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  • アリス=紗良・オット、新作『Echoes Of Life』について語る最新インタビューを公開

    アリス=紗良・オット、新作『Echoes Of Life』について語る最新インタビューを公開

    ピアニストとして、人間として、自身のスタイルを持ってまっすぐに歩みを続けるアリス=紗良・オット。

    クリエイティヴな才能で世界中のファンを魅了する彼女の3年ぶりとなる新作『Echoes Of Life エコーズ・オヴ・ライフ』は、ショパンの《24の前奏曲 作品28》に7つの現代作品を織り込んだコンセプト・アルバム。これまでの人生におけるさまざまな場面を映し出すストーリー仕立てのパーソナルな作品でもある。新作にどのような想いをこめたのか、じっくり話を聞いた。


    ―前作『ナイトフォール』から、コンセプチュアルな選曲においても、独自のアプローチを打ち出した演奏においても、アリスさんは新たなステージに進んだように感じるのですが、音楽に対する向き合い方は変わりましたか?

    私自身は伝統的な、いわゆる正統派の教育を受けてきました。その世界における優先順位は、なんといっても素晴らしい、過去から培われてきたレガシーとも言えるレパートリーを学ぶことです。それらを学ぶ厳しい練習の日々、教えてくださった先生方にはとても感謝しています。

    けれど同時に、現代の人々の生活スタイルや、社会のなかで人々が求めているものに、クラシック音楽というものは必ずしも合致しないのではないかと思うようにもなりました。

    そして5~6年ほど前からでしょうか、私は自身と多くの人たちに問いかけはじめました。私のアーティスティックなアイデンティティとはなにか? と。100%ドイツ人でもなく、100%日本人でもない私は、ずっと自分がどこか浮遊したような存在であると感じていました。

    クラシック音楽というものは、非常に限定された、社会的エリート層や特定の年齢層を対象としている部分が強くあります。そのような社会において、私が果たすべき役割はなにか? 何百年も前に作られた傑作を、現代という枠組みのなかでどのようにプレゼンしていったらいいのか、あらゆる層に音楽を届けるにはどうしたらいいのかを考えるようになったのです。

    Alice Sara Ott on #EchoesOfLife : The Story

    ―その問いかけに対するひとつの答えが、今回の『エコーズ・オヴ・ライフ』だったと。ショパンの《24の前奏曲》をテーマに選んだ理由は?

    《24の前奏曲》は大好きな作品で、ずっと録音したいと思っていました。けれど、この作品はもう、いろいろなピアニストによる録音が山ほどあるので、それを私が出す意味はなにか? ということが問われました。

    パーソナルなタッチを加えない限り、出す意味はないのではないかと。そこで、《24の前奏曲》に7つの間奏曲(インタールード)を置くという構成を思いついたのです。

    ここ数年で、人々の音楽の聴き方は大きく変わりました。Apple MusicやSpotifyでプレイリストを作って聴いているリスナーも多いですよね。勉強のときはこれを聴く、ディナーのときはこれ、出かけるときはこれといったように、それぞれが自分だけのサウンドトラックを作っています。そういったことが可能な時代に、必ずしも作品を頭から番号順に録音していく必要はないのではないかと思います。

    私にとって《24の前奏曲》は、人生そのものを表わしているように感じられます。24の小さな作品それぞれがすごく違った個性を持っていながら、ひとつの大きな共通項を持ったまとまりとして存在している。

    それは、そのまま人生に置きかえられるのではないでしょうか。ひとつの事象が起きて、その事象が次の出来事の前奏曲のような存在になる。人生ってそういうことの繰り返しで、ときには行き止まりに突き当たることもあるし、予定していた道とはまったく反対の方向に進むこともある。

    私の人生で起きてきたいろいろな変化、その瞬間瞬間がこの前奏曲のなかにリフレクション(反映)されているような気がしました。

    ©Pascal Albandopulos for Deutsche Grammophon

    ―《24の前奏曲》の合間に織り交ぜた7つの現代作品はどのように決めていったのですか?

    7つの作品のなかには日頃から親しんでいたものも多くありましたので、とても自然な流れで決まりました。《24の前奏曲》を現代の作品でつないでいくと、どのように響き合って、一体となるのか。実験的な試みでもありましたが、できあがったアルバムを通して聴いて、いかにショパンの作品が現代の音楽と刺激し合えるかを実感できるものに仕上がったと思います。

    ※以下に、7つの現代作品についてアリスのコメントを紹介。それぞれの曲には、自身の人生の場面を物語る副題がつけられている。

    <イン・ザ・ビギニング・ワズ>
    フランチェスコ・トリスターノ:イン・ザ・ビギニング・ワズ
    友人のフランチェスコ・トリスターノに曲を書いてもらおうと、はじめから決めていました。私の音楽人生において、バッハの音楽というものはつねに大切な存在です。そういった意味で、ショパンがバッハに敬意を持って書いた《24の前奏曲》の幕開けに、バッハの前奏曲につながるような現代的な作品を書いてほしいとお願いしました。

    <インファント・レベリオン>
    ジェルジュ・リゲティ:ムジカ・リチェルカータ 第1曲
    「子ども時代の反抗期」という副題をつけましたが、リゲティのこの曲はひとつの音からいろいろなリズムへと広がり、大きく展開していきます。そこに子ども時代の音との出会い、その後の広がりに通じるものを感じました。

    <ウェン・ザ・グラス・ワズ・グリーナー>
    ニーノ・ロータ:ワルツ
    フェリーニやヴィスコンティの映画でニーノ・ロータの音楽は大好きでしたが、最初にこの神秘的な《ワルツ》を聴いたとき、じつはショパンの作品かと思いました。あとでロータの作品だと知ってびっくりしたのを覚えています。

    Alice Sara Ott on #EchoesOfLife : When The Grass Was Greener / Nino Rota, Valzer

    <ノー・ロードマップ・トゥ・アダルトフッド>
    チリー・ゴンザレス:前奏曲 嬰ハ長調
    チリー・ゴンザレスとは友人で、ミュンヘンでのチャリティ・コンサートに誘われたこともあります。ネットで彼の《前奏曲 嬰ハ長調》という曲を見つけたとき、バッハをリフレクションするような作品だと思いました。アルバムの真ん中に置いて、ひとつの章の終わりを表わすのにぴったりだと。副題のとおり「大人への第一歩」ですね。

    <アイデンティティ>
    武満徹:リタニ ―マイケル・ヴァイナーの追憶に―第1曲
    前の前奏曲第18番から、境目がはっきりしないぐらい自然に《リタニ》へと入っていきます。先ほど私は自身のアイデンティティを探してきたと話しましたが、今はアイデンティティは国籍や見た目で決まるものではない、自分がどのような行動をし、どういう形で人々とコネクトしていくかで表わすことができるものだと考えるようになりました。西洋音楽のなかに日本的な要素を入れた武満さんもまた、自身のアイデンティティを模索し、格闘し、獲得した作曲家であったと思います。

    <ア・パス・トゥ・ウェア>
    アルヴォ・ペルト:アリーナのために
    《アリーナのために》は非常に細かい音符と、その間にある空間の微妙なニュアンスから成り立っていて、全神経を集中しないと聴き落としてしまうような作品です。ちょうどそれは、私が多発性硬化症と診断された時期の状態に似ていました。

    自分の身体や心から発せられるあらゆる声に、つねにしっかりと耳を澄ませていなければならず、とても厳しい時期ではありましたが、深いところまで潜って自分を見つめたり、肉体的にも自分のことをよりよく知ろうとしたりすることで、新しい場所へと入っていきました。そういった要素が、この作品にもあるんですね。潜在意識も含めた自分の意識をフルに投入しなければ弾けない作品です。

    Pärt: Für Alina

    <ララバイ・トゥ・エターニティ>
    アリス=紗良・オット:ララバイ・トゥ・エターニティ ―モーツァルトのレクイエム ニ短調 K.626から ラクリモーサの断片による
    モーツァルトの書いた8小節をベースに、自分でクリエイトした作品です。《レクイエム》というと死を弔う作品ですが、ここでは人生に対するさまざまな問いへの答えとして、この曲を最後に持ってきました。人間は不老不死ではないけれど、永遠を求めますよね。

    副題は、その問いへの子守歌という意味です。私はもともとモーツァルトの《レクイエム》が好きで、いつか自分のアルバムに入れたいと思っていたのですが、今回この曲を作り終えてから、ショパンが「自分が死んだら、お葬式にはモーツァルトの《レクイエム》を演奏してほしい」と言ったということを知り、ますます縁を感じました。

