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チャック・ベリーがチェス・レコードに復帰して放ったヒッピーの物語「Tulane」

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チャック・ベリーの数々の名作のほとんどが彼のキャリアの初期に生まれたが、ロックン・ロールの先駆者が後期に制作し、過小評価されがちな楽曲を探求するのも非常にやりがいのあることだ。今回は傑作「Tulane」に焦点を当てよう。1970年にチャック・ベリーのチェス・レコードへの復活を遂げた楽曲であり、その7年後にイギリスのグループがカヴァーしたことでまたもヒットした。

彼のキャリア初期の忘れられないチェス・レコードでの活動は、チャック・ベリーが大いに貢献したロックン・ロールのサウンドのお手本とも言える楽曲揃いだったが、その後チャック・ベリーはマーキュリーへと移籍した。1966年から1969年の間にチャック・ベリーがマーキュリーで制作したアルバムの中には、スティーヴ・ミラー・ブルース・バンドとの共演を収録した初となるライヴ・アルバム『Live At Fillmore Auditorium』がある。マーキュリーでの最後のスタジオ・アルバムは印象的なタイトルの『Concerto In B. Goode』だった。

しかし、1970年にチャック・ベリーはチェスに戻り、3年間の契約の中で、のちの大ヒットとなったライヴ曲「My Ding-A-Ling」を制作した。その状況にふさわしく『Back Home』と名付けたチェス復帰第1弾のレコーディングを1969年11月にテル・マー・スタジオで開始し、翌年にさらにレコーディング・セッションを行った。

そのアルバムの前にリリースされた唯一のシングルが「Tulane」であり、本記事のトップの写真の通り、それはBillboard誌の広告で、“The man is back where he belongs(戻るべき所に帰ってきた)”と宣言されていた。「Tulane」は、チャック・ベリーの唯一無二のストーリー・ソングのコレクションに加わる名曲でありながら、当時のカウンター・カルチャーを考慮したものだった。

物語は、チュレーンとジョニーのヒッピー2人のカップルが「novelty shop / 雑貨店」を営み、 「the cream of the crop / 最高のもの」を販売しているといったもので、婉曲的に大麻の関連グッズを販売する店について語っている。警察の取り締まりで捕まり、ジョニーは 「rotten, funky jail / 腐った最悪の刑務所」に行くことになり、チュレーンに弁護士を雇って「get things fixed / 解決してくれ」と嘆願する。サウンド面ではボブ・バルドリの素早いハーモニカとフィル・アップチャーチのベースがチャック・ベリーのトレードマークであるギターのパートを引き立てる。また、このセッションでチャック・ベリーはチェスのキーボード・プレイヤーだったラファイエット・リークとの再会も果たした。

この見事な作品はチャートで栄光に輝くことはなかったが、アメリカの著名な批評家ロバート・クリスゴーに称えられ、のちに「チャックの“Sweet Little Sixteen”が高校を見事に解釈したように、「Tulane」はヒッピーでいることを見抜いた解釈である」と述べた。

『Back Home』はその年の後半にリリースされ、物語の続きを語ったブルージーな続編で、シングルのB面にも収録されていた「Have Mercy Judge」も収録されていた。「Tulane」の魅力は1977年にバーミンガムのロッカー、スティーヴ・ギボンズ・バンドがカヴァーをリリースしたことでさらに伝わり、またのちにジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ(1988年)とクリス・スミザー(1991年)もカヴァーした。

Steve Gibbons Band – Tulane [1977]

Written by Paul Sexton


チャック・ベリー『Back Home』

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