【コラム】ポール・ウェラーだけが現役を続けていられるのはなぜか?

1月 17, 2018


【コラム】ポール・ウェラーだけが現役を続けていられるのはなぜか?

最新アルバム『A Kind Revolution』のツアーで、約3年ぶりとなる日本ツアーを行なうポール・ウェラーザ・ジャムのフロントマンとして「In the City」でデビューしたのが1977年で、それから40年の歳月が流れたが、今も若手たちと肩を並べて音楽シーンのフロントラインに立ち続けている。パンク期にデビューした同期たちは第一線から姿を消して久しいが、ポール・ウェラーだけが現役を続けていられるのはなぜか?
The Jam 3D Packshotそれは40年間一度として、ぶれることがなかったからだと言い切れる。ザ・ジャムはパンク・シーンから登場したものの、その音楽性は60年代のブリティッシュ・ビートやR&Bに根ざしたコンサバティブとの見方もできるものであったが、成長を続けたポール・ウェラーのソング・ライティングと当時の若者たちの心情を代弁した歌詞によって、モッド・リヴァイヴァルという新たなムーヴメントを巻き起こし、英国を背負って立つバンドにまで飛躍した。英メディアのリーダーズ・ポールの上位を独占し、彼らのファッションを真似たキッズたちがホールを埋め尽くし、まさに絶頂を極めていたにも関わらず、1982年10月30日に解散を発表。音楽的にも商業的にも3人でやれることはすべてやり尽くしたから、という潔い決断であった(参照:ザ・ジャムの解散発表とラスト・シングル「Beat Surrender」)。情熱を失ったまま惰性で続けていくことを断固として拒み、自らにもファンに対しても誠実であり続けたからこそザ・ジャムが遺した音楽は今も張り裂けんばかりのテンションを帯びており、その熱は2015年に発表された5枚組のライヴ・アルバム『Fire And Skill』に封じ込められている。

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ザ・ジャム解散後の1983年より元マートン・パーカスのミック・タルボットと共にザ・スタイル・カウンシルを始動。ジャズやヒップホップを取り込んだサウンドはザ・ジャムの一部のファンから裏切り者のように扱われたが、それでも自らの信念をもってポール・ウェラーは歩みを進めていく。ザ・ジャムのような熱狂は生み出さなかったものの、「Shout to the Top」や「Tumbling Down」などのヒットや、成熟した音楽性によって、よりコアなファン層を形成したと言える。特に日本ではカセットテープのCMに起用されたこともあってさらなる人気を得たこともあり、ザ・スタイル・カウンシル解散後にレコード会社との契約がなくなって自主レーベルを立ち上げた際も日本だけがメジャー契約を結んだ。その解散は1989年にリリース予定だった5枚目のアルバム『Modernism:A New Decade』がヒットするとは思えないというレコード会社側の発売拒否によって引き起こされたが、当時先端だったハウス・ミュージックを現代のソウル・ミュージックとして大胆に取り入れたことは、まさに信念に基づいた行動と言える。

1991年にソロとしてのキャリアをスタートさせてからも、トレンドやシーンの動向にまったく流されることなく、またリーダー的な存在となったブリット・ポップ期においても迎合せず、現在に至ってきた。そんな後姿を見てきたのがオアシスオーシャン・カラー・シーンたちであり、現在ではザ・ストライプスが挙げられる(2018年のツアーも彼らがオープニング・アクトを務める)。

最新アルバムを発表後も急遽「Mother Ethiopia」というレゲエ・チューンをリリースしたりと、創作意欲が衰えることがないし、シングルのカップリングに収められたリミックスも実に刺激的だ。ザ・フーやスモール・フェイセスといった60年代のオリジナル・モッドたちの音楽やファッションはポール・ウェラーにとって今も根底にあるものであり、ぶれることはないが、時代の変遷と齢を重ねてきたことでより自由な解釈を伴った現在進行型のモッドとして深化している(参照:モッドタスティック〜素晴らしきモッズ)。今回の来日公演でも、そのぶれのなさを確認できるのはもちろん、さらなる信頼を寄せることになるはずだ。

Written by 油納将志

 


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