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エディ・ヴェダー ソロ活動の経歴:ソロ来日が決まったパール・ジャムのフロントマン

パール・ジャム(Pearl Jam)のフロントマンであるエディ・ヴェダー(Eddie Vedder)が、キャリア初となるソロ来日公演を2026年4月14日から名古屋・大阪・京都・東京にて行うことが決定した。
この来日公演を祝し、バンドの伝説的なライブ・ドキュメンタリー映画『レッツ・プレイ・トゥー(Let’s Play Two)』が、2026年4月4日(土)に東京・名古屋・大阪の3都市限定で特別上映され、エディのソロ・アルバム『Earthling』の来日記念盤(2CD)が新発売、そして『武道館ライヴ!』CDが4月10日に発売されることも決定した。
今回はパール・ジャムをデビューの頃から追い続けている