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ディープ・パープルの20曲:ハード・ロック界を代表するバンドの遺産

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ディープ・パープルのような系統のバンドは、ほぼいない。プログレッシヴ・ロックからハード・ロック、そして現在はAORサウンドまでこなす彼らの音楽は、60年間に渡るロック・ミュージックを定義するのを助けてきた。彼らは、数々のアンセム曲と定番曲、そして全米と全英、世界各国のシングル・チャートに入るヒット曲まで生み出した。だが、もし誰かに、彼らのファンでない人達のために、ディープ・パープルのキャリアを振り返る20曲を選ぶように頼まれたとしたら? そのリストはたんに彼らのグレイテスト・ヒッツではなく、音楽的な自伝になるだろう。我々がそれぞれの曲を選んだ理由を、これから説明しよう。最初に我々は19曲選び、20曲目に何を選ぶべきか、みなさんの意見を聞いた。沢山の素晴らしい提案をいただいたが、選ばれたのは1974年のアルバムのタイトル曲「Burn(邦題:紫の炎)」である。

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ディープ・パープルの20曲を何から始めようか? 当然、このバンドのデビュー曲からだろう。ジョー・サウスの「Hush」の見事なカヴァーだ。ジョン・ロードのトレードマークであるハモンド・オルガンが入ったこの曲は、デビュー・アルバム『Shades of Deep Purple』に収録されている。あまり知られていないことかもしれないが、1968年の9月に「Hush」は全米シングル・チャートで最高位4位を達成したのに対し、イギリスではヒットすらしなかった。

セカンド・シングルもまたカヴァー曲で、意外にもニール・ダイアモンド作曲の「Kentucky Woman」。この曲はザ・ビートルズの「We Can Work it Out」と、「River Deep Mountain High」のカヴァーも収録したアルバム『The Book of Taliesyn(邦題:詩人タリエシンの世界)』に収録されている。「Kentucky Woman」と、「River Deep Mountain High」は、どちらも全米シングル・チャート入りするヒット曲となったが、これらもまた、イギリスではヒットしなかった。

1969年の初頭に、彼らはミュージカル『ヘアー』のキャスト、エマレッタ・マークスの名前にちなんだ「Emmaretta」というシングルをレコーディングし、アメリカのチャートで128位を記録した。我々は、ディープ・パープルがレギュラーで出演していたBBCの「Top Gear」というラジオ番組のヴァージョンをリストに入れた。彼らがレコードのサウンドを非常に上手く再現していることを証明する曲だ。

Deep Purple - Hallelujah (single)

1969年の夏、ディープ・パープルは、EMIが新しく創設したプログレッシヴ・レーベル、ハーヴェストからの初のレコード「Hallelujah」を発表した。全米チャートでは108位を記録したが、またしても英国での売り上げは芳しくなく、チャート入りを逃した。クラシックなプログレッシヴ・ロックであり、このバンドの音楽をここまで押し進めた、クラシック音楽と思慮深いアプローチの両方の影響を披露している。リッチー・ブラックモアは当時、「俺達はイギリスで商業的に売れる曲を持つ必要がある」と話し、この曲は「可もなく不可もない」と説明した。

「Hallelujah」は、初めてシンガーのロッド・エヴァンスが参加していない曲だった。彼の代わりにイアン・ギランが加入し、同じく脱退したベーシストのニック・シンパーの代わりにロジャー・グローヴァーが入った。二人とも、エピソード・シックスという、ディープ・パープルと音楽の雰囲気が似たバンドに在籍していた。この二人と、ジョン・ロード、リッチー・ブラックモア、ドラマーのイアン・ペイスの新ラインナップは、間もなくレコーディングに戻った。そして新しい作品は、彼ら自身が、あるいは彼ら以前の他のバンド達がやろうとしたどんなことよりも野心的な一枚となった。

『The Concerto for Group and Orchestra(邦題:ディープ・パープル・アンド・ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ)』は1969年の9月24日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでレコーディングされた、様々な面で革新的なアルバムである。ロード作曲の傑作で、ペイスのドラム・ソロが入る第3楽章が素晴らしい。

Deep Purple Black Night

1970年の6月、ディープ・パープルは完全に変わっていた。プログレッシヴ・ロックの徴候はもはやなく、完全なハード・ロッカーになっていた。アルバム『Deep Purple In Rock』を発表する前日に、バンドは「Black Night」をシングルとしてリリースした。しかし、この曲はアルバムには収録されていない。10月17日、この曲は全英チャートで2位を達成し、アルバムは全英4位になった。だがアメリカでは、「Black Night」は66位に終わった。『Deep Purple In Rock』収録の「Child in Time」もこの曲も、新しいディープ・パープルを代表する曲になっている。「Child in Time」の前面に出たジョン・フォードのキーボードは、間違いなく彼らの系統にあるけれども。

