ブライアン・メイがゲイリー・バーロウに話したことと、復刻盤『Another World』の聴き所

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ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第59回。

今回はテイク・ザットのゲイリー・バーロウによるブライアン・メイ(Brian May)のインタビューや、2022年4月22日に復刻発売されたブライアンの2枚目のソロ・アルバム『Another World』に収録された楽曲、とくにディスク2の収録曲などについて。

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ゲイリー・バーロウが聞いたこと

最近面白いインタビューを見つけました。BBC Radio 2で放送されたブライアン・メイのインタビューで、テイク・ザット(Take That)のゲイリー・バーロウがプレゼンターの「We Write The Songs」。Podcastとしても公開されています(一部動画も公開)。

ゲイリー・バーロウもイギリスを代表する素晴らしいシンガーソングライターですが、そんなゲイリーが、背筋をピンと伸ばし、丁寧に言葉を一つ一つ選びながら、尊敬の念を持ってブライアンに質問している姿が、とても微笑ましい番組です。

ブライアンが音楽を始めた少年時代のストーリーから始まり、影響を受けたアーティストなどさまざまな視点で話を聞いています。7、8歳の時に友達のお姉さんが持っていたリトル・リチャードのレコードを聴いて「一体これは何なんだ」と驚いた時の話、そしてギターを始めたいと父親に相談、でもギターを買う余裕がない家だったから、作ってしまったという話。そのギターの完成までに2年かかったという話。みんな知っているよ、という内容でも、ゲイリーは聞きたくて仕方がなかったようです。ブライアンも細かく丁寧に答えていました。

ブライアンのキャリアには欠かせない父親の話もたくさん出てきました。バンド結成時の話では、ブライアンとロジャーはスマイル(Smile)時代からお互いの音楽に対するヴィジョンをシェアしてきたけれど、ヴォーカルのティムが脱退し、フレディが参加してからは、よりそのヴィジョンがクリアになったこと。フレディは、シャイだったけど、無名時代からロックスター然としていたこと。そしてあの歌声は、最初から持っていたものではなく、フレディが何度も何度もデモ作りの段階で歌い直しを続けて、早々に自分のものにしたこと。

そしてバンドに何らかの光が見えたのは、強烈な個性を持った3人のミュージシャンに合うベーシストジョンがオーディションもなく、一回の演奏でメンバーになった時からだったということ。すべてのヴィジュアル・イメージ、音楽に伴うイメージ、衣装などをフレディがクリエイトしたことで、バンドの方向性が明確になったこと。

ゲイリーは、多くの人がオール・タイム・ベスト5に入れるだろう名曲「Bohemian Rhapsody」について聞くと、未完成なままCapitol Radioの人気DDJ、ケニー・エヴェレットにリークされオンエアーされてしまったこと。「The Prophets Song(預言者の歌)」もまだまだ仕上げられていない段階でリークされ、ブライアンは隣の家から流れてきたラジオで聞いてしまったことも話していました。

「ライヴ・エイド」のバックステージでのこと、ゲイリーが大好きな曲「The Show Must Go On」のレコーディング・プロセス、フレディを亡くした時の怒りにも似たやるせない気持ち、その時はクイーンのことを一切話したくなかったという話。『Made In Heaven』は最終的には慈愛のアルバムになったけど、最初は痛みだったことなど、切なくも、興味深いエピソードが聞けました。ぜひみなさんも聞いてください。

インタビューアーとしてのゲイリーもよく頑張りました!久しぶりに新鮮な気持ちでクイーンのエピソードを聞きました。(*音声はこちら

『Another World』復刻盤の聴き所

さて、前置きが長くなってしまいました。ブライアン・メイのセカンド・ソロ・アルバム『Another World』の復刻盤がついに発売になり、CD2に収録されている「ANOTHER DISC」もベールを脱ぎました。

この作品でブライアンを支え、ソロ・デビュー・アルバム『Back to the Lights』に続いて再びドラマーとして参加したコージー・パウエルが、アルバム発売年の1998年に交通事故で亡くなっています。オープニングは、ブライアンのコージーへの追悼メッセージが流れ、「The Business (Rock On Cozy Mix)」が収録されました。ミックスはよりコージーのツイン・ドラムスの重低音が響いて、とても聞き応えのあるヴァージョンに仕上がり、より切なさを感じます。

また「Cyborg」でドラムを叩いたフー・ファイターズのテイラー・ホーキンス(3月25日に急逝)のパワフルな演奏も、彼を追悼する楽曲となってしまいました。

アナザー・ディスクには、ソロ・インストゥルメンタル・ヴァージョンが収録されています。そしてT.E.コンウェイ(T.E Conway)名義でリリースした「Maybe Baby」「It‘s Only Make Believe」「Hot Patootie」「F.B.I」も収録されています。

ゲイリーのインタビューで、フレディが亡くなって、ソロ・アルバムを制作することが気持ちの吐口となっていたけれど、自分はシンガーではない、とブライアンは言っているんです。その発言は意外でした。私にとって、クイーンの声はフレディであり、ブライアンであり、ロジャー。メインはフレディであっても、ブライアンの歌声は、絶対に欠かせないクイーンの声であると…。とはいえ、ブライアンの思いは別のところにあったのでしょう。この「ANOTHER DISC」に収録されているT.E.コンウェイ名義の楽曲を聴くと、別のシンガー名として存在することで、新しい自分をみつけたかった時期だったのかもしれません。

「ANOTHER DISC」には、「On My Way Up」「Hammer To Fall」のライヴ・テイクも収録されています。クイーンとは違ったソロの「Hammer To Fall」をお楽しみください。

そして1980年にレコーディングしたピアノ楽曲「My Boy」がラスト曲となります。自分のルーツを辿るカバー曲、ジェフ・ベックをはじめとする影響を受けたアーティストたちとの共演など、ギタリストブライアン・メイが、長い悲しみから立ち上がったアルバムが『Another World』。音楽を奏でる喜びを表現した作品となっています。

Written By 今泉圭姫子



ブライアン・メイ『Another World』

2022年4月22日発売
国内盤2CD / 国内盤1CDiTunes Store / Apple MusicAmazon Music /


今泉圭姫子のThrow Back to the Future』 バックナンバー


今泉圭姫子(いまいずみ・けいこ)

ラジオDJ、音楽評論家、音楽プロデューサー
1978年4月、湯川れい子氏のラジオ番組「全米Top40」のアシスタントDJのオーディションに合格し、この世界に入る。翌年大貫憲章氏とのコンビでラジオ番組「全英Top20」をスタート。以来現在までにラジオDJ以外他にも、テレビやイベント、ライナー執筆など幅広く活動。また、氷室京介のソロ・デビューに際し、チャーリー・セクストンのコーディネーションを行い、「Angel」のLAレコーディングに参加。1988年7月、ジャーナリスト・ビザを取得し、1年間渡英。BBCのDJマーク・グッドイヤーと組み、ロンドン制作による番組DJを担当。
1997年、ラジオ番組制作、企画プロデュースなど活動の場を広げるため、株式会社リフレックスを設立。デュラン・デュランのジョン・テイラーのソロとしてのアジア地域のマネージメントを担当し2枚のアルバムをリリース。日本、台湾ツアーも行う。
現在は、Fm yokohama「Radio HITS Radio」に出演中。

HP:http://keikoimaizumi.com
Twitter:https://twitter.com/radiodjsnoopy
Radio:Fm yokohama「Radio HITS Radio」


 

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