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A&Mの必聴アルバム20選

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常に断固たる姿勢で芸術性を支持し、それまで聴いたことのないような素晴らしい音楽を数多くリリースし続けてきた、世界屈指のレコード・レーベルを、我々はここで称えようと思う。そのレーベルとはA&M。ハーブ・アルパートとジェリー・モスが1962年に創設し、ポップ、ロック、ソウル、そしてジャズ史上に残る名作を数多く産出してきた。我々は過去50年を代表する最高のアーティストを網羅した、Spotifyリンク入り必聴A&Mアルバム20選リストを作成した。

論議になりそうなものを避けるべく、我々はある地域ではA&Mだったが他の地域ではレーベルが違っていたアーティストはこのリストに含めないことにした。例えばキャット・スティーヴンスとフリー(アメリカではA&M、しかしイギリスその他ではアイランド)、それから一部の国ではヴァージンからリリースしていたヒューマン・リーグとシンプル・マインズ。それでも、A&Mのアーカイブ・カタログには素晴らしい作品が勢揃い。我々が抜かしてしまった作品の中で、皆さんのお気に入りのアーティストとアルバムがありましたら、ぜひお聞かせください。

Alpert & Moss

 

■ハーブ・アルパート『Rise』(1979)
遥か昔1962年、ハーブ・アルパートは「The Lonely Bull」でA&M初のヒット・シングルとアルバムを手にし、そのイージー・リスニングなジャズ・ポップとティファナ・ブラスが特徴的なメキシカン・テイストのサウンドで、1960年代を通して膨大な枚数を売り上げた。そして1979年、ハーブ・アルパートはこのアルバムで再び世界的に認められた。新しい世代の心を掴んだクールなトランペットの音が印象的な同作には、グラミー賞を受賞しアメリカで1位に輝いた印象的なシングルがフィーチャーされている。

■サンドパイパーズ 『Guantanamera』(1966)
これまたA&M初期のヒット作。ロサンゼルスのヴォーカル・トリオ、サンドパイパーズによる1966年リリース・アルバム。タイトル・トラックは、全米シングル・チャートでトップ10入りを果たした。アルバム・リリース時には全米チャートで13位を記録し、計37週間チャート内に留まり続けた。また同シングルはイギリスのチャートでも10位に輝き、グループはA&Mの名声の確立、安定した財政基盤を築くのに貢献した。

■セルジオ・メンデス&ブラジル’66 『Fool On The Hill』(1968)
これまたレーベル初期の成功物語。一連のベスト・セラー・アルバム&シングルをプロデュースしたブラジル人ジャズ・ピアニストのセルジオ・メンデスが、1968年にリリースした本作は、アメリカのアルバム・チャートで3位を記録し、ベストセラー・リストに30週間居続けた。このアルバムのヴォーカリストとして、1973年にハーブ・アルパートと結婚し現在も人生を共にするラニ・ホールも参加している。

■キャロル・キング『Tapestry(邦題:つづれおり)』(1971)
シンガー・ソングライター初期の時代の決定盤であり、史上最高のアルバム・リストの常連作品。『Tapestry(邦題:つづれおり)』により、偉大なヒット・ソングライターのキャロル・キングは心揺さぶる能力に恵まれたアーティストとして復活、「You’ve Got A Friend(邦題:君の友だち)」から「It’s Too Late」まで同作収録ナンバーは名作揃い。世界中での売り上げは2,500万と推計される。

■カーペンターズ『Close To You(邦題:遥かなる影)』(1970)
リチャードとカレン・カーペンターの兄妹デュオのセカンド・アルバムは、彼等の世界的成功の到来を告げた作品。彼等の実に見事な楽曲の解釈やアレンジが証明され、それが特に著明なのがバート・バカラック&ハル・デヴィッドのタイトル・トラック「Close To You」で、前にはディオンヌ・ワーウィックがレコーディングしていたが、カーペンターズはそのトレードマークのみずみずしいハーモニーと上質のアレンジメントによりこの楽曲を大ヒット曲へと作り変えた。またリチャード・カーペンターは同LP用に4曲を共作、これまた彼等の史上最高の共作者ポール・ウィリアムスとロジャー・ニコルズによる「We’ve Only Just Begun」がフィーチャーされている。