    ―アリスさんの人生の軌跡が刻み込まれたアルバム、実演で聴くのも楽しみです。

    この作品を持って旅をして、そこから新しく生まれる物語というのもあると思います。もしかしたら2~3年後にはまったく違う物語が紡ぎ出されるかもしれません。そこが人生の面白さでもあると思います。

    ―興味深いお話をありがとうございました。

    Interviewed & Written By 原 典子


    ■リリース情報

    2021年8月6日発売
    アリス=紗良・オット『Echoes Of Life エコーズ・オヴ・ライフ』
    CD / iTunes / Amazon Music / Apple Music / Spotify


  • ピアニスト、アリス=紗良・オットの新アルバム『Echoes Of Life』7月30日にデジタル・リリース

    ピアニスト、アリス=紗良・オットの新アルバム『Echoes Of Life』7月30日にデジタル・リリース

    ピアニスト、アリス=紗良・オットのニュー・アルバム『Echoes Of Life』より、アルヴォ・ペルトの「アリーナのために」の楽曲、ミュージック・ビデオの配信が本日よりスタートした。

    アリス=紗良・オットの3年振りのアルバムは、ショパンの傑作『24の前奏曲 作品28』を中心に、自身が影響を受けた7つの現代作品を「間奏曲」のように挿入した作品。ニーノ・ロータ、チリー・ゴンザレス、武満徹など幅広いジャンルの作品 を組み合わせ、個性的なストーリーが展開されている。

    本日、先行配信となったアルヴォ・ペルトの「アリーナのために」は、3年前に彼女が多発性硬化症という難病と診断された困難な時期と結び付いている1曲。現在では適切な治療により症状から解放されているが、今も続く「自分の身体の発するあらゆる信号を細心の注意を払って聞き取り意識しなければならない」状態が作品を弾く時に要求される要素とリンクするという。

    彼女は作品について、「一歩一歩未知の空間に踏み入る時は細心の注意を伴います。そうして初めて私たちは自分たちの内に潜り、耳を傾け、意識する。こうしたこと全てがペルトのこの脆く繊細な作品には見事に捉えられています」と語っている。

    アルバムは、7月30日にデジタル・リリース。CDは8月6日に発売となる。CD国内盤の初回プレス分購入者を対象にしたプレゼント・キャンペーンの実施も決定。抽選で50名に直筆サイン入りポストカードがプレゼントされる。応募期間は8月6日から9月6日。詳細は、商品に封入されているチラシに記載されている。


    ■リリース情報

    2021年8月6日発売
    アリス=紗良・オット『Echoes Of Life エコーズ・オヴ・ライフ』
    CD / iTunes / Amazon Music / Apple Music / Spotify


  • ユップ・ベヴィンの人気曲「Hanging D」を4組のアーティストが新たにリミックス

    ユップ・ベヴィンの人気曲「Hanging D」を4組のアーティストが新たにリミックス

    オランダ人コンポーザー・ピアニスト、2mを超える長身でアップライト・ピアノを奏でる“優しい巨人”ユップ・ベヴィン。

    年間ストリーミング再生数は1億回を超え、2019年には映画『楽園』 の音楽を手掛けたことでも知られる彼の代表曲「Hanging D(ハンギングD)」がエレクトロニック・ミュージックの先端を行くアーティストたちによってリミックスされ、既発売のリワークに加え、オリジナルも収録したデジタルEP『ZERO (Hanging D Remixes)』が発売された。

    今回の新規リミックスに参加しているのは4組のアーティスト。エレクトロニック・ミュージック、ビジュアル・アート、テクノロジー、サイエンスのインスタレーションで日本にも根強いファンを持つマックス・クーパーは、ドラマティックで壮大なサウンドを展開、「今までに手掛けたリミックスの中で最も楽しいもののひとつ」と語っている。

    ダンス、アンビエント、ミニマル、IDMを跨いで活躍するアムステルダムの二人組ポリネーションによる洗練されたグルーヴも魅力的だ。そして、イギリス出身でガーナ、ロシア、ドイツの血をひくプロデューサー/DJのアフロドイチェは「オルガン、グラニュラー・シンセ、ヴォーカルを導入することで、この作品に別世界のような雰囲気が生まれ、私はそれがとても気に入っています。正直に言うと、この作品はすぐにリピート再生する曲になりました」と喜びを語っている。

    また、映画『レヴェナント 蘇りし者』のサウンドトラック他で坂本龍一と多くのコラボレーションを行っているアルヴァ・ノトによる静謐な「リモデル」の瞑想的なサウンドも聞き逃せない。これら4曲の新規リミックスはシングルとしてもリリースされた。

    このEPについてユップ・ベヴィンは「この曲は、私にとってとても大切で、作曲したときのことをはっきり覚えています」と語り、「それまでに書いた作品のほとんどは、ソフトで控えめなものでした。私は感情のコインの反対側、つまりエネルギーと激しさを持ったものをチャネリングする方法を探していました。演奏していると、渦が現れて私を包み込んでくれるような感じがして、今でもお気に入りの曲のひとつです。ピアノの共鳴と、全ての周波数の相互作用は、まさに魔法のようです。新しい素晴らしい解釈を共有できることにとても興奮していますし、その変幻自在のエネルギーが、私たちのジャンル以外の新しい耳に届くことを願っています」と述べている。

    マックス・クーバーが、アルゴリズム・アーティストのクサヴェリー・コンプテリーと制作した「ハンギングD(マックス・クーパー・リミックス)」のミュージック・ビデオも公開された。

    Joep Beving – Hanging D (Max Cooper Remix) Official Video by Ksawery Komputery

    ■リリース情報

    2021年7月15日発売
    ユップ・ベヴィン『ZERO (Hanging D Remixes)』
    iTunes / Amazon Music / Apple Music / Spotify



  • 千住真理子、最新インタビュー:新作『蛍の光~ピースフル・メロディ』に込めた想いとは

    千住真理子、最新インタビュー:新作『蛍の光~ピースフル・メロディ』に込めた想いとは

    2020年にデビュー45周年を迎えた千住真理子。2002年に運命の出会いを果たした銘器、ストラディヴァリウス「デュランティ」とともに、ひたむきにヴァイオリン一筋の人生を歩んできた。しかし年間100回にもおよぶコンサートで演奏する充実した日々のなか、突然のコロナ禍によって空白の時間が訪れる。

    「音楽は不要不急」、一度はそう思ったものの、次第に「本当にそうだろうか?」という気持ちが芽生え、「音楽は人の心を助けることができるかもしれない」と演奏への意欲を取り戻していった彼女が、今、心から届けたいと思う曲を録音したのが、このたびリリースされるアルバム『蛍の光~ピースフル・メロディ』である。

    誰もがどこかで聴いたことのある、親しみのあるメロディを集めた小品集だが、決して安易なイージーリスニング集でないことは、デュランティの表情豊かな歌と、ときに迫真に迫る音色を聴けばお分かりになることだろう。千住がこのアルバムに込めた想いを聞いた。


    ―録音はいつ頃行なわれたのですか?

    今年(2021年)の2月ぐらいに急遽録音すると決めて、録ったのが4月の終わりでした。コロナ禍において、こういう曲を皆さんに聴いていただきたいという想いが募ったところでユニバーサル ミュージックさんにご相談したところ、担当の方も同じ気持ちだということで、パパパッと実現した次第です。

    収録曲はヴァイオリンのための曲だけでなく、歌やほかの楽器のための曲、あるいはジャンルの違う曲からもいろいろ探して、30曲以上あった候補のなかから、最終的に17曲に絞り込んでいきました。

    ―〈グリーンスリーブス〉〈黒い瞳〉〈ダニー・ボーイ〉といった世界各地の民謡や、プッチーニの〈私のお父さん〉、フォスターの〈金髪のジェニー〉などおなじみのメロディが満載の小品集ですが、選曲のコンセプトは?

