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  • リンゴ・スターの新作アルバム『Long Long Road』発売。LAでの先行試聴会映像公開

    リンゴ・スターの新作アルバム『Long Long Road』発売。LAでの先行試聴会映像公開

    リンゴ・スター(Ringo Starr)がニュー・アルバム『Long Long Road』を2026年4月24日にリリースした。この発売を記念して、先日ロサンゼルスで豪華ゲストを招いて開催した先行試聴会イベントの映像が公開された。

    同映像は、本作のプロデューサーであるT・ボーン・バーネットと俳優のジェフ・ブリッジスとの対談の模様を収めたもので、ほかにもショーン・ペンやジョン・メレンキャンプらが同イベントに出席していた。

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    Ringo Starr – Long Long Road listening session in Los Angeles

    この対談の中で、リンゴはアルバムに関する質問に答え、レコーディングに参加したミュージシャンたちについて言及しているほか、彼とT・ボーン・バーネットがどのようにレコーディングを組み立てていったかについても明かし、こう語っている。

    「ナッシュヴィルには素晴らしいプレイヤーがたくさんいて、彼(バーネット)は彼らのほとんどを知っている。彼がバンドを編成して、そこに僕が加わるかたちなんだ。彼はすでに骨組みができたトラックを送ってくれて、それがすごく助かった。僕はそこにドラムを乗せて、歌って、それを彼に送り返す。素晴らしいやり方だったよ」

    今週初め、リンゴは人気TV番組“Jimmy Kimmel Live”に出演し、新作アルバムやビートルズの一員としての人生、そしてカントリー・ミュージックへの愛について語った。

    Ringo Starr on Watching Paul McCartney Perform, New Beatles Movies & Abbey Road Album Cover

    2025年にUKカントリー・アルバム・チャートで1位を獲得した『Look Up』に続く新作アルバム『Long Long Road』には、ビリー・ストリングス、シェリル・クロウ、セイント・ヴィンセントらとのコラボ楽曲も収録。アルバムに先駆けて、「It’s Been Too Long」と「Choose Love」の2曲が公開されていた。

    Ringo Starr – It’s Been Too Long (Visualizer)

    さらに、リンゴと現在のオール・スター・バンド(スティーヴ・ルカサー、コリン・ヘイ、ウォーレン・ハム、ヘイミッシュ・スチュアート、グレッグ・ビソネット、バック・ジョンソン)は、来月新たなツアーをスタートさせる。同ツアーは、サンディエゴのハンフリーズ・コンサーツ・バイ・ザ・ベイやロサンゼルスのザ・グリーク・シアターを含むカリフォルニア州での複数公演のほか、アリゾナ、ユタ、コロラド、ニューメキシコを巡る予定だ。

    またその他の関連のニュースとして、リンゴ・スターの初期ソロ4作品――『Sentimental Journey』(1970年/バターミルク・イエロー盤)、『Beaucoups Of Blues』(1970年/ベイビー・ブルー盤)、『Ringo』(1973年/モルテン・ラヴァ盤)、『Goodnight Vienna』(1974年/サイケデリック・ウェーヴ盤)が、それぞれ特別カラー・ヴァイナル仕様のLPで再発されている。

    Written By Sam Williams


    リンゴ・スター『Long Long Road』
    2026年4月24日発売
    CD・LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music

    <収録曲>
    1. Returning Without Tears
    2. Baby Don’t Go
    3. I Don’t See Me In Your Eyes Anymore
    4. It’s Been Too Long
    5. Why
    6. You and I (Wave of Love)
    7. My Baby Don’t Want Nothing
    8. Choose Love
    9. She’s Gone
    10. Long Long Road



  • ポール・マッカートニー、5年半ぶりの新作アルバム『The Boys of Dungeon Lane』5月に発売決定

    ポール・マッカートニー、5年半ぶりの新作アルバム『The Boys of Dungeon Lane』5月に発売決定

    ポール・マッカートニー(Paul McCartney)の18枚目のソロ・アルバム『The Boys of Dungeon Lane(ダンジョン・レインの少年たち)』が2026年5月29日に発売されることが決定した。

    世界同時発売となる日本盤CDは、7インチ紙ジャケット仕様のデラックスと通常盤での発売(ともにSHM-CD)、そして直輸入盤仕様LPも取り扱い予定だ。UNIVERSAL MUSIC STORE限定でカラーヴァイナルも予約開始となっている。それそれの予約はこちら

    また、アルバムから先行トラック「Days We Left Behind」が配信開始となっている。

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    Paul McCartney – Days We Left Behind (Lyric Video)

     

    新作アルバムの意味と本人コメント

    『McCartney III』(2020)から5年半ぶりとなる新作は、初めて語られる貴重な思い出についての曲や新たに生まれたラヴソングを収録。ポールの人生と現代のポピュラー文化の基礎を形作った形成期を振り返り、自分自身の物語を語る、キャリア史上最も内省的なアルバムとなっている。

    戦後のリヴァプールでの幼少期、両親の逆境力、ビートルマニアよりはるか以前のジョージ・ハリスンとジョン・レノンとの冒険についてオープンに書き、リスナーをリヴァプールの思い出、すべての始まりに導くとのことだ。

    また、アルバム・タイトル『The Boys of Dungeon Lane』は先行曲「Days We Left Behind」の歌詞に由来している。装飾を削ぎ落とした非常に親密なこの曲は、アルバムの感情的な核心を捉えている。ポールはこう語る。

    「これは僕にとってまさに“思い出の歌”だ。アルバム・タイトルの『The Boys of Dungeon Lane』はこの曲の歌詞から来ている。過去に置いてきた日々について考えていた。ただ過去について書いているだけではないかと思うことがよくあるが、では他に何について書けるのだろう、とも思う。これはリヴァプールのたくさんの思い出だ。途中にはジョンとフォースリン・ロード、かつて僕が住んでいた通りについての部分もある。ダンジョン・レインはその近くにある。僕はスピークという労働者階級の地域に住んでいた。ほとんど何も持っていなかったが、それは問題ではなかった。周りの人たちは素晴らしかったし、自分たちが何も持っていないことにすら気づいていなかった」

    さらにポールのYouTubeにはアルバムのトレイラー映像も公開された。この動画の冒頭でポールは「人生を振り返ると “えっ、本当にあんなことしたっけ?”って、あの頃の記憶が次々と蘇ってくる。なんだか、まるで夢のようなんだ」と語っている。

    Paul McCartney – The Boys of Dungeon Lane (Official Album Trailer)

     

    新作アルバムのレコーディング

    アルバムの制作は、5年前にポールがプロデューサーのアンドリュー・ワットと紅茶を飲みながらアイデア交換をしたことから始まった。その時ギターを弾いていたポールは、世界で最も成功している現役のソングライターであるポールでさえ認識できないコードに偶然出会った。持ち前の実験精神に突き動かされ、音を一つ、また一つと変えていき、3コード進行が完成。このセッションからアルバムの1曲目「As You Lie There」が生まれた。

    ポールの多忙なスケジュールにより、アルバムは5年間に亘るワールド・ツアーの合間を縫って、ロサンゼルスとサセックスを行き来しながら、タイトで効率的なセッションで録音された。レコード・レーベルからのプレッシャーや締切の設定はなく、2人は自分たちのタイムラインに沿って満足のいく形でアルバムを完成させることができた。

    『The Boys of Dungeon Lane』は音楽的に多彩であり、ポールの幅広い音楽性を示すさまざまな楽器やスタイルが取り入れられている。ウイングスのスタイルのロック、ザ・ビートルズのスタイルのハーモニー、マッカートニーのスタイルのグルーヴ、控えめで親密な表現、メロディが主導するストーリーテリング、キャラクターを描いた曲ーーそのすべての共通点は“ポール”である。

    (Photo; Mary McCartney © 2026 Mary McCartney)

    Written by uDiscover Team


    ポール・マッカートニー『The Boys of Dungeon Lane』
    2026年5月29日発売
    CD・LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music

    <収録曲>
    1. As You Lie There
    2. Lost Horizon
    3. Days We Left Behind
    4. Ripples in a Pond
    5. Mountain Top
    6. Down South
    7. We Two
    8. Come Inside
    9. Never Know
    10. Home To Us
    11. Life Can Be Hard
    12. First Star of the Night
    13. Sailsman Saint
    14. Momma Gets By



     

  • 映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の音楽:友情を乗せて宇宙を駆けるビートルズの曲

    映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の音楽:友情を乗せて宇宙を駆けるビートルズの曲

    2026年3月20日に公開され、現時点で米批評サイトRotten Tomatoesでは批評家レビュー95%、一般レビュー97%を記録するなど、批評家や映画ファンから大絶賛されている映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。その評判に加え、興行収入も好調となっている。日本では公開初日に1億6996万5100円、動員数9万8291人を記録し、実写・アニメを含め2026年洋画No.1のスタートを切った。さらに全米では約128億1282万円(約8058万ドル)を叩き出し週末ランキングで1位を獲得、全世界でも約224億1642万円(約1億4098万ドル)を突破し、2026年公開映画のNo.1オープニング記録を樹立している。

    世界中で高い評価を受けている本作で使用されている音楽、特に原作小説や劇中にも登場するザ・ビートルズについて、ライターの粉川しのさんに解説いただきました。

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    「ホープ・コアの新たな傑作」

    3月20日に世界同時公開された『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が、大旋風を巻き起こしている。地球を救うために宇宙へ旅立つ科学教師のグレース(ライアン・ゴズリング)が、未知の生命体との遭遇を果たし、友情を育みながら互いの星を救うべく奮闘する同作はSF超大作であり、最高のバディ・ムービーであり、「信じること」、「諦めないこと」、「希望を持ち続けること」を燃料にして宇宙を直走る、とことんオプティミスティックなヒューマン・ストーリーでもある。

    地球は凍え、人類滅亡の危機が間近に迫っているという設定で、ここまで楽観主義を貫けるSF作品は新鮮だ。物語の推進力として人類の叡智や、技術革新、逆境でも忘れないユーモア、違いを超えた理解と共鳴……といった「正」のエネルギーしか使われていないのも凄い。

    アポカリプスSFでは人間の道徳的グレーゾーンが描かれて然るべき、という先入観がバッタバッタ薙ぎ倒されていくし、大国の権力者の思いつきで戦争が始まり、国際社会がそれを止められない現実に疲弊し、AIに知的労働の全てを乗っ取られる危機感の中で生きている我々の目には、本作の楽観主義というか「人間への信頼」は、もはやラディカルにすら映る。

    「僕らはこれをSFだとは思っていない。関係性の物語、友情の物語なんだ」と監督のフィル・ロード&クリストファー・ミラーも語るように、そのラディカルさは意図的なものだろうし、本作が海外で「ホープ・コア(Hope Core)の新たな傑作」と呼ばれているのも頷ける。「ホープ・コア」とは近年のSNS発祥で、長年続いたサッド・カルチャーを反転し、人生に愛や希望を見出していこうというトレンドだ。

    映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』日本語吹替版予告 3月20日(金・祝)公開

     

    『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の音楽

    その他、科学とスピリチュアルが融合した映像のブッ飛んだ素晴らしさや、ユニークなカメラワーク、CGIではなく手作りされたロッキーの愛らしさなど、語り始めたらキリがない本作だが、本コラムでは『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の音楽にフォーカスして紐解いていきたい。

    本作のスコアを手がけたのはダニエル・ペンバートン。アカデミー歌曲賞を受賞した『シカゴ7裁判』(2020)や、『スパイダーマン:アクロス・ザ・ユニバース』(2023)でも知られるペンバートンは、様々な楽器に加えて足踏みや手拍子、子供達の声、蛇口を捻る音etc.を重ね、オーガニックでハンドメイドな質感を常に意識した音を作り出しており、無音の宇宙にヒューマニックな温かみを与えることに成功している。

    Daniel Pemberton – Finding Rocky Voice | Project Hail Mary (Original Motion Picture Score)

     

    原作にはないカラオケのシーンと選曲

    そんなペンバートンの劇伴に加え、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』では複数のポップ・ミュージックが挿入曲としてフィーチャーされているのも特徴だ。ちなみに予告編の段階ではハリー・スタイルズの「Sign of the Times」、プリンスの「I Would Die 4 U」、そしてオアシスの「Champagne Supernova」がフィーチャーされていた。どの曲も物語に即したドンピシャな歌詞を持つことから「これらが主題歌候補なのか?!」と大きな話題になったのも記憶に新しい。

    例えば、残念ながら本編では使われなかった「Champagne Supernova」には、「弾丸より速いスピードでゆっくり歩く」という意味不明な一節があるが、これもヘイル・メアリー号の相対性理論メタファーとしてはピッタリだった。

    ここからはロード&ミラーが自ら選曲した実際の挿入曲について、特に『プロジェクト・ヘイル・メアリー』とザ・ビートルズの、切っても切れない関係性について取り上げていく。核心部のネタバレは避けるが、ストーリーの要所には触れていくので、未見で一切の情報を入れたくないという方はご注意いただきたい

     

     

     

     

    『プロジェクト・ヘイル・メアリー』には、クリス・クリストファーソンの「Sunday Mornin’ Comin’ Down」から、エンディングのアイク&ティナ・ターナーの「Glory, Glory」までいつくかの挿入曲が用いられている。そして物語のハイライトを飾るのがザ・ビートルズの「Two Of Us」なのだが、まずは中盤でユニークな使われ方をしているハリー・スタイルズの「Sign of the Times」について触れておこう。

    同曲はサンドラ・ヒュラーが演じる「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の全責任者、ストラットがカラオケで歌うナンバーとしてフィーチャーされている。もちろん原作にはないシーンだが、いかなる犠牲を払ってでも計画を遂行する、時に冷酷な司令官でもあるストラットの人類の可能性を信じ続ける強さ、そして内に秘めた優しさとが一瞬で明らかになる、非常に上手いシーンだったと思う。何故なら「Sign of the Times」はこんな歌だからだ。

    もう泣かないで、これが新しい時代の兆しなんだ
    僕らはここから抜け出さなきゃいけない
    離れなきゃいけないんだ
    泣かないで、きっと大丈夫だから
    「もう終わりが近い」って彼らが言ったんだ
    僕らはここから逃げ出さなきゃいけない

    泣くのはやめて、人生最高の時間を過ごそう
    大気圏を突き抜けて
    ここからなら、景色も悪くない
    全てはうまくいくって覚えていて
    またどこかで会えるから
    ここからずっと遠く離れた場所で

    カラオケの直前にストラットとグレースが交わした会話を思えば、これがグレースに言えなかった想いを託した曲であり、ヘイル・メアリー計画に携わる全ての人々に向けた感謝と激励、そして未来への鼓舞だったのは間違いない。突然のカラオケに最初は笑えるが、曲が進むにつれてその意図が明らかになり、劇場で涙してしまった人も多いのではないか。

    Harry Styles – Sign of the Times (Official Video)

     

    原作でも登場するザ・ビートルズの完璧な一曲

    そんな「Sign of the Times」がサプライズ的な名場面を生んだとしたら、本作のファンなら誰もが期待していたのがザ・ビートルズのフィーチャーだろう。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の中で、「ビートルズ」はヘイル・メアリー号の先端に設置された小型ロケットの名前として登場し、内部の4つのポッドはそれぞれジョン、ポール、ジョージ、リンゴと名付けられている。

    ヘイル・メアリー号は片道分の燃料しか積めない。だから無人で自動飛行する「ビートルズ」は、グレースの代わりにアストロファージの調査結果を地球に持ち帰るという、重要な任務を担う。つまり、同作の世界においてビートルズは、人類の希望を託された存在として描かれているのだ。原作者のアンディ・ウィアーが本作の序文にて「ジョン、ポール、ジョージ、リンゴへ」捧げたのも納得だろう。

    ビートルズの楽曲を商業映画のサントラとして使用するハードルは、権利関係的にも金額的にも非常に高い。それでも『プロジェクト・ヘイル・メアリー』にビートルズは必須であり、ファンは必ず使われることを信じていたはずだ。注目は「どの曲が?」「どんな場面で?」という点だったわけだが、「Two Of Us」は選曲的にも、使われる場面的にもこれ以外はない、完璧な一曲だったと思う。

