじり回すことができる。「これは古いブルースなんだ」と言うこともできる。実際にそうだし、音楽は向きを変えることができる。最初に聴いたときの同じ枠の中に、ずっと収まっていなければならないわけではない。だから「もしかしたらチャックも、どこかの古いブルースマンからそれを得たのかもしれない」と言いたかったんだ。俺には分からないけどね。その源流をたどってみる、ということだ。興味がある人のためにね。

ロニー・ウッド:彼らは、ブラインド・ウィリー・マクテルの時代や、そういうものにほとんど敬意を捧げているんだと思う。チャック・ベリーは「Beautiful Delilah」を録音していたけど、彼らはそれをカントリーとブルースのようなバージョンにした。でもそこには、ダートフォード駅からの昔ながらの引力が表れているんだ。彼らが初めて出会った場所だよ。マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、チャック・ベリーの影響が今も残っていることを、アルバムを聴くかもしれない若い子たちに示している。彼らが自分たちのルーツを忘れていないことをね。それはとても大切なんだ。「ああ、それはもうやった。そこは通った。終わったことだ」なんて言わないことがね。彼らはいまでも、すべてを始めたハウリン・ウルフのような素晴らしい人たちのことを覚えている。まったく、ロックしているよ。

The Rolling Stones – Beautiful Delilah (Official Visualiser)

 

エイミー・ワインハウスへの追悼

ナレーター:『Foreign Tongues』は、エイミー・ワインハウスにも敬意を捧げています。

ミック・ジャガー:彼女とはライヴをやったことがある。ワイト島フェスティバルで、「Ain’t Too Proud to Beg」をデュエットしたんだ。

Rolling Stones & Amy Winehouse – Ain't To Proud To Beg (I.O.W. 2007)

キース・リチャーズ:素晴らしい女性だった。当時から大好きだった。そして、これは彼女に向けたものになるはずだった。あれほど大きくなって、あれほど早く消えてしまうとは思っていなかった。ひどい業界だよな。でもエイミーのことは愛していた。エイミーに敬意を、ということをやりたかったんだ。そういうことだよ。うまくやれていたらいいと思う。

ナレーター:エイミー・ワインハウスの「You Know I’m No Good」は、『Foreign Tongues』に収められたもう一つのカバー曲です。もちろん、ストーンズはそれを自分たちのものにしています。

ミック・ジャガー:そこにたどり着いた経緯は、何かのカバーをやろうと思ったことだった。普通は、アンディがリストを作っていて、「これはどうだ」とか言ってくる。「これはもうやった。オーティス・レディングのカバーはもうこれ以上やらないぞ」みたいにね。俺は「いや、それは……」「いや、ない」となる。そして実際、女性の曲をカバーするというリストを作ったんだ。女性アーティストの曲をカバーする、ということだ。これはアンディのアイデアだったと思う。女性の曲をカバーするというね。それでこの曲に焦点を当てた。

Amy Winehouse – You Know I'm No Good

このエイミー・ワインハウスの曲は、オリジナルを聴くとかなり多くのブレイクビーツが入っている。それがなぜか、ロウエル・フルソンが最初にやったブルース曲を思い出させたんだ。ものすごく初期の曲で、誰がドラムを叩いていたのかは分からない。でも彼は時代をはるかに先取りして、あのブレイクビート的なものを作っていた。あれは時代のずっと前だった。あんなふうに叩いたブルース・ドラマーなんていなかった。誰だったのか分からない。そして同じビートが、オーティス・レディングとカーラ・トーマスによって再び取り上げられた。「Tramp」という曲だ。だから、エイミー・ワインハウスのブレイクビーツをそのままやる代わりに、それはローリング・ストーンズには少し複雑すぎると思った。細切れすぎたんだ。彼女のバージョンは素晴らしい。でも俺はまったく同じブレイクビーツをやりたくなかった。