    懐かしい気持ちを思い出してほしい、その一点ですね。コロナ禍に苦しんでいるのは日本だけでなく世界の国々も同じですが、どこの国の、どんな宗教の人たちも、子どもの頃に歌った曲や、人生の輝かしい時代を思い出す曲を聴くと、心があたたかくなって、幸せな気持ちに包まれると思うんです。

    ですから、その国の歴史ある名曲、その国の人たちが歌い継いできたメロディを、一曲ずつ大切に演奏したいと思いながら選曲しました。

    ―お兄さまの千住明さんが編曲された〈蛍の光〉も、スコットランド民謡でありながら、日本人が大切にしてきた曲でもありますね。

    兄は編曲をしてくれたときに、こう言っていました。“みんな長い歴史を生きてきて、大切な人を失ってきた。そういった人たちの悲しみや悔しさ、切なさを自分は編曲を通してこの曲のなかに入れたから、自分が90歳や100歳になったときに弾いてほしい”と。

    ―そのほかは、ハイフェッツとクライスラーという往年の名ヴァイオリニストによる編曲が大半を占めています。

    ハイフェッツやクライスラーの素晴らしいところは、ヴァイオリンの魅力を存分に感じさせる、ウィットに富んだ、洒落た編曲をしてくれているところです。クライスラーの編曲には独特の個性があって、重音を活かしたり、低音から高音までをなるべく全部使おうとしたり、ヴァイオリンの可能性を出し切るように作られているんですよね。

    それでいて、自身もヴァイオリニストでしたので弾きにくいような指遣いはなくて、自然に音楽が流れていく。どれも大好きな編曲です。

    ―コンサートで何度も弾いていらした曲も入っていますが、今回が初挑戦となった曲はありますか?

    シャンソンの〈バラ色の人生〉などは“この曲をヴァイオリンで弾いたらどういう風になるかな?”と最初は想像がつきませんでした。あとは《シェエラザード》からの〈アラビアの歌〉や〈金髪のジェニー〉もはじめて弾いてみた曲。

    〈アメイジング・グレイス〉の無伴奏ヴァージョンも録音したのは初です。ボランティアでいろいろな地方の施設で演奏したりするときは、たった一人で行くこともよくあって、そこでは無伴奏で演奏していたので、今回アルバムにも入れたいと思いました。

    ―〈アロハ・オエ〉も、ヴァイオリンでハワイアンというのは意外な気がしましたが、聴いてみるとエレガントで素敵でした。

    これもクライスラーの編曲が素晴らしいですよね。ハワイアンというより、懐かしい時代の、涙が出るほど懐かしい曲に見事に変化しているので、ぜひ皆さんにお聴きいただきたいです。

    ―どの曲でも、デュランティのさまざまに変化する表情を味わうことができます。2002年に出会ってから20年近い歳月をともに歩んできたことになりますが、いかがですか?

    はじめの5~6年はじゃじゃ馬のように言うことを聞いてくれなくて、本当に苦労しました。

    季節によって、曲目によって、まるで生き物のように楽器のコンディションが変わるので、日々振り回されてばかりで。身体を壊す一歩手前までいって、それではいけないと鍛えてみたり、体力をつけたり、あらゆる苦労をしながらだんだんと弾きこなせるようになってきて、ようやくここ5~6年でしょうかね、自分の身体の一部になったと思えるようになったのが。

    ―そこまでいくと、千住さんのヴァイオリニストとしてのアイデンティティに深く関わる存在ですよね。

    そうですね、今は本当に弾いているのが嬉しいです。ずっと弾き続けたいと思って、いつも家では弾きはじめると止まらなくなってしまう。そんな魅力のある楽器です。デュランティと出会ったとき、私が心に誓ったのは、この楽器を弾けるのであれば、あとはなにもいらないということでした。

    もし神様がいるのだったら、この楽器を死ぬまで弾かせてほしい。そのかわり、私は人生でほかになにもいらないと心から思いました。そのぐらい、私にとってはかけがえのない存在ですし、弾いているときはヴァイオリニストに生まれてきてよかったなとつくづく思えます。

    ―12歳でデビューしてから、ずっと第一線を走り続けていらした千住さん。コロナ禍でぱたっと時間が止まったような一年を過ごされて、なにをお考えになりましたか?

    去年(2020年)の2月から半年ほどの間、すべてのコンサートが中止になったときは本当にショックでしたね。“音楽は不要不急だ”というのは、その通りだと。水や食料のように、人が生きていくうえで絶対に必要なものではないと思いました。

    けれども、そうやって意気消沈したあとに“ちょっと待てよ。本当にそうなのかな? 音楽というのは、死にそうになっている人の心を助けることができるのではないのか”と次第に考えるようになって。そこから演奏に対する自分の意欲がふたたび湧いてきました。

    ―生活にも変化があったとエッセイで拝読しましたが。

    以前は健康のため、毎朝生卵を3つ丸呑みしていましたが、今は家にいることが多くなり、慌てて食べる必要がなくなりましたので、フライパンを出してきて、焼いてみたりしています(笑)。それから、ここ1年のいちばんの変化は、スマートフォンを持つようになったことでしょうか。

    ずっと頑なに拒んできたのですが、ついにスマートフォンに変えまして、Instagramをはじめました。こういう性格なので、やりはじめると熱中してしまい、毎日投稿しています。リスナーの方々と交流できるのが楽しいですね。皆さんと近くなれる感じがします。

    ―最後に、これから挑戦したいことをお聞かせください。

    コロナ禍で演奏ができなかったときにつくづく感じたのは、すべてが一期一会ということでした。誰の身においても先のことは分からない。ステージの上に立って、演奏を聴いてくださる方がいるという日々がいつまでも続くとは限らない。

    もしかしたらこれが最後かもしれないと、ふと思う瞬間が多くなりました。そうだとしたら、一音一音を大切に出したいですし、本心からの音を出し続けることができるようなヴァイオリン弾きとして、がんばっていければいいなと思います

    ―今後のご活躍を、ますます楽しみにしています。

    Interviewed & Written By 原 典子


    ■リリース情報

    2021年7月14日発売
    千住真理子『蛍の光~ピースフル・メロディ』
    CD / iTunes / Amazon Music / Apple Music / Spotify


  • クラシック愛好家が選ぶ人気曲TOP10:協奏曲編

    クラシック愛好家が選ぶ人気曲TOP10:協奏曲編

    クラシックの名盤シリーズ『クラシック百貨店』の第2回協奏曲編が7月7日に発売された。

    クラシック愛好家へのアンケートにより集計された人気曲ランキングを基に選盤されている本シリーズ。協奏曲編の人気曲TOP10をご紹介する。


    1位 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18

    ラフマニノフが世界に羽ばたくきっかけの曲

    ラフマニノフの最高傑作であるだけでなく、20世紀に書かれたピアノ協奏曲の最高峰に位置するこの曲は、彼の名を世界に知らしめるきっかけとなった人気曲だ。

    作曲の背景には、「交響曲第1番」の手痛い失敗によって極度の神経衰弱に陥ったラフマニノフを暗示療法によって立ち直らせたダール博士の存在がある。初演は1901年10月27日に作曲者自身のピアノによってモスクワで披露され、作品は彼を救ったダール博士に献呈されている。

    Lang Lang – Rachmaninoff Piano Concerto No. 2 (Piazza del Duomo)

    2位 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35

    “悪臭を放つ音楽”と言われた作品の晴れ姿

    今や、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と並ぶ屈指の名曲として名高いこの曲の最初の評価は酷かった。初演を依頼した名手アウアーからは「演奏不可能」と拒絶され、評論家のハンスリックからは「悪臭を放つ音楽」とまで言われてしまったのだ。

    しかし初演したヴァイオリニスト、ブロツキーブロツキの努力によって徐々に人気を得たこの作品は、今や超人気曲となっている。まさに「起死回生の大名曲!」。

    Lisa Batiashvili – Tchaikovsky Violin Concerto, 1. Allegro moderato (excerpt)

    3位 ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73《皇帝》

    ベートーヴェンの闘争本能を象徴する傑作

    1811年に初演されたこの作品は、その規模の大きさや堂々とした雰囲気から、いつしか《皇帝》と呼ばれるようになった名曲だ。雄々しい作風の背景からは、作曲当時ウィーンを占領していたナポレオン率いるフランス軍に対するベートーヴェンの激しい怒りと、ウィーンを思う憂いが見え隠れする。

    「私が戦術のことを対位法と同じくらい知っていたら、目にものを見せてやったのに」と語ったと言うのはいかにもベートーヴェンらしい逸話だ。

    Beethoven: Piano Concerto No. 5 in E-Flat Major, Op. 73 "Emperor": I. Allegro

    4位 ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104

    アメリカ滞在中に書かれた望郷のメロディ

    数々の名作を生み出し、すでに世界的な名声を得ていたドヴォルザークのもとに、「ニューヨーク・ナショナル音楽院」院長就任の要請があった。これを受けたドヴォルザークは、4年間3年半のアメリカ滞在中に、交響曲第9番《新世界より》、弦楽四重奏曲《アメリカ》そして「チェロ協奏曲」を作曲する。