    「Two Of Us」は『Let It Be』に収録されたポール・マッカートニー作のナンバー。ポールとジョンがアコギを弾きながらツインボーカルで歌う佳曲で、その歌詞は同曲のレコーディングの6週間後に結婚した、リンダについて歌ったものだと言われている。

    たち二人 車であてどなく
    誰かが必死に稼いだお金を使いながら
    君と僕 日曜日にドライブ
    まだ辿り着かない 家への帰り道

    僕らは家に帰るところ
    僕らは家に帰るところ
    僕らは家へ

    (中略)

    君と僕には思い出がある
    目の前に伸びている道よりずっと長い思い出が

    僕たち二人 レインコートを着て日差しの中にぽつんと立つ
    君と僕 紙切れを追いかける
    どこにも行けずに 家への帰り道

    僕らは家に帰るところ
    僕らは家に帰るところ
    僕らは家へ

    こうした歌詞の内容から、「Two Of Us」はポールとジョンが長年分かち合ってきた思い出を想起させるナンバーでもある。映画『ザ・ビートルズ : Get Back』のリハ映像の中で、二人が昔のように向き合い、ふざけ合いながら歌う姿にも、ファンがポールとジョンの絆を投影したくなるのも頷ける。

    アルバム・バージョンの「Two of Us」は、ビートルズのルーフ・トップ・コンサート(1969年1月30日)の翌日にレコーディングされている。メンバー間の緊張がピークに達し、解散の瀬戸際で行われた「ゲット・バック・セッション」の締めくくりに、彼らがバンド初期の楽しげなスキッフル調を想起させる同曲をやったという意味でも、センチメンタルな友情を感じずにはいられないナンバーだ。

    Two Of Us (Remastered 2009)

     

    「Two Of Us」は二人の友情を乗せて宇宙を駆ける

    そんな「Two Of Us」が使われているのは、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のまさにクライマックスのシーン。ミッションを成功裡に収めたかに思えたグレースとロッキーに、まさかの危機が訪れる。その時、同曲の軽やかなアルペジオが流れ始めるのだ。

    ちなみにロード&ミラー曰く、「Don’t Let Me Down」も最後まで候補に上がっていたという。しかし「僕を見捨てないでくれ、一人にしないでくれ」と歌う同曲だと、若干グレースの気持ちに寄りすぎている感も否めない。あのシーンではグレースとロッキーの二人にとってのテーマ曲が流れるべきで、やはり「Two Of Us」が、ポールとジョンの声が重なり合って一つになる同曲こそが相応しいだろう。

    「ビートルズ」は人類の希望を乗せて、「Two Of Us」はグレースとロッキーの友情を乗せて宇宙を駆ける。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は何度も観たくなる映画だろう。次に観る際には「Two Of Us」他、下記の挿入曲にもぜひ注目してみていただきたい。そのどれもが、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のホープ・コアの精神を体現していることに気づくはずだ。

    デニス・ウィルソン「Rainbow」
    スコーピオンズ「Winds Of Change」
    ハリー・スタイルズ「Sign of the Times」
    ニール・ダイアモンド 「Stargazer」
    アイク&ティナ・ターナー「Glory, Glory」

    Written by 粉川しの


    ザ・ビートルズ「Two of Us」
    iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music

    ザ・ビートルズ『Let It Be』(スペシャル・エディション)
    2021年10月15日発売
    5CD+1Blu-ray / 2CD / 1CD / 4LP+EP 1LP / 1LPピクチャーディスク



     

     

     

  • 現在85歳リンゴ・スターが新作アルバム『Long Long Road』を発表。T・ボーン・バーネットが共作

    現在85歳リンゴ・スターが新作アルバム『Long Long Road』を発表。T・ボーン・バーネットが共作

    リンゴ・スターがニュー・アルバム『Long Long Road』を2026年4月24日にリリースすることが発表された。2025年1月にリリースされたカントリー・アルバム『Lock Up』の成功を受けて制作された第2弾となる。また、サラ・ジャローズとモリー・タトルが参加した、アルバムからの1stシングル「It’s Been Too Long」が先行リリースされ、ヴィジュアライザーも公開された。

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    Ringo Starr – It’s Been Too Long (Visualizer)

    T・ボーン・バーネットがプロデュースと多くのトラックの作曲を担った10曲入りアルバム『Long Long Road』には、ビリー・ストリングス、シェリル・クロウ、セイント・ヴィンセントらとのコラボ楽曲も収録。昨年リリースされ一部のチャートを制したアルバム『Look Up』に続く待望の第2弾アルバムである。

    リンゴは次のようにコメントを寄せている。

    「こうしてT・ボーンと知り合えて、レコードをいくつも一緒に作れている俺は恵まれているよ。前作は自分でもよく聴くくらい気に入っているんだけど、あのアルバムのあと、この作品も自然な流れで作ることになった。喜ばしいことに、俺は時々正しい選択をするんだ。決断を迫られる場面は常にあるけど、その中で俺がしてきた正しい選択の1つがT・ボーンと一緒に『Look Up』を作ったことだった。そして今回、また彼とアルバムを作ることができた。『Long Long Road』ってタイトルにしたのは、俺がこれまで”長い長い道のり”を歩んできたからだ」

    『Long Long Road』はそのタイトルが示唆する通り、またリンゴ自身のキャリアと同様、カントリー・ミュージックやアメリカーナに深く根差した作品だ。リンゴはこう説明する。

    「ザ・ビートルズでもカール・パーキンスの曲を2曲録音したことがあった。それで今回もT・ボーンと話して、ぜひ1曲取り上げようって話になったんだ。そうして彼が見つけてきてくれたのが、俺の知らなかった美しい楽曲 “I Don’t See Me In Your Eyes Anymore” だった」

    ナッシュヴィルとロサンゼルスでレコーディングされたこのアルバムには、『Look Up』で演奏したミュージシャンが引き続き数多く参加。ポール・フランクリン、デヴィッド・マンスフィールド、デニス・クラウチ、ダニエル・タシアン、ロリー・ホフマン、パトリック・ウォーレン、コリン・リンデンから成るコア・バンド(T・ボーンはリンゴが1959年に所属していたリヴァプールのバンドに因み、親しみを込めて彼らを”ザ・テキサンズ”と呼んでいる)も再集結。

    T・ボーン・バーネットはこう説明する。

    「俺は昔からずっと、リンゴの演奏と歌が大好きだった。そしてある晩、詩の朗読会で会ったときに彼から“曲を書いてもらえない?”と頼まれた。俺はリンゴに対してテキサスのアーティストのようなイメージを抱いてきたから、彼のためにジーン・オートリー風の楽曲を書いた。個人的に彼の演奏スタイルは、テキサスの音楽のように感じられるんだ。さらにリンゴ・スターはトップクラスのアーティストだから、若手の名手たちで彼の脇を固めたいと思った。だからこれらの2作では、ナッシュヴィルで活躍する非凡でエネルギッシュな若手ミュージシャンたちを起用したんだ」

    『Long Long Road』の収録曲10曲のうち、6曲はT・ボーン・バーネットが単独あるいは共同で作曲したもの。その他2曲はリンゴとブルース・シュガーの共作、1曲はリンゴとマーク・ハドソンとゲイリー・バーの共作、1曲はベニー・ベンジャミンとジョージ・デイヴィッド・ワイスが作曲し、カール・パーキンスが録音した楽曲のカヴァーを収録。

    このアルバムのプロデュースはT・ボーン・バーネット、共同プロデュースはダニエル・タシアンとブルース・シュガーが担当している。

    Written by uDiscover Team


    リンゴ・スター『Long Long Road』
    2026年4月24日発売
    CD・LP

    <収録曲>
    1. Returning Without Tears
    2. Baby Don’t Go
    3. I Don’t See Me In Your Eyes Anymore
    4. It’s Been Too Long
    5. Why
    6. You and I (Wave of Love)
    7. My Baby Don’t Want Nothing
    8. Choose Love
    9. She’s Gone
    10. Long Long Road



     

     

     

  • ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』推薦コメントが到着

    ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』推薦コメントが到着

    オスカー、エミー、グラミー賞を受賞したモーガン・ネヴィル監督による、ザ・ビートルズ解散後のポール・マッカートニー(Paul McCartney)の創造的再生に迫る親密な長編ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』。

    この作品は、2月19日に一夜限りで劇場のみで見ることができる11分の映像がついて公開、そして2月27日にはAmazonのPrime Videoでの配信、同日には同作品のサウンドトラック『Man on the Run – Music from the Motion Picture Soundtrack』も発売される。

    この映画について、著名人のコメントが公開となった。

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    2.19(木)限定上映『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』予告編

     

    音楽だけではなく、20世紀と21世紀にまたがって、大きな歴史の1ページをしめるポール・マッカートニーという人の人生と人間性を余すところなく魅せてくれるドキュメンタリー映像です。
    日本にも関わるシーンがあったりして、幾度となく胸がドキドキしました。
    改めてポール・マッカートニーという人と、同じ時代に生きられた幸せを奇跡のように噛みしめています。
    全編がビートルズとポール、そしてウィングスの音楽に溢れていて、それもファンとしては嬉しい限りです。
    ビートルズやウィングスをよく知らない若い世代の人たちにも、ぜひ見てほしい重要な歴史の1ページだと思います。
    加えて、リンダ・マッカートニーのファンとしては、とても嬉しい貴重な映像でもあります。

    湯川れい子 (音楽評論・作詞家)


    作品冒頭に流れる“Silly Love Songs”の邦題は『心のラヴ・ソング』。
    うまいことつけたものだと改めて思う。
    ポールは自身の音楽を『バカげたラヴ・ソング』だと歌い、聴いてる僕らの『心』を満たす。
    この曲に込められているものこそ、彼が生みだす数多の名曲の源流なのかもしれない。
    特定の場所や年代を感じさせないもの。
    それが彼を時代を超えた音楽家たらしめている。
    今のマッカートニーの声が語る、若きマッカートニーの映像が、感慨深い。
    良いドキュメンタリーに出会えました。
    劇場公開の知らせが嬉しい。
    ニューアルバムリリースの知らせが嬉しい。
    日本公演の噂が嬉しい。
    世界最高の音楽家の一人であるポール・マッカートニーと同じ瞬間を僕らはまだ共に過ごせている。
    なによりそれが堪らなく嬉しい。

    安田顕(俳優)


    当時妄想していたポール像を懐古しながら「やっぱり私のポールだわ」と目頭が熱くなるのです。
    あの噂この噂、まことしやかに真実とされている定説が、まるで閉店前の居酒屋で「ここだけ話」で盛り上がる友人のように語られます。「辛かったね」と相槌を打つ間もなくポールは、悪態をついたと思えば後悔や反省も口にします。
    苺プリントのシャツでロン毛の君。心からあなたを推し続けて良かった!「僕は僕」私たちは「あなたがあなた」でいてくれて幸せです。

    藤田朋子(俳優)


    このドキュメンタリーを観て、やっぱり“明るい”って最終的には勝つんだな、と思った。ビートルズという誰も超えられないグループを失っても、それと比べられて何かしら酷評を浴びても、はたまた日本の留置場で9日間過ごしても(!)ポールは常に持ち前の明るさで立ち上がってきた。
    怒りや反逆こそがロックの正義とされていた時代は結構長い。だからこそポールの明るさが硬派なロックファンから叩かれる時代も同じく長かった。(僕は辛かった 笑)その辺のポールの天然まっしぐらな部分も描いている今作は好感が持てる。
    さておき、本人的には腹の立つ事も多かっただろうに、それでもポールは常に明るかった。リンダさんがまたヨーコさん顔負けの“人の評価気にしない女子”なので、そんな奥さんと共にいたポールは百人力だっただろう。
    そして現在、ポールは完全圧勝の域に入った。類い稀な才能と天性の明るさの先には幸せな景色以外存在出来ないのだ。正に「愛は勝つ」を体現しているのがポール・マッカートニーなんだな、と思ったし、そこに行き着くために不可欠だった10年間が、この作品で体感できる。

    和田唱(ミュージシャン)


    これまで見たこともないアーカイブ映像と、様々なコメントで実にうまく編集されて出来上がった映画は、ポールがなぜロックシーンで正当な評価を得ていないのかを赤裸々に表している所が最高におもしろい。
    1976年、50年前にウイングスがアメリカを制覇したのをロサンジェルスで目のあたりにした僕は、ポールはロックの枠を超えたエンターテイナーであると思ってきたが、この映画を見て頭に浮かんだのは、「生きている不幸、死んだ幸せ」という言葉だった。
    それと被るメロディーメーカーのクリス・ウェルチの「ロックは楽しいだけじゃだめになった」というコメント。
    そして、僕の中で、「生きている不幸」という言葉とポールの唯一無二の才能と魅力が重なり合っていった。

    立川直樹(プロデューサー/ディレクター)


    来日が直前で中止になったウィングズの1975年のオーストラリア公演を、ぼくはミュージック・ライフの取材チームの通訳として2週間にわたって追っかけました。ポールの短いインタヴューもできて、その時のいちばんの思い出は彼がいかに普通の人であるか、でした。この映画でも終始その飾りのない姿が顕著で、いつまでもビートルズのポールと切り離せないメディアの人たちの接し方に彼はとことん呆れたことでしょう。1970年代の彼の素顔がよく分かる貴重な作品です。

    ピーター・バラカン(ブロードキャスター)


    1970 年代はジョン的なものが高い評価を受け、ポール的なものは俗物的で軽いと言われた時代でした。ポップという言葉さえもコマーシャリズム的で悪い意味に使われていました。そこに悩みながらも踏ん張って軸がブレなかったミスター・ポップスであるポールのお陰で、ポップが名誉挽回できたのです、ありがとうポール!そしてポールにとってリンダさえいればウイングスだと納得。話を知ってても面白く感動的なので是非観てもらいたい映画。やっぱポール=長嶋茂雄説に賛同。

    杉真理(シンガーソングライター)


    御多分に漏れず、近しい人は大変そうな天才、ポール・マッカートニー。
    「やってみよう1.2.3.4」の掛け声とユーモアで、僕らには苦労なんて一切していないように夢をみせてくれた。
    映画ではポールの苦悩も垣間見えるが、曲が、音が、鳴らされる音楽がそれを上回ってしまうだろう。
    1日限定の劇場公開ですが、もう一回体感しに行きたいと思います。

    喜多建介(ASIAN KUNG-FU GENERATION)


    こんなポールは見たことない!
    愛犬マーサと戯れるポールや羊を追いかけるポール、プライベートな空間でリラックスした表情でピアノに向かうポール。自分自身に向き合い苦悩しながらWINGSというバンドを続け、音楽を作り続ける中、それを支えた妻リンダの存在にスポットがあたっているのも嬉しい。ちなみにファッション・センス抜群のリンダが傍にいながら、時折出てくるポールの謎センスな私服にも注目です。

    市川紗椰 (モデル)


    70年代のポールのことがつぶさに伝わる、とても見ごたえのある作品です。あまりにも大きなポールというアーティストの何分の一かを、ようやく、でも確かに理解することができた充実感がありました。
    ジョンと一緒だった60年代のポール、この映画に刻まれたジョンと離れて新しい道を模索した70年代のポール、そしてジョンを失ってからの80年代以降のポール──いつでもポールは前向きに現実と向き合いながら至上の音楽を生み出す史上最高のアーティストですが、でも同時に、ポールは常に心の中でジョンのことを思い、ジョンとの関係性が人生の背景を形作っているのだと思いました。きっと今でもそうなのではないかと思います。そんなことを確認して胸が熱くなる作品でした。

    山崎洋一郎 (ロッキング・オン編集長)


    60年代にビートルズがいて、70年代にはウイングスがいた
    ウイングスの10年を追った待望のドキュメンタリー
    日本での公演中止についても赤裸々に語るポール
    音も抜群に良く、スタジオにいるかのような気分が味わえる
    これは、スクリーンで観るべき1本!

