必ず見るべき音楽ドキュメンタリー映画ベスト25

November 23, 2018


必ず見るべき音楽ドキュメンタリー映画ベスト25

文化的に、“ポピュラー”音楽はしばしば一時的な熱狂や流行に左右される。そして辛口の評論家には取るに足らないものと一蹴されてしまう。だがロック、ポップといった現代音楽から派生した無数のサブ・ジャンルは、時代を代表するドキュメンタリー作品を生むことがある。その偉業を称えるため、ポップコーンを手に取り、灯りを暗くして、過去50年間に制作された25本の優れたドキュメンタリー作品を振り返ってみよう。

 

■『ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター(Gimme Shelter)』(1970年)
1969年12月にローリング・ストーンズがカリフォルニアのオルタモント・スピードウェイで開催したフリー・コンサートは、理想郷のような60年代の終焉を象徴していると言われている。同公演は盛況だった彼らのアメリカ・ツアーの最終日で、ファンにとっても喜ばしい一夜になるはずだった。ところが、メイズルス兄弟がカメラに収めた宿命的な一夜は、ストーンズの演奏中にヘルズ・エンジェルズのアラン・パッサーロがファンのひとりだったメレディス・ハンターを刺殺するというロック史上屈指の悲劇を生んだ。50年が経とうとしている今でも本作に漂う重苦しさは損なわれていない。この終末的なロック・ドキュメンタリーには全編に恐怖が満ちている。

Gimme Shelter movie trailer

Gimme Shelter movie trailer

 

■『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム(No Direction Home)』(2005年)
D・A・ペネベイカーによる型破りな名作『Don’t Look Back』やマーレイ・ラーナーの『THE OTHER SIDE OF THE MIRROR』など、ボブ・ディランのファンは質の高いドキュメンタリー作品を多く楽しめる。だがマーティン・スコセッシによる本作は間違いなく、この象徴的な先駆者の過ごした人生や時代を幅広く、徹底して描いた作品である。本作ではペネベイカーが撮影した66年頃の貴重なライヴ映像や、アレン・ギンスバーグ、ディランの元恋人であるスーズ・ロトロの独占インタビューを見ることもできる。そしてもちろん、ディラン本人が激動の活動初期について率直に語る様子も収められている。本作はディランのファンにとって、最も本質に迫ったドキュメンタリーとなった。

No Direction Home (10th Anniversary Edition Trailer)

No Direction Home (10th Anniversary Edition Trailer)

 

■『CRACKED ACTOR』(1974年)
デヴィッド・ボウイのドキュメンタリーにはD・A・ペネベイカーの『Ziggy Stardust And The Spiders From Mars(ジギー・スターダスト)』があるが、アラン・イエントフが監督したBBC提供の本作もファンなら必見である。1974年、コカイン中毒の苦しみにもがく『Diamond Dogs(ダイアモンドの犬)』のツアー中のボウイを追った本作では、あまりにも脆弱な精神状態にあるボウイの姿が写されている。しかし、その後の12ヶ月でボウイが『Young Americans』を完成させ、映画『The Man Who Fell To Earth(地球に落ちて来た男)』に出演することを思えば救われるだろう。

Trailer: Cracked Actor

Trailer: Cracked Actor


■『Sex Pistols Filth And The Fury - 300The Filth And The Fury』(2000年)
パンク・ロックのファンなら誰もが知っているであろう『The Great Rock’n’Roll Swindle(セックス・ピストルズ/グレート・ロックンロール・スウィンドル)』は、当時はもとより、今もなお十分に楽しめる作品になっている。しかしなが同作が描くのは狡猾なマネージャー、マルコム・マクラーレンの頭にある突飛なファンタジーとしてのセックス・ピストルズの歴史だった。そしてそこには厳しい現実はほとんど語られていなかった。だがそれから20年経って、監督のジュリアン・テンプルはバンドに歴史を正すチャンスを与えた。そうして妥協なしに作られたのが本作である。シルエットで語るメンバーたちは、悪名高いバンドの過去の裏側を赤裸々に明かす。皮肉屋のジョン・ライドンでさえも、シド・ヴィシャスの謎多き死を語って涙を流している。

