地獄の始まり:ニューヨークの売れないバンドがメイクをして、『KISS』を発売するまで

February 19, 2018


地獄の始まり:ニューヨークの売れないバンドがメイクをして、『KISS』を発売するまで

70年代後半、KISSは一大現象だった。メイクされた顔、素晴らしいライヴ・パフォーマンス、そして『Love Gun』や『Rock And Roll Over(邦題:地獄のロックファイアー)』を含むプラチナ認定されたアルバムでその名を国際的に広めただけでなく、スーパースターへと上り詰めていく地に足がついた進歩は、各々の時代に存在するつかの間の流行を取り入れることはあっても、そこに惑わされて迷走することがなかった。

しかし、KISSは決して流星のごとく優越的地位に上り詰めたわけではない。白塗りのようなあのメイクやド派手なステージのパイロの演出がバンドの象徴となるずっと前、ニューヨーク出身の4人組のフロントマンを初代から務めるジーン・シモンズとポール・スタンレーは最初に結成したバンドのウィキッド・レスターとして長年の下積み時代を過ごし、1972年と1973年の過酷なツアーを経て、その全てがKISSのセルフ・タイトル・デビューアルバム(邦題: 地獄からの使者~キッス・ファースト)へと繋がった。

ジーン・シモンズとポール・スタンレーは、ウィキッド・レスターとしてアルバムを作る事ができるほどの楽曲をレコーディングしていたが、エピック・レコードは、二人に新しく、とてもアグレッシブなロックン・ロールの衣装を着せ、チェルシーという名前のバンドのドラマーとしてアルバムを発売したこともあったのドラム・ヴォーカルのピーター・クリスをバンドに迎え入れた。デビュー前の3人組バンドは、1972年の11月にエピック・レコードのA&Rチームの前で演奏して高い評価を得た後、華やかなエース・フレーリーをリード・ギターとしてバンドに加入させ、バンド名をKISSに変えてバンドとして次のレベルに上がった。

KISSとして新しくなったバンドは、1973年の1月下旬に、クイーンズでデビュー・ライヴを行い、その時は少しだけメイクをするメンバーもいれば、全くメイクをしないで演奏するメンバーもいた。しかし、3月9日と10日の2日間、ニューヨーク州のアミティーヴィルにあるザ・デイジーで行ったライヴで、初めて、メンバーの4人揃って、バンドの象徴となるメイクをして登場したと言われている。

バンドの強いヴィジュアル・イメージが確立する中、1973年3月にジミー・ヘンドリックスの前レコーディング・エンジニアとプロデューサーであったエディ・クレイマーと共に、デモ・テープの始めの5曲をレコーディングする。その後、数ヶ月間懸命にライヴを続けた結果、元テレビ・ディレクターのビル・オーコインがバンドのマネジャーに就任し、ブッダ・レコードの代表を務めていたニール・ボカートが新しく立ち上げたカサブランカ・レコードと契約する。

数日後、KISSは、プロデューサーのケニー・カーナーとリッチー・ワイズと共に、ニューヨークのベル・サウンド・スタジオでレコーディングを開始する。バンドは、ライヴを数多くこなしていたことで曲を演奏し慣れていたため、セッションは素早く終わり、3週間以内でデビュー・アルバム『KISS』は完成した。

収録された楽曲は、力強く、卑猥であり、軽快な内容だ。エース・フレーリーとポール・スタンレーが果てしなく粗い音で、キース・リチャーズが奏でそうなリフを演奏する「Strutter」、肉欲的な「Cold Gin」、そして低音の効いたヘヴィなドラムが印象的な「Firehouse」でKISSは長年に渡り、強い影響力のあるバンドとなる。脅威的なフックとアンセムのようなコーラスは30秒以上出てこないが、エース・フレーリーがシン・リジィのようなソロを表現力豊かに演奏し、ライヴの盛り上げ曲である「Deuce」でアルバムの終盤に差し掛かり、ピーター・クリスが歌い上げるドラマチックな「Black Diamond」でアルバムの最後を締めくくる。

KISSの印象的なアルバムのスリーヴ・ジャケットは、ザ・ドアーズの『Strange Days』やヴァン・モリソンの『Astral Weeks』などのアルバム・ジャケットを手掛けた、写真家のジョエル・ブロツキーにより撮影された。

KISSのメンバーは、自らメイクを施し、エース・フレーリーはヘアスプレーで髪を銀色にコーティングし、ジョエル・ブロツキーは、メンバーを黒い背景の前に立たせ、ザ・ビートルズの『With The Beatles』を思わせるポージングをさせた。

KISS Beatles

アルバムが1974年2月18日にリリースされた後、バンドは大規模な全米ツアーを行い、2月にABC番組の『In Concert』と4月に『The Mike Douglas Show』で初めてテレビに出演し、活動をメインストリームの場に広げるようになる。ボビー・ライデルの「Kissing’ Time」のカヴァーを、次のシングルとして、カサブランカ・レコードからリリースし、公に高い評価を得続け、1977年にはアルバムがゴールドを達成した。

KISSは、華麗なるデビュー後も、人気が次世代へ続いている。ザ・リプレイスメンツは、1984年に「Black Diamond」をカヴァーし、この曲は同年に発売されたカルト的な人気を持つアルバム『Let It Be』に収録されている。また、2010年に上映されたソフィア・コッポラの『Somewhere』のサウンドトラックに「Love Theme From Kiss」が使われ、ウィーザーのリヴァーズ・クオモは、ギターを習い始めた時、最も習得したかった楽曲は「Cold Gin」だったと明かしている。

Written by Tim Peacock



reDiscovered:リップスティックの軌跡:KISSのセルフ・タイトルのデビュー作で跡を残す

KISS『KISS』

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