    その素晴らしさに「こんなチェロ協奏曲が人間の手で書けるとは思わなかった…」とブラームスがため息交じりに称賛したことも語り草だ。

    Alisa Weilerstein: Dvořák Cello Concerto – I. Allegro

    5位 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61

    ベートーヴェンの“傑作の森”に聳え立つ大樹

    その気品ある美しさと規模の大きさから「ヴァイオリン協奏曲の王者」と呼ばれるこの作品が作曲されたのは1806年。ベートーヴェンの黄金期にあたる“傑作の森”の中心に聳え立つ大樹のような作品だ。

    ところが初演の際にはそのスケールの大きさが、当時の軽妙洒脱な作品に慣れた聴衆には受けなかった。それを覆したのが、1844年当時13歳の天才ヴァイオリニスト、ヨアヒムだった。名曲にはその魅力を引き出す名手の存在が不可欠だ。

    Daniel Lozakovich, Munich Philharmonic, Valery Gergiev – Beethoven: Violin Concerto: Larghetto

    6位 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23

    “演奏不可能”の評価から名曲へと上り詰める

    古今東西のピアノ協奏曲の中でも、最も有名な作品の一つであるこの曲が完成したのは1875年。チャイコフスキー35歳の年だった。ところが、この自信作をモスクワ音楽院の院長ニコライ・ルビンシテインに「演奏不可能」と酷評されてしまう。

    憤慨したチャイコフスキーは、ドイツの名ピアニストで指揮者ハンス・フォン・ビューローにこの作品を献呈。そのビューローがアメリカ・ツアーで初演し、一躍人気曲になったというのは有名な逸話だ。

    Alice Sara Ott – Tchaikovsky: Piano Concerto No. 1, 1st movement

    7位 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77

    名手ヨアヒムの協力で完成した唯一無二の名曲

    1833年生まれのドイツ・ロマン派を代表する作曲家ブラームスが残した唯一のヴァイオリン協奏曲が書かれたのは1878年。ブラームス45歳の年だった。

    創作活動の頂点にあったブラームスが、ヴァイオリン協奏曲を手掛けるきっかけとなったのが、避暑地バーデン・バーデンで聴いた名手サラサーテの演奏に感銘したこと。ついに完成した作品の初演は1879年1月1日、カデンツァの作曲を手掛けた名手ヨアヒムの演奏によって披露された。

    Brahms: Violinkonzert ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Hilary Hahn ∙ Paavo Järvi

    8位 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64

    クラシック史上屈指の美しいメロディがここに

    “早熟の天才”メンデルスゾーンのすべての作品の中で、最も有名な「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」は、ドイツ・ロマン派の生んだ最も素晴らしい協奏曲として記念碑的な意義を持つ作品だ。

    ブラームスがヨアヒムの協力を得たように、メンデルスゾーンは自らが常任指揮者を務めるゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスター、ダヴィッドダーフィトの協力を得て名作を書き上げた。その冒頭のメロディは、クラシック史上屈指の美しさに違いない。

    Ray Chen Mendelssohn Violin Concerto in E minor, Op. 64

    9位 ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83

    ブラームス円熟の境地に生み出された大作

    「ピアノ協奏曲第1番」を書き上げてから20年以上も後の1881年に完成された「第2番」は、その間に生み出された2つの交響曲(第1番&第2番)やヴァイオリン協奏曲、《大学祝典序曲》大学祝典序曲などによって、円熟の境地に達したブラームスの横綱相撲を見るような趣だ。

    作品全体を貫く明るさを伴う雰囲気は、風光明媚なイタリア旅行での感激が大きく影響し、その雄大さは“ピアノ独創部を持つ交響曲”と呼ばれるほどの素晴らしさだ。

    Hélène Grimaud – Brahms: Piano Concerto No.1 & 2 – Wiener Philharmoniker (Trailer)

    10位 ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11

    祖国を旅立つ20歳のショパンによる惜別の曲

    ショパンは生涯に2曲のピアノ協奏曲を遺している。そのどちらも彼がポーランドを離れる直前に書かれた作品だ。20歳のときに書かれた「ピアノ協奏曲第1番」は、音楽家としての新天地を求めてウィーンに旅立つショパンのための壮行会で初演された名曲だ。

    当時祖国を離れることは永遠の別れにも等しい意味があったのだろう。そしてその言葉通り、ショパンは二度と再び愛する祖国ポーランドの土を踏むことはなかったのだ。

    Seong-Jin Cho – Piano Concerto in E minor Op. 11 (Prize-winners' Concert)

    「クラシック百貨店」はユニバーサル ミュージックのクラシック名盤シリーズ。クラシック愛好家へのアンケートに基づく人気ランキングで選盤された100タイトルが、6月23日より「器楽曲」「協奏曲」「管弦楽曲」「室内楽/歌劇&声楽」「交響曲」とジャンルに分けて、20タイトルずつ発売される。

    世界最古のクラシック・レーベル「ドイツ・グラモフォン」と指揮者・小澤征爾やピアニストの内田光子などの巨匠が所属する「デッカ」(旧フィリップス音源含む)の両レーベルから、人気、クオリティともに最高でエバーグリーンな名盤が選ばれている。

    Written by uDiscover Team


    ■リリース情報

    『クラシック百貨店』

    発売日:
    6/23(水)発売 第1回 器楽曲編 20タイトル
    7/7(水)発売 第2回 協奏曲編 20タイトル
    7/21(水)発売 第3回 管弦楽曲編 20タイトル
    8/4(水)発売 第4回 室内楽、歌劇&声楽曲編 20タイトル
    8/18(水)発売 第5回 交響曲編 20タイトル





     

  • 現代最高のピアニスト、クリスチャン・ツィメルマンによる『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集』発売

    現代最高のピアニスト、クリスチャン・ツィメルマンによる『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集』発売

    ピアニスト、クリスチャン・ツィメルマンとサイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲録音が遂に本日発売となった。

    この企画は当初、ベートーヴェンの誕生日とされる昨年の12月16日に、ロンドンのバービカンセンターで5曲のピアノ協奏曲を一夜で演奏する予定であったが、ロンドンのロックダウンのため、公開イベントはキャンセルされてしまった。

    代わりにロンドン交響楽団の本拠地のひとつ聖ルカ教会ホールにおいて、オーケストラ団員はソーシャル・ディスタンスを取り、アクリル板などの万全な感染防止策をとった上で録音と映像の収録が行われたものだ。

    © Mark Allan

    指揮者のサイモン・ラトルは「パンデミックの影響で不安な日々を過ごしていた私たちにとって、ベートーヴェンを再び演奏できたことは、とても大きな解放感と喜びでした。これは、私たちにとって決して忘れられないことです」と語っている。

    なお、本日の発売を記念して、ドイツ・グラモフォンのストリーミング配信サイト、DG Stageは、昨年12月に配信された全3回にわたるベートーヴェン:ピアノ協奏曲全曲のコンサートを今夜から再度ストリーミング配信する。

    第1回の協奏曲第1番と第3番は日本時間10日午前3時(ヨーロッパ中央時間9日午後8時)から、第2回の協奏曲第2番と第4番は11日、第3回の協奏曲第5番は12日からそれぞれ48時間視聴可能となる。

    ▽DG Stage コンサート映像ストリーミング配信
    クリスチャン・ツィメルマン/ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全曲演奏(全3回)
    *DG Stageは日本語には対応しておりません。ご了承ください。

    第1回:2021年7月10日午前3時(日本時間)~ストリーム・スタート
    (2021年7月12日午前3時まで視聴可能) チケット:4.90ユーロ

    第2回:2021年7月11日午前3時(日本時間)~ストリーム・スタート
    (2021年7月13日午前3時まで視聴可能) チケット:4.90ユーロ

    第3回:2021年7月12日午前3時(日本時間)~ストリーム・スタート
    (2021年7月14日午前3時まで視聴可能) チケット:4.90ユーロ


    ■リリース情報

    2021年7月9日発売
    サー・サイモン・ラトル指揮、ロンドン交響楽団

    クリスチャン・ツィメルマン『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集』
    iTunes / Amazon Music / Apple Music / Spotify