Sex Pistols - The Filth And The Fury Trailer [HUN]

Sex Pistols - The Filth And The Fury Trailer [HUN]

 

■『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(Buena Vista Social Club)』(1999年)
ヴィム・ヴェンダースが監督し、公開当初から世界的な評価を受けた作品だ。ライ・クーダーが伝説的なキューバ音楽の老ミュージシャンたちを集め、アルバムの制作やヨーロッパでの公演、そしてかのニューヨークのカーネギー・ホールでの歴史に残るコンサートを敢行するまでの様子を収めている。ヴェンダースの写す映像は彼らしい豊かで美しいショットだが、キューバのミュージシャンたちの茶目っ気もしっかり映し出されている。2000年のアカデミ—賞にノミネートされたことも大いに頷ける。

映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」日本版劇場予告

映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」日本版劇場予告

 

■『AMY エイミー(Amy)』(2015年)
アシフ・カパディア監督が2年の歳月で作り上げた、複雑かつ濃密なドキュメンタリー。“自分の言葉を持ったシンガー、”エイミー・ワインハウスの短くも美しいキャリアやあまりにも早い悲劇的な死を描く。エイミーの友人や家族、関係者の詳細なインタビューの他に、未公開映像や貴重なライヴ映像などが目白押しでファンにはたまらない作品である。2015年7月に劇場公開された本作は、これまでに30以上の映画賞を受賞。イギリスのドキュメンタリー作品として最も高い売り上げをあげた作品になった。

『AMY エイミー』予告編

『AMY エイミー』予告編

 

■『MADE IN SHEFFIELD: THE BIRTH OF ELECTRONIC POP』(2002年)
革新的なパンクのDIY精神はイギリス中に波及していたと言えるだろう。だが、気難しい鉄鋼の街、ヨークシャーの若者たちはギターを過去のものと考え、シンセサイザーこそポスト・パンクの音楽界を席巻すると早くから確信していた。それこそイヴ・ウッドが監督した挑発的な本ドキュメンタリーが強く主張するところである。若者たちは間違っていなかった。小さいながらも卓越したシェフィールドの音楽シーンからは、ヒューマン・リーグやヘヴン17、キャバレー・ヴォルテールなど、エレクトロ・ポップの大物が生まれた。ヘヴン17のイアン・クレイグ・マーシュが「ロックンロールを殺してしまうんじゃないかと思った」と話すように、そうしたアーティストはこの激動の時代を駆け抜けた。

Made In Sheffield - The Birth Of Electronic Pop

Made In Sheffield - The Birth Of Electronic Pop

 

■『ミーティング・ピープル・イズ・イージー(Meeting People Is Easy)』(1998年)
レディオヘッドの3枚目のアルバムにして批評家たちから絶賛された1997年のアルバム『OK Computer』は、彼らを一躍世界的なバンドに押し上げて約500万枚を売り上げた。しかし、同作を引っ提げてのツアー(100公演以上の日程であった)はバンドを疲弊させ、トム・ヨークは神経衰弱の寸前まで追いやられた。この旅路をドキュメンタリーにまとめたのはグラント・ジー監督で、本作はグラミー賞を受賞することとなった。スローな動きのショットやタイム・ラプスの映像で観る側の感覚を失わせるような手法が使われ、抽象的で無感覚ながらも説得力のある描写になっている。

Radiohead: Meeting People Is Easy // DokStation 2018 // Trailer

Radiohead: Meeting People Is Easy // DokStation 2018 // Trailer

 