■スーパートランプ『Breakfast In America』(1979)
長年に渡り独創的な英国人アーティストとしてロック界のプログレッシヴ側に立っていたスーパートランプが、アメリカ及び世界中へ飛び出すきっかけとなったアルバム。メジャー・ヒット「The Logical Song」、「Goodbye Stranger」、「Take The Long Way Home」収録のこのLPは、1979年の春夏計6週間全米アルバム・チャートのトップに居続けた。

■ジョーン・アーマトレイディング『Joan Armatrading』(1976)
西インド諸島セント・キッツ生まれのこの繊細なシンガー・ソングライターは、1972年にガス・ダッジョンのプロデュースによる『Whatever’s For Us』でアルバム(そしてA&M)デビューを果たした。その後レーベルと世界契約を交わし、1975年に発表した『Back To The Night』では手応えを感じたものの、売り上げは芳しくなかった。しかしこの1976年リリースのセルフ・タイトル作品によりジョーン・アーマトレイディングはようやく世界の舞台に立ち、不朽のナンバー「Love and Affection」でイギリス・シングル・チャート入りを果たした。

ポリスRegatta de Blanc(邦題:白いレガッタ)』(1979)
トリオ・バンドで爆発的アルバム・セールスを記録した者なら、誰でも今回のリストに入ることが出来ただろう。しかしポリスはレゲエに影響を受けた洗練されたポップ・スタイルが特徴的なこのセカンド・アルバムで、その地位を確かなものにした。同アルバムには彼等の初イギリス・ナンバー・ワン・シングル2曲「Message In A Bottle(邦題:孤独のメッセージ)」と「Walking On The Moon」、そして「Bring On The Night」や「The Bed’s Too Big Without You(邦題:ひとりぼっちの夜)」等スティングが手掛けた作品が数多く収録されている。

■ジョー・コッカー 『Mad Dogs & Englishmen』(1970)
A&Mを代表する傑作というだけでなく、ロック史上屈指のライヴ・アルバムである本作は、シェフィールド出身の唸り声の持ち主がグリース・バンドと共に、1970年3月にニューヨーク・シティのフィルモア・イーストでレコーディングした作品。ジョー・コッカーの才気溢れるヴォーカルはトラフィック、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ等々のカヴァーで堪能でき、印象的な43人編成トラヴェリング・バンドにはレオン・ラッセル、リタ・クーリッジ等々才能溢れる人々が勢揃いしている。

シェリル・クロウ 『Tuesday Night Music Club』(1993)
類い稀なる才能の持ち主であり、シンガー、作曲家、そしてギタリスト。ミズーリ州ケット出身の彼女は、デビュー・アルバムをプロデューサーのヒュー・パジャムとレコーディングしたものの、1992年の発売予定11時間前にお蔵入り。しかし翌年結局デビュー・リリースとなる本作で衝撃的な成功を収める。『Tuesday Night Music Club』には、「All I Wanna Do」や「Leaving Las Vegas」等、数多くのヒット・シングルが収録、それ自体がグレイテスト・ヒット・アルバムのような様相を呈している。シェリル・クロウは同作で最優秀新人賞を含むグラミー賞を3つ受賞。

■ジャネット・ジャクソン『Control』(1986)
A&Mと契約していたジャクソン兄弟の妹だが、作曲家兼プロデューサーのジミー・ジャムとテリー・ルイスと組み、彼等に触発されるまでは、レーベルもその扱いに戸惑っていた。アルバムはアメリカだけでも500万枚以上を売り上げ、ジャネット・ジャクソンに20世紀の間ずっと続く素晴らしい成功をもたらす制作パートナーと組んだ第一作目に当たる。

■ジョー・ジャクソン『Night And Day』(1982)
クラシック音楽の教育を受けているピアニスト兼ソングライターは、ニュー・ウェイヴ時代のイギリスに登場し、すぐにコンテンポラリー・ポップ、リヴァイヴァル・ビッグ・バンド・ジャズ、映画サウンドトラック等々で作曲能力を発揮。この1982年の作品には、「Steppin’ Out」と「Breaking Us In Two」、「Real Men」、そしてジョー・ジャクソン第二の故郷となった街ニューヨークに対する情熱的ラヴ・レター、あの素晴らしいナンバー「A Slow Song」も収録されている。