それでスティーヴに「ロウエル・フルソンのオリジナル・バージョンを聴いてみよう。それでうまくいくか見てみよう」と言った。すると、うまくいった。「Tramp」のロウエル・フルソンのオリジナル・バージョンだ。だから俺たちはそのビートでやった。エイミー・ワインハウスのブレイクビーツをブルースのビートにしたんだ。でも実際にはブルースのビートというより、R&Bだったんだけどね。

Tramp

ロニー・ウッド:あの曲は、親愛なるエイミーに敬意を表すという意味でも、構成面での楽しい作業という意味でも、いいものだった。彼らがあれを持ってきたことには俺も驚いたよ。「おお、分かった。これに乗ってみよう」って感じだった。「Jealous Lover」の雰囲気にも少し似ている。ソウルっぽいものを弾くのはいいものだよ。あれを弾きながら、スティーヴ・クロッパーのことを考えていた。

俺たちはスティーヴを失ったばかりだった。スタックスやブッカー・T&ザ・MG’sで知られる有名なギタリストで、オーティス・レディングにも関わった人だ。彼は俺の素晴らしい友人だった。悲しい喪失だ。でもあれを弾いているとき、彼のことを考えていた。彼のギターへのアプローチをね。「Jealous Lover」でも彼のことを考えていた。キースと俺は、ミックが歌い、ハーモニカも吹けるように、ギターを織り合わせながらトラックを作っていくことについて、同じことを言うと思う。エイミーのバージョンのブラスとは違う形になるから、それも変化になる。

彼女は素敵だった。本当に悲しいことだ。最後に彼女に会ったのは南米だった。彼女のホテルで会ったんだ。彼女に会いに上がって、庭を一緒に歩いた。彼女は「私はどうしたらいいの?」という感じだった。俺は言ったんだ。「エイミー、まず、みんな君の水のボトルにウォッカが入っていることを知っている。バンドをごまかすことはできないし、観客をごまかすこともできない」と。彼女は「分かってる。私はどうすれば……」と言っていた。

バンドのみんなは「ロン、どうか助けてくれ。ショーをキャンセルしたくないし、1曲か2曲で引き上げるようなこともしたくない」と言っていた。彼女はそのとき本当にひどい状態だった。俺は「さあ、自分を信じて、酒を脇に置いてみよう」と言った。でも、すぐに回復へ向かうことを期待することはできなかった。彼女はそれを好まなかったからね。

ミック・ジャガー:そういうことはいつも考えてしまう。彼女のキャリアの軌跡はどうなっていただろうか、とね。どこへ向かっていただろう。彼女はジャズ・シンガーとして始まったんだ。ジャズ・シンガーだった。そして突然、R&Bシンガーになった。そのあとどうなったのかは分からない。そこで終わってしまった。本当にね。長いキャリアを持てなかった人たちについては、いつもそう考えてしまう。

The Rolling Stones – You Know I'm No Good (Official Visualiser)

 

亡きチャーリー・ワッツ

ナレーター:半世紀以上にわたってバンドの中心にいて、バンドを前へ進ませたドラマー、チャーリー・ワッツもまた、精神としてここにいます。

キース・リチャーズ:まだ残っているトラックがいくつかあったんだ。ストーンズの場合、みなが聴いているトラックの中には、どれほど古いものがあるか驚くと思うよ。みなが聴くずっと前、まるで俺が5歳だった頃に火がついていたようなものもある。そして俺たちには、いわゆる「箱」がある。つまり、残っているものの中に、素晴らしいと分かっているけれど、まだ仕上げていないものがあるんだ。だから、あるときその箱に戻りたくなる。

ミック・ジャガー:チャーリーが叩いたトラックが一つある。「Hit Me in the Head」という曲で、パンク・ソングだ。『Hackney Diamonds』には「Bite Your Head Off」というパンク曲があったけど、それと似たグルーヴだ。最初にこれをやったとき、俺は「これは1分間に150拍で行きたい」と言った。ラモーンズみたいにね。ラモーンズがやることは全部150みたいなものだったから。実際には必ずしも150である必要はなかったけど、これは145だ。