■『ミニットメン:ウィ・ジャム・エコノ(We Jam Econo: The Story Of The Minutemen)』(2005年)
パンク・ファンクの先駆的グループ、ミニットメンは80年代に活躍したアメリカのパンク・バンドのほとんどに影響を与えたと言われている。だが彼らのキャリアは1985年の12月、フロントマンのD・ブーンが自動車事故で27歳にして逝去したことで残酷にも終わりを告げる。そんな彼らのバンド名は、そのDIY的な低予算のレコーディングやツアーの手法を表わす南カリフォルニアのスラングから付けられている。本作は存命のメンバーであるマイク・ワットとジョージ・ハーレーの胸を刺すようなインタビューを中心にしており、2005年のプレミア上映は彼らの故郷であるカリフォルニア州のサン・ペドロで行われた。

The Minutemen - We Jam Econo Trailer

The Minutemen - We Jam Econo Trailer

 

■『レッツ・ゲット・ロスト(Chet Baker Let's Get Lost Film Poster - 300Let’s Get Lost)』(1988年)
移り気で卓越したジャズ・トランペッターであったチェット・ベイカーは、ジェームズ・ディーンのような甘いルックスを誇っていた。一方で才能も兼ね備えていた彼は、チャーリー・パーカージェリー・マリガンといった伝説的ジャズ・ミュージシャンとのレコーディングに参加するようになる。だが、長年にわたるヘロイン中毒と生活苦の末、アムステルダムのホテルの窓から落ちて夭逝してしまう。そんなベイカーの壮絶な人生とキャリアを美しく描いたのが、批評家にも好意的な評価を受けたブルース・ウェバー監督による本ドキュメンタリーだ。小説のような本作では、ベイカーの元妻たちや関係者のインタビューの他、50年代後半に全盛期のベイカーがアメリカのテレビ番組『スティーヴ・アレン・ショー』に出演した際の貴重映像も見られる。

Let's Get Lost - Trailer

Let's Get Lost - Trailer

 

■『タウンズ・ヴァン・ザント/ビー・ヒア・トゥ・ラヴ・ミー(Be Here To Love Me: A Film About Townes Van Zandt)』(2004年)
今は亡きテキサスの吟遊詩人、タウンズ・ヴァン・ザントは史上屈指のカントリー・フォーク・シンガーと言えるだろう。だが彼は心に苦しみを抱えた人物だった。本作では個人的なホーム・ビデオや古いテレビ出演時の映像、スティーヴ・アールやガイ・クラークといった同時代のミュージシャンたちの詳細なインタビューを見ることができる。そうした映像を通して監督のマーガレット・ブラウンは、この繊細なアーティストに共感的な作品を紡ぎ出した。彼は詩的かつ宿命論的な楽曲でウィリー・ネルソンらスーパースターをファンに持っていたが、そうした楽曲の多くはアルコールやドラッグ、双極性障害といったものへの長きにわたる苦しみから生まれていた。

Be Here to Love Me (Official Trailer)

Be Here to Love Me (Official Trailer)

 

■『ライム&リーズン(Rhyme & Reason)』(1997年)
ピーター・スパイラー監督が、ヒップ・ホップ・カルチャーの歴史を余すところなく紐解き、ラップが世界の音楽シーンを席巻するに至った理由に迫る作品。本作の舞台はブロンクスに並ぶくすんだ借家に始まり、大金持ちになった各ジャンルの先駆者たちが軒並み移り住んだハリウッドに終わる。このドキュメンタリーでは、オールド・スクールのベテラン・ラッパー(KRS・ワン、チャック・D)から近年のヒット・メイカー(ウータン・クラン、ドクター・ドレー、フージーズ)まで多くのアーティストが自ら出演している。彼らはセックスや犯罪、ドラッグや次世代のアーティストについて包み隠すことなく語っている。

ライム&リーズン

ライム&リーズン

 

