クイーンの隠れた名曲:映画『ボヘミアン・ラプソディ』で彼らを知った人に聴いて欲しい楽曲

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Photo by Denis O’Regan ©Queen Productions Ltd.

ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第48回。今回は、2021年5月19日に発売となるクイーンのオリジナル・アルバム全15作【リミテッド・エディション】の発売にあわせて、クイーンの隠れた名曲について。これまでの連載一覧はこちらから

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クイーンのオリジナル・アルバム全15作のリミテッド・エディションが再発売されます。今月は、映画『ボヘミアン・ラプソディ』でクイーンを知った方々に、アルバムに収録されている隠れた(?)名曲をご紹介します。

まずはデビュー・アルバム『Queen(戦慄の王女)』から。ファースト・アルバムには、前身バンドSmile時代から演奏していた曲や、フレディ・マーキュリーがソロ・デビューするために書かれた曲も入っています。全体的にプログレッシブなサウンドに、クラシックの組曲のように構成されている曲が多く、初期のクイーン・サウンドを象徴しています。なかでも、フレディのペンによる「Great King Rat」は、ヴォーカル、コーラス、ギター、ドラムス、ベースのそれぞれが強力なまでに主張しているサウンド。『Live At Rainbow 74』でライヴテイクが聴けまるので、ライヴもぜひチェックしてください。

続いて、セカンド・アルバム『Queen Ⅱ』。このアルバムは、1枚の作品として全曲聴いていただきたいアルバムですが、あえて名曲を1曲選ぶなら「The March of The Black Queen」。ブライアン・メイは、この曲があって「Bohemian Rhapsody」が生まれたと言っています。「Nevermore」の美しいピアノの音色とフレディの歌声のコラボレーションの次に流れる「The March of The Black Queen」は、オペラティックなコーラスとフレディのヴォーカルが七変化していくのが魅力。優しく、かわいらしい(私には)声は、この曲でしか聴けません。「Reminds me」という歌詞が、「イマイズミ」に聴こえて喜んでいた高校生でした。

サード・アルバム『Sheer Heart Attack』からは、「Brighton Rock」も大好きですが、7曲目と10曲目の「In The Lap of The Gods」。2曲合わせて聴いてください。ハイトーンヴォイスから始まる7曲目は、映画のサウンドトラックのようにも聴こえます。一時期、ライヴで演奏しなくなったことがあり、ブライアンに「ぜひまたライヴで聴かせて欲しい」と直訴した思い出があります。アルバムの最後を飾る「In The Lap Of the Gods… Revisited」は、ライヴで演奏されるテイクです。

『A Night At The Opera』からは、ダントツでブライアンのペンによる大作「The Prophet’s Song」。1976年3月31日、日本武道館に鳴り響いたこの曲を忘れることはできません。クイーンの楽曲の中で、最も長い曲と言われいます。でもその長さを感じさせない、ドラマチックな曲構成にうっとりします。

『A Night At The Races』からは、やはり「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)(手をとりあって)」。昨今、日本のマーケットを意識し、海外アーティストが日本語ヴァージョンをリリースしますが、そう言ったマーケット展開の意図とは違う次元で制作されました。自分たちを温かく迎え入れてくれた日本のファンへの感謝の気持ちが込められています。日本のクイーン・ファンは、この曲を誇りに思わないといけません。フレディはソロ・アルバム『Barcelona』でも、日本語で歌う「La Japonaise(ラ・ジャポネーズ)」を制作しました。美しい日本のことを歌にしたかったと語っています。

『News Of The World』からは「Who Needs You」。「We Will Rock You」「We Are The Champions」といった名曲を生んだこのアルバムでは、新しい試みを取り入れ始め、未来のクイーンに、新たな方向性が生まれることを予測できました。その中でも、ジョン・ディーコンのペンによる「Who Needs You」は、マラカスやカウベルを使ったあたたかなサウンドで、安らぎを与えてくれました。

前作に続き、やはり冒険してきたアルバム『JAZZ』からは「Dead On Time」。アグレッシヴなロック・サウンドで、クイーン独特のコーラスワークが生かされています。目まぐるしいサウンド展開もクイーンならではのアプローチ。シングル・カットされた「Bicycle Race」のチリンチリンに戸惑いを覚えつつ、アルバムの中には、こういった楽曲も収録されていたことを嬉ししく思ったものです。

アメリカで成功した『The Game』からは、「Sail Away Sweet Sister」。胸がキュンとするメロディ。ブラインがメインヴォーカルを務め、フレディはブリッジで歌声を聞かせてくれます。続く『Flash Gordon』は、サウンドトラックとなるのでパスします。

次は『Hot Space』から。クイーン流のR&Bアルバムと言われているこのアルバムからは、フレディとジョンの共作による「Cool Cat」。このアルバムは、二人が主導となって制作されたと言われていますが、R&Bヴォーカル・ソングのこの曲は、フレディのヴォーカル・スタイルがとても新鮮に耳に残ります。

『The Works』からは「Is this the World We Created…?」。フレディとブライアンによる作品。「Love of My Life」に続く、ギターと歌声による美しいコラボレーションです。

そして、『A Kind Of Magic』からは、ジョンのペンによる「One Year of Love」。アルバムには、映画『ハイランダー 悪魔の戦士』の書き下ろし曲も収録されました。サックスの音色とフレディの振り絞るようなヴォーカルが、心に響くナンバーです。フランスとスペインのみでシングルカットされています。

「The Miracle」からは、イギリスでシングルカットされてはいますが「Breakthru」。コーラスワークから始まり、曲の展開がいきなり変わっていく、これぞクイーンと言える楽曲。シンセの音色も、すっかりクイーン・サウンドの一部となっています。

『Innuendo』からは「All God’s People」。このアルバムは、どの曲を聴いても涙・涙なのですが、フレディが力強く歌う「All God’s People」に、フレディが伝えたい生命の尊さを感じます。

最後は『Made In Heaven』から「Mother Love」。「It’s a Beautiful Day」「Let Me Live」も、大好きな曲です。フレディ没後に制作されたアルバムだけに、過去のレコーディングテイクを駆使した作品ではありますが、まるでフレディがすぐそばにいるかのようなアルバムとなり、ファンにとっては嬉しい1枚となりました。「Mother Love」は、フレディが最後にレコーディングした1曲。亡くなる半年前の歌声となりました。歌詞を読むと、その時のフレディの心情が表れていて切ない気持ちになります。後半はブライアンが歌を繋いでいます。

ということで、14枚のオリジナル・アルバムから隠れた名曲をご紹介しました。少しでもクイーンの新たな魅力を見つけてもらえたら嬉しいです。

Written By 今泉圭姫子


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今泉圭姫子(いまいずみ・けいこ)

ラジオDJ、音楽評論家、音楽プロデューサー
1978年4月、湯川れい子氏のラジオ番組「全米Top40」のアシスタントDJのオーディションに合格し、この世界に入る。翌年大貫憲章氏とのコンビでラジオ番組「全英Top20」をスタート。以来現在までにラジオDJ以外他にも、テレビやイベント、ライナー執筆など幅広く活動。また、氷室京介のソロ・デビューに際し、チャーリー・セクストンのコーディネーションを行い、「Angel」のLAレコーディングに参加。1988年7月、ジャーナリスト・ビザを取得し、1年間渡英。BBCのDJマーク・グッドイヤーと組み、ロンドン制作による番組DJを担当。
1997年、ラジオ番組制作、企画プロデュースなど活動の場を広げるため、株式会社リフレックスを設立。デュラン・デュランのジョン・テイラーのソロとしてのアジア地域のマネージメントを担当し2枚のアルバムをリリース。日本、台湾ツアーも行う。
現在は、Fm yokohama「Radio HITS Radio」に出演中。

HP:http://keikoimaizumi.com
Twitter:https://twitter.com/radiodjsnoopy
Radio:Fm yokohama「Radio HITS Radio」

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