The Rolling Stones – Hit Me In The Head (Official Visualiser)

もちろん少し下ではあるけど、それでも速い。聴けば「これは速い」と思う。ローリング・ストーンズの曲で、そこまで速いものはそれほど多くない。コカインで燃料を注がれたようなステージ上では、速いバージョンもかなりある。「Neighbors」なんかはとても速いし、ステージでのバージョンはさらに速い。だからこれは、75歳かそのくらいのチャーリーがパンク・ドラマーになっているところなんだ。考えてみると、かなりすごいよ。

The Rolling Stones – Neighbours – Official Promo

それを聴くと、よく覚えているんだ。そのセットを覚えているし、セッションも覚えている。彼が俺を見て、「本当にそんなに速いの?」という顔をしたのを覚えている。俺は「そうだよ、そうなんだ」と言った。そして俺はその速さにしたかった。彼はそれに付き合ってくれた。それが素晴らしいんだ。それで俺たちはギターをやり直した。俺は自分のパートをやり、キースも自分のパートをやり直した。でも、あれはレコードの中にちゃんと収まっている。俺には別のバンドのようには聴こえない。

 

ストーンズはストーンズ

ナレーター:カバーであろうとなかろうと、ストーンズはいつだってストーンズにしか聴こえません。

ミック・ジャガー:俺たちはいつもポップ・ミュージックが好きだった。もちろん、子どもの頃はトップ10やトップ20を聴く。それが大きなことだったんだ。今だって、今週のプレイリストが何であれ、ある意味では似たようなものだ。だから俺たちはずっと、ジャンルの混ざり合いだった。俺はブルースが大好きだ。今朝もロバート・ジョンソンを聴いていた。信じられなかったよ。「なぜ俺はいまこれを聴いているんだ?」と思った。そしてそこには、これまで存在していると知らなかったものが聴こえるんだ。15歳の頃からずっと聴いてきたのにね。

でも同時に、イギリスの子どもたちがみんなそうだったように、バディ・ホリーも聴いていた。フィル・スペクターも聴いていたし、ザ・テディ・ベアーズ、彼の最初のレコードも聴いていた。みんな好きだった。だから俺は、あらゆる範囲の音楽が好きなんだ。ローリング・ストーンズは、ある程度、人々にはクラシック・ロック・バンドと思われているけど、俺の意見では実際にはそうではない。たしかに、ローリング・ストーンズをクラシック・ロック・バンドのように聴こえさせる曲を集めることはできる。

だがそうすると、彼らがやってきた他のすべてのことを忘れてしまう。ローリング・ストーンズで最もストリーミングされている曲は「Paint It, Black」だけど、あれは決してクラシック・ロックの曲ではない。俺はいつもキースに言うんだ。「もし“Paint It, Black”を書いたら、俺たちはそれを捨てて『これは変すぎる』と言うだろう」って。分かるだろ? 変すぎるんだ。だから心を開いていなければならない。俺が本当に言いたいのはそういうことなんだ。

Paint It, Black

ナレーター:この新作は、音楽史上最も偉大なレガシーの一つにおける、最新章にすぎません。

キース・リチャーズ:俺はこのバンドを愛さなきゃいけない。何が得意なのかを知っているし、何を成し遂げてきたのかも知っている。そしておそらく、俺たちが想像する以上のことをやってきたんだろう。たぶん俺が考えたくなる以上に、多くの人たちをいろいろな種類の音楽へ向かわせてきた。でも、その特権を主張したいわけじゃない。ただ、ストーンズは世界的な音楽意識というものにおいて、とても重要な仕事をしてきたと思う。そして、キース・リチャーズという男はなんて素晴らしいやつなんだ、ということだね。

ナレーター:しかし、そのレガシーは音楽だけにとどまりません。ローリング・ストーンズはアーティストであり、アーティストは常にアートを愛する者でもあります。次回の『Speaking in Tongues』では、『Foreign Tongues』のヴィジュアル面にしっかり目を向けます。あのカバー、もう見ましたよね?