    収録曲:
    ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 作品15
    ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品19
    ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37
    ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58
    ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73 《皇帝》


  • ヴィキングル・オラフソン、ニュー・アルバム『モーツァルト&コンテンポラリーズ』発売決定

    ヴィキングル・オラフソン、ニュー・アルバム『モーツァルト&コンテンポラリーズ』発売決定

    2019年英グラモフォン賞「アーティスト・オブ・ジ・イヤー」受賞、2020年ドイツ『オーパス・クラシック賞』器楽録音(ピアノ)部門受賞と世界的な音楽賞を次々と射止めるアイスランドの若手ピアニスト、ヴィキングル・オラフソンがニュー・アルバム『モーツァルト&コンテンポラリーズ』を9月3日に発売する。

    Mozart: Piano Sonata No. 16 in C Major, K. 545 "Sonata facile": II. Andante

    『モーツァルト&コンテンポラリーズ』は、作曲家たちが試行錯誤し、当時の古典派音楽に変化が起きていた10年間に焦点を当てた作品。ウィーン古典派を代表するモーツァルトのピアノ作品を、同時代の作曲家、ハイドン、C.P.E.バッハと、滅多に録音されないガルッピやチマローザの作品を並べ、オラフソンの得意とする独創的なプログラミングによって、芸術的にまとめている。

    1780年代のモーツァルトの人生と芸術に限りない魅力を感じているというオラフソンは、「モーツァルトは単なる作曲家ではありません。ヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして自分のために作曲していたときには、彼の独創性の源である遊び心をこれまで以上に発揮していたように思うのです。この時期のモーツァルトは、古典派の伝統を完成させながら、絶妙に覆してもいました…影がより濃く、ニュアンスや曖昧さの深みが増しています。」とコメントしている。

    また、本作を通して、“神童”のモーツァルトのイメージを払拭したいとも話す。「有名な作品と無名のものが混在することで、モーツァルトの音楽に対して私たちが持っている偏見を取り除くことができるのではないかと期待しています。ガルッピやチマローザのような、驚くほど叙情的で希少な作品を発見したときに感じたような、自由で子供のような気持ちでモーツァルトの最もよく知られた作品にアプローチしていただきたいです。」

    さらに、「モーツァルトを演奏すると、音楽家としての自分を知ることができるような気がします。彼は、音楽における自分の一番奥にある核心を反映しているように思えるのです。」ともコメントしている。

    9月3日のアルバムリリースに先立ち、本日、アルバムからモーツァルト:ピアノ・ソナタ 第16番 ハ長調 K.545のデジタル先行配信がスタート。また、アルバムのティザー映像も公開されている。

    Víkingur Ólafsson – Album Teaser

    ■リリース情報

    ヴィキングル・オラフソン

    『モーツァルト&コンテンポラリーズ』
    2021年9月3日発売

    CD / iTunes / Apple Music / SpotifyAmazon Music


     

  • 1位はラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番」。クラシック名盤シリーズ『クラシック百貨店』協奏曲編、本日発売

    1位はラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番」。クラシック名盤シリーズ『クラシック百貨店』協奏曲編、本日発売

    クラシック音楽の名盤シリーズ『クラシック百貨店』第2弾、協奏曲編の20タイトルが本日発売になった。

    『クラシック百貨店』はクラシック愛好家へのアンケートに基づく人気ランキングで選盤されたシリーズで、「器楽曲」「協奏曲」「管弦楽曲」「室内楽/歌劇&声楽」「交響曲」とジャンルに分けて、20タイトルずつ発売される。

    今日、発売になった協奏曲編の人気曲ランキングでは、3位にベートーヴェンの「ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73《皇帝》」、2位に、チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」、そして、1 位はラフマニノフの「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」という結果になっており、それぞれ、ヴィルヘルム・バックハウス、諏訪内晶子、ラン・ランの名盤が選ばれている。

    1位の作品としてアルバム『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、パガニーニの主題による狂詩曲』が選盤された世界的ピアニスト、ラン・ランは、「私のラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番の録音を、ファンの皆様に気に入っていただけたことを嬉しく思います。この曲は、美しさと悲しさ、光と闇、リリシズムと情熱のすべてが共存する、強烈な作品です。演奏する私に刺激を与えてくれたように、皆様の心にも響くことを願っています。」とコメントを寄せた。

    協奏曲編TOP20ラインナップはこちら

    また、この『クラシック百貨店』協奏曲編のCDブックレットには、『池袋ウエストゲートパーク』でデビューし、『4TEEN』『眠れぬ真珠』などで数々の受賞歴を持つ作家、石田衣良氏がエッセイを書き下ろし。

    「クラシックの王冠で最も輝く宝石」と題し、協奏曲の魅力、楽しみ方について記している。協奏曲編の発売に対して、石田衣良氏は「クラシック音楽を難しいと敬遠しないで、好きな服やインテリアのように、もっと気軽に楽しんでほしい。なかでも協奏曲は、胸を打つメロディや綱渡りのようなスリルが詰まった名演奏の宝庫です。日常づかいのアートの魅力にぜひ触れてください。 」とコメントを寄せた。

    『クラシック百貨店シリーズ』は、6月に発売された器楽曲編、今回の協奏曲編に続き、7月21日(水)には管弦楽曲編20タイトルの発売を予定。ブックレットには、柳美里氏のエッセイが掲載される。

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    公式Instagram

    ■プロフィール

    写真提供:文藝春秋

    石田衣良(いしだ いら)

    作家、1960年東京生まれ。98年『池袋ウエストゲートパーク』にてデビュー。2003年『4TEEN』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年『北斗 ある殺人者の回心』 で中央公論文芸賞を受賞。その他、『娼年』『美丘』『アキハバラ@DEEP』等、映像化作品多数。Eテレにて『ららら♪クラシック』の初代MCを務める。YouTube、ニコニコ動画で『大人の放課後ラジオ』を配信中。

    ©OLAF HEINE

    ラン・ラン

    アルバムの売り上げは、世界各地ですでに数百万枚に達する。クラシック・チャートでトップの座を確保していると同時に、音楽界全体の中でもメインストリームな存在。

    2007年には、中国人アーティストとして初めてグラミー賞の最優秀器楽ソリスト部門にノミネート。

    タイム誌では、100人の最も影響力のある有名人の1人にも選ばれた。この10年間のあいだにラン・ランは、音楽ファンはもとより、バラク・オバマ、ローマ教皇、エリザベス2世など、国家元首や高官のために演奏。世界各地の音楽ホールで満員の聴衆を集め、世界のトップ・オーケストラや指揮者と共演した。

    2014年にはオデジャネイロで開催されたFIFAワールドカップのオープニング式典で演奏。テレビで10億人が視聴した。グラミー賞授賞式ではメタリカ、ファレル・ウィリアムズやジャズ界の伝説ハービー・ハンコックとともに演奏。2019年にリリースされた『ピアノ・ブック』は、いくつもの国でクラシック・チャートの1位を独占すると同時に、1億7千万ストリーミングを超え、クラシック分野では世界のベスト・セラー・アルバムとなった。昨年は、バッハが鍵盤楽器のために書いた記念碑的作品《ゴルトベルク変奏曲》に挑んだ『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』をリリースした。

    尚、世界各地のソーシャルメディアでは、2000万人のフォロワーを獲得している。


    ■リリース情報

    『クラシック百貨店』

    発売日:
    6/23(水)発売 第1回 器楽曲編 20タイトル
    7/7(水)発売 第2回 協奏曲編 20タイトル
    7/21(水)発売 第3回 管弦楽曲編 20タイトル
    8/4(水)発売 第4回 室内楽、歌劇&声楽曲編 20タイトル
    8/18(水)発売 第5回 交響曲編 20タイトル



     

  • 人気韓国ドラマの音楽をクラシック・アレンジしたサウンドトラック集より、先行シングルが配信開始

    人気韓国ドラマの音楽をクラシック・アレンジしたサウンドトラック集より、先行シングルが配信開始

    人気の韓国ドラマのサウンドトラックをクラシック・アレンジしたアルバム『シェイズ・オヴ・ラヴ』から、ヴァイオリニストのダニエル・ホープをフィーチャーした先行シングル「ミスター・サンシャイン-メインテーマ」がドイツ・​グラモフォンより2021年6月25日にデジタル配信された。