■『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years(The Beatles: Eight Days A Week)』(2016年)
『The Compleat Beatles(コンプリート・ビートルズ)』や『The Beatles Anthology(ビートルズ・アンソロジー)』など網羅的な作品がすでに存在し、ビートルズのオールド・ファンは質の高いドキュメンタリーに有り余るほど出会っているはずだ。そんな中で誰もが待ち望んだ作品が、ロン・ハワードが監督を務めたこのドキュメンタリー作品である。『THE TOURING YEARS』というさぶたいとる銘打たれている通り、本作はおそらくビートルズが世界で最も忙しく活動していたバンドだった1962年から66年までの期間に焦点を当てている。2016年9月に公開され高い評価を受けた本作には、リバプールのキャヴァーン・クラブで演奏していた初期から最後のアメリカ・ツアーまで、ファン垂涎の映像が使用されている。中でも、シェイ・スタジアムでの初公演でファンを熱狂させる彼らのデジタル修復映像は、当時のビートルマニアの大騒動を最も顕著に表したものだと言えるだろう。

「ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years」本予告

「ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years」本予告

 

■『Punk In Africa』(2012年)
パンクは知的で先鋭的な考え方を持った南アフリカの若者にも、イギリスでのそれと同様に魅力的に映った。だが同国の抑圧的な政策により、その革命の様子がようやく明らかになったのはDeon Maasとキース・ジョーンズが制作した本作が2012年に世界公開されたときだった。本作はワイルド・ユースや、多人種から成るナショナル・ウェイクといった、怒りと勇気に満ちたグループの1976年のソウェト蜂起後の結成秘話を明かす。彼らは後に、南アフリカやジンバブエ、モザンビークなどの国々の次世代の反体制派にバトンを繋いだ。本作はアパルトヘイトに異を唱えた最初のアーティストたちの興味深い物語だ。

PUNK IN AFRICA - TRAILER - HARDCORE WORLDWIDE (OFFICIAL HD VERSION HCWW)

PUNK IN AFRICA - TRAILER - HARDCORE WORLDWIDE (OFFICIAL HD VERSION HCWW)

 

■『悪魔とダニエル・ジョンストン(The Devil And Daniel Johnston)』(2006年)
双極性障害や精神分裂病と診断されながらも、ダニエル・ジョンストンはアーティストとして独自に活動を続けた。彼がホーム・レコーディングで制作したロー・ファイな名作群は、トム・ウェイツやカート・コバーンら有名アーティストから絶賛され、彼は一躍グランジ世代の寵児となった。彼の半生はジェフ・フォイヤージーク監督による本作の題材となり、痛ましいほどに個人的な本作は賞賛を受けた。2005年には、かのサンダンス映画祭でドキュメンタリー映画賞を受賞している。

The Devil and Daniel Johnston (Trailer)

The Devil and Daniel Johnston (Trailer)

 

■『メタリカ:真実の瞬間(Metallica: Some Kind Of Monster)』(2004年)
ヘヴィ・メタル界の巨人、メタリカがジョー・バーリンジャーとブルース・シノフスキーにNGなしのドキュメンタリー制作を許した結果は、バンドが期待した以上のものだった。完成した本作が捉えたのは、一番の過渡期を迎えたバンドの姿だ。その頃にはベースのジェイソン・ニューステッドが脱退し、フロントマンのジェイムズ・ヘットフィールドはリハビリを開始。また、長らく一触即発だったヘットフィールドとドラムのラーズ・ウルリッヒの対立が顕在化して、感情を激しくぶつけ合っていた。

Metallica: Some Kind of Monster (DVD Trailer)

Metallica: Some Kind of Monster (DVD Trailer)

 

■『ウィルコ・フィルム(I Am Trying To Break Your Heart: A Film About Wilco)』(2002)
シカゴ出身のオルタナ・バンド、ウィルコの4枚目のアルバム『Yankee Hotel Foxtrot』は、9.11のおぞましい事件に触発されて生まれた。彼らの代表作とされることが多い同作だが、その制作は困難続きだった。サム・ジョーンズが監督したこのモノクロのドキュメンタリー映画は、複数の楽器をこなすジェイ・ベネットの脱退に繋がったバンド内の緊張や、前述の4作目がワーナー傘下のリプリーズ向けにレコーディングされ、結局は別のレーベル(ノンサッチ)からリリースされるに至った経緯などを描いている。