    藤本国彦 (ビートルズ研究家)


    1970年代のビッグ・アクトについて語るとき、ポール・マッカートニーの名前が挙がることは稀だ。彼がビッグではなかったからではない――彼は間違いなくその10年で最大のアクトの一人だった――しかし、彼がそれ以前に成し遂げたことのせいなのだ。ポールは世界最大のバンドにいたことがあり、そのバンド自体が独自の引力を生み出していた。

    私の映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』では、ビートルズという長い影からのポールの不可能な逃走(Run)を見つめたいと思った。

    それは、あり得ない選択の連続だった――バンでのツアー!ブルース・マックマウス!ナイジェリア!スリリントン!スコットランドの賛歌!――しかし、それらをまとめて見ると、それらの選択の狂気は、実は正気のように思えてきた。これほどの期待の重圧に対処するには、予期せぬことをする以外にどうすればよかったのだろうか?

    また、私はその10年間を通して、ポールが何かから逃げるのをやめ、何か別のもの――彼自身の声、彼自身の家族、彼自身の人生――に向かって走り始めたことに気づいた。これは、ある人物が自分自身を見つける物語なのである。

    このサウンドトラックは、彼の音楽を通して語られるその旅のスナップショットだ。これらの曲の一つ一つは、その瞬間のポールが誰であったかという創造的衝動の結果である。ポールは歌を通して、世界だけでなく、自分自身に対しても語りかけていたのだ。私たちは幸運にも、それに耳を傾けることができるのである

    (モーガン・ネヴィル:本作監督)


    ポール・マッカートニー
    『Man on the Run – Music from the Motion Picture Soundtrack』
    2026年2月27日発売
    CD・LP

    収録曲
    1. Wings – Silly Love Songs (Demo)
    2. Paul McCartney – That Would Be Something (2011 Remaster)
    3. Paul and Linda McCartney – Long Haired Lady (2012 Remaster)
    4. Paul and Linda McCartney – Too Many People (2012 Remaster)
    5. Paul McCartney and Wings – Big Barn Bed (2018 Remaster)
    6. Paul McCartney – Gotta Sing Gotta Dance
    7. Wings – Live and Let Die (Rockshow)
    8. Paul McCartney and Wings – Band on the Run (2010 Remaster)
    9. Wings – Arrow Through Me (Rough Mix)
    10. Wings – Mull of Kintyre (2016 Remaster)
    11. Paul McCartney – Coming Up (2011 Remaster)
    12. Paul McCartney and Wings – Let Me Roll It (2010 Remaster)


    『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』公開劇場
    2月19日一夜限定公開

    北海道:札幌シネマフロンティア
    山形:MOVIE ON
    宮城: MOVIX仙台
    福島:イオンシネマ福島
    東京: TOHOシネマズ シャンテ
       TOHOシネマズ 池袋
       TOHOシネマズ 上野
       ヒューマントラストシネマ渋谷
       吉祥寺オデヲン
       立川シネマシティ
    神奈川:ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい
        シネプレックス平塚
    埼玉:MOVIXさいたま
       ユナイテッド・シネマ浦和
       ユナイテッド・シネマ ウニクス南古谷
    千葉:TOHOシネマズ 流山おおたかの森
       シネマイクスピアリ
    茨城:TOHOシネマズ ひたちなか
       イオンシネマ守谷
    栃木:宇都宮ヒカリ座
       小山シネマロブレ
    群馬:MOVIX伊勢崎
       ローソン・ユナイテッドシネマ前橋
    新潟:イオンシネマ新潟西
    石川:イオンシネマ金沢フォーラス
    福井:テアトルサンク
    長野:アイシティシネマ
    静岡:静岡東宝会館
       シネプラザサントムーン
    愛知:109シネマズ 名古屋
       ミッドランドシネマ名古屋空港
    大阪:TOHOシネマズ 梅田
       TOHOシネマズ ららぽーと門真
    京都:TOHOシネマズ 二条
       イオンシネマ京都桂川
    兵庫:TOHOシネマズ 西宮OS
    奈良:TOHOシネマズ 橿原
    滋賀:ユナイテッド・シネマ大津
    三重:イオンシネマ東員
    岡山:TOHOシネマズ 岡南
    鳥取:MOVIX日吉津
    広島:イオンシネマ広島西風新都
    山口:MOVIX周南
    徳島:ufotable CINEMA
    福岡:ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13
       ユナイテッド・シネマなかま16
    長崎:ローソン・ユナイテッドシネマ長崎
    大分:TOHOシネマズ アミュプラザおおいた
    熊本:イオンシネマ熊本
    鹿児島:TOHOシネマズ 与次郎

    映画公式サイト



     

  • ポール・マッカートニーの新ドキュメンタリー『マン・オン・ザ・ラン』のサントラが2月27日に発売

    ポール・マッカートニーの新ドキュメンタリー『マン・オン・ザ・ラン』のサントラが2月27日に発売

    オスカー、エミー、グラミー賞を受賞したモーガン・ネヴィル監督による、ザ・ビートルズ解散後のポール・マッカートニー(Paul McCartney)の創造的再生に迫る親密な長編ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』が2月19日に一夜限りの劇場公開、そして2月27日にはAmazonのPrime Videoで配信されることにあわせて、同作品のサウンドトラック『Man on the Run – Music from the Motion Picture Soundtrack』が2027年2月27日に発売されることが発表された。

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    サントラの内容

    このアルバムには、ポール・マッカートニー&ウイングスの名盤から、時代を超えた名曲、ヒット曲、重要曲など12曲が収録されている。1979年のアルバム『Back to the Egg』セッションからの未発表ラフ・ミックス「Arrow Through Me (Rough Mix)」と、1980年のコンサート映画『Rockshow』からの「Live And Let Die (Rockshow)」は、リリースに先駆けてAmazon Music限定で先行配信されている。

    さらにアルバムには、1973年のテレビ特番『The James Paul McCartney TV Special』で初披露された「Gotta Sing Gotta Dance」という3曲目の未発表トラックも収録される。

    『Man on the Run – Music from the Motion Picture Soundtrack』は、ジャック・ホワイトのThird Man Pressing工場でプレスされた限定版ニューヨーク・タクシー・イエロー・ヴァイナルLP、Amazon限定のタンジェリン・ピール・オレンジ・ヴァイナルLP、ブラック・ヴァイナルLPといったアナログ・レコードなど、様々なフォーマットで発売。SHM-CDで発売される日本盤には映画の場面をフィーチャーしたポスト・カードが先着購入者特典となっている。

    アートワークのクリエイティブ・ディレクションは、ポール・マッカートニーと、ヒプノシスのオーブリー・“ポー”・パウエルが担当した。ヒプノシスは、『Band on the Run』『Venus and Mars』『Wings Over America』『Wings Greatest』、そして2025年のベスト・アルバム『WINGS』を含む8枚のウイングスのアルバムでポールと仕事をした象徴的なデザイン・スタジオである。アートワークのデザインはストーム・スタジオのピーター・カーゾンが手掛けている。

    さらにこの国内盤CDの予約者限定でドキュメンタリー映画を2月13日にいち早く見ることができる特別上映会の開催も決定した。観覧無料の上映会についての詳細はこちら

     

    ドキュメンタリーの内容と監督のコメント

    ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』は、ビートルズ解散後の激動の10年間と、新バンド・ウイングスの台頭におけるポールの姿を捉えた作品だ。

    素晴らしいアーカイブ映像、リンダ・マッカートニーによる特別な写真、そしてポール、リンダ、メアリー、ステラ・マッカートニー、ウイングスのメンバーたち、ショーン・オノ・レノン、ミック・ジャガー、クリッシー・ハインドらへのインタビューを通じ、この映画は独自の無防備なレンズを通してこの時代を検証するものである。

    映画とサウンドトラックへのアプローチについて、モーガン・ネヴィル監督は次のように語っている。

    「1970年代のビッグ・アクトについて語るとき、ポール・マッカートニーの名前が挙がることは稀だ。彼がビッグではなかったからではない――彼は間違いなくその10年で最大のアクトの一人だった――しかし、彼がそれ以前に成し遂げたことのせいなのだ。ポールは世界最大のバンドにいたことがあり、そのバンド自体が独自の引力を生み出していた。

    私の映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』では、ビートルズという長い影からのポールの不可能な逃走(Run)を見つめたいと思った。

    それは、あり得ない選択の連続だった――バンでのツアー!ブルース・マックマウス!ナイジェリア!スリリントン!スコットランドの賛歌!――しかし、それらをまとめて見ると、それらの選択の狂気は、実は正気のように思えてきた。これほどの期待の重圧に対処するには、予期せぬことをする以外にどうすればよかったのだろうか?

    また、私はその10年間を通して、ポールが何かから逃げるのをやめ、何か別のもの――彼自身の声、彼自身の家族、彼自身の人生――に向かって走り始めたことに気づいた。これは、ある人物が自分自身を見つける物語なのである。

    このサウンドトラックは、彼の音楽を通して語られるその旅のスナップショットだ。これらの曲の一つ一つは、その瞬間のポールが誰であったかという創造的衝動の結果である。ポールは歌を通して、世界だけでなく、自分自身に対しても語りかけていたのだ。私たちは幸運にも、それに耳を傾けることができるのである」

    『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』 OFFICIAL本予告|プライムビデオ

    Written By uDiscover Team


    ポール・マッカートニー
    『Man on the Run – Music from the Motion Picture Soundtrack』
    2026年2月27日発売
    CD・LP

    収録曲
    1. Wings – Silly Love Songs (Demo)
    2. Paul McCartney – That Would Be Something (2011 Remaster)
    3. Paul and Linda McCartney – Long Haired Lady (2012 Remaster)
    4. Paul and Linda McCartney – Too Many People (2012 Remaster)
    5. Paul McCartney and Wings – Big Barn Bed (2018 Remaster)
    6. Paul McCartney – Gotta Sing Gotta Dance
    7. Wings – Live and Let Die (Rockshow)
    8. Paul McCartney and Wings – Band on the Run (2010 Remaster)
    9. Wings – Arrow Through Me (Rough Mix)
    10. Wings – Mull of Kintyre (2016 Remaster)
    11. Paul McCartney – Coming Up (2011 Remaster)
    12. Paul McCartney and Wings – Let Me Roll It (2010 Remaster)


    『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』公開劇場
    2月19日一夜限定公開

    北海道:札幌シネマフロンティア
    山形:MOVIE ON
    宮城: MOVIX仙台
    福島:イオンシネマ福島
    東京: TOHOシネマズ シャンテ
       TOHOシネマズ 池袋
       TOHOシネマズ 上野
       ヒューマントラストシネマ渋谷
       吉祥寺オデヲン
       立川シネマシティ
    神奈川:ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい
        シネプレックス平塚
    埼玉:MOVIXさいたま
       ユナイテッド・シネマ浦和
       ユナイテッド・シネマ ウニクス南古谷
    千葉:TOHOシネマズ 流山おおたかの森
       シネマイクスピアリ
    茨城:TOHOシネマズ ひたちなか
       イオンシネマ守谷
    栃木:宇都宮ヒカリ座
       小山シネマロブレ
    群馬:MOVIX伊勢崎
       ローソン・ユナイテッドシネマ前橋
    新潟:イオンシネマ新潟西
    石川:イオンシネマ金沢フォーラス
    福井:テアトルサンク
    長野:アイシティシネマ
    静岡:静岡東宝会館
       シネプラザサントムーン
    愛知:109シネマズ 名古屋
       ミッドランドシネマ名古屋空港
    大阪:TOHOシネマズ 梅田
       TOHOシネマズ ららぽーと門真
    京都:TOHOシネマズ 二条
       イオンシネマ京都桂川
    兵庫:TOHOシネマズ 西宮OS
    奈良:TOHOシネマズ 橿原
    滋賀:ユナイテッド・シネマ大津
    三重:イオンシネマ東員
    岡山:TOHOシネマズ 岡南
    鳥取:MOVIX日吉津
    広島:イオンシネマ広島西風新都
    山口:MOVIX周南
    徳島:ufotable CINEMA
    福岡:ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13
       ユナイテッド・シネマなかま16
    長崎:ローソン・ユナイテッドシネマ長崎
    大分:TOHOシネマズ アミュプラザおおいた
    熊本:イオンシネマ熊本
    鹿児島:TOHOシネマズ 与次郎

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  • 『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』2月19日の1日限定で劇場公開決定

    『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』2月19日の1日限定で劇場公開決定

    ザ・ビートルズ(The Beatles)解散後のポール・マッカートニー(Paul McCartney)に焦点を当てた新ドキュメンタリー『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』(原題:Man on the Run)が、2026年2月19日の1日限定で日本を含めた全世界で劇場公開されることが発表となった。

    なお本作は2026年2月27日にAmazonのPrime Videoで独占配信されることも発表となっている。

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    Paul McCartney: Man on the Run – Official Trailer | Prime Video

    公開劇場

    北海道:札幌シネマフロンティア
    山形:MOVIE ON
    宮城: MOVIX仙台
    福島:イオンシネマ福島
    東京: TOHOシネマズ シャンテ
       TOHOシネマズ 池袋
       TOHOシネマズ 上野
       ヒューマントラストシネマ渋谷
       吉祥寺オデヲン
       立川シネマシティ
    神奈川:ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい
        シネプレックス平塚
    埼玉:MOVIXさいたま
       ユナイテッド・シネマ浦和
       ユナイテッド・シネマ ウニクス南古谷
    千葉:TOHOシネマズ 流山おおたかの森
       シネマイクスピアリ
    茨城:TOHOシネマズ ひたちなか
       イオンシネマ守谷
    栃木:宇都宮ヒカリ座
       小山シネマロブレ
    群馬:MOVIX伊勢崎
       ローソン・ユナイテッドシネマ前橋
    新潟:イオンシネマ新潟西
    石川:イオンシネマ金沢フォーラス
    福井:テアトルサンク
    長野:アイシティシネマ
    静岡:静岡東宝会館
       シネプラザサントムーン
    愛知:109シネマズ 名古屋
       ミッドランドシネマ名古屋空港
    大阪:TOHOシネマズ 梅田
       TOHOシネマズ ららぽーと門真
    京都:TOHOシネマズ 二条
       イオンシネマ京都桂川
    兵庫:TOHOシネマズ 西宮OS
    奈良:TOHOシネマズ 橿原
    滋賀:ユナイテッド・シネマ大津
    三重:イオンシネマ東員
    岡山:TOHOシネマズ 岡南
    鳥取:MOVIX日吉津
    広島:イオンシネマ広島西風新都
    山口:MOVIX周南
    徳島:ufotable CINEMA
    福岡:ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13
       ユナイテッド・シネマなかま16
    長崎:ローソン・ユナイテッドシネマ長崎
    大分:TOHOシネマズ アミュプラザおおいた
    熊本:イオンシネマ熊本
    鹿児島:TOHOシネマズ 与次郎

    映画公式サイト

    ドキュメンタリーの内容

    史上最も重要なロックバンド、ビートルズが解散した後、ポール・マッカートニーはどのような道を選んだのか。

    『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』は、ビートルズ解散後、妻リンダと共にウイングスを結成し新たな道を歩み始めたポール・マッカートニーの軌跡を、これまでにないほどパーソナルかつ親密な視点で描く最新ドキュメンタリー作品である。アカデミー賞、エミー賞、グラミー賞受賞監督モーガン・ネヴィルは、数々の困難や葛藤に直面しながらも新たな10年を定義する作品を生み出していくポールの創造的再出発の軌跡を丁寧に追い、今まで語られることのなかった側面を描き出していく。

    「ビートルズ解散後の10年間におけるポールの物語で私が心惹かれるのは、17歳からビートルだった彼が、その後の人生を模索するひとりの人だという点である。ビートルズの後、どうやって生きていくのか?自分は何者なのか?その物語すべてがとても人間味にあふれていると感じる」(モーガン・ネヴィル監督)

    1970年4月、初のソロ・アルバム『McCartney』の発表後、次に何をするのかと問われ、“成長することが唯一の計画だよ”とポールは語った。

    ドキュメンタリー『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』は、ビートルズ解散後にポールが迎えた大きな転換期と、新たに結成されたバンド=ウイングスの台頭を描く、激動の10年間をとらえた作品である。