ディープ・パープルは常に素晴らしいライヴ・バンドであり続けている。『Deep Purple In Rock』収録の「Speed King」のライヴ・バージョンは、1970年2月にBBCのラジオ番組でレコーディングされた。1年後、彼らは「Strange Kind of Woman」をリリース、この曲は全英チャートで10位を記録した。そして、バンドの3度目のイギリスでのヒット・シングルになった人気曲「Fireball」は、彼らの4作目のアルバム・タイトルでもある。

「Fireball」は、1971年の夏に発表された。そして、1972年の3月、ディープ・パープルは新たな名作『Machine Head』と共に戻って来た。オープニング曲はリフが重厚な名曲「Highway Star」だ。このアルバムは、ザ・ローリング・ストーンズのモービル・ユニットを使って1971年12月6日から21日まで、スイスのモントルーにあるグランド・ホテルでレコーディングされた。

Deep-Purple-Smoke-On-The-Water-1973

『Machine Head』には、多くのディープ・パープル・ファンが、彼らの最高傑作とみなす「Smoke On the Water」も収録されている。多くの人達にとって、史上最高のロック・リフを備えた曲だ。「Smoke On the Water」の歌詞は、1971年の12月4日に、カジノの劇場で行なわれたフランク・ザッパ&ザ・マザーズ・オブ・インヴェンションのコンサートで起こった実話を語っている。ザッパのキーボーディスト、ドン・プレストンのシンセサイザーには、ある観客が火炎銃を天井に発射した時に火が燃え移った。それから大火災になり、カジノを焼き尽くした。曲名はロジャー・グローヴァーが夢の中で思いついた。ロック・レジェンドらしい話だ。このヴァージョンは、1972年8月に大阪でレコーディングされた、傑作ライヴ盤『Made In Japan』に収録されている。

その翌年、彼らの7枚目のスタジオ・アルバム『Who Do We Think We Are(邦題:紫の肖像)』が誕生。このアルバムから、オープニング曲の「Woman From Tokyo」を選んだ。この曲はアメリカでそこそこヒットした。1974年、メンバー編成が変わり、デイヴィッド・カヴァーデールがリード・ヴォーカリストに、グレン・ヒューズがベーシストになった。新編成での初のアルバム『Burn(邦題:紫の炎)』からは、リッチ―・ブラックモアとデヴィッド・カヴァーデール作曲の「Mistreated」を選んだ。バンドの新たな方向性を示している曲だ。

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1974年の後半にアルバム『Stormbringer(邦題:嵐の使者)』を発表した後、リッチー・ブラックモアはレインボーという新天地での活動に移行した。代わりに、ザ・ジェイムス・ギャングに所属していたトミー・ボーリンが加入。1975年のアルバム『Come Taste the Band』収録の「You Keep On Moving」は、昔の曲のように、ブルースの影響がより色濃く現れていて、リフ主体ではない曲だったが、バンドのクオリティの高さと、デヴィッド・カヴァーデールとグレン・ヒューズが書いた曲であることは明らかである。

『Come Taste the Band』発表後の1976年の初めに、ディープ・パープルは解散した。そして1984年、ジョン・ロード、イアン・ペイス、ロジャー・グローヴァー、リッチー・ブラックモア、イアン・ギランのラインナップで復帰する。完成したアルバム『Perfect Strangers』は、80年代シンセサイザーを含んだ、黄金時代への回帰作だ。「Knocking At Your Back Door」がシングルとして発表され、卑猥な歌詞にも拘らず、全米のあらゆるFMロック専門局で流され、彼らの前回の全米ヒット曲と同じ位の、そこそこのヒットとなった。

次のアルバムは、3年後の『The House of Blue Light』である。このアルバム収録の「Call of The Wild」は、より“現代的”なサウンドになっており、非常にAOR寄りで、全ディープ・パープル・ファンが望んでいたものではなかったが、ディープ・パープルらしい優れたリフが入った曲である点は、損なわれていない。

元ディキシー・ドレッグスのギタリスト、スティーヴ・モーズがリッチー・ブラックモアの代わりに加入した新ディープ・パープルは、1998年、新編成での2作目となるアルバム『Abandon』を発表。ここに「Any Fule Kno That」が収録された。2003年の『Bananas』の発表前に、ジョン・ロードはバンドを脱退し、彼の助けもあって、ドン・エイリーが代わりに加入。最新情報を届けるため、2013年のアルバム『Now What?』収録の「All the Time In The World」もリストに加えた。これは彼らの19枚目のスタジアム・アルバムであり、長年の間に彼らのサウンドは変化したけれども、彼らは今も彼らのルーツに忠実であり続けていることが感じられる。

というわけで、これがディープ・パープルの誕生から最新アルバム(2015年当時)までに至るストーリーを語る、20曲の名曲である。アルバムがシングルにとって変わるようになった時代から始まっており、ハード・ロック界の大黒柱のひとつであるバンドの遺産を思い出すのに最適のリストになっている。

Written By Richard Havers


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