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キム・カーンズのグラミーの素晴らしい一夜

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約7年間の沈黙を経た1982年2月24日、ある楽曲が脚光を浴びた。その曲「Bette Davis Eyes(邦題:ベティ・デイビスの瞳)」を歌っていたのはキム・カーンズ。既に10年のキャリアを積んでいたものの、ブレイクできずにいたアーティストだ。この曲の作曲者の一人で音楽を担当したのは「Needles and Pins」「When You Walk In The Room」、そして「Put A Little Love In Your Heart」などのヒット曲を歌ったジャッキー・デシャノン。ちなみに、彼女はザ・ビートルズが初のアメリカ・ツアーを行った際のオープニング・アクトの一人でもあった。

作曲家、ヒット・メーカー、そしてパフォーマーとして1960年代初頭からすでに活動をしていたジャッキー・デシャノンは、彼女の名をハリウッドを代表するスターの一人として決定づけることになったこの曲「Bette Davis Eyes」を1974年のアルバム『New Arrangement』で発表していた。共作者として作詞を担ったのは1960年代後期にレコーディング・デビューし、ジョー・コッカーのマッド・ドッグス&イングリッシュメン・ツアーに参加し彼女と同様に活動実績のあるシンガー・ソング・ライターのドナ・ワイスだ。ただしジャッキー・デシャノンのオリジナルのヴァージョンはジャジーでスウィング感のあるもので、7年後のキム・カーンズのヴァージョンとは印象が大きく異なっている。

Bette Davis Eyes

一方のキム・カーンズは、1971年のデビュー以来5枚のアルバムを録音していたが、そのうち実際にチャートに食い込んだのは5枚目の『Romance Dance』だけだった。しかしそれでもレコーディングを続けた彼女が1981年の春にリリースしたアルバム『Mistaken Identity』には、ジャッキー・デシャノンのオリジナルのアレンジとは全く異なるヴァージョンの「Bette Davis Eyes」が収録されていた。

キム・カーンズによるこの曲は国内外ともに一大センセーションを巻き起こし、全米シングル・チャートでは1位の座に9週間君臨して1981年のアメリカ最大のヒット曲となり、グラミー賞にもノミネート。そして第24回グラミーが行われたシュライン・オーディトリアムの夜、2名の作家と1名のパフォーマー両方に勝利の女神が微笑んだのだった。

「Bette Davis Eyes」によって、キム・カーンズとプロデューサーのヴァル・ガレー(冒頭の写真の2名だ)には最優秀レコード賞が、ジャッキー・デシャノンとドナ・ワイスには最優秀楽曲賞がもたらされた。受賞5回のクインシー・ジョーンズやこの世を去ったジョン・レノンへの称賛で賑わったこの夜、キム・カーンズとジャッキー・デシャノンも幸せな気分で帰路についたことだろう。

Written by Paul Sexton


『Mistaken Identity』
spotify_logo_linkhttps://open.spotify.com/album/3iMwQk5yE0UDDKbLCdcxZA

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