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【レビュ―】ザ・フー『WHO』:“ロックは死んでいなかった”ことを証明した13年ぶりの新作

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ピート・タウンゼントは最近行われたインタビューの中で、現代の音楽シーンにおいては全てがやり尽くされ、ロックは死んでしまったという話をしていた。しかしながら、喜ばしいことに、この考えが彼自身の作品によって否定されることになりそうだ。2019年12月6日に発売されたザ・フー12作目、そして13年ぶりとなる最新スタジオ・アルバム『WHO』は、心地よい馴染みやすさと気分を浮き立たせるような懐かしさを感じさせてくれる一方で、今までになかった、全く新しいサウンドを取り入れたトラックも収録されている。

良識や視点、そしてユーモアを交えた素晴らしい論文のような作品

バンドの核となる現役メンバーのピート・タウンセンドとロジャー・ダルトリーが最後にザ・フーとして集結してから13年が経ち、2006年の前作アルバム『Endless Wire』には卓越した全盛期のサウンドが含まれていたものの、どこか義務的とも感じられるところがあった。ところが新作『WHO』は、それとはまるで違い、これがバンドにとって最後のアルバムになるかどうかは別として、大御所ロック・バンドとしての存在意義を示し、尚且つ、若き日の彼らをもあっと言わせたであろう良識や視点、そしてユーモアを交えた優れた論文のような作品となっている。

ザ・ビートルズの『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』のジャケットをデザインしたことで有名なピーター・ブレイクがデザインした見事なまでに美しいジャケット写真を携えたこのアルバムは、オープニング・トラック「All This Music Must Fade」の罠にかかって出だしから叫びざるを得ないだろう。それは私たちがかつてシングルと呼び、アルバムの内容を予告する最初の3曲のうちの1曲であり、原点に戻っていくつもりならば、相応しい酒を飲み、楽しく過ごそうじゃないか、という合図なのだ。攻撃的でありつつ、「The Kids Are Alright」で用いられていた詩の韻律を、両手を広げて受け入れているかのような遊び心に溢れている。また、アルバム全編を通してロジャー・ダルトリーの声が絶好調であることを確信させる1曲でもある。

The Who – All This Music Must Fade (New Song)

 

「Ball And Chain」は、ザ・フーが2019年7月に開催したウェンブリー・スタジアムでコンサートで初めて公開された曲で、その地鳴りのような不平不満は、「あの美しいキューバの一角」つまり、グアンタナモ湾収容キャンプを非難したものである。生き生きとした、メロディックな「I Don’t Wanna Get Wise」では、ピート・タウンセンドが今も生きながらえながら歳を重ね、鼻水を垂らしたキッズたち(昔の私たち)は、バンドの成功がいかに驚くべきことだったかに気づかずにいたこと、そして若い頃は到底想像できなかった、確かなの賢さを身に付けていくことについて思いを巡らせている。この曲では、ギタリストで共同プロデューサーのデイブ・サディーが、アルバム『Who’s Next』時代に初めて導入されたシンセサイザーを加えた現代的なプロダクションを取り入れている。

The Who – I Don't Wanna Get Wise

 

勇敢な勝利

ロジャー・ダルトリーが激しいパーカッションにのせて、唸りとなだめるようなヴォーカルを交互に披露する「Detour」について、ピート・タウンセンドは、「真っ当に、そして誠実に一生を共にする女性や仕事に向き合うために、自分が進むべき新たな道を見つけようとしている男たちについて書いた曲」であると、この曲の制作中に述べていた。ヴォーカルとギター、そしてかつてジョン・エントウィッスルとキース・ムーンがつくり出していた雄大なリズムとの絶対不可欠な共存は、 ピノ・パラディーノとザック・スターキーの頼もしい貢献によって豪快に再現されている。

優しく、控えめな気品を漂わせる「Beads On One String」は、明確な反戦への呼びかけであり、ピート・タウンセンドがサウンドクラウドから発掘してきたアーティスト、ジョシュ・ハンサッカーが書いた曲にアレンジを施し、自らの歌詞を付けた楽曲である。同じくウェンブリーで初披露された「Hero Ground Zero」は、非の打ち所のない絢爛たるオーケストラ演奏によって支えられた彼らのアンセムの典型とも言える曲。「Street Song」では、ピート・タウンセンドが織りなす独特のハーモニーと美しいギターのテクスチャーの中で、ロジャー・ダルトリーのヴォーカルが高揚していく。

Street Song

 

その後、このアルバムの中でも最も際立つ5分間がやってくる。それは、ザ・フーの過去のどの作品にもなかった異色のトラックだ。美しいハーモニカの旋律に始まり、うっとりするような愛の宣言へと発展していく「I’ll Be Back」では、ピート・タウンセンドが、普段は滅多に書かないあからさまな愛についての曲を、ギターをではなく、エモーショナルなヴォーカルでもって披露している。

「この世で君は僕に愛を授けてくれたのだから、解放されたい理由なんてあるだろうか?」と彼は問う。「僕は君を愛せて本当に幸せなんだ」と歌うピート・タウンセンドは、自身が手掛けた歌詞の中で最も異色なものになるであろうこの曲にて、確かな安らぎと共に“死”というものと向き合い(「僕もいつかは死ぬということを受け入れなければならない」)、来世でも彼の愛する人のもとへ戻ってくるだろうと思い描いている。オートチューンがかかった明瞭なヴォーカルと洗練された空気感は、保守的なザ・フーのファンにとっては受け入れ難いものかもしれないが、多くの人々は勇敢な勝利としてとらえるだろう。

I'll Be Back

 

真の謙虚さと知性に溢れる作品

ロックな締め括りに辿り着く必要性など全く感じさせることはない。このアルバムは「24歳かそこらの頃みたいに、部屋着で映画を観ている」主人公の恋愛について歌ったポップな「Break The News」へと続いていく。この曲もまた年齢を重ねることついて歌ったものだが、彼らの気持ちは若い頃から何も変わっていない。

「Rocking In Rage」はザ・フーらしい昔ながらのコード進行で、荒っぽさを感じさせる楽曲だが、気まぐれで哀愁を秘めたオーラに包まれている。さらに、このアルバム最後のサプライズとして、ロジャー・ダルトリーが近接マイキングで優しく歌い、ラテンの雰囲気を纏った「She Rocked My World」がそれに続く。

アルバム『WHO』にはコンセプトや重要なテーマなどはなく、5分を超える曲は1曲のみだが、真の謙虚さと知性に溢れた作品である。2019年で最も驚きに満ちた作品かもしれないが、今年発表された傑作のひとつであることは間違いない。

Written By Paul Sexton


ザ・フー『WHO』
2019年12月6日発売
CD / iTunes



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