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KISSのオリジナル・リードギタリスト、エース・フレーリーが74歳で逝去。その功績を辿る

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Photo: Tim Mosenfelder/Getty Images

KISSのオリジナル・リードギタリストであり、創設メンバーのひとりとして知られるエース・フレーリー(Ace Frehley)が2025年10月16日、74歳で逝去した。華やかなキャラクターと爆発的なギター・プレイで知られる彼は、今年9月、転倒による入院を経て2025年の残りのツアー日程をキャンセルしていた。

1973年初頭、ジーン・シモンズ(ベース/ヴォーカル)、ポール・スタンレー(リズムギター/ヴォーカル)、ピーター・クリス(ドラムス)とともにニューヨークでKISSを結成したエース・フレーリーは、“スペース・エース(後に“スペースマン”)”という自身のステージ・キャラクターを生み出し、さらに稲妻をモチーフにしたKISSの象徴的なロゴのデザインを手がけたことでも知られている。

エース・フレーリーは1973年のバンド結成から1982年までKISSに在籍し、80年代後半にはフレーリーズ・コメット(Frehley’s Comet)で成功を収めた。彼は1996年のKISSの再結成ツアーに参加したが、2019年に開幕した大規模なフェアウェル・ツアー“End Of The Road”には加わらなかった。

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その生涯

1951年4月27日、ニューヨークのブロンクスに生まれたポール・ダニエル・フレーリーは音楽一家で育った。両親はピアノを、兄と姉もそれぞれギターとピアノを演奏した。ジミ・ヘンドリックス、アルバート・リー、バディ・ガイ、ジェフ・ベック、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジといったギタリストたちの影響を受けた彼が独学でギターを始めたのは13歳のときで、高校時代には、地元の女の子たちとのデートを次々と成功させる様子から“Ace/エース”というニックネームをつけられたという。

1972年末、The Village Voice紙に掲載されたリードギタリスト募集広告を見たことが、KISS加入のきっかけとなった。ニューヨークのイースト23丁目で行われたオーディションでの演奏がジーン、ポール、ピーターを魅了し、数週間後に正式メンバーとして迎え入れられた。やがてバンドが顔をペイントしてパフォーマンスを行うようになると、エースは目の周りにシルバーの星を描くようになり、宇宙やSFへの興味から“スペース・エース”というキャラクターを確立した。

彼はKISS初期の代表曲の多くを作曲または共作しており、1974年のデビュー作『KISS』に収録のファンに高い人気を誇る「Cold Gin」などを手がけた。自身の歌声に自信がなかったエースが初めてリード・ヴォーカルを取ったのは、1977年の『Love Gun』の収録曲「Shock Me」で、この曲はフロリダ公演中に感電しかけた実体験から生まれた。

Cold Gin

KISSは1973年、ニール・ボガート率いるカサブランカ・レコードと契約。初期作品は当初こそセールスに伸び悩んだが、1975年のライヴ盤『Alive!』がゴールド・ディスクを獲得し、バンドの大ブレイクを決定づけた。

その後も『Destroyer』『Rock And Roll Over』『Love Gun』といった一連の大ヒット・アルバムで世界的成功を収めたKISSは、70年代後半までに世界有数の大物ロック・バンドへと成長を遂げる。エースのメロディアスかつアグレッシブなギター演奏はこの時期のKISSサウンドの中核を成し、煙や回転花火といったギミックを仕込んだ特製のエフェクト・ギターでもよく知られている。

1980年代初頭にはバンドの音楽的方向性に不満を抱くようになり、1981年の『Music From “The Elder”』では以前のアルバムより彼の参加が限定的となった。1982年12月、エースは正式にKISSを脱退し、後任としてヴィニー・ヴィンセントが加入した。

1984年にはドラマーのアントン・フィグ、元ピーター・フランプトン・バンドのジョン・リーガンらとともにフレーリーズ・コメットを結成。1987年のセルフタイトルのデビュー・アルバムは全米アルバム・チャート(Billboard 200)でトップ50入りし、50万枚近くを売り上げるヒットを記録。1989年のソロ・アルバム『Trouble Walkin’』には、スキッド・ロウのセバスチャン・バックやピーター・クリスが参加し、高い評価を得た。

Frehley's Comet – Into The Night 1987 [Official Music Video]

1996年のKISSの再結成ツアーでは、1980年のピーター・クリスの脱退以来、16年ぶりにオリジナル・メンバー4人が揃い、世界的成功を収めた。このツアーはさらなるワールド・ツアーと、エースが手掛けた楽曲「Into The Void」を収録した1998年のスタジオ・アルバム『Psycho Circus』へとつながっていく。

エースは2001年のKISSの最初のフェアウェル・ツアーにも参加し、2002年にソルト・レーク・シティで行われた冬季オリンピックの閉会式ではバンドと共にパフォーマンスを披露。2014年にはKISSのメンバーとしてロックの殿堂入りを果たしている。

Kiss – "Rock and Roll All Night" – Salt Lake City 2002 Closing Ceremony | Music Monday

90年代後半のKISSの再結成後、ソロ活動に復帰したエースは、2009年の3作目『Anomaly』で全米トップ30入りを記録。以降も定期的に作品を発表し、2024年の最新ソロ・アルバム『10,000 Volts』は批評家から称賛を集め、ビルボードのハード・ミュージックおよびロック・アルバム・チャートで1位を獲得している。

Written By Tim Peacock



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