    初公開となるホームビデオや音源、貴重なアーカイヴ映像やライブ映像、リンダ・マッカートニーによる素晴らしい写真への前例のないアクセスを可能にした本作は、ポール、リンダ、メアリー、ステラ・マッカートニーへのインタビュー、さらにウイングスの元メンバー、ショーン・オノ・レノン、ミック・ジャガー、クリッシー・ハインドらの証言を通して、この時代をこれまでにないほど率直でパーソナルな視点で描き出す。

    ビートルズの解散、ジョンとの関係、1980年の幻の来日、その12月の悲劇的出来事—濃密な10年間を振り返るポール自身の言葉の数々はビートルズ・ファンのみならずすべての洋楽ファンにとって興味のつきない貴重な物語であり、ドキュメンタリーという枠を超え、観るものに感動と共感を呼び起こす。

    全世界で2月19日、1日限定上映となる劇場公開版には、劇場限定の特典として、ポール・マッカートニーとモーガン・ネヴィル監督による特別独占対談映像が併映されることも決定している。

    「ザ・ビートルズは、本当に私の人生そのものだった。解散したとき、もう二度と音楽を書けないと思った。大人になることが怖かったし、とても落ち込んでいた。でも、リンダがいたという点で、私はとても幸運だった」(ポール・マッカートニー)


    現在83歳のポール・マッカートニーは、今なお精力的に活動を続けている。昨年秋には、彼自身が監修したウイングスのキャリアを網羅する新たなベスト・アルバム『WINGS』がリリースされた。「Band on the Run」「Jet」「Live and Let Die」といったヒット曲が収録された『WINGS』は、カラー・ヴァイナル仕様の3LPデラックス、2CD、1CDなど多形態で発売中だ。

    Paul McCartney & Wings 'Band on the Run' (Lyric Video)

    その他の関連ニュースとして、長らく待ち望まれていたザ・ビートルズの『Anthology Collection』(8CD/12LP)が昨年11月にリリースされている。4巻構成、全191曲を収録した同コレクションからは、13曲の未発表音源を含むスタジオでのアウトテイク、ライブパフォーマンス、放送音源、デモ音源に加え、2023年にリリースされた最後のシングル「Now and Then」までを収録した新作コンピレーション『Anthology 4』も単独リリースされている。さらに、この『Anthology 4』から、ジェフ・リンによる「Free As A Bird」と「Real Love」の新ミックスをダブルA面として収録したシングルも7インチLPとCDで発売中だ。

    Free As A Bird (1995 Mix – Remastered)

    Written By uDiscover Team


    ポール・マッカートニー&ウイングス『Wings』
    2025年11月7日発売
    2CD / 1CD / 3LP / 3LPカラーデラックス

    <日本盤のみ>英文解説翻訳/歌詞対訳付/SHM-CD仕様


    ザ・ビートルズ『Anthology Collection』
    2025年11月21日発売

    ① 8CDボックス・セット
    品番:UICY-80700/7
    価格:22,000円税込/完全生産限定盤
    予約はこちら

    ② 12LPボックス・セット
    品番:UIJY-75340/51
    価格:69,300円税込/直輸入盤仕様/完全生産限定盤
    予約はこちら


    ザ・ビートルズ『Anthology 4』
    2025年11月21日発売
    2CD / 3LP


    ザ・ビートルズ『Free As A Bird / Real Love』
    7インチ・ヴィニール:2025年11月28日発売
    CDシングル:2025年12月3日発売



     

  • ザ・ビートルズ『Anthology 1』発売当時、御殿場から西へ走った宣伝プロモーターのドキュメント

    ザ・ビートルズ『Anthology 1』発売当時、御殿場から西へ走った宣伝プロモーターのドキュメント

    1980年代から20年以上にわたって東芝EMIの洋楽ディレクターを務め、2025年には『東芝EMI洋楽部の輝ける日々』という書籍も発売した森 俊一郎さんが、“吉野家七味”として音楽出版社フジパシフィックミュージックの公式noteにて連載を執筆中。

    今回はザ・ビートルズの『Anthology 1』が発売された当時について書かれた連載第15回分をuDiscovermusic日本版と同時掲載。他の連載はこちらからご覧ください。

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    ザ・ビートルズ『Anthology 4』収録曲解説
    ザ・ビートルズ、『Anthology Collection』発売決定


     

    今年はザ・ビートルズ来日60周年

    こんにちは。吉野家七味です。

    知ってますか?

    今年はあの、ザ・ビートルズが日本公演にやってきてからちょうど60年。日本武道館で3日間、5公演を行い、日本におけるビートルズ・ブームの総仕上げとなった1966年。4人が揃って「ザ・ビートルズ」というバンドとして日本の土を踏んだのはこれが唯一の機会。

    Budokan

    ポール・マッカートニーはその後1990年を皮切りにソロでいくども来日、リンゴ・スターもオール・スター・バンドを引き連れて1989年、ポールに先がけること数カ月前に日本武道館のステージを1966年以来4人の中で初めて踏んだ。ジョージ・ハリスンはエリック・クラプトン・バンドと一度だけ、1991年に東京ドームに来てくれた。ジョン・レノンはお忍びも含めて数回来ているが、残念ながらライヴはやっていない。それが歴史…。

    そんな中、昨年2025年11月にはビートルズ・ファンにとっては思いもかけない『Anthology 4』が発売された。七味もテレビ局に呼ばれ、11月30日に現役の担当者と一緒にBSフジ「ザ・ビートルズ・アンソロジー」特番に出演したわけだが、なんと!この番組の再放送が好評につき決まったという。オンエア日は2026年1月30日、前回見逃した人はBSフジのサイトでチェックしてみよう!(紛らわしいですがこれは昨年オンエア時のページです)。

     

    『Anthology 1』発売当時のドキュメント

    さてさて、そこからさかのぼること30年、『Anthology 1』発売の苦労話、笑い話は森俊一郎著『東芝EMI洋楽部の輝ける日々』にも詳しいが、細かいところの記憶違いも明確になってきたのでこの場を借りて一部を正しく再現をしてみようと思う。

    そのために、現在はユニバーサル ミュージックの洋楽カタログ部門で八面六臂の活躍をしている、当時東芝EMI福岡営業所の洋楽宣伝プロモーターだった小林和広氏に話を聞いてきたぞ! 小林氏は七味よりは1世代若い、ギターはマーティー・フリードマン級、絵を描かせればプロも裸足で逃げ出す、もちろん仕事もできる頼りになる男だが、何よりすごいのは「筆まめ」と「物持ちの良さ」。

    その小林氏が1995年当時、ファックスで(というところが時代ですが)九州の担当ラジオ局各社に送っていた最新洋楽情報という手書きの情報ツールも保存されていて、当時の『Anthology 1』(と、以下略す)の発売に向かう緊迫感あふれるリポートが!!

    それによると『Anthology 1』発売の1995年11月22日からさかのぼること2日前、11月20日月曜に東芝EMI御殿場工場から各店舗への商品の発送が開始され、同時にラジオ局でのオンエアも日本時間の11月20日午前10時となっていたため(アメリカABCテレビで映像版の『The Beatles Anthology』オンエア開始の時間)、各エリアの洋楽宣伝プロモーターもこの日の朝、御殿場工場にサンプル盤を受け取るべく集合していたのです。これねー、今さら思うんですけど、ドキュメンタリーになりえましたよね、カメラ回しておいたら「プロジェクトX」の候補には充分なっていたでしょう、残念!

    さて、小林少年、じゃない、小林氏もその一人として19日日曜夜には最寄りである沼津へ前ノリ、一泊して翌朝20日8時には御殿場工場へ到着!製造工程の最後の組み立て部分を見学しつつ(その話も臨場感あるラジオ・ネタになった)、10時の出荷を見守る…。

    NHK、日本テレビ、読売新聞などカメラも多く来ている中の緊張の一瞬。そして、解禁後は受け取った割り当て分のサンプルCDをしっかりと抱きかかえて小林氏は福岡へ向かう新幹線の中からもラジオ局に向けて“実況中継”!

    「今関ヶ原を通過中」
    「今、東寺が見えてます」
    「瀬戸内海がきれいです」
    「そろそろ本州を離れ九州に入ります」
    「博多に着きました!」
    「あと2分で局につきます!」

    などと(一部想像含む)レポート入れながら無事に到着。日本で(もしかしたら)一番早い“ニュー・シングル”「Free As A Bird」のラジオ・オンエアを実現した、という感動のドキュメント!

    新曲がオンエアされた翌日から東芝EMIの福岡営業所はもちろん、全社的に「問い合わせ殺到!」あっという間に2枚組CD50万セットを超える大ヒットになっていたのでした、めでたしめでたし。

    それにしてもこの時はテレビ露出も半端ではなく、小林氏が保存していた本社第Ⅰ営業本部から各営業所へ11月21日の夜、一斉に流されたファックスには、

    日本テレビ「ズームイン!!朝!」(11月22日)
    日本テレビ「Theサンデー」(11月26日)
    TBS「関口宏のサンデーモーニング」(11月26日)
    フジテレビ「めざましテレビ」(11月22日)
    フジテレビ「THE WEEK」(11月25日)
    テレビ朝日「やじうまワイド」(11月22日)
    テレビ東京「NEWSモーニングJAM」(11月22日)
    テレビ東京「お昼のニュース」(同日)

    などが決まりましたよ!という情報がてんこ盛りだった。もちろん米ABCと独占契約を結んでいたテレビ朝日は「ニュースステーション」での「Free As A Bird」解禁から始まって年末大晦日の映像版一気オンエアまで決まっていたところが“背骨”ではあったが、そんなこととは別にどのテレビ局もこのことのニュース・バリューをしっかり把握して取り上げてくれた、ということ。

    The Beatles – The Beatles – Free As A Bird (Official Music Video) [2025 Mix]

    21世紀の現在とは情報の発信方法、発信メディアからいろいろな違いはあるものの、ここ日本でもビートルズの新曲、という部分に焦点を当てた強力なプロモーションはすさまじい威力を発揮した、という昔話でございました。

    次は「今」のこと、いよいよ迫ってきたグラミー賞のことを書く予定ですからお楽しみに!

    吉野家七味でした、バイバイ、またね!

    Written by 吉野家七味 (連載はこちら


    ザ・ビートルズ『Anthology Collection』
    2025年11月21日発売

    ① 8CDボックス・セット
    品番:UICY-80700/7
    価格:22,000円税込/完全生産限定盤
    予約はこちら

    ② 12LPボックス・セット
    品番:UIJY-75340/51
    価格:69,300円税込/直輸入盤仕様/完全生産限定盤
    予約はこちら


    ザ・ビートルズ『Anthology 4』
    2025年11月21日発売
    2CD / 3LP


    ザ・ビートルズ『Free As A Bird / Real Love』
    7インチ・ヴィニール:2025年11月28日発売
    CDシングル:2025年12月3日発売



  • ビートルズ解散後のポールに焦点を当てた新ドキュメンタリー『Man on the Run』予告編公開

    ビートルズ解散後のポールに焦点を当てた新ドキュメンタリー『Man on the Run』予告編公開

    ザ・ビートルズ(The Beatles)解散後のポール・マッカートニー(Paul McCartney)に焦点を当てた新ドキュメンタリー『Man on the Run』の予告編映像が公開された。本作は2026年2月27日にAmazonのPrime Videoで独占配信される。

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    Paul McCartney: Man on the Run – Official Trailer | Prime Video

     

    ドキュメンタリーの内容

    アカデミー賞受賞歴を誇るモーガン・ネヴィルが監督を務めた映画『Man on the Run』は、ポール・マッカートニーのソロ・キャリアにおける栄光と葛藤を描き、ウイングスの結成や、1969年に結婚し、1998年に56歳で亡くなった、妻でありバンドメイトでもあったリンダ・マッカートニーとの深い関係にも光が当てられている。

    ポール本人のナレーションに導かれ、貴重なアーカイブ映像で構成された予告編では、音楽界のアイコンである彼が、ザ・ビートルズ解散という大きな転機と世間からの過剰な期待の狭間で揺れ動きながら、家庭人としての人生を築き、ウイングスとともに自身のサウンドを再構築していった過程を次のように振り返っている。

    「ザ・ビートルズは、本当に私の人生そのものだった。解散したとき、もう二度と音楽を書けないと思った。大人になることが怖かったし、とても落ち込んでいた。でも、リンダがいたという点で、私はとても幸運だった」

    監督のモーガン・ネヴィルは本作について次のように語っている。

    「ずっとザ・ビートルズは好きでしたが、(ビートルズが活動していなかった)私が若い頃にレコードを出していたバンドはウイングスでした。店で彼らのレコードを買い、夢中になって聴いていたのを覚えています。ポールとともにあの時代を振り返る機会は、彼自身と同じように私を過去へと連れ戻してくれました。多くの場合、ポール自身も長年あの頃のことを考えていなかった。だからこそ、この映画は本当に“再発見”を共有していくような体験だったのです」

    現在83歳のポール・マッカートニーは、今なお精力的に活動を続けている。昨年秋には、彼自身が監修したウイングスのキャリアを網羅する新たなベスト・アルバム『WINGS』がリリースされた。「Band on the Run」「Jet」「Live and Let Die」といったヒット曲が収録された『WINGS』は、カラー・ヴァイナル仕様の3LPデラックス、2CD、1CDなど多形態で発売中だ。

    Paul McCartney & Wings 'Band on the Run' (Lyric Video)

    その他の関連ニュースとして、長らく待ち望まれていたザ・ビートルズの『Anthology Collection』(8CD/12LP)が昨年11月にリリースされている。4巻構成、全191曲を収録した同コレクションからは、13曲の未発表音源を含むスタジオでのアウトテイク、ライブパフォーマンス、放送音源、デモ音源に加え、2023年にリリースされた最後のシングル「Now and Then」までを収録した新作コンピレーション『Anthology 4』も単独リリースされている。さらに、この『Anthology 4』から、ジェフ・リンによる「Free As A Bird」と「Real Love」の新ミックスをダブルA面として収録したシングルも7インチLPとCDで発売中だ。

    Free As A Bird (1995 Mix – Remastered)

    Written By Griffin Blair


    ポール・マッカートニー&ウイングス『Wings』
    2025年11月7日発売
    2CD / 1CD / 3LP / 3LPカラーデラックス

    <日本盤のみ>英文解説翻訳/歌詞対訳付/SHM-CD仕様


    ザ・ビートルズ『Anthology Collection』
    2025年11月21日発売

    ① 8CDボックス・セット
    品番:UICY-80700/7
    価格:22,000円税込/完全生産限定盤
    予約はこちら

    ② 12LPボックス・セット
    品番:UIJY-75340/51
    価格:69,300円税込/直輸入盤仕様/完全生産限定盤
    予約はこちら


    ザ・ビートルズ『Anthology 4』
    2025年11月21日発売
    2CD / 3LP


    ザ・ビートルズ『Free As A Bird / Real Love』
    7インチ・ヴィニール:2025年11月28日発売
    CDシングル:2025年12月3日発売



     

  • ベスト盤が変えた音楽の歴史:“グレイテスト・ヒッツ”という文化の進化

    ベスト盤が変えた音楽の歴史:“グレイテスト・ヒッツ”という文化の進化

    ロマンティックなバラード歌手、ジョニー・マティス(Johnny Mathis)を“革命児”と呼ぶ人はほとんどいないだろう。だが1958年3月、彼は音楽史を変える一歩を踏み出した。ジョニー・マティスがリリースした最初のヒット曲集『Johnny’s Greatest Hits』こそ、史上初の“グレイテスト・ヒッツ”アルバムとして歴史にその名を刻んだ。

    リリース当時、ジョニーはデビューからわずか2年。プロデューサーのミッチ・ミラーは、彼が英国ツアーで不在の間も世間の注目を留めようと画策し、彼の初期の録音を再編集して発表するというアイデアを思いついたのだ。その戦略は見事に成功し、アルバムは全米ビルボード・チャートで3週連続1位を記録、翌1959年6月までに50万枚を売り上げた。

    こうして“グレイテスト・ヒッツ”というジャンルが誕生し、やがて多くの著名アーティストが彼の手法を真似るようになった。uDiscoverが史上最高の“グレイテスト・ヒッツ”アルバムを祝う限定カラー・ヴァイナル仕様アナログ盤を発売するにあたり、その歴史を振り返ってみようと思う。

