ザ・フー 最高傑作『Tommy』

5月 23, 2017


ザ・フー 最高傑作『Tommy』

「ザ・フーの『Tommy』は最高だ、大好きだよ」なんて、あまりに簡単すぎる。しかし、大局を見るために、しばしおいておこう。これはある男の想像の産物であり、ある男が見る素晴らしい光景であり、そして革新的なものだ。ミックスを加え、ピート・タウンゼントと一緒に、ロジャー・ダルトリー、キース・ムーン、ジョン・エントウィッスルは、ロック時代で最高のレコードの一枚を作り上げたのだ。このアルバムは1969年5月23日にリリースされ、すべての家庭が一枚持っているべきものだ。

「Overture(邦題:序曲)」のオープニング・コードから、あなたは、きっと何かしらの違いを経験するだろう。だけど、想像してみてほしい、ザ・フー が彼らの芸術における最高傑作であり、高く評価されている『Tommy』をリリースした1969年5月の最終週に、これを初めて聴いたらどんな感じだろうかを。「Overture」にフィーチャーされているフレンチ・ホルンは、そこに感嘆を加えるものだ。過去にはポピュラー・ミュージックにおいて、ザ・ビートルズの領域であったこの楽器をここではザ・フーのベーシスト、ジョン・エントウィッスルが演奏していた。

これはロック・ミュージックであるが、そこに収まるものではないことを我々は知っている。ロックにおいて、ジャンルを拡張させて最初の音楽作品ではないが、オペラと謳った豪胆さを持った最初の作品である。このアルバムが2枚組になったのは、そうせざるを得なかったからだ。それまでには、このように長いアルバムはほとんどなかったし、こんなに一貫した作品もなかったの。マイク・マキナリーの素晴らしいペインティングを使用した豪華な仕様の3面の折り畳みスリーヴは、それだけでこの作品を幸先の良い音楽作品たらしめた。

まさに最高傑作。

アルバムのクレジットを素早くチェックしてみると、24曲中4曲を除いて、すべてピート・タウンゼントによって書かれていることがわかる。それがこのモンスター作が尊敬を勝ち取るもうひとつの理由でもある。こういった能力やヴィジョンをもち、複雑かつ長い作品を創造できる個人はほとんどいない。このようなピート・タウンゼントのインスピレーションは、ミーハ・ババ(*インドの代表的な導師)の教えに由来しているそうだ。

『Tommy』はレコーディングに6か月、ミックスに2か月かけていた。それだけ制作期間をかける作品は、1969年頃には全くないわけではないが、それでも非常に稀なことだった。ピート・タウンゼントによるアコースティック・ギターの音層と数多くのオーヴァーダブにより、『Tommy』は当分の間、他の多くの作品とは音質的に全く違うものとなった。これは時の流れが、我々をだますことがあるというもう一つの例である。時の流れは、その当時と同じように、このアルバムがそこまで意義深いものと信じさせないようにしているからだ。『Tommy』のリリース以降、多くの事が起き、集団的回顧を鈍らせている。今では当たり前のことも、当時は一般的なことから一歩踏み出すことであったり、あるいは未踏の地に足を踏み入れることであったのだ。

「Pinball Wizard(邦題:ピンボールの魔術師)」、「Go to the Mirror!(邦題:ミラー・ボーイ)」、「I’m Free(邦題:僕は自由だ)」、「Christmas」、そして「See Me, Feel Me」(*訳注:「We're Not Gonna Take It(邦題:僕達はしないよ)」の一部であり、アルバムには曲名として表記はされていない)はすべてシングルとしてリリースされ、総じて、アメリカ、イギリスの両方でヒット曲なった。「See Me, Feel Me」はザ・フーのウッドストック出演のハイライトのひとつである。ロジャー・ダルトリーを超えるロック・ヴォーカリストなんているんだろうか? もし、ザ・フーが『Tommy』をウッドストックで演奏して、背筋がぞっとしないとしたら、自分が生きているかどうか確かめた方がいい。

Written by Richard Havers


 

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