I Am Trying to Break Your Heart: A Film About Wilco - Official Trailer

I Am Trying to Break Your Heart: A Film About Wilco - Official Trailer

 

■『LOOKING FOR JOHNNY ジョニー・サンダースの軌跡(Looking For Johnny: The Johnny Thunders Story)』(2014年)
ジョニー・サンダースという謎に満ちた男は、ニューヨークの伝説的なプロト・パンク・バンド、ニューヨーク・ドールズの中心メンバーで、後には短命に終わった名バンド、ハートブレイカーズのリーダーとして活躍した。彼はグラム・メタルやパンクといったジャンルに影響を与えたが、そのキャリアは慢性的なドラッグ中毒に蝕まれ、彼は1991年にニューオーリンズで謎の死を遂げている。ダニー・ガルシア監督による本作は、彼が歩んだ驚くほど複雑な人生の軌跡を巧みに描く。シャイな野球少年として過ごした少年時代から、麻薬と白血病に苦しんだ強烈な後年までを知ることができる。

【LookingforJohnny ジョニー・サンダースの軌跡】予告

【LookingforJohnny ジョニー・サンダースの軌跡】予告

 

■『U2/魂の叫び(U2 Rattle And Hum Film Poster - 300Rattle And Hum)』(1998年)
アメリカのルーツ・ミュージックを取り入れたことで批評家からは賛否両論を受けたものの、ダブリン出身のU2の6枚目のアルバム『Rattle And Hum(魂の叫び)』はやすやすとヒットを記録し、1,400万枚を売り上げた。フィル・ジョアノー監督による感動的なこのロック・ドキュメンタリーは、成熟期を迎え、スタジアムを埋めるほどのスーパースターになっていく過渡期のU2を描く。アリゾナのサン・デビル・スタジアムでの息を呑むようなライヴ映像だけでも、お金を払って観る価値のある作品だ。

U2/魂の叫び - 予告編

U2/魂の叫び - 予告編

 

■『ドクター・フィールグッド – オイル・シティ・コンフィデンシャル(Oil City Confidential)』(2009年)
キャンベイ・アイランド出身のパワフルなR&Bグループ、ドクター・フィールグッドはバンド内の対立やメンバー交代で短命に終わった。だが、彼らはパンク前夜のパブ・ロック時代のイギリスで最もクールな4人組だったと言っても過言ではない。ジュリアン・テンプルが監督を務めたこの作品では、バンドの中心メンバーふたりの人生に的を絞り、2010年の公開時には批評家に温かく迎えられた。そのふたりとは、ハーモニカを携えた見過ごされがちなフロントマン、リー・ブリローと、国語教師からステージを闊歩する躁病的なリード・ギタリストになった、ウィルコ・ジョンソンだ。

ドクター・フィールグッド -オイル・シティ・コンフィデンシャル―

ドクター・フィールグッド -オイル・シティ・コンフィデンシャル―

 

■『アメリカン・ハードコア(American Hardcore: The History Of American Punk Rock 1980-86)』(2006年)
スティーヴ・ブラッシュによる著作を基にポール・ラックマンが監督した魅力的な本ロック・ドキュメンタリーが描くのは、その題名が示す通りのものだ。70年代後半から80年代前半のワシントンDCやLA、シカゴなどを拠点としたハードコア・パンクの誕生と進化の過程が語られる。ブラック・フラッグのヘンリー・ロリンズや、フガジとマイナー・スレットを率いたイアン・マッケイら当時の中心人物たちの撮り下ろしインタビューのほか、各バンド提供の貴重なライヴ映像も楽しめる。

American Hardcore | Official Trailer (2006)

American Hardcore | Official Trailer (2006)

 