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    1960年代初頭、7インチ・シングルが主流だった時代のグレイテスト・ヒッツは、ヒット曲で埋め尽くされ、ポップスの真髄を詰め込んだフル・アルバムとして強烈なインパクトを放っていた。たとえばザ・ローリング・ストーンズの『Hot Rocks 1964–71』、ザ・フーの『Meaty Beaty Big and Bouncy』、そして『Motown Chartbusters』シリーズなどがその好例だ。

    だがこれらの作品は、単なるヒット曲集にとどまらず、ストリーミング時代となった今日でもプレイリストとは異なる“ひとつの物語”としての役割を果たし、アーティストのレガシーや歩みを辿ることができる特別な魅力を持ち続けてきた。

     

    ビーチ・ボーイズの『Endless Summer』

    1974年頃のビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)は、すでに“サーフィンやホットロッド(カスタムカー文化)”といった世界からは離れていた。70年代初期には、成熟したルーツ・ロック的サウンドへと転じ、かつての完璧なハーモニーを保ちながら高い評価を得ていたが、とりわけアメリカでは人気が低迷し、セールスもライヴ動員も落ち込んでいた。

    そんな状況を一変させたのが、ノスタルジックなベスト盤『Endless Summer』である。1962〜1966年に発表された楽曲のみを収録した全20曲入りの2枚組で、発売タイミングはこれ以上ないほど完璧だった。青春時代をビーチ・ボーイズとともに過ごした世代が再び熱狂し、アルバムは飛ぶように売れた。

    選曲を手掛けたフロントマンのマイク・ラヴは、その反響に喜びを隠せず、今作について「リスナーにコンサートを聴いているのと同じ感覚を味わってほしかった」と後に振り返っている。結果、『Endless Summer』は発売から4か月で全米1位を獲得し、累計155週にわたりチャート入り。アメリカだけで300万枚以上を売り上げた。長年距離を置いていたローリング・ストーン誌も、彼らを1974年の“バンド・オブ・ザ・イヤー”と評した。

    この影響でバンドの公演チケットの売れ行きは爆発的に伸び、その人気はニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでの4夜連続公演を完売させるほどだった。この頃から、“America’s Band”と呼ばれるようになったビーチ・ボーイズは、古き良きアメリカを象徴する存在として確固たる地位を築き、彼らの公演は往年の名曲が中心となった。

    The Beach Boys – Good Vibrations (Official Music Video)

     

    ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ の『Legend』

    1984年5月にリリースされたボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ (Bob Marley & The Wailers)のベスト・アルバム『Legend』は、レゲエ音楽を世界的な現象へと押し上げた歴史的コンピレーション作品として知られている。

    ボブ・マーリーはジャマイカ音楽界で最も影響力のある人物として広く認知され、世界中で崇拝されていたにもかかわらず、アルバムの売上はその知名度に見合うものではなかった。そこでボブ・マーリーの不朽の名曲をより広い聴衆に紹介する手段としてコンピレーションに可能性を見出した当時のアイランド・レコードの社長デイヴ・ロビンソンは、様々な層を対象にボブ・マーリー作品のマーケティング調査を行いつつ、政治色の強い曲は除外し、全英トップ10ソング10曲を含む、よりメロディアスでキャッチーな本作のトラックリストを構築した。

    アイランド・レコードによる本作のキュレーション手法は期待通りの功を奏し、全米だけで1,800万枚以上、全世界で2,500万枚以上を売り上げ、世界的アイコンとしての彼の位置付けを確固たるものとした。

    Bob Marley & The Wailers – Could You Be Loved (Official Music Video)

     

    ABBAの『ABBA Gold』

    世界中の音楽ファンのアーティストに対するイメージを一変させたもうひとつのコンピレーションが、1992年9月にリリースされた『ABBA Gold』である。

    スウェーデンが誇るポップの巨匠ABBAは、70年代に世界的なセンセーションを巻き起こしたものの、80年代後半になると時代の流れとともにその影を潜めていた。それでも、70年代半ばに成人し『Endless Summer』を買い漁ったビーチ・ボーイズのファンたち同様に、90年代初頭には往年のABBAファンの間で熱狂支持と再評価の機運が高まり、レコード会社の幹部や音楽ジャーナリストたちからなるチームが、彼らの不朽の名曲に光を照らすABBAの究極の“グレイテスト・ヒッツ”を企画。

    ポリグラム・インターナショナルのクリス・グリフィンは後に、「ラジオ番組のように流れを感じられる構成を意識した」と本作の制作を回想している。

    こうして誕生した9曲の全英No.1シングルを含む全19曲入りのベスト盤『ABBA Gold』は、現在までに全世界で3,000万枚超えの史上最高セールスを誇るアルバムの一つとなった。しかしその数字以上に、ABBAの再評価を決定づけた本作の功績は大きく、このアルバムなくしては『マンマ・ミーア!』や『ABBA Voyage』も誕生せず、結婚式のディスコフロアは今ほど賑わっていなかったかもしれない。

    ABBA – Dancing Queen (Official Music Video)

     

    ザ・ビートルズの『1』

    2000年のホリデイ・シーズンにリリースされたザ・ビートルズの(The Beatles)『1』(2000年)は、“グレイテスト・ヒッツ”の意義を再び証明した。

    ジョージ・ハリスン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スターがプロデューサーのジョージ・マーティンと共に監修し、英米のシングル・チャートで1位を獲得した27曲を1枚に集約した今作は発売当初、誰もこれほど売れるとは予想していなかったが、全世界で3,000万枚超のセールスを記録する2000年代最大のヒット・アルバムとなり、未発表曲が一切含まれないにもかかわらず、彼らが依然として文化的影響力を保持していることを示す結果となった。

    Come Together (Remastered 2015)

    “グレイテスト・ヒッツ”アルバムは、キャリアの節目(ニール・ヤングの『Decade』)、活動の終止符(R.E.M.の『Part Lies, Part Heart, Part Truth, Part Garbage 1982–2011』)、そして死後に評価を高めたアーティスト(ニック・ドレイクの『Way to Blue』)など、アーティストやグループにとって様々な意味合いを持つ。また、ニルヴァーナのセルフタイトル盤(2002年)のように、新世代のリスナーにとっての入門編としても大きな役割を果たしてきた。

    あなたのアルバム・コレクションには、いくつの“グレイテスト・ヒッツ”が並んでいるだろうか?

    Written By Jamie Atkins


  • ザ・ビートルズ『Anthology 1』DISC1収録曲解説:ビートルズ以前から人気グループになるまで

    ザ・ビートルズ『Anthology 1』DISC1収録曲解説:ビートルズ以前から人気グループになるまで

    1995年から1996年にかけて3回に分けて発売されたザ・ビートルズのアルバム『Anthology』が、最新リマスターだけではなく、未発表や最新ミックスされた音源が追加され、2025年11月21日に『Anthology Collection』(8CD/12LP)として発売された。

    新規追加された単独としても発売された新作アルバム『Anthology 4』も話題となっているが、今回は、リマスターされたアルバム『Anthology 1』から『Anthology 3』までのDISC1について、『レコード・コレクターズ 12月号』に掲載された作品解説を許諾を得たうえで順次公開。Disc2を含めた全文解説については、11月14日に発売されたザ・ビートルズが表紙の『レコード・コレクターズ 12月号』をご覧ください。雑誌の購入はこちらより。

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    2021年、『ザ・ビートルズ: Get Back』を観たとき、ライヴ活動をやめて以降、音源の完成度が上がるにつれ4人の関係性が微妙になっていったビートルズが、すでに関係性が壊れる寸前ながらも“音楽が好きな4人”という原点に立ち戻ろうともがく姿がとても儚く美しく、感動したことを覚えている。

    いきなり話が脱線したが、『Anthology 1』は、1995年11月20日に全世界同時発売された2枚組アルバムで、ビートルズの歩みを、当時残っていたメンバーの手で総括する一大プロジェクト『The Beatles Anthology』の第1章である。音楽好きの若者たちが紆余曲折を経てビートルズとしてデビューするまでがディスク1に、デビュー後、世界でビートルズ・ブームを巻き起こしていく1964年までがディスク2に収録されている。

    特にディスク1は、音質も悪く演奏も粗削り。カヴァーも多く、最初“これはどう楽しめば?”と思った人も多そう(筆者も最初そうでした)だが、『ビートルズ: Get Back』を通過した今、これこそが彼ら(特にポール)が“ゲット・バック・セッション”で目指した原点、という視点で聴くと、また違った楽しみ方ができるかもしれないと思う。では、本アルバムのメインディッシュ「Free As A Bird」は後に回し、収録内容について順に解説していく。

     

    ディスク1

    まずディスク1。3曲目「That’ll Be the Day」4曲目「In Spite of All the Danger」は、ビートルズ関連で2番目に古い音源(最も古い音源は1957年、ジョンとポールが出会った日のクオリーメンのライヴ音源)。ビートルズの前身、クオリーメンが1958年7月にフィリップスのサウンド・レコーディング・サーヴィスで録音した自主制作盤で、録音メンバーはジョン、ポール、ジョージにドラムのコリン・ハントン、ピアノのジョン・ダフ・ロウを加えた5人(なおこの頃、ポールはギターとヴォーカルを担当し、ベースレスの編成)。

    「That’ll Be The Day」は、楽器編成やコーラス・ワーク、そのバンド名(意:こおろぎ)からも、ビートルズに大いに影響を与えたバディ・ホリー&ザ・クリケッツのカヴァーで、歌唱はジョン。ジョンは既に歌唱スタイルや自由なキャラクターが固まりつつあるが、ポールはコーラス含め控えめに参加している印象だ。

    「In Spite Of All The Danger」は唯一となるポールとジョージの共作(ポール曰く“当時はリード・ギターのパートを考えたら、クレジットしなければいけないと思っていた”)のオリジナルで、こちらの歌唱はジョン。自作曲だからか「That’ll Be The Day」よりもポールのコーラスが積極的だが、ロカビリー調の曲自体は3コードのシンプルなもので、メロディ・メイカーとしての片鱗はまだ見えず。

    In Spite Of All The Danger

    6曲目「Hallelujah, I Love Her So」7曲目「You’ll Be Mine」8曲目「Cayenne」は1960年にポール宅で、借りたテープ・レコーダーで録音した音源。ジョン、ポール、ジョージに加え、後に“5人目のビートルズ”と呼ばれるスチュワート・サトクリフがベースで参加している。

    弾き語り調の「Hallelujah, I Love Her So」はレイ・チャールズのカヴァーで、歌唱はポールによる。ジョンとポール作曲の「You’ll Be Mine」はシンプルなロッカ・バラードだが、ポールはバリトン風に大げさに歌唱し、ジョンは高低使い分けたコーラスや間奏には低い声の朗読を入れ、二人がやりたい放題だ。ポール個人の作曲名義「Cayenne」は、1950年代後半から活躍したバンド、ザ・シャドウズと似たスタイルで演奏した即興性の強いインストで、ジョージは不参加。いずれの楽曲も3曲目「That’ll Be the Day」4曲目「In Spite of All the Danger」と比べリラックスした雰囲気での演奏だ。

    You'll Be Mine (Home Demo)

    10曲目「My Bonnie」11曲目「Ain’t She Sweet」12曲目「Cry For a Shadow」は1961年6月のドイツ、ハンブルク巡業で、歌手、トニー・シェリダンのバック・バンドを務めた頃の演奏。この頃のビートルズは、これまた“5人目のビートルズ”とも言われるピート・ベストがドラムとして加入、その後、サトクリフが脱退しポールがベースを担当することになり、後のビートルズと同じ4人組の構成として固まった時期だ。

    トニー歌唱の「My Bonnie」は、有名なスコットランド民謡をアップ・テンポのロックンロールにアレンジしている。11曲目「Ain’t She Sweet」12曲目「Cry For a Shadow」はビートルズのみの演奏で、ジョンが歌唱する「Ain’t She Sweet」は1927年に作曲され、ジーン・オースティンを始めとして様々なアーティストにカヴァーされたスタンダード。1956年、ジーン・ヴィンセントのカヴァー版を基に軽快なロックンロール調にアレンジしたか。

    「Cry For A Shadow」は、「Cayenne」と同じくザ・シャドウズを意識したインストで、ジョンとジョージの共同作曲という唯一のクレジット。即興感が強かった「Cayenne」より完成度は高い。巡業の成果か、これらの音源は演奏に安定感があり、デビューに向け下地が固まってきているのを感じる。

    Cry For A Shadow

    1961年12月、ブライアン・エプスタインのマネージャー就任という転機から、ビートルズはいよいよデビューに向けたレコード会社探しを始める。ブライアンによる営業活動が実り、1962年1月1日に受けるのがデッカ・レコードの選考、デッカ・オーディションで、その際に録音された15曲のうち5曲が15曲目「Searchin’」16曲目「Three Cool Cats」17曲目「The Sheik of Araby」18曲目「Like Dreamers Do 」19曲目「Hello Little Girl」。15曲目と16曲目はアメリカのR&Bグループ、コースターズのカヴァー。

    「Searchin’」の歌唱はポールだ。「Three Cool Cats」は満を持してのジョージによる歌唱で、部分的にジョンとポールがコメディ調に歌っている。「Searchin’」は1982年、ポールが出演したラジオで“無人島ディスク”として選出、「Three Cool Cats」は1969年の“ゲット・バック・セッション”でも、スロウにアレンジし演奏している。

    17曲目「The Sheik Of Araby」は、1921年に作曲され、ファッツ・ドミノなど多数のアーティストにカヴァーされたスタンダード。歌唱はジョージで、彼が大ファンだったジョー・ブラウン&ザ・ブルヴァーズが前年にリリースしたカヴァーをもとにアレンジ。18曲目、19曲目は3曲演奏されたオリジナル曲のうち2曲。「Like Dreamers Do」はポールによる作曲・歌唱。青臭さはあるが、随所にポールのメロディ・メイカーとしての片鱗を感じさせる。この曲はビートルズとしてリリースされることはなかったが、1964年、デッカ・レコードのバンド、アップルジャックスに提供され、英国シングル・チャートで20位にランクインした。

    Like Dreamers Do (Decca Audition)

    「Hello Little Girl」はジョンによる作曲・歌唱。この曲は1957年頃作曲の、ジョン曰く“最初の完成曲の一つ”で、前述のバディ・ホリー&ザ・クリケッツの影響が濃い。また、ポールの他にジョージのコーラスも確認でき、その後の肝となる3人でのコーラス・ワークが確認できる。これらの演奏からは、オリジナル曲のクオリティも上がりビートルズらしさが生まれてきているが、カヴァー曲が中心でオリジナル曲が少ないセットリストが影響したか、結果的にビートルズはこのオーディションに不合格となる。

    その後、元メンバーのサトクリフの突然死などを経験するなか、1962年6月、EMI傘下パーロフォン所属のプロデューサー、ジョージ・マーティンによる選考がビートルズに対して実施。同年6月6日に、審査のためEMIのアビー・ロード・スタジオで録音されたのが21曲目「Besame Mucho」22曲目「Love Me Do」だ。

    「Besame Mucho」は、メキシコのコンスエロ・ベラスケスにより1932年に書かれたスタンダード。この曲は上述のデッカ・オーディションや、1969年の“ゲット・バック・セッション”でも演奏された。そして、ついにその後、ビートルズとして公式にリリースされる曲が登場。のちのデビュー・シングル「Love Me Do」だ。

    この曲はマーティンがなかなかドラムに満足せず、リンゴが叩いた録音、セッション・ミュージシャンであったアンディ・ホワイト(彼も、5人目のビートルズの“3人目”と呼ばれることがある)が叩いた録音が公式リリースされているが、ここで収録されたのはピートが叩いた1番最初の録音。大まかなアレンジは既に固まっているが、大きな特徴は、途中でリズムが大胆に変わること。マーティンはピートのドラミングに難色を示し、ビートルズのデビューが決まった後の8月15日、ピートは解雇され、代わりにリンゴ・スターが加入してついにビートルズのメンバーが揃う。

    Love Me Do (First Version)

