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ザ・フー、キャリア最後となる北米ツアーを発表。メンバーのコメント掲載
長年ロック界を牽引してきた伝説的バンド、ザ・フー(The Who)が遂にファンに別れを告げる。「The Song Is Over」と銘打ったフェアウェル・ツアーをもって、その60年にわたるキャリアに終止符を打つことを正式に発表した。
ロンドンで行われた記者会見にて、ギタリストのピート・タウンゼントがこの発表を行い、ヴォーカルのロジャー・ダルトリーはビデオで登場。ツアー・タイトルは、ザ・フーが1971年に発表した楽曲「The Song Is Over」にちなんでおり、現地時間2025年8月19日にニュージャージー州ニューアークから開幕する北米ツアーは、その後ニューヨーク、ボストン、トロント、ロサンゼルスなどを巡る予定だ。
ザ・フー最後となる北米公演のチケットは、現地時間5月13日からCitiおよびファンクラブ会員向けに先行販売がスタートし、5月16日午前10:00からの一般発売に先駆けて、週を通して追加のプリセールが行われる。北米以外の地域についてはまだ未発表となっている。
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ピートとロジャーのコメント
ピート・タウンゼント
「素晴らしいことにもいつか終わりは訪れるものです。胸に迫る瞬間です。アメリカやカナダの観客に向けて演奏するのは、いつだって素晴らしい体験でした。1967年、ヒッピーたちが毛布の上に座ってマリファナを吸いながら、音楽に深く、そして真剣に耳を傾けていたあの頃からずっと、彼らの温もりや情熱に触れてきました。音楽はどこにでも溢れていました。私たちはみな、対等でした。今も私とロジャーは、故キース・ムーンやジョン・エントウィッスル、そしてもちろん長年のザ・フー・ファンの意志を背負ってきました。正直に言うと、ツアーに出ることが常に楽しかったわけではありませんが、それでもたいていは気楽なものでした。これ以上ない最高の仕事だったと思っています。だから何度も戻ってきたんです。そして戻るたびに新しいファンに出会い、新たなエネルギーを感じます。年齢を重ねても、ロジャーと私は前向きな状態にあり、長年支えてくれた忠実なファンの皆さん、そしてここ57年間に私たちを見逃してきたかもしれない新しいファンに向けて、この別れを惜しみなく捧げたいと思っています。このツアーは、温かい思い出と愛と笑いに溢れたものになるでしょう。ぜひご参加ください」
ロジャー・ダルトリー
「1960年代初頭、すべてのミュージシャンにとっての夢は、アメリカのチャートで成功することでした。ザ・フーにとってその夢が叶ったのは1967年のことで、私たちの人生は永遠に変わりました。アメリカの観客の温かさは、私にとって常にインスピレーションの源でした。ラジオからロックンロールが流れてくるのを初めて聴いたときに感じた、“音楽という自由”を思い出させてくれたのです。ロックは、世代を超えた反逆の精神を感じさせてくれました。私にとって、アメリカは常に偉大な国でした。文化の違いは私に大きな影響を与え、ここは“可能性の国”だと感じていました。ザ・フーとしてのツアーという人生の大きな一部を終えることは、決して簡単なことではありません。これまでファンでいてくれてありがとう、最後にもう一度会えるのを楽しみにしています」
『Live At The Oval 1971』
また、今回のツアー発表にあわせて、1971年の伝説的パフォーマンスを収めたアルバム『Live At The Oval 1971』がファンクラブ会員向けにリリースされることも発表された。ファンクラブの登録者は、この貴重なライヴ音源に加え、先行チケットや限定グッズへのアクセスが可能となる。
アルバムは8月22日にデジタル配信(一部プラットフォームではドルビーアトモスも)、CD、ブラック・ヴァイナル仕様2LP、限定盤カラーヴァイナル(シーブルー/レッドホットのスプラッター)仕様2LPで発売される。
『Live At The Oval 1971』は、バングラデシュの飢餓救済を目的としたチャリティ・コンサート<Goodbye Summer>でのザ・フーのパフォーマンスを初めて公式録音した作品となる。南ロンドンのケニントンにある国際クリケット場“ジ・オーバル”で開催された同コンサートでヘッドライナーを務めたロジャー・ダルトリー、ピート・タウンゼント、ジョン・エントウィッスル、キース・ムーンの4人は、35,000人を超える聴衆を前に「Behind Blue Eyes」「Won’t Get Fooled Again」「Pinball Wizard」などの名曲を披露した。
Written By Sam Armstrong
ザ・フー『Quadrophenia(四重人格)』
1973年10月26日
CD&LP/ iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
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