キャプテン・ビーフハートの”最も贅沢で独創的”な『Doc At The Radar Station』

1月 15, 2019


キャプテン・ビーフハートの”最も贅沢で独創的”な『Doc At The Radar Station』

80年代を迎えると、60年代を象徴する多くのアーティストたちは自分たちの居場所をみつけようと悪戦苦闘していた。しかしキャプテン・ビーフハートは、可能な限り3分間の間に60年代のディスコグラフィーを自慢げに詰め込み、新たに活力をつけて戻ってきた。70年代後半と80年代初期のパンクとニューウェイヴは彼の自由なクリエイティヴィティを受け入れ、同時にキャプテン・ビーフハート本人はというと、一見したところ新境地を開こうとする音楽に背を向けているようにも見えたが、後期のマジック・バンドを解放してロック界の真の先見者として持つ実績を強調した。

メンバーたちがたっぷり充電された状態で作った1980年発売の『Doc At The Radar Station』は、最後から2番目の作品となった。キャプテン・ビーフハート自身が描いたアートワークが誇らしげに使用された。この後発売される最後となった作品のアートワークも彼が描き、それはまるでビーフハートが音楽から引退し画家になることを伝えているかのようだった。

『Doc At The Radar Station』は、ニューヨークのアート・ロック・アイコンであるゲイリー・ルーカスが初めてマジック・バンドのメンバーとしてクレジットした作品で、ニューヨークのダウンタウン・アート・シーンに与えたキャプテン・ビーフハートの影響を表している(その影響は途絶えることはなく、アルバムのオープニング・トラック「Hot Head」がヤー・ヤー・ヤーズに影響を与えたことは明らかだ)。1976年の『Shiny Beast (Bat Chain Puller)』でバンドに加わったマルチ奏者エリック・ドリュー・フェルドマンが新たに若々しい刺激を与え、後に彼はキャプテン・ビーフハートから受けた影響を堂々と示すピクシーズやPJハーヴェイなどとコラボレーションを行うことになる。

神聖な『Trout Mask Replica』時代のキャプテン・ビーフハートに同意し、1972年に脱退したジョン・フレンチが再びバンドに戻ることになった。ジョン・フレンチはマリンバ、スライド・ギター、ベース、そしてドラムを「Ashtray Heart」と「Sheriff Of Hong Kong」で担当しており、どちらの曲もキャプテン・ビーフハートの60年代の作品のような一見不安定な熱狂を含みそれは驚くことではないが、新しいメンバーが加わったことにより更にそういった要素が大きな影響を与えている。

Captain Beefheart Magic Band Line-up - 1980

古いものと新しいものが混合されたことで『Doc At The Radar Station』は成功した。曲によっては『Trout Mask Replica』時代のものが含まれているが、その他の曲は(「A Carrot Is As Close As A Rabbit Gets To A Diamond」、「Flavor Bud Living」、「Brickbats」)、お蔵入りとなった1976年に行われた『Bat Chain Puller』のセッションにて最初にレコーディングされている。そういった強力なマジック・バンドの一流楽曲が収録された『Doc At The Radar Station』は失敗するはずがない。

Captain Beefheart Doc At The Radar Station Album A-Side - 300

確かに、ローリング・ストーン誌は「興奮と力と情熱のある作品は多くのリスナーを圧倒するだろう」と褒め称え、同時に楽曲が「本当は魅力的できちんとした曲だったんだろうと思わせるが、がむしゃらなカオスへと壊滅することは決してない」とレビューしている。それは鋭い観察である。キャプテン・ビーフハートは、その表面上は商業的な『Unconditionally Guaranteed』と『Bluejeans & Moonbeams』によってファン層を分裂してしまったかも知れないが、『Doc At The Radar Station』ではキャプテン・ビーフハートが最も奇妙な作品にさえも偽りのない曲作りへの努力を注いでいることを表明している。

20年近くかかったが、もしかすると世界がやっと彼に追いついたのかも知れない。ローリング・ストーン誌は、キャプテン・ビーフハートは「悪い人間関係、悪いテクノロジー、そして悪い政治という我々全員を悩ますものに苦しめられていた」と書いている。ニューヨーク・タイムズ誌は、 アルバムの最終トラック「Making Love To A Vampire With A Monkey On My Knee」を「ビーフハートのキャリアの中で最も贅沢に独創的で完璧に現実化された作品」と称賛している。

40年近くが経ち、最後から2番目の作品となった『Doc At The Radar Station』が今でもそのようにポジティブに評価されることは当然である。

Written By Jason Draper


Captain Beefheart Doc At The Radar Station Album Cover - 530

キャプテン・ビーフハート『Doc At The Radar Station』

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