■『Beyond The Lighted Stage』(2010年)
長きに亘り活躍を続けるプログレ・トリオ、ラッシュは本国カナダで神格化された存在だ。彼らは50年も変わらない情熱を持った献身的なファンを獲得してきた。そのディスコグラフィには、『2112(西暦2112年)』や『Permanent Waves』、『Moving Pictures』など、革新的なアルバムが並ぶ。スコット・マクフェイデンとサム・ダンが監督した本作は、彼らの長く曲がりくねったキャリアを尊敬とともに描き出す。舞台裏やメンバー個人の豊富な映像だけでなく、ビリー・コーガンジーン・シモンズトレント・レズナーら幅広い大物アーティストが彼らを賛美するインタビューも見ることができる。

RUSH - Beyond The Lighted Stage - Official DVD & Blu-ray Trailer [HD]

RUSH - Beyond The Lighted Stage - Official DVD & Blu-ray Trailer [HD]

 

■『エルヴィス・オン・ステージ(Elvis: That’s The Way It Is)』(1970年)
批評家からの賞賛を受けた『’68 Comeback Special』は、エルヴィス・プレスリーの存在をロックンロール・ファンに再認識させたステージだったと言える。デニス・サンダース監督による本作は、1956年に銀幕デビューを飾った“キング”にとって初めてのドキュメンタリー作品となった。本作は表面的には、エルヴィスが1970年の夏に行ったラスベガスでの複数公演の様子を収めた作品だ。だが、締まった身体で活力に満ちた彼の刺激的なステージだけでなく、舞台裏やプライベートの映像も多く見ることができる。

エルヴィス・オン・ステージ 没後30周年 メモリアル・エディション(字幕版) (プレビュー)

エルヴィス・オン・ステージ 没後30周年 メモリアル・エディション(字幕版) (プレビュー)

 

■『スコット・ウォーカー 30世紀の男(Scott Walker: 30 Century Man)』(2007年)
ポップ界で最もクールかつ謎に満ちた男のひとりで、社会から距離を保ったスコット・ウォーカーは、60年代後半にオーケストラを使った優れたポップ・アルバムを次々発表したが、その後はしばらく一線から退くことになる。1984年に『Climate Of Hunter』でカムバックすると、今度は寡作ながら過激で前衛的な作風のアルバムをリリースするようになった。スティーヴン・キジャック監督によるこのドキュメンタリー映画は、満を持して発表された2006年のアルバム『The Drift』の発表に合わせて公開された。ブライアン・イーノや、本作の製作総指揮も務めたデヴィッド・ボウイら大物のインタビューを交え、ウォーカーのつかみどころのないキャリアを検証していく。

『スコット・ウォーカー 30世紀の男』予告編

『スコット・ウォーカー 30世紀の男』予告編

 

■『ザ・デクライン(The Decline Of Western Civilization)』(1981年)
監督のペネロープ・スフィーリスは『Wayne’s World』などのヒット映画を手がけているが、彼女の渾身の作品は間違いなく3つのパートから成るこのシリーズだろう。2015年にようやく3枚組DVDで発売されたシリーズの中で、娯楽性の高い(一方で非常識さもある)2作目『The Metal Years』は、1980年代後半のロサンゼルスのメタル・シーンを扱う。一方で1998年発表の3作目は、街に現れ始めたモヒカン刈りの、いわゆる“ガターパンク”を題材にしている。1981年の第1作目はというと、LAパンク・シーンの光と影を描いた作品だ。ジャームスやエックス、サークル・ジャークスらの刺激的な映像を使ったこの作品はシリーズを代表する1作に挙げられよう。

ロサンゼルスの音楽シーンを取り上げたドキュメンタリー第1弾!映画『ザ・デクライン』予告編

ロサンゼルスの音楽シーンを取り上げたドキュメンタリー第1弾!映画『ザ・デクライン』予告編

 

Written By Tim Peacock



『エリック・クラプトン~12小節の人生~』
2018年11月23日公開
日本公式サイト

映画『エリック・クラプトン~12小節の人生~』予告編

映画『エリック・クラプトン~12小節の人生~』予告編


『Life In 12 Bars (Original Motion Picture Soundtrack)』

2018年6月8日発売、CD2枚組
価格:2,980円+税、品番:UICY-15738/9
日本盤:SHM-CD、解説・歌詞対訳付

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