    アルバム『シェイズ・オヴ・ラヴ』には、韓国ドラマの名作である『愛の不時着』、『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』、『恋のスケッチ ~応答せよ1988~』、『白い巨塔』などからのサウンドトラックをクラシック・アレンジした15曲と、ドイツの作曲家マルコ・ヘルテンシュタインが、KBS交響楽団の元首席フルート奏者のフィリップ・ユントと共同で制作したフルート奏者、サー・ジェームズ・ゴールウェイ夫妻に捧げた2曲のオリジナル作品の合計17曲が収録されている。

    それらの名曲を、ヘルテンシュタインがロマンティックにアレンジし、ドイツ・グラモフォンのアーティストであるヴァイオリニストのダニエル・ホープやオーボエ奏者のアルブレヒト・マイヤー、ヴィオラ奏者のリチャード・ヨンジェ・オニール、ピアニストのセバスティアン・クナウアーがソロ・パートを演奏、ダーフィト・フィリップ・ヘフティが指揮するチューリッヒ室内管弦楽団がオーケストラ伴奏を担当している。

    アルバム『シェイズ・オヴ・ラヴ』は、2021年7月9日にデジタル配信されるほか、Dolby Atmos®によるピュア・オーディオ・ブルーレイでも発売される予定だ。


    ■リリース情報

    2021年7月9日発売
    『シェイズ・オヴ・ラヴ』
    Amazon Music / Apple Music / Spotify


  • ピアニスト、ルドルフ・ブッフビンダー3度目の『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集』発売決定

    ピアニスト、ルドルフ・ブッフビンダー3度目の『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集』発売決定

    ピアノの新約聖書とも呼ばれるピアニストにとっての聖典、32曲のベートーヴェン:ピアノ・ソナタの全曲演奏を世界中で60回以上行い、60年以上にもわたって作品を研究し続けるベートーヴェンのスペシャリスト、巨匠ブッフビンダーによる3回目の『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集』が9月3日(金)に発売されることが決定した。

    ブッフビンダーは、1946年チェコに生まれ、5歳でウィーン国立音楽大学に入学し同大学の最年少記録を持つ。9歳で演奏会デビュー。1966年、ヴァン・クライバーン・コンクール特別賞、1967年ベートーヴェン・ピアノ・コンクール第1位、他受賞多数。

    幅広いレパートリーを持つが、ドイツ・オーストリア音楽の本流を専門とし、ウィーンの伝統の正統な継承者とみなされ、特にベートーヴェンの解釈においては当代随一と評価されている。

    この全曲録音は、2014年のザルツブルク音楽祭における、ひと夏で行った全曲演奏会の貴重な記録で、同音楽祭の歴史の中でも初の試みであった。C majorレーベルより映像が発売されたこともあるが、CDでは今回が初。

    国内盤は88.2kHz/24bitのMQACD仕様での発売で、MQA対応機器やソフトでデコードすればハイレゾ音源を楽しむことが出来る。本日、アルバムから以下の5曲が先行配信された。

    先行配信トラック
    ピアノ・ソナタ 第1番 ヘ短調 作品2の1 第2楽章:Adagio
    ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 《悲愴》 第2楽章:Adagio cantabile
    ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2 《月光》 第1楽章:Adagio sostenuto
    ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57 《熱情》 第2楽章:Andante con moto
    ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 作品109 第1楽章:Vivace, ma non troppo

    Beethoven: Piano Sonata No. 1 in F Minor, Op. 2 No. 1 – II. Adagio

    ■リリース情報

    2021年9月3日発売
    ルドルフ・ブッフビンダー『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集』
    CD Amazon Music / Apple Music / Spotify



  • ピアニスト、チョ・ソンジンの新アルバム『ショパン:ピアノ協奏曲第2番、スケルツォ』発売決定

    ピアニスト、チョ・ソンジンの新アルバム『ショパン:ピアノ協奏曲第2番、スケルツォ』発売決定

    2015年第15回ショパン国際ピアノ・コンクールの覇者で、日本でも人気の韓国出身のピアニスト、チョ・ソンジンのアルバム『ショパン:ピアノ協奏曲第2番、スケルツォ』が8月27日(金)に発売されることが決定した。ピアノ協奏曲第2番の共演は、ジャナンドレア・ノセダ指揮ロンドン交響楽団が務め、既発売のピアノ協奏曲第1番と同じ顔触れとなった。

    このアルバムは、ショパン・コンクールの実況録音盤でCDデビューを果たし、続いて『ピアノ協奏曲第1番、バラード集』のスタジオ録音をリリースして以来、5年振りのショパン・アルバムとなった。

    ショパン・コンクール優勝者として周囲からショパンを期待されるからこそ、 かえって“ショパン弾き”のレッテルを貼られたくないという気持ちもあり、あえてショパンを避け、レパートリーの開拓には慎重に取り組んできたチョ・ソンジン。

    2018年、BBCプロムス・デビューでのノセダとのショパンのピアノ協奏曲第2番の演奏が、「感傷に流されない」「真の安定と洗練のソリスト」とオブザーバー紙に絶賛されるなど、5年以上にわたるノセダやロンドン交響楽団との実り多い共演を続けてきたことで、遂に機が熟しこの度録音を行うこととなった。

    ピアノ協奏曲第2番は、若きショパンが満を持して作曲した最初の大作で、随所に創意が凝らされ、片思いの初恋の想いを込めた第2楽章が有名な非常にロマンティックな作品。一方、4曲のスケルツォはショパンの全創作の中でも、その激しさや深刻な曲調において非常に際立った世界を形作っている。

    チョ・ソンジンはショパンについて「ショパンの音楽は非常に誠実で、彼の情緒的な個性を反映しており、彼はそれを聴衆と世界に伝えることを恐れませんでした」と述べ、その演奏については、「音楽の情熱とドラマ、繊細さと脆さの数々の瞬間の間に理想的なバランスを見つけなければなりません」と語っている。

    本日より、アルバムから〈スケルツォ第2番〉が先行配信され、MVも公開となった。

    Seong-Jin Cho – Chopin: Scherzo No. 2 in B Flat Minor, Op. 31

    ■リリース情報

    2021年8月27日発売
    チョ・ソンジン『ショパン:ピアノ協奏曲第2番、スケルツォ』
    CD / iTunes / Amazon Music / Apple Music / Spotify


  • アーランド・クーパー、最新アルバムの音源テープを3年間土に埋め、2024年に発掘してリリース

    アーランド・クーパー、最新アルバムの音源テープを3年間土に埋め、2024年に発掘してリリース

    スコットランドの現代作曲家であり、マルチ・インストゥルメンタル奏者のアーランド・クーパーが、最新アルバム『カーヴ・ザ・ルーンズ・ゼン・ビー・コンテント・ウィズ・サイレンス』の音源テープを、クーパーが育ったオークニー諸島の土に3年間埋め、2024年に発掘してMercury KXレーベルからアルバム発売するという画期的なプロジェクトが発表された。

    『カーヴ・ザ・ルーンズ・ゼン・ビー・コンテント・ウィズ・サイレンス』は、オークニーの著名な詩人であるジョージ・マッカイ・ブラウンの生誕100周年を記念して、ソロ・ヴァイオリンと弦楽アンサンブルのためにクーパーが作曲した作品で、国際的に高い評価を得ているヴァイオリニスト、ダニエル・ピオロと、英国王立スコットランド音楽院が特別に選抜した室内弦楽団、スタジオ・コレクティブと共に録音された。

    また、マルタ・サローニ(ビョーク、アンナ・メレディス、ダニエル・エイヴリーのプロデューサー)によってミックスされ、1/4インチの磁気テープにマスタリング。このテープは、2021年5月にオークニー諸島でヴァイオリンと楽譜とともに埋められた。

    Erland Cooper – Carve the Runes Then Be Content With Silence

    クーパーはテープを3年間土に埋めることで、作品がどのように自然からの影響を受け、地面の中でどのように変化し、熟成されるかという事を探求するという。また、今回土に埋められたテープ以外のデジタル・ファイルは全て削除された。

    クーパーは今回のプロジェクトについて、「音楽は過小評価されていると感じることが多いです。また、最近ではライヴで演奏ができなくて、埋もれているように感じることもあります。アイディアが生まれたらすぐに共有したいと思うことがよくありますが、この作品を鳥のように飛ばせて独自の場所と時間に着地させたいと思います。この作品には、記念すべき時代の思い出と感謝が込められています」と語っている。