    当初、マーティンは当時の慣例通り、作曲家が書いた曲でのデビューを提案し録音されたのが英国の作曲家、ミッチ・マレー作の23曲目「How Do You Do It」で、歌唱はジョン。アレンジもビートルズらしく演奏も申し分ないが、自身のオリジナルでデビューしたいというメンバーの意見が最終的に通り、「Love Me Do」でのデビューが決まる。

    それならば、とマーティンは2枚目のシングルに「How Do You Do It」を推すが、メンバーがオリジナルにこだわるため、“この曲に負けない曲を作れ”と発破をかける。それを受け、当初、スロウ・テンポだったのを、マーティンのアドヴァイスもありテンポを上げて録音したのが24曲目「Please Please Me」。結局、この曲が2枚目のシングルとなるが、正ヴァージョンとの主な違いは、ハーモニカが入っておらず、コーラスが控えめ、そしてドラムをアンディが担当しているところ。

    Please Please Me (First Version)

    なかなか日の目を見ない「How Do You Do It」はミッチ・マレー自身、ビートルズが行なったアレンジが気に入らず、またB面と扱われるのを嫌い、お蔵入りに。「Please Please Me」は英国チャートで1位を記録し、ビートルズは一躍、人気グループとなる。

    勢いそのままシングル「From Me To You」の制作を開始。そのセッションの中録音されたのが25曲目26曲目の「One After 909」。ここではたびたび演奏を止めては話し合う模様が記録され、その後通して演奏されたのがとなる。試行錯誤が伝わるが、結局この録音はお蔵入りに。その後、6年越しに”ゲット・バック・セッション”で演奏・録音され、『Let It Be』に収録される。

    27曲目「Lend Me Your Comb」28曲目「I’ll Get You」30曲目「I Saw Her Standing There」から34曲目「Roll Over Beethoven」は、1stアルバム『Please Please Me』のリリース後、TVやラジオに出演した時の演奏。27曲目「Lend Your Comb」は、英国放送協会(BBC)での放送のため録音されたカヴァー。原曲は1957年にリリースされており、その同年にカール・パーキンスがカヴァーしたヴァージョンを基にしたアレンジか。

    28曲目「I’ll Get You」はTV番組での収録で、絶えず黄色い歓声が上がるなかでの演奏。30曲目から34曲目は、スウェーデンのラジオ番組での演奏で、32曲目「Money」から34曲目「Roll Over Beethoven」は2ndアルバム『With The Beatles』に収録されるカヴァーだが、そのリリース前の演奏である。

    I'll Get You (Live On Sunday Night At The London Palladium)

    Written by ポニーのヒサミツ


    ザ・ビートルズ『Anthology Collection』
    2025年11月21日発売

    ① 8CDボックス・セット
    品番:UICY-80700/7
    価格:22,000円税込/完全生産限定盤
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    品番:UIJY-75340/51
    価格:69,300円税込/直輸入盤仕様/完全生産限定盤
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    ザ・ビートルズ『Anthology 4』
    2025年11月21日発売
    2CD / 3LP


    ザ・ビートルズ『Free As A Bird / Real Love』
    7インチ・ヴィニール:2025年11月28日発売
    CDシングル:2025年12月3日発売



  • ザ・ビートルズ『Anthology 3』DISC1収録曲解説:“ビートルズ版アンプラグド”と評された3作目

    ザ・ビートルズ『Anthology 3』DISC1収録曲解説:“ビートルズ版アンプラグド”と評された3作目

    1995年から1996年にかけて3回に分けて発売されたザ・ビートルズのアルバム『Anthology』が、最新リマスターだけではなく、未発表や最新ミックスされた音源が追加され、2025年11月21日に『Anthology Collection』(8CD/12LP)として発売された。

    新規追加された単独としても発売された新作アルバム『Anthology 4』も話題となっているが、今回は、リマスターされたアルバム『Anthology 1』から『Anthology 3』までのDISC1について、『レコード・コレクターズ 12月号』に掲載された作品解説を許諾を得たうえで順次公開。Disc2を含めた全文解説については、11月14日に発売されたザ・ビートルズが表紙の『レコード・コレクターズ 12月号』をご覧ください。雑誌の購入はこちらより。

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    「MTVアンプラグド」が人気だった1996年に発売された『Anthology 3』(以下、本作)は、“ビートルズ版アンプラグド”と評された。インド滞在中に書きためた曲を1968年5月後半にジョージ・ハリスンの家で録音したイーシャー・デモ(ディスク1の2曲目、4曲目から9曲目)などは、まさにアンプラグドだ。

    1968年の録音で占められるディスク1は、デモ以外はすべてEMIスタジオ録音。ほとんどの曲は『The Beatles』に収録されるが、4曲目と5曲目は『Abbey Road』に、7曲目は『McCartney』、19曲目は『George Harrison』のソロ作に。ディスク2は1969年の録音で占められる(22曲目は1970年、23曲目には1967年「A Day in the Life」のピアノが追加)。

    1曲目から9曲目、11曲目、12曲目はアップル・スタジオでのゲット・バック・セッション(以下、GBS)。それ以外はEMIスタジオ。ジョージが自分の誕生日に録音したのが10曲目、13曲目、16曲目。2曲目、9曲目、14曲目〜17曲目、20曲目は『Abbey Road』、1曲目、3曲目、4曲目、5曲目、8曲目、12曲目、21曲目、22曲目は『Let It Be』に。6曲目は『McCartney』、10曲目は『All Things Must Pass』とソロ作。録音日とテイク数を最初に記した以下の解説では、録音時の状況やユーモア溢れるしゃべり、完成版に使われなかった歌詞を中心に拾った。

     

    ディスク1

    1曲目「A Beginning」1968年7月22日:「Now and Then」で始まるはずだった本作は、代わりにジョージ・マーティン作曲のインストで幕を開ける。この録音の数日前に公開された映画『イエロー・サブマリン』では、オープニング・クレジットの後にこの曲が挿入されている。リンゴ・スターが何年も世に出させてもらえなかった初の自作曲「Don’t Pass Me By」をどう調理するか悩んだ末に出たのが、このインストを冒頭に追加するというジョン・レノンのアイディアだったが、奇妙すぎるとボツに。

    2曲目「Happiness Is a Warm Gun」: 完成版のヴァース1がない分、文学色が薄まりドラッグとヨーコ色が強い。途中コードを間違えたと悪態をつきつつ、ジョンがアコギを弾いて一人で歌う。

    3曲目「Helter Skelter」1968年7月18日 テイク2(edited): スロウなブルースのヴァージョン。この日、3テイク録音され、いずれも10分を超すジャムだった。“ヘルター・スケルター”はイギリスの遊園地にある大型滑り台で、私も乗ってみたが歌詞の動きそのままだった。卑猥な意味も含ませているのだが、さらにここでは「滑り台のてっぺんにまたよじ登っても、満足にハイになれない」と、ドラッグのイメージも登場する。

    4曲目「Mean Mr. Mustard」:ホームレスのマスタード氏のセリフ「あんちゃんこっちに来なよ。太もも握ってやるよ」をジョンがささやく。

    5曲目「Polythene Pam」:完成版にない歌詞「ちょいとばかばかしいかもしれんがあの娘育ちはいいんだよ」に注目。ジョンいわく「リヴァプール伝説のふしだら女」の歌なので、強烈なリヴァプール訛りで歌われる。

    A Beginning

    6曲目「Glass Onion」:完成版にある「セイウチはポールだった」や「レディ・マドンナがどうにかやりくりしようとしている」はできていない。完成版にない歌詞「(ストロベリー・フィールズと)同じくらい現実の場所があるぞ 実際に行くこともできる すべてが光る場所だ」があり、誘うように歌っていて、「助けて!」の言葉が聞こえる。

    7曲目「Junk」:このデモから何か月も経ったGBSでは、ポール・マッカートニーが自虐気味に「“Teddy Boy”と“Junk”覚えてる?」と言い、ジョンとシャンソン風にこの曲を歌うのだ。

    8曲目「Piggies」:歌詞で豚さん夫婦がフォークとナイフで食べるのが完成版ではベーコンだったが、ここではポーク・チョップ。

    9曲目「Honey Pie」:完成版にある英北部出身の娘がハリウッド女優になる物語のイントロと古いエンタメ色満載のブリッジはないが、後半のふざけた盛り上がりが良い。

    10曲目「Don’t Pass Me By」1968年6月5、6日:テイク3オケを利用したテイク5にヴォーカルを乗せた。完成版のフィドルがなくとも、リンゴがカントリー歌手になりきったしゃべり「待ってるよハニー、急いで来ておくれ。通り過ぎないで。泣かせないでおくれ。ハッピーにしてくれよ」が味わい深い。

    11曲目「Ob-La-Di, Ob-La-Da」1968年7月3~5日 テイク5:ジョンのしゃべりを編集で追加。曲前は「こちらはユナイテッド・ジャンボ・バンドによるテイク1でございます!」、曲後は「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダだぜ、ブラザー!」と、どちらも爆笑もの。完成版で登場人物の男女の役割が逆になっていたのが、この段階では正しく歌われている。

    A Beginning

    12曲目「Good Night」1968年6月28日/7月22日:ジョン「始まり方がすごくいい」、ジョージ「出だしが変わったね」、ジョージ・マーティン「さあやろう」と、冒頭の会話からもやる気が感じられるリハに、テイク34のオーケストラを追加。

    13曲目「Cry Baby Cry」1968年7年16日 テイク1:曲名自体マザー・グースの同名詩を元にしたCMから借用。マザー・グース「6ペンスの唄」も歌詞に引用。ジョンが10年以上後に書いた「Cleanup Time」でも同詩は引用され、どちらも詩と逆で、王は料理、女王は本曲でピアノを弾いていたのが、金勘定に。

    14曲目「Blackbird」1968年6月11日テイク23:この日の映像が残されているが、ポールは恋人フランシー・シュワルツと、ジョンはヨーコと一緒に同じスタジオにいる(ジョージとリンゴはアメリカ)。

    16曲目「While My Guitar Gently Weeps」1968年7月25日テイク1:他のメンバーのこの曲にかける熱意の薄さに失望したジョージが、完成版で聴けるエリック・クラプトンのギターを投入することになる。アコギとポールによるハーモニウムで演奏される本作では、「あなたが上演する演劇を舞台袖から私は見守る」の歌詞が聴ける。

    A Beginning

    17曲目「Hey Jude」1968年7月29日テイク2:演奏前のしゃべりで、ジョンが「僻地ブラック・カントリーから」と厳かに宣言すると、ポールが「俺がボストン・プレイスで強盗してた頃君が寄ってきて優しく抱きしめてくれた」とキャバレーの弾き語り風に応じる。前者の地名はイギリスの工業地帯で、後者はアップル・エレクトロニクス(責任者はマジック・アレックス)の所在地。

    18曲目「Not Guilty」1968年8月8、9、12日 テイク102(edited):ジョージいわく、ジョンとポールとアップルの錯乱状態を歌った曲。インドで嫌な目にあったのは俺のせいじゃない、 “not guilty” =無罪だと。100テイク以上重ねてもジョージはヴォーカルに満足できず、様々な場所を試す過程で「Yer Blues」を小部屋で録音する案が浮上。

    19曲目「Mother Natures Son」1968年8月9日 テイク2:ポールが一人で録音。曲の前に「声にスピーカーみたいなのがかかってるのが聞こえるんだけど、外してくれる?」「ああ、ならそのままでいいよ」とコントロール・ルームに確認する声。曲の後で「今宵続けてお届けするのは、私めの演奏で“Londonderry Air”」とおどけている。

    20曲目「Glass Onion」1968年9月11、12、13、16、26日:完成版でストリングスに置き換わる前の、様々なSEが聴ける。ジョンが一人で取り組んだもので、ガラスが割れる音や、サッカー実況の「ゴールを決めた!」の言葉が入っている。

    A Beginning

    21曲目「Rocky Raccoon」1968年8月15日 テイク8:この曲を1日で完成させたのは驚異的。ジョンの厳かな宣言「彼は自業自得の馬鹿者でした」で始まる。完成版にない歌詞では、「自分の愚かさを認めたがらない」主人公について「忘れちゃいけないのはですね ミネソタの小さな町の出身ということです 本来ならそんな若者がああいうこと(好きな女を取られて発砲)をすべきじゃない」と大げさなアメリカ訛りでボブ・ディランお得意のトーキング・ブルースにしながら、ミネソタ出身のディランを茶化している。途中「匂う」を言い間違えたポールが、笑ってしまい歌詞がぐだぐだに。

    22曲目「What’s The New Mary Jane」1968年8月14日 テイク4:ジョンの曲でジョージとヨーコ(絶叫が楽しい)とマル・エヴァンズと共に録音。エキゾチックな響きの名詞がたくさん出てきて、途中、外国人風の発音で歌われる。プラスティック・オノ・バンド名義で出そうと69年にリミックスするも、本作まで日の目を見なかった。

    23曲目「Step Inside Love / Los Paranoias」1968年9月16日:「I Will」録音の合間のジャムで、シラ・ブラックに提供した曲を歌った後でポールが、ジョー・プレーリーズ&ザ・プレーリー・ウォールフラワーズと、リヴァプールのバンド風に長い架空のバンド名で自分たちを呼ぶ。するとジョンが、パラノイアの集団のようなバンド名、ロス・パラノイアス(自分たちをよくこの架空のバンド名で呼んでいた)で応酬し、「ご参加お待ちしております。何でも歌いますから」とポールが即興で歌う。ジョンが女性の声で「もう無理よ」と言うのが笑える。

    A Beginning

    26曲目「Why Don’t We Do It In the Road?」1968年10月9日 テイク4:演奏後に「みんな(この時、他のメンバーは不在)どう思う? もっと良くなるかな」とポールが言っているが、会話の続きは『The Beatles』スーパー・デラックス・エディションのテイク5で聴け、「静かなヴァースとラウドなヴァースにしたいんだ」と言っている。硬軟混ぜる歌い方は、完成版では不採用に。この曲に関して、ジョン「ポールが俺たちを入れずに一人でやると、いつも傷ついた」、ポール「後でこの曲をジョンが歌っていた。気に入ってるみたいで、一緒にやりたかったようだ。ジョンっぽい曲だしね」の発言が残されている。

    27曲目「Julia」1968年10月13日 テイク2:冒頭の歌詞以外はほぼインストで、ジョンの非常に美しい演奏。演奏後にコントロール・ルームにいるポールとの、仲睦まじい会話が聴ける(交互にポール→ジョン)「最高のテイクだったね」「途中まではね」「また挑戦する? 一つか二つ、つまずいてたから」「1箇所あったな」「ともかく、本当にすごい演奏だった」「そっから始めてもいいよね」「お望みなら」「ノー」「すごくいい調子! ものすごく!」「今の完璧だったよね」「最高だったよ。なんなら編集してもいい」

    Written by 朝日 順子


    ザ・ビートルズ『Anthology Collection』
    2025年11月21日発売

    ① 8CDボックス・セット
    品番:UICY-80700/7
    価格:22,000円税込/完全生産限定盤
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    ② 12LPボックス・セット
    品番:UIJY-75340/51
    価格:69,300円税込/直輸入盤仕様/完全生産限定盤
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    ザ・ビートルズ『Anthology 4』
    2025年11月21日発売
    2CD / 3LP


    ザ・ビートルズ『Free As A Bird / Real Love』
    7インチ・ヴィニール:2025年11月28日発売
    CDシングル:2025年12月3日発売



  • ザ・ビートルズ『Anthology 2』DISC1収録曲解説:『Help!』のセッションから武道館まで

    ザ・ビートルズ『Anthology 2』DISC1収録曲解説:『Help!』のセッションから武道館まで

    1995年から1996年にかけて3回に分けて発売されたザ・ビートルズのアルバム『Anthology』が、最新リマスターだけではなく、未発表や最新ミックスされた音源が追加され、2025年11月21日に『Anthology Collection』(8CD/12LP)として発売された。

    新規追加された単独としても発売された新作アルバム『Anthology 4』も話題となっているが、今回は、リマスターされたアルバム『Anthology 1』から『Anthology 3』までのDISC1について、『レコード・コレクターズ 12月号』に掲載された作品解説を許諾を得たうえで順次公開。Disc2を含めた全文解説については、11月14日に発売されたザ・ビートルズが表紙の『レコード・コレクターズ 12月号』をご覧ください。雑誌の購入はこちらより。

