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パワーポップの先駆者、エミット・ローズが70歳で逝去。その半生を辿る

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Photo: Rebecca Sap/WireImage

1970年代に発表した数々のソロ・アルバムで広く評価され、パワーポップの先駆者として知られていたシンガーソングライターのエミット・ローズ(Emitt Rhodes)が2020年7月19日に逝去した。彼が眠るように亡くなったことを、彼の共作者であるクリス・プライスと彼の代理人が伝えている。享年70歳。

イリノイ州ディケーターに生まれたエミット・ローズは、1960年代のガレージ・ロック・バンド、パレス・ガード(The Palace Guard)など、複数のバンドで演奏していた。彼らの1967年の曲「Falling Sugar」は、60sガレージ・パンク、サイケの傑作コンピレーション『Nuggets』にも収録されている。彼はその後、A&Mレコードと契約したサイケデリック・ロック・グループ、メリー・ゴー・ラウンド(The Merry-Go-Round)に加入し、1967年にはセルフタイトルのソロ・アルバムをリリースした。

エミット・ローズは2015年のMojo誌のインタビューに当時のソロアルバムについて次のような語っている。

「アルバム“Emitt Rhodes”のレコーディングは、自分への投資として考えていました。レコード会社と一緒につくったレコードで稼いだお金は、自分のレコードをつくるための機材を購入するために使いました」

Fresh As A Daisy

 

ABC/ダンヒル・レコードからは1971年の『Mirror』と1973年の『Farewell to Paradise』をリリースしていたが、毎年2作のアルバムを録音するという契約上の義務を果たしていないとして、レーベルはエミット・ローズを訴えた。「それは超人的な仕事で、私には不可能でした」と彼はMojo誌に語っている。その結果、彼はレコーディング・アーティストとしてのキャリアから身を引いた。

「訴訟や弁護士のことやらで、もう何の楽しみもなくなってしまったんです。それだけの、単純な話です。一生懸命働きましたが、その見返りはありませんでした」と彼は、2001年に音楽評論家スティーヴン・ハイデンとのインタビューで明かしていた。

2009年にユニバーサルからリリースされた彼の初期の録音を収めたマルチディスク・セット『The Emitt Rhodes Recordings 1969 – 1973』は、彼の初期のソロ・アルバム4作をまとめた作品だ。かつて秘密の分身とも呼ばれたポール・マッカートニーとエミット・ローズとの比較は、2009年のドキュメンタリー『The One Man Beatles』の主題にもなっている。トニー・ブラスがプロデュースを手掛けた1時間弱の同映画は、Vimeoにてご覧いただける。

エミット・ローズの訃報を受けて、トニー・ブラスは自身のツイッターでこう彼を追悼している。

「過去12年間、彼と仕事を共にし、一緒に過ごせたことは光栄でしたし、とても幸運だったと思います。私は、彼の物語を伝え、彼の音楽を共有し、彼と充実した時間を過ごせるように最善を尽くしていました」

プロデューサーやエンジニアとして何年も裏方で活動した後、エミット・ローズは、2016年にニューアルバム『Rainbow Ends』で再びレコーディング・アーティストとして復帰した。同作品は、21歳の時にエミット・ローズの家になんの前触れもなく姿を現したクリス・プライスとのコラボレーションだった。同アルバムには、エイミー・マン、ジョン・ブリオン、バングルスのスザンナ・ホフス、ネルス・クライン、リチャード・トンプソンなど、彼の初期の作品を愛してやまないミュージシャンたちが参加している。

また、クリス・プライスは、ロサンゼルスで毎年開催されてるワイルド・ハニーのチャリティ・ショーの舞台で、エミット・ローズに、名作ロック・アルバムの再現ライヴを披露してもらうおうという試みがあったが、結局実現できずに終わったことを明かしている。ザ・ビートルズの『White Album』へのトリビュートで、エミット・ローズが「Rocky Raccoon」を演奏している姿を観たいと人々は願っており、「実現できたら素晴らしいかっただろうに」と語った。

エミット・ローズの友人で、自身のグループ、ジミマックスで彼と共演していたミュージシャンのジム・マクファーランドは、彼について「本当に親切な人でした。いつも人助けをしていました」と語っている。

2009年のVarietyとのインタビューの中で、エミット・ローズは、自身とポール・マッカートニーが比較されていたことについてこう述べていた。

「大変な褒め言葉です。何も言うことはありません。彼が素晴らしいシンガーだと思いませんか?私ももちろんそう思っていました」

Written By Tim Peacock

Somebody Made For Me



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