    さらに、このプロセスについて、「テープの素材が自然に浸食されて静寂を生み出すかもしれないし、もしくは完璧に保存されるかもしれません。年を経て良くなるかもしれないし、ならないかもしれません。私の作曲が気に入らなくなるかもしれないし、そうならないかもしれません。音や音楽に変化が起きたら、オーケストラのアーティキュレーションとして、新たな楽譜、演奏として再び取り込みます」と説明している。

    Mercury KXレーベルの担当者は、一音も聴かずにこのプロジェクトに同意。共同マネージング・ディレクターであるトム・ルイスとローラ・モンクスは、「これは前代未聞のイベントです。何でもすぐに手に入るこの時代に、私たち全員がアーランドの録音を聴くために3年も待たなければならないという考えには、信じられないほどのロマンと力強さがあります。

    そして、この作品が地面の中でどのように変化するかは、非常に興味深いです。テープを発掘して再生ボタンを押すときは、とても緊張するでしょう」とコメントしている。

    クーパーがテープを発掘するのは2024年になってからだが、探索を希望する者が見つけられるようにいくつかのヒントを残しているという。また、埋められた場所の手がかりとなる地図は、クーパーのデジタル・プラットフォームを通じて公開される。テープが見つかれば、クーパーは発見者をスタジオに招待し、貴重なファースト・リスニングを行い、その後、そのままのテープを使用してアルバムがリリースされる予定となっている。


    ■リリース情報


    アーランド・クーパー
    『カーヴ・ザ・ルーンズ・ゼン・ビー・コンテント・ウィズ・サイレンス』
    2024年発売予定


  • クラシック愛好家が選ぶ人気曲TOP10:器楽曲編

    クラシック愛好家が選ぶ人気曲TOP10:器楽曲編

    クラシックの名盤シリーズ『クラシック百貨店』の第1回器楽曲編が本日、6月23日に発売された。

    クラシック愛好家へのアンケートにより集計された人気曲ランキングを基に選盤されている本シリーズ。今日発売となった器楽曲編の人気曲TOP10をご紹介する。


    1位 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ BWV1001~1006

    全てのヴァイオリニストにとっての試金石

    J.S.バッハが遺した無伴奏作品は、《無伴奏チェロ組曲》《無伴奏フルートのためのパルティータ》、そしてこの《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ》の3種のみ。そのいずれも、それぞれの楽器を象徴する名曲であるところがJ.S.バッハの偉大さだ。

    単独で演奏されることも多い〈シャコンヌ〉を含むこの作品は、ヴァイオリンに可能なあらゆる技巧が盛り込まれ、すべてのヴァイオリニストにとっての試金石であり指標とも言える存在だ。

    Hilary Hahn – Bach, J.S.: Sonata for Violin Solo No. 1 in G Minor, BWV 1001: 4. Presto

    2位 J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988

    不眠解消用に書かれた目が覚める程の人気曲

    不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のために作曲し、弟子のヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルクに演奏させたことから《ゴルトベルク変奏曲》と呼ばれるようになったこの作品は、美しいアリアと30の変奏曲で構成される人気曲。

    カナダの天才ピアニスト、グレン・グールド(1932-1982)がデビュー・アルバムに収録したことでも有名で、その録音は映画『ハンニバル』にも使われた。近年は鍵盤奏者にとって重要なレパートリーとなっている。

    Lang Lang – Bach: Goldberg Variations, BWV 988: Aria

    3位 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 BWV1007~1012

    カザルスが発掘したチェロのためのバイブル

    J.S.バッハがケーテン時代(1717-23)に作曲したとされるこの作品は、「プレリュードと舞曲」のスタイルで書かれた無伴奏チェロのための6つの組曲だ。当時は合奏の際の通奏低音を担う楽器とみなされていたチェロのために6曲の無伴奏組曲が書かれたことはまさに画期的。

    その後、忘れ去られていたこの名曲をスペインの伝説的チェリスト、パブロ・カザルス(1876-1973)が再発見。以来、チェリストにとって最重要のレパートリーとなった。

    Mischa Maisky plays Bach Cello Suite No.1 in G (full)

    4位 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 《悲愴》

    ベートーヴェン自らその名を付けた初期の傑作

    ベートーヴェンはその生涯に32曲のピアノ・ソナタを遺しているが、自ら名前をつけた作品は、第8番《悲愴》と第26番《告別》の2曲のみ。初期の頂点をなす傑作《悲愴》は、若きベートーヴェンの名を世に知らしめる原動力となり、第14番《月光》、第23番《熱情》とともに「3大ソナタ」の一角を担う人気曲としても有名だ。

    美しく印象的な第2楽章は、ビリー・ジョエルの「This Night」に流用される他、さまざまなシーンに使われている。

    Yundi – Beethoven, Adagio Cantabile (from Sonata Pathétique No. 8, op. 13)

    5位 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2 《月光》

    “ロマンティスト”ベートーヴェンを知る名曲

    1801年、ベートーヴェン31歳の年に作曲されたこの作品の愛称《月光》は、ベートーヴェンと同時代の音楽評論家で詩人ルートヴィヒ・レルシュタープの「スイス・ルツェルン湖の月光に揺らぐ小舟のようだ」というコメントに由来する。

    日本に於いては月光の下で散歩していたベートーヴェンが、盲目の少女の弾くピアノのメロディをもとに作曲したという『月光の曲』という物語もあり。優雅な第1楽章から疾風怒涛の第3楽章に至る印象は強烈だ。

    Beethoven "Moonlight" Sonata op 27 # 2 Mov 1,2 Valentina Lisitsa

    6位 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57 《熱情》

    ベートーヴェンの熱き思いが吹き荒れる傑作

    「3大ピアノ・ソナタ」の一つにして、ベートーヴェン中期の最高傑作と呼ばれる《熱情》は、同時期に作曲された交響曲第5番《運命》同様、ベートーヴェン作品の中でも最も激しい音楽の一つだ。

    第1楽章には《運命》冒頭と同じ強烈な4つの音が執拗に刻まれ、闘争的な情熱が吹き荒れる音楽は、ハンブルクの出版社クランツが出版時に付けたことによって定着した《熱情》の愛称そのもの。古今東西の腕利きピアニストが挙ってこぞって演奏する人気曲。

    Lang Lang – Beethoven: "Appassionata" Piano Sonata No. 23, Op 57 – III. Allegro ma non troppo

    7位 ドビュッシー:ベルガマスク組曲

    音楽による情景描写の最高傑作〈月の光〉を聴く

    ドビュッシーの全てのピアノ曲の中でも、最も有名な作品の一つ〈月の光〉を含む全4曲からなるピアノ曲集《ベルガマスク組曲》が出版されたのは1905年。

    若きドビュッシーの傑作だ。「ベルガマスク」と言うタイトルは、イタリア滞在中に受けたベルガモ地方の印象によるもので、当時ドビュッシーが好んでいたヴェルレーヌの詩にも触発された作品だと言われている。冨田勲のシンセサイザーによる編曲盤(1974年)もチェックしておきたい。

    Seong-Jin Cho – Debussy: Suite bergamasque, L.75: III. Clair de lune

    8位 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111

    第2楽章で閉じる生涯最後のピアノ・ソナタ

    ベートーヴェンが遺した32曲のピアノ・ソナタの最後を飾るこの曲が出版されたのは1822年。ベートーヴェン52歳の年だ。2楽章までで終わることについては、ベートーヴェン自身が「時間がなかったから」と語ったというシントラ−の怪しい証言を始め、作曲当時から様々な憶測が飛び交った。

    しかし、これ以上なにも付け加える余地のない境地にまで達したというのが正解だろう。ベートーヴェン最晩年の枯淡の境地を心ゆくまで味わいたい。

    Barenboim: Beethoven – Sonata No. 32 in C minor, Op. 111

    9位 シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D960

    シューベルトが死の直前に遺した音楽とは

    「遺作」として知られるこの曲は、シューベルトがこの世を去る1828年に相次いで書かれた3曲のピアノ・ソナタ(第19~21番)の最後を飾る作品だ。これらの作品は、シューベルトの死から10年後に「フランツ・シューベルト最後の作品(3つの大ソナタ)」としてディアベリ社から出版されている。

    わずか31歳の生涯の最後に、全く演奏される希望も無しに書かれた音楽がいかなるものか。胸が締め付けられるような音楽がここにある。

    https://youtu.be/grZ8L8QPoCU

    10位 ショパン:バラード 第1番 ト短調 作品23

    羽生結弦選手を金メダルに導いた勝負曲

    ショパンは、21歳の1831年から1842年までの11年間に4曲の「バラード」を書いている。傑作の誉れ高い4曲の中でも最初に手掛けた第1番についてシューマンは「ショパンの全作品の中で最も好きだ」と語っている。