キース・リチャーズ:ナット・クイン(今回のジャケット写真を担当したナサニエル・メアリー・クイン)にカバーを頼んだんだ。俺たち3人全員のポートレートになるはずだった。すると彼は、俺たち3人全員を同じ……(笑)。

ミック・ジャガー:そう、挑発的だし、それも一部なんだと思う。つまり、ローリング・ストーンズが挑発的、82歳で、というのはちょっとした決まり文句ではあるけどね。まあ、とにかく。

ナサニエル・メアリー・クイン:彼らの音楽の多くは、僕にとって、最終的に彼らのために作ることになった作品と同じように感じられるんだ。そういう感じがする。シームレスではないし、かわいく見せるため、きれいに見せるために作られているわけでもない。生々しくて、本物で、とても誠実なんだ。

ナレーター:以上、『Speaking in Tongues』でした。私ノラ・ジョーンズがお届けする、ローリング・ストーンズ公式ポッドキャストです。まったく新しいアルバム『Foreign Tongues』は現在発売中です。何をすればいいかは分かりますよね。『Speaking in Tongues』は、ローリング・ストーンズおよびPolydor UMGのためのCup and Nuzzle制作です。すべての音楽はジャガー=リチャーズ作、BMG MusicおよびPolydor UMG提供。ストーンズの最新情報はrollingstones.comへ。

Written By uDiscover Team

【新作絶好調】ザ・ローリング・ストーンズについて、日本唯一のオフィシャルフォトグラファーに聞いてみた【有賀幹夫さん】

ザ・ローリング・ストーンズ『Foreign Tongues』
2026年7月10日発売
フィジカル商品詳細 / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music

① 1CD
⚫︎品番:UICY-16494
⚫︎価格:3,300円税込
⚫︎仕様:デジスリーヴ/16ページ・ブックレット(歌詞付)
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/対訳付/SHM-CD仕様/2枚のアートカード付

② 1CD+1ブルーレイ(音源のみ)【ボックスセット】【限定盤】
⚫︎品番:UICY-80757
⚫︎価格:9,350円税込
⚫︎仕様:ボックスセット
⚫︎デジスリーヴ/16ページ・ブックレット(歌詞付)
⚫︎アートプリント/ポスター
⚫︎ブルーレイ:音源のみ/ドルビーアトモス、5.1chサラウンド、ハイレゾ音源
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/対訳付/SHM-CD仕様/2枚のアートカード付

③ 1CD【RS No.9オンライン限定盤】
⚫︎品番:PROT-1413
⚫︎価格:3,300円税込
⚫︎仕様:デジスリーヴ/16ページ・ブックレット(歌詞付)
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/対訳付/SHM-CD仕様/2枚のアートカード付
*RS No.9はザ・ローリング・ストーンズの公式ブランド

詳しくはこちら

④ 1CD【Amazon限定盤】
⚫︎品番:PROT-1414
⚫︎価格:3,300円税込
⚫︎仕様:デジスリーヴ/16ページ・ブックレット(歌詞付)
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/対訳付/SHM-CD仕様/2枚のアートカード付

⑤ 2LP【直輸入盤仕様/生産限定盤】
⚫︎品番:UIJY-75393/4
⚫︎価格:7,700円税込
⚫︎仕様:ゲートフォールド・スリーヴ/180gブラック・ヴィニール
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/歌詞対訳付/2枚のアートカード付

⑥ 2LP+ブルーレイ【ボックスセット】【直輸入盤仕様/生産限定盤】
⚫︎品番:UIJY-75395
⚫︎価格:13,200円税込
⚫︎仕様:ボックスセット
⚫︎ゲートフォールド・スリーヴ/180gイエロー・ヴァイナル
⚫︎アートプリント/ポスター/スリップマット
⚫︎ブルーレイ:音源のみ:ドルビーアトモス、5.1chサラウンド、ハイレゾ音源
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/対訳付/2枚のアートカード付



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