■クインシー・ジョーンズ『The Dude(邦題:愛のコリーダ)』(1981)
1981年に発表された本作には、パティ・オースティンとジェームス・イングラムの素晴らしいヴォーカル・パフォーマンスがフィーチャーされている。また、トップ20入りシングル2曲「Just Once」と「One Hundred Ways」を生み、その勢いでアルバムは全米ポップ・アルバム・チャートでトップ10入りを果たし、80週間という驚異的な期間チャートに留まり、クインシー・ジョーンズはグラミー賞を受賞することになる。

■スティクス『Paradise Theater』(1981)
1981年はA&Mにとり素晴らしい年だったが、全米アルバム・チャートのトップに3週間留まり、チャートに1年以上居続けたスティクスの本作は、これに少なからず貢献した。シングル「The Best Of Times」と「Too Much Time On My Hands」が全米シングル・チャートのトップ10入りを果たし、アルバムに勢いをつけた。

■スティング『The Dream Of The Blue Turtles(邦題:ブルー・タートルの夢)』(1985)
スティングがポリスを去った後のデビュー・ソロ・アルバムは名作だ。イギリス・アルバム・チャートで3位、そしてアメリカでは2位に上り詰め、両国のベストセラー・リストに1年以上居続けた。本作『The Dream Of The Blue Turtles(邦題:ブルー・タートルの夢)』にはアメリカのトップ10ヒット「If You Love Somebody Set Them Free(邦題:セット・ゼム・フリー)」と「Fortress Around Your Heart」が収録され、思いに耽っていて、音楽的で、常に興味深いロック・ミュージックを提供する、スティング数々のA&Mアルバムの模範を示した。

■ピーター・フランプトン『Frampton Comes Alive!』(1976)
多くの人にとって、史上最高のライヴ・アルバムであり、間違いなく成功した作品のひとつ。アメリカのアルバム・チャートのトップに10週間留まり、アメリカのベストセラー・リストに2年近く居続けた。このシンガー/ライター/ギタリストの故郷イギリスでは6位に輝き、カセットで100万枚売れた初のアルバムとなる。『Frampton Comes Alive!』はアメリカに800万枚出荷されたとして2011年に認定を受ける。

■バート・バカラック『Burt Bacharach』(1971)
バート・バカラックのソングライターとしての成功は現在殆ど類がないが、パフォーマーとレコーディング・アーティストとしての卓越ぶりも大変なもの。この1971年アルバムはアメリカのセールス・チャートで18位に輝き、その年の半年以上チャートに留まった。アルバムには「(They Long To Be) Close to You(邦題:遥かなる影)」や「One Less Bell To Answer」等、彼がこの時代に共作した最も人気のあるナンバーのバート・バカラック・ヴァージョンが幾つか収録されている。

■リック・ウェイクマン『Journey To The Centre Of The Earth(邦題:地底探検)』(1974)
リック・ウェイクマン作品のライヴ・レコーディングは、イギリスのアルバム・チャート・トップまで登り詰め、アメリカでは3位に輝きリリースの年にゴールド・ディスクを受賞。斬新な内容が印象的な同作品は、A&Mが1970年代(そしてそれ以降)で最も成功したレーベルのひとつとしての地位を確立するのに一役買った。

■ブラザーズ・ジョンソン 『Right On Time』(1977)
クインシー・ジョーンズがプロデュースしたジョージとルイス・ジョンソン兄弟全盛期の年代物のひとつ。『Right On Time』には見事な「Strawberry Letter 23」が収録されており、アルバムはアメリカのポップ・チャート13位を記録、ポップ・メインストリームに最高品質ファンクの居場所があることを証明した。

■キャプテン&テニール 『Love Will Keep Us Together(邦題:愛ある限り)』(1975)
我々はキャプテン&テニールを除外するわけにはいかなった。ダリル・ドラゴンとその妻トニー・テニールもまた、A&Mが1970年代に独占していたソフト・ロック畑の大黒柱のひとりだった。彼等のファースト・アルバムはアメリカ・チャートにちょうど2年間居続け、その間最高位2位に輝いた。ニール・セダカが手掛けたタイトル・トラックは全米シングル・チャートのトップに輝き、元ビーチ・ボーイズのキーボード・プレイヤーのダリル・ドラゴン(別名ザ・キャプテン)とそのパートナーが収録曲「God Only Knows」、「Disney Girls」、そしてブルース・ジョンストンの名作「I Write The Songs」をカヴァー。彼等のヴァージョンはバリー・マニロウのヒット・シングル・ヴァージョンに先んじて発表された。

Written By Paul Sexton


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