    その印象的なメロディは、映画『戦場のピアニスト』の中で効果的に使われた他、近年は、フィギュアスケートの羽生結弦選手が、2018年の平昌オリンピックのショートプログラムで使用し、金メダルに輝いたことも懐かしい。

    Seong-Jin Cho – Chopin: Ballade No.1 In G Minor, Op.23 | Yellow Lounge

    「クラシック百貨店」はユニバーサル ミュージックのクラシック名盤シリーズ。クラシック愛好家へのアンケートに基づく人気ランキングで選盤された100タイトルが、6月23日より「器楽曲」「協奏曲」「管弦楽曲」「室内楽/歌劇&声楽」「交響曲」とジャンルに分けて、20タイトルずつ発売される。

    世界最古のクラシック・レーベル「ドイツ・グラモフォン」と指揮者・小澤征爾やピアニストの内田光子などの巨匠が所属する「デッカ」(旧フィリップス音源含む)の両レーベルから、人気、クオリティともに最高でエバーグリーンな名盤が選ばれている。

    Written by uDiscover Team


    ■リリース情報

    『クラシック百貨店』

    発売日:
    6/23(水)発売 第1回 器楽曲編 20タイトル
    7/7(水)発売 第2回 協奏曲編 20タイトル
    7/21(水)発売 第3回 管弦楽曲編 20タイトル
    8/4(水)発売 第4回 室内楽、歌劇&声楽曲編 20タイトル
    8/18(水)発売 第5回 交響曲編 20タイトル





     

  • クラシックの名盤シリーズ『クラシック百貨店』器楽曲編20タイトル本日発売

    クラシックの名盤シリーズ『クラシック百貨店』器楽曲編20タイトル本日発売

    クラシック音楽の名盤シリーズ『クラシック百貨店』第1弾、器楽曲編の20タイトルが本日発売になった。『クラシック百貨店』はクラシック愛好家へのアンケートに基づく人気ランキングで選盤されたシリーズで、「器楽曲」「協奏曲」「管弦楽曲」「室内楽/歌劇&声楽」「交響曲」とジャンルに分けて、20タイトルずつ発売される。

    「ドイツ・グラモフォン」、そして、「デッカ」(旧フィリップス音源含む)の両レーベルから、人気、クオリティともに最高でエバーグリーンな名盤が選ばれており、いずれも最良のマスターを使用し、そのポテンシャルをひき出す高音質SHM-CD&グリーン・カラー・レーベルコート仕様が採用されている。

    器楽曲編の人気曲ランキングTOP20では、J.S.バッハの《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ》《ゴルトベルク変奏曲》、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番《悲愴》、第14番《月光》などが上位にランキングされており、そのランキングに基づき、マウリツィオ・ポリーニやミッシャ・マイスキー、カール・リヒターらの演奏による名盤が選ばれている。

    ラインナップはこちら

    また、CDのブックレットも本シリーズの見どころの1つ。『クラシック百貨店』シリーズのブックレットにはクラシックに造詣の深い人気小説家によるエッセイ「私とクラシック」が掲載されている。本日発売となった器楽曲編には『日蝕』『マチネの終わりに』『本心』で知られる小説家、平野啓一郎がエッセイを書き下ろし。

    「存在に響く音楽」と題し、自身とクラシック音楽との付き合い方について記している。さらに、シリーズ第1弾の発売を記念して、インスタグラムも開設された。本日よりストリーミング再生も可能な高音質CDプレイヤーがあたるプレゼント・キャンペーンがスタートした。

    また、『もやしもん』『純潔のマリア』などをてがけ、現在、モーニング(講談社)で『惑わない星』を連載中の漫画家、石川雅之氏がキャンペーンのために描き下ろしたクラシック音楽の歴史マンガが本日より1日1ページずつ、ストーリー投稿される予定となっている。

    公式Instagram

    なお、このクラシック音楽の歴史マンガ全編は、特製ガイドブック「クラシック百貨店book」に掲載される予定となっている。「クラシック百貨店book」は応募シールで参加できるキャンペーンで、参加者にもれなくプレゼントされる。

    『クラシック百貨店book』応募方法はこちら

    ■ブックレット掲載「私とクラシック」参加小説家プロフィール

    @ogata_photo

    【器楽曲編】平野啓一郎(ひらの けいいちろう)

    小説家。1999年在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により第120回芥川賞を受賞。著書に、小説『葬送』、『決壊』、『ドーン』、『空白を満たしなさい』、『マチネの終わりに』、『ある男』等、エッセイ・対談集に『私とは何か 「個人」から「分人」へ』、『「生命力」の行方~変わりゆく世界と分人主義』、『考える葦』、『「カッコいい」とは何か』等がある。2021年5月26日、最新小説『本心』単行本刊行


    ■リリース情報

    『クラシック百貨店』

    発売日:
    6/23(水)発売 第1回 器楽曲編 20タイトル
    7/7(水)発売 第2回 協奏曲編 20タイトル
    7/21(水)発売 第3回 管弦楽曲編 20タイトル
    8/4(水)発売 第4回 室内楽、歌劇&声楽曲編 20タイトル
    8/18(水)発売 第5回 交響曲編 20タイトル



     

  • モービー、新アルバムよりデヴィッド・ボウイの名曲「ヒーローズ」をカヴァーしたシングルを配信開始

    モービー、新アルバムよりデヴィッド・ボウイの名曲「ヒーローズ」をカヴァーしたシングルを配信開始

    エレクトロニック・ダンス・ミュージックのパイオニア、シンガーソングライター、マルチ・インストゥルメンタル奏者、DJ、キュレーター、作家という、多岐に亘るキャリアを持つモービーが先月リリースした最新アルバム『リプライズ』からのデジタル・シングル「ヒーローズ feat.ミンディ・ジョーンズ」の配信が開始。モービーの公式YouTubeチャンネルから、日本語字幕でも楽しめるメイキング・ビデオも公開となった。

    The making of "Heroes" (Reprise Version) by Moby

    「ヒーローズ」は、デヴィッド・ボウイが1977年に発表した同名アルバムのリード・シングルで、ブロンディやピーター・ガブリエル、デペッシュ・モードやモーターヘッドなど、数多くのアーティストによってカヴァーされてきた。

    そんな不朽の名曲である「ヒーローズ」を、モービーはシンプルなアコースティック・ギター、ピアノ、そしてオーケストラを加えアレンジ。歌唱には、アメリカのシンガーソングライター、ミンディ・ジョーンズを迎え、美しく、シンプルで繊細なパフォーマンスを披露している。

    モービーは「〈ヒーローズ〉はこれまでに書かれた最も偉大な曲の1つであることを理解しているのに、なぜ私にこの曲のカヴァー・ヴァージョンを作る傲慢さや大胆さがあるのだろうか、ということだと思う」と述べた上で、「それは、僕が〈ヒーローズ〉が大好きだからだ。デヴィッド・ボウイは私の友人であり、隣人でもあった。2001年のある素晴らしい朝、彼と2人で私の家のリビングルームに座り、このアコースティック・ヴァージョンを一緒に演奏した。だからこそ、このレコーディングは私の友人であるデヴィッドへのラブレターだと言える」とコメントを寄せている。

    アルバム『リプライズ』は、モービーの30年にも及ぶキャリアの中で創造された代表作をオーケストラ・アレンジで収録。最古の名門レーベル、ドイツ・グラモフォンよりリリースしたもの。

    収録曲には、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』で話題となった「ポルセリン」をジム・ジェイムズと、「ナチュラル・ブルース」ではグレゴリー・ポーターとアミシスト・キア、「ザ・ロンリー・ナイト」ではクリス・クリストファーソンとオリジナル・ヴォーカリストのマーク・ラネガン、さらに「ゴッド・ムーヴィング・オーヴァー・ザ・フェイス・オブ・ザ・ウォーターズ」ではピアノの革命児と称されるヴィキングル・オラフソンとのコラボレーションなど、他豪華アーティストが参加。モービーの名曲が計14曲収録され、「ヒーローズ」はアルバムの中での唯一のカヴァー楽曲となっている。


    ■リリース情報モービー『Reprise』
    2021年5月28日発売
    CD / iTunes / Apple Music / SpotifyAmazon Music