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    『Anthology 1』の4か月後となる1996年3月18日に発売されたシリーズ2作目。『Help!』『Rubber Soul』(ともに1965年)、『Revolver』(1966年)、『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』『Magical Mystery Tour』(ともに1967年)までの5作に加えて、1968年2月のシングル「Lady Madonna」セッションまで、スタジオでの試行錯誤の刺激的な制作過程が垣間見える貴重な音源をまとめた充実作である。

     

    ディスク1

    まずディスク1の1曲目「Real Love」は、1979年にジョンがダコタハウスで録音したデモ音源を元に、「Free As A Bird」に続く2曲目の新曲として1995年2月にレコーディングされた。サイケデリックな色合いの強い「Free As A Bird」に対して「Real Love」は、曲名通りの“純愛ソング”。どちらが好きかでジョン(ビートルズ)の曲の嗜好がわかるが、この2曲は、さしずめ「Strawberry Fields Forever」と「All You Need Is Love」のどっちが好きか?と問われているような嗜好の違いがある、

    ただし「Real Love」のこのテイクはジョンのキンキン声が人工的に響くので、ヴォーカルだけ聴くと「Strawberry Fields Forever」に近い印象がある。『Anthology 4』に収録された「Real Love」(激変版)は、最新技術により「All You Need Is Love」以上にまろやかなジョンの歌声が堪能できる。

    Real Love (1996 Mix)

    ちなみに2015年に発売された映像版『1』ではジャイルズ・マーティンがリミックスを手掛け、ジェフ・リンの特徴的なダウンストロークのギター・フレーズが、よりヘヴィーなギター・サウンドへと大幅に変更されたほか、ギター・ソロも改変されていた。

    「Real Love」は1996年3月4日に先行シングルとして発売され、カップリングはいずれも『Anthology 2』未収録となった。7インチ・シングルとCDシングルには1965年8月30日のハリウッド・ボウル公演からの「Baby’s in Black」、4曲入りのCDシングルにはさらに『Revolver』のセッションから、イントロにリンゴのセリフの入った「Yellow Submarine」(テイク4、5/1966年5月26日、6月1日録音)と「Here, There and Everywhere」(テイク7と13/6月16日録音)が収録されている。

    2曲目から5曲目は『Help!』のセッションから。2曲目「Yes It Is」はテイク2にオフィシャルのテイク14を途中から被せたリミックス版(1965年2月16日録音)。3曲目「I’m Down」は「I’ve Just Seen a Face」「Yesterday」と同じ日(6月14日)に録音されたポール作の3曲のうちのひとつ。テイク1からエンジン全開。曲が終わったあとにポールが、『Rubber Soul』のタイトルのヒントとなった“Plastic soul, man, plastic soul”と呟いているところまで収録されているのがミソ。この曲は、もともと6曲目(「Help!」の前)に収録される予定だったのを、ポールの希望で3曲目に変更されたらしい。これで「Ticket to Ride」と「Help!」のシングルB面曲が続くことになり、ポールの曲が前半になかったのを解消する流れとなった。

    Real Love (1996 Mix)

    4曲目「You’ve Got to Hide Your Love Away」は、ジョンがブライアン・エプスタインに向けて歌ったと思しき曲で、『Anthology』の映像集でも、エプスタインの紹介映像のバックにこの曲が使われている。テイク1、2、5(テイク5は、オフィシャルのテイク9以外で完奏された唯一のテイク/2月18日録音)が聴ける。

    5曲目「If You’ve Got Trouble」6曲目「That Means a Lot」は『Help!』のアウトテイク。「If You’ve Got Trouble」はリンゴ用にジョンとポールが書いた曲で、4曲目「You’ve Got to Hide Your Love Away」と同じく2月18日に1テイクのみ録音された。「Ticket to Ride」の二番煎じと言えそうなギター・リフが耳に残るものの、この単調なロックンロールではなく、6月17日に録音されたバック・オーウェンズの「Act Naturally」のカヴァーをアルバム用に選んだのは真っ当な判断だった。映画『Help!』で主役を務めたリンゴが歌うからこそより引き立つ。「Act Naturally」はアメリカでも日本でもシングルとして発売されたが(B面は「Yesterday」)、「Yesterday」をなぜA面にしなかったのかと担当の高嶋弘之氏にお訊きしたら”あの時期はリンゴは日本で人気が高かったから”とのこと。

    6曲目「That Means a Lot」はフィル・スペクターの“音の壁”をさらにおどろおどろしくしたかのようなサウンドが奇妙奇天烈なポールの曲(2月20日録音)。アレンジやテンポを変えて何度もレコーディングが行なわれたが、やればやるほど悪くなる“ゲッティング・ワース”な一曲に。その中でもわりとまともなテイク1が収録されているが、 “can’t you see”とポールが歌い上げるフレーズが(個人的に苦手な)「What You’re Doing」に通じる趣あり。その後、ブライアン・エプスタインのNEMSがマネージメントしていたP・J・プロビーに提供された。

    『Help!』からさらにジョンとポールのアコースティック・ギターによる傑作2曲。7曲目「Yesterday」は、ポールが2番の歌詞の1か所を入れ替えて歌う、ストリングスがまだダビングされていないテイク1(6月14日録音)。8曲目「It’s Only Love」はオフィシャル版よりもより躍動感のある、リンゴのドラムがいいアクセントになっているテイク3と2を合わせたリミックス版。「It’s Only Love」が録音された6月15日は、『ミュージック・ライフ』の星加ルミ子氏がEMIスタジオでビートルズと初対面した日でもあった。

    Real Love (1996 Mix)

    9曲目から12曲目の4曲は、1965年8月1日にブラックプールのABCシアターで開催されたテレビ番組(生放送)「ブラックプール・ナイト・アウト」でのライヴ音源。現在ではすべて映像でも観られるので、70年代に海賊盤を楽しんでいた気分で音に接するのがいいかもしれない。とはいえ11曲目「Yesterday」は、映像で観たほうが魅力倍増になること請け合いである。

    冒頭で“リヴァプール出身のポール・マッカートニーです、オポチュニティ・ノックス!”とジョージに紹介されてポールが歌い出す。「オポチュニティ・ノックス」は、1968年にメリー・ホプキンが出演し、アップルとの契約のきっかけになった番組として知られているが、イギリス版「スター誕生!」と言えるその人気番組をジョージは引き合いに出し、ソロ・デビューを飾ったポールを茶化した、というわけだ。

    それだけではない。曲の終わりにジョンが花束を持って登場。ポールが花を受け取ったら枝から先は切られていて花束は受け取れず、しかもジョンの痛烈な「サンキュー、リンゴ!」の一声も入るのだ。リハーサルでは花束をポールに普通に渡していたのに、本番ではこの仕打ち、である。12曲目「Help!」はジョンのラリッたMCが最高。

    Real Love (1996 Mix)

    13曲目「Everybody’s Trying To Be My Baby」は1965年8月15日のニューヨーク、シェイ・スタジアム公演からジョージの溌剌としたヴォーカルが聴ける曲が選ばれた。ポールが歌う「She’s a Woman」の収録予定もあったようだが、その曲のライヴ音源は、日本武道館での演奏(25曲目「She’s A Woman」)から選ばれた。

    14曲目から16曲目は、『Rubber Soul』でのスタジオ・セッション曲。次作の『Revolver』からは6曲も選ばれていることを思うと、『Rubber Soul』からの曲は明らかに少ない。14曲目「Norwegian Wood (This Bird Has Flown)」は、セッション初日(10月12日)に録音されたテイク1で、オフィシャル版よりもジョージのシタールが拙い。

    15曲目「I’m Looking Through You」はテンポが緩めでアコースティック・ギターの音色が心地よい、改良前のテイク1(10月24日録音)。16曲目「12-Bar Original」は、ブッカー・T&ジ・MGズの「Green Onions」を彷彿させる、「Cry For A Shadow」(1961年)に次いで、あるいは「Flying」(1967年)よりも前に演奏されたインスト曲(11月4日録音)。もともと6分36秒あったテイク2の短縮版。ジョージ・マーティンのハーモニウムがいい味わいだ。

    17曲目からは、『Revolver』の制作過程の面白さが伝わるテイクばかり。17曲目「Tomorrow Never Knows」は、アルバム・セッションの初っ端となった1966年4月6日に録音されたテイク1。「Revolution」と「Revolution 1」以上に、オフィシャル版との表情の変化が楽しめるテイクで、映像版『Anthology』では、ポール、ジョージ、リンゴがこの曲のプレイバックをジョージ・マーティンとともに聴いている時に、リンゴが“泳ぐ真似”をしているのが印象的だった。そのくらい浮遊感のあるサウンドで、こちらもオフィシャルで出ていたら面白かったんじゃないかと思う。

    18曲目「Got to Get You Into My Life」も興味深いテイク。オフィシャル版はブラス・ロック的アレンジが軽快で重厚な仕上がりだったが、こちらは3人のコーラスを多用したテイク5(4月7日録音)。むしろ今の時代にもしっくりくる洒落たアレンジが耳に心地いい。19曲目「And Your Bird Can Sing」はポールお気に入りの、ジョンとポールがヴォーカルをさらに重ねている最中に笑いが止まらなくなる微笑ましいテイク2(4月20日録音)。

    Real Love (1996 Mix)

    20曲目「Taxman」は、後追いコーラス“anybody got a bit of money”のアイデアを取り入れたテイク11(4月21日録音)で、編集で追加されたエンディングのポールのギター・ソロはなく、普通に終わる。21曲目「Eleanor Rigby」はストリングスだけを聴かせるヴォーカルなし版(4月28日録音のテイク14)。バーナード・ハーマンが音楽を手掛けた映画『サイコ』とともに楽しみたい。㉒と㉓も興味深いテイクで、オフィシャル版4月27日録音の二日後に新たに録音されたものの、使われず未使用となったもの。

    22曲目「I’m Only Sleeping」のリハーサル・テイクは、29日録音のテイク5を録音する前にテープが巻き戻されてしまい、危うくすべて消去されてしまうところ、演奏が早めに終わり、1分だけ奇跡的に残ったという。オフィシャル版とは表情が大きく異なり、ヴィブラフォンをフィーチャーしたラウンジ感覚のあるサウンドが素晴らしい。23曲目「I’m Only Sleeping」は29日録音のテイク1。快活なサウンドで、睡眠誘導効果は低い仕上がりだ。

    Real Love (1996 Mix)

    『Revolver』の記念盤が22年に出たので、現在では貴重度はやや落ちたかもしれないが、それでも、20曲目から23曲目の4曲はここでしか聴けない。

    当初の予定では、『Revolver』セッションから「Paperback Writer」のヴォーカルだけを取り出したテイク、「I’m Only Sleeping」と「Love You To」の別テイクも収録される予定だったという。24曲目「Rock and Roll Music」25曲目「She’s A Woman」は1966年6月30日の日本公演から。当初は「Nowhere Man」も入る予定だったそうだ。25曲目のポールの“シマウマ”都市伝説は、やはり“She, my woman”に聞こえる。

    Real Love (1996 Mix)

    Written by 藤本 国彦


    ザ・ビートルズ『Anthology Collection』
    2025年11月21日発売

    ① 8CDボックス・セット
    品番:UICY-80700/7
    価格:22,000円税込/完全生産限定盤
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    ② 12LPボックス・セット
    品番:UIJY-75340/51
    価格:69,300円税込/直輸入盤仕様/完全生産限定盤
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    ザ・ビートルズ『Anthology 4』
    2025年11月21日発売
    2CD / 3LP


    ザ・ビートルズ『Free As A Bird / Real Love』
    7インチ・ヴィニール:2025年11月28日発売
    CDシングル:2025年12月3日発売



  • ザ・ビートルズ『Anthology 4』収録曲解説:“裏歴史”を最良の音質で捉え直すことのできる作品

    ザ・ビートルズ『Anthology 4』収録曲解説:“裏歴史”を最良の音質で捉え直すことのできる作品

    ザ・ビートルズの『Anthology Collection』(8CD/12LP)に収録され、単独としても2025年11月21日に発売された新作アルバム『Anthology 4』。

    この作品について、11月14日にザ・ビートルズが表紙&特集『レコード・コレクターズ 12月号』に掲載された解説記事を許諾を得たうえで公開。雑誌の購入はこちら

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    『Anthology 4』は、今回新たにコンパイルされたアルバムだ。ビートルズのほぼ全キャリアとなる1963年から1969年までのアウトテイク音源を中心として、1995年以降の2曲の新曲も新ミックスで収録されており、アンソロジー・シリーズの総決算的な“新作”といえる。

    これらの音源は、初お目見えとなる未発表テイク13曲と、2017年以降に続いてきた50周年記念の“Super Deluxe”シリーズの5タイトルからチョイスされた17曲が大きな軸になっており、いわば“Super Deluxe”のベスト・オブ的な側面もある。すなわち、ジャイルズ・マーティンらが心血を注いで音源に研磨を重ね、ビートルズの楽曲における新たな楽しみ方を示してきた足跡の、ひとつの結晶ともいえるわけだ。

    それらすべてがジャイルズによる2025年最新リマスタリングで生まれ変わっており、ビートルズの“裏歴史”を、現時点で最良の音質で捉え直すことのできる作品といえるだろう。それでは、未発表テイクを中心に各楽曲を解説していくことにする。

     

    ディスク1

    本作ではクオリーメンなどデビュー前の音源は割愛され、英ファースト・アルバム『Please Please Me』のオープニング曲「I Saw Her Standing There」のテイク2からスタート。配信のみで2013年に出たアルバム『Bootleg Recordings 1963』に収録されていたものだ。テンションもアンサンブルも完成形にほぼ近い演奏だが、ジョン・レノンによる低音部のコーラスが歌詞を間違えたり入り方をトチったりして失敗しているのと、間奏のギター・ソロもいささか散漫でまだできあがっていない。

    2曲目「Money (That’s What I Want)」も同じく『Bootleg Recordings 1963』で発表済みで、ジョージ・マーティンのピアノをダビングする前のテイク。テイク自体はほぼ完成形で、すでにコーラスもハンド・クラッピングも入っている。ピアノなしだと演奏の荒々しいガレージ・ロック感やジョンのワイルドなシャウトがむき出しになっていて、この頃の彼らの粗野な魅力がダイレクトに伝わってくる。

    3曲目「This Boy」は1995年のシングル「Free As A Bird」に収録されていたテイク12と13。始まってから1分ほどでメンバーが笑い出してしまって演奏が止まり、再び頭から演奏して今度はスムーズに進行するものの、終盤にまた笑い出してそのまま終わる。ポールの歌うようなベース・ラインが大きめなのも印象的。

    ここからは8曲連続で未発表テイクが続き、本作の最たる聴きどころといえるだろう。

    まず4曲目「Tell Me Why」のアウトテイクはこれが初出。1964年2月27日に8テイクが録音され、テイク8が完成形なのだが、ここではテイク4と5を収録している。ジョンのカウントから勢いよく始まるもすぐストップしてしまい、すぐさまやり直していい感じに転がっていく。ジョン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンによる3声コーラスもすでにできあがっていて、完成形とさして遜色のない、いい演奏だ。

    I Saw Her Standing There (Take 2)

    同じ2月27日の5曲目「If I Fell」はテイク11。『レコーディング・セッションズ完全版』(シンコーミュージック刊)によれば、ジョージ・マーティンのアドヴァイスでこのテイクからイントロにジョンのアコギ・カッティング、アウトロにジョージのギター・フレーズが加えられており、それが確認できる。1分53秒のところでメンバーが笑いそうになって崩壊しかけるも最後まで演奏し、前述したジョージのギターも入っている(いささか頼りなさげなプレイだが)。

    カール・パーキンスのカヴァーである6曲目「Matchbox」は1964年6月1日に5テイク録ったうちのテイク1。ジョージ・マーティンのピアノやイントロのハンド・クラッピングなどのオーヴァーダビング類がいっさいなく、ゴリゴリ感が露わになった演奏だ。メイン・ヴォーカルのリンゴ・スターはこの日、喉の調子が悪かったそうだが、そうとは思えないくらい彼らしくまろやかな高音のヴォーカルを聴かせている。ただ、間奏のギター・ソロの後、 “Till your big…” のところでミスってしまうのが惜しい。

    7曲目「Every Little Thing」は1964年9月30日のテイク6〜7。テイク6は始まって1分ほどまできたところでポールがゲップをしてしまい、彼が“ソーリー”と言っていったん頓挫。テイク7がスタートして順調に進んでいくものの、最後の最後でジョンが笑い出してしまってそのまま終了。

    ジョージ作の曲としては公式2曲目となる8曲目「I Need You」はテイク1を収録。完成形はヴォリューム・ペダルを施したギターのインパクトが絶大で、ボンゴやカウベルのパーカッション類も入っているのだが、それらのオーヴァーダビング類はなし。代わりに完成形にはないシェイカーがずっと鳴っており、とてもプリミティヴでソリッドなヴァージョンだ。ジョンによるアコギのカッティングが完成形の左チャンネルから右チャンネルに移動しており、アタックの強いダイナミックなプレイだし、ポールのベースも幾分フリーに弾いているなど、シンプルな曲だけに個々のプレイが際立っている。2分5秒あたりから誰かの笑い声が入り、つられてジョージも笑いかけてしまい、最後は爆笑になって崩れるようにエンディング。

    I Saw Her Standing There (Take 2)

    9曲目「I’ve Just Seen a Face」は6テイク録ったうちのテイク3。ポールによるカントリー&ウェスタン色の強い曲で、ベースレスでポール、ジョージ、ジョンの3人がすべてアコースティック・ギターをプレイする曲だ。完成形にあるイントロのガット・ギターや間奏のギター・ソロは入っていない。ポールがカウントを取って始めようとするがジョンがトチってしまい“ソーリー、ソーリー”と謝り、すぐさまやり直し。イントロや間奏を含めすでにできあがっており、特にリンゴの力強いブラシ・プレイが前面に出ていて、切れ味抜群の演奏。

    10曲目「In My Life」は3テイク録った中でテイク3が採用されたが、今回はテイク1を収録。完成形はジョンのヴォーカルが右チャンネル寄りのダブル・トラックだったが、ここではシングルでどっしりと鳴っており、彼のやわらかなヴォーカルがリアルに伝わってくる。間奏のジョージ・マーティンによるピアノ・ソロやタンバリンはまだ入っていないが、コーラスはすでに入っており、ナチュラルなミックスも含めて完成形に匹敵する仕上がりだ。

    I Saw Her Standing There (Take 2)

    11曲目「Nowhere Man」は1965年10月21日に録音されたファースト・ヴァージョンのテイク1。ジョンをメインとするコーラス・ワークで始まるのは完成形と同じだが、譜割りが異なる。出だしの“ヒーーー”と伸ばすところを“ヒー”とコンパクトにしており、それも最初の2行分しか歌われず、後は演奏のみが続く。曲構成は完成形に近いが、ギター・ソロなどは入っていない。この日は行き詰まってしまい作者のジョンは曲を練り直すことにしたが、翌日の22日にはセカンド・ヴァージョンをあと3テイク録って完成にこぎ着けている。

    未発表テイク連発がひと段落したところで、ここからはスーパー・デラックス・シリーズで日の目を見たアウトテイクが続く。

    12曲目「Got to Get You into My Life」は『Revolver』Super Deluxeのディスク2に収録されていたセカンド・ヴァージョンのアンナンバード・ミックス。1966年4月7日録音のファースト・ヴァージョンからはダンサブルに姿を変え、ブラス・セクションが入る前だがそのブラス部分をファズ・ギターで鳴らし、この曲の方向性を示してみせた重要なテイクだ。

    同じく『Revolver』Super Deluxeのディスク2からの13曲目「Love You To」は完成形に近いテイク7。アニール・バグワットのタブラも入ったテイクで、完成形はフェイド・アウトだが、このテイクではエンディングまで演奏。完成形では削られてしまったポールのコーラスも聴ける。

    『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』に移り、同時期に録音の14曲目「Strawberry Fields Forever」はSuper Deluxeのディスク2収録のアウトテイク3種のうち、テイク26が選ばれた。完成形よりもかなりテンポの速いテイクだが、これとテイク7の速度を均一化してつなぎ合わせて完成に至っている。このテイク26は使用された後半部分、特にインタープレイでのスピード感にあふれた演奏とケイオティックな音像がすごい。

    15曲目「She’s Leaving Home」は同じくSuper Deluxeのディスク3に収録されたテイク1(インストゥルメンタル)。メンバー不参加で、10人のクラシック系ミュージシャンによる演奏のみ。今回のリマスタリングで弦楽器の立ち上がりがいっそうナチュラルになった。

    再び未発表テイクが連続する。

    16曲目「Baby, You’re a Rich Man」は1967年5月11日に12テイク録ったうちの最後、テイク11とテイク12を収録。テイク11と思われる前半は演奏を始めてすぐ終わってしまい、ほとんどリハーサルのようなテイク。後半のテイク12はクラヴィオラインやハンド・クラップ、タンバリンなどのオーヴァーダブものはまだ入っていないが、ピアノを含む演奏はすっかりできあがっている。なによりも圧巻なのがジョンのヴォーカルで、終盤にかなりのテンションでしゃくり上げるようなシャウトを繰り返し、演奏もそれに引っ張られてか相当に熱を帯びている。

    17曲目「All You Need Is Love」は、1967年6月25日の宇宙中継特別番組「アワ・ワールド」の本番直前にBBCで放送されたリハーサル部分だろう。日本でも放送された有名な映像で、その音源を編集しており、リハの状況を説明するアナウンサーの声も入っている。この日、リハーサル・テイクとして録られた三つのテイクのどれかと思われ、オーケストラとの共演でほぼ完成形の演奏。ジョンはリハだけにかなりリラックスしていて幾分ラフに歌っており、時折シャウトも入れている。完成形よりもオーケストラの演奏が明瞭で、その音圧や美しさにゾクゾクさせられるし、全体としても各楽器の粒立ちがくっきり。歌が終わった後の5分過ぎにインダストリアルなハンマー音が入っている。オーケストラはエンディング近くの「In The Mood」も含めて演奏している。

    I Saw Her Standing There (Take 2)

    18曲目「The Fool on the Hill」のアウトテイクは『Anthology 2』にデモとテイク4が収録されていたが、今回はそのテイク4の翌日となる67年9月26日のテイク5が初お目見えとなった。このテイク5は“ほとんど作り直し”といわれるほどテイク4からガラリと変化しており、大半の楽器が新たに演奏したと思われる。インストだが、わずか1日でイントロのピアノ・フレーズやブラシのドラミングなどがまったく変わり、ほぼ完成形のスタイルができあがっていて、その進化ぶりにいささか驚かされる。今回はアコギの響きをずいぶん強調していて、特に2ヴァースめで空間を右から左へと漂うように鳴るアコギがとても美しい。間奏のフルートも入っている。このテイクは約4分42秒と長く、完成形では2分59秒に短縮されている。

    ディスク1最後を飾るのが19曲目「I Am the Walrus」。『Anthology 2』に収録の1967年9月5日のテイク16はオーヴァーダブ類なしのメンバーによる演奏だったが、今回のテイク19はその逆で、9月27日のオーケストラによるオーヴァーダブ・セッション。よってメンバーの演奏は入っておらず、ガイドライン的に流しているテープのヴォーカルが小さく聞こえるのみ。参加しているのはヴァイオリン8台、チェロ4台、コントラバス・クラリネット1台、ホルン3台の総勢16名。こうやってオーケストラ部分だけ聴くと、予測不能な急展開が極めてスリリングで、アレンジを施したジョージ・マーティンのアヴァンギャルドなセンスを再認識せずにはいられない。弦楽器や管楽器がいっそう生々しく迫ってくるというところでも貴重な録音だろう。なお曲の終盤、4分15秒過ぎから、完成形にはないホルンのフリーなアドリブ的プレイが聴ける。

    I Saw Her Standing There (Take 2)

     

    ディスク2

    ディスク2はこれが初出となる「Hey Bulldog」から始まる。1967年2月11日にわずか10時間で10テイクを録って完成まで至ったといわれており、そのテイク4。インストゥルメンタルでポールのヴォーカルは入っていないが、メインとなるピアノとギターのリフはすでにできあがっている状態で、いささか覇気に欠ける感はあるものの、エンディングまで演奏。

    2曲目からはSuper Deluxeの既発曲を連発していく。

    まずは『The Beatles』(通称 “White Album”)収録曲が7曲続いており、2曲目「Good Night」はテイク10。テイク5のギター・プレイとリンゴのヴォーカルに、3人のコーラスを加えており、完成形とはまるで違うわけだが、これはこれで穏やかな味わいがある。

    3曲目「While My Guitar Gently Weeps」はサード・ヴァージョンのテイク27で、リメイクを繰り返した後、完成形のスタイルにたどり着いており、このテイクはイントロのピアノやギターのフレーズが若干異なるものの、ほぼできあがっている。この後、エリック・クラプトンが弾くことになる“泣きのギター”も、ジョージが弾きまくり。

    4曲目「(You’re So Square) Baby I Don’t Care」5曲目「Helter Skelter」はセット的なもの。「Helter Skelter」をプレイする前の“景気付け”的な位置付けとしてエルヴィス・プレスリーのカヴァー「(You’re So Square) Baby I Don’t Care」を演奏し、そのまま「Helter Skelter」へとなだれ込む。ブルース調のファースト・ヴァージョンから大きく変化したヘヴィ・ロック的なセカンド・ヴァージョンのテイク17だ。ポールのイカれたようなハイ・テンションのヴォーカルがすごい。

    I Saw Her Standing There (Take 2)

    6曲目「I Will」7曲目「Can You Take Me Back?」もセット。1967年9月16日の「I Will」セッションでポールは5曲のカヴァーや即興曲を次々に歌っており、その中の2曲だ。ポールがウィスパーといえるくらいのひそやかな声で歌っているのが妙味。

    そして8曲目「Julia」はリハーサル・テイク。ジョンは最初にアコギのストロークで始めるが途中でやめてしまい、仕切り直して今度は完成形と同じアルペジオで弾いている。

    最後の2枚のアルバム『Let It Be』『Abbey Road』関連音源に移り、9曲目「Get Back」はSuper Deluxe収録のテイク8。ほぼ完成形のスタイルができあがっていて、ビリー・プレストンのエレピも入っている。最後のジャム・パートでの、ジョージのかなり遊んでいるソロが聴きもの。

    10曲目「Octopus’s Garden」はモノラルのリハーサル・テイク。ピアノだけの演奏でリンゴがいささか遠慮気味に彼特有のマイルドな声で歌っている。

    11曲目「Don’t Let Me Down」はルーフトップ・ライヴの1回目のテイクで、最後のビリー・プレストンのエレピ・ソロが幾分フリー。

    12曲目「You Never Give Me Your Money」は1969年5月6日のテイク36。ポールのかなり丁寧な歌い方のひそやかなヴォーカルがいい味。

    13曲目「Here Comes the Sun」は7月7日のテイク8で、清涼感あふれるイントロから全体の構成までほぼできあがっているが、リンゴのドラムスがあれこれ探り探り試しているようなプレイで、間奏パートがやや長く取られている。

    14曲目「Something」はテイク39のストリングス・パートのみのインストゥルメンタル。総勢21人ものストリングスの演奏だけを聴くというのは、その壮麗な美しさがいっそう際立っていて、息を呑む迫力だ。起伏に富んだ構成も見事で、アレンジを施したジョージ・マーティンのすごさを改めて感じさせる。

    I Saw Her Standing There (Take 2)

     

    3つの新曲

    さて、アルバムの最後を締めくくるのは、1995年以降に出た新曲3曲だ。そのうち15曲目「Free As A Bird」16曲目「Real Love」の2曲はオリジナルのプロデューサーでもあるジェフ・リンが最新ミックスを手がけており、“デミックス”の技術によってジョンのヴォーカル・トラックが分離及び抽出され、新たに生まれ変わっている。本作のもうひとつの目玉といえるだろう。

    まず「Free As A Bird」はそのヴォーカルがオリジナルよりも前面に出ていっそう生々しくなり、コーラス・ワークとの絡みやポールのヴォーカルへのつなぎも違和感がなくなり、とてもナチュラルな仕上がりだ。また、この曲はサウンド面も特筆すべきで、これまでは引っ込んでいたアコギのカッティングを前面に出し、滝の流れが落ちてくるさまをイメージさせるような、ウォール・オブ・サウンドのような立体的音像を生んでいる。ちょっと鳥肌ものの感動的なミックスだ。

    I Saw Her Standing There (Take 2)

    デミックスの効果というところでは、もうひとつの「Real Love」の方がさらに上だ。オリジナルのヴォーカルはいささか濁ったような質感だったが、今回はそれがかなりクリアになって前面に出ており、やはりコーラスとの絡みもスムーズ。サウンド面でも「Free As A Bird」と同じ考え方で、アコギのシャープな鳴りを強調して奥行きのある音像を成し得ており、その中でジョンのヴォーカルも自然に溶け込んでいる。また、この曲はオリジナルの3分54秒よりも19秒短い3分35秒で、それはインタープレイでのフェイド・アウトが早いからだ。オリジナルではフェイド・アウトしながらギター・ソロが聞こえるが、今回はそれよりも前に終わってしまうので、まったく聞こえない。

    I Saw Her Standing There (Take 2)

    そしてラストは“最後の新曲”の「Now and Then」で幕を閉じる。

    Written by 小山 守


    ザ・ビートルズ『Anthology 4』
    2025年11月21日発売
    2CD / 3LP


    ザ・ビートルズ『Anthology Collection』
    2025年11月21日発売

    ① 8CDボックス・セット
    品番:UICY-80700/7
    価格:22,000円税込/完全生産限定盤
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    ② 12LPボックス・セット
    品番:UIJY-75340/51
    価格:69,300円税込/直輸入盤仕様/完全生産限定盤
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    ザ・ビートルズ『Free As A Bird / Real Love』
    7インチ・ヴィニール:2025年11月28日発売
    CDシングル:2025年12月3日発売



  • ビートルズの新作『Anthology 4』に収録の2曲がシングルで発売。CDは12/3に日本限定発売

    ビートルズの新作『Anthology 4』に収録の2曲がシングルで発売。CDは12/3に日本限定発売

    ザ・ビートルズの『Anthology Collection』(8CD/12LP)に収録され、単独としても発売された新作『Anthology 4』から「Free As A Bird」と「Real Love」のジェフ・リンによる2025ミックスを収録した7インチ・アナログ・シングル盤が、2025年11月28日に日本で唯一のザ・ビートルズのオンラインストアであるTHE BEATLES STORE限定でサプライズで発売が開始となった。

    さらに世界で日本でのみCDシングルの発売も発表となり、こちらは通常のプレイヤーでも再生可能な高音質CDであるSHM-CDにて12月3日に発売となる。

    また「Free As A Bird」と「Real Love」のシングル・カバーをフィーチャーしたTHE BEATLES STORE限定公式Tシャツの同時発売も決定し、CDか7インチと同時購入で割引価格で手に入れることができる。

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    今回ダブルA面として発売となる「Free As A Bird」と「Real Love」は、ジェフ・リンがジョン・レノンの残されたボーカルを用いて新たな命を吹き込んでオリジナルのアンソロジーに収録された新曲だ。これは1970年代にジョンが自宅録音したデモ音源を基に制作され、後にポール、ジョージ、リンゴが録音したボーカルと演奏パートで完成された作品。今回も同じくジェフ・リンが手掛けた最新ミックスとなっている。

    Written by uDiscover Team


    <発売タイトル>

    ザ・ビートルズ『Free As A Bird / Real Love』
    7インチ・ヴィニール:2025年11月28日発売
    CDシングル:2025年12月3日発売

    THE BEATLES STORE限定公式Tシャツ

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    ザ・ビートルズ『Anthology 4』
    2025年11月21日発売
    2CD / 3LP


    ザ・ビートルズ『Anthology Collection』
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    ① 8CDボックス・セット
    品番:UICY-80700/7
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    品番:UIJY-75340/51
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