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ケイト・ブッシュやジャック・ホワイトのお気に入り:キャプテン・ビーフハート『Bluejeans & Moonbeams』

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キャプテン・ビーフハートは、数オクターブの声域を持つ音響の挑戦者だった。そのキャリアは、商業的には成功とは言えなかった。それでも彼は、ヒット・チャートに何枚ものアルバムを送り込んでいる(順位はさほど高くはなかったが)。それらに続いて出たアルバムは、彼の作品の中では最も売れ線の内容だと評価された。しかし例によって逆説的な結果ではあるけれど、そのアルバム『Bluejeans & Moonbeams』はアメリカでもイギリスでもチャート入りしなかった。これが発売されたのは、1974年11月29日のことだ。

ビーフハートの有名な、そして広く称讃されているアルバムというと、それ以前に出たものになる、例えば『Trout Mask Replica』や『Safe As Milk』。『Bluejeans & Moonbeams』はキャプテン・ビーフハートが出した9枚目のアルバムだった。レコーディングはハリウッドで行われ、プロデュースはアンディ・ディマルティーノが担当していた。

ヒットしなかった理由としては、これが1974年にビーフハートが出した2枚目のアルバムだったという点が考えられる。このアルバムのわずか7カ月前に出たアルバム『Unconditionally Guaranteed』は、ビルボード誌のチャートで最高192位を記録していた。彼は実のところイギリスでの人気のほうが高く、アルバム『Lick My Decals Off, Baby』は1971年には最高20位まで上がっている。いずれにせよ『Unconditionally Guaranteed』と『Bluejeans & Moonbeams』の2枚でマーキュリー・レーベルとの契約は終わり、ビーフハート本人もアルバムの出来に満足していなかった。この2枚を、のちに彼は「下品で酷いアルバム」と形容していた。

本人が嫌っていたにもかかわらず、『Bluejeans & Moonbeams』を好きな有名アーティストは何人かいる。たとえばケイト・ブッシュは、これを「自分の好きなアルバム・ベスト10」のひとつとして選んでいる。またジャック・ホワイトはこのアルバムに夢中になり、収録曲のひとつ「Party Of Special Things To Do」をホワイト・ストライプスの初期のEPでカヴァーしている。このEPは全曲がビーフハートのカヴァーになっていた(他の曲は「China Pig」と「Ashtray Heart」)。

『Bluejeans & Moonbeams』の発売当時、ビルボード誌にはこんなレコード評が載った。「ユーモアと哀愁を混ぜ合わせた独特な曲をひっさげて、キャプテンが帰ってきた。過去のアルバムよりもずっと売れ線志向だが、ビーフハートならではの味わいはやはり残っている。それはやはり、他にはない特別な味わいだ」。

Written By Paul Sexton


キャプテン・ビーフハート『Bluejeans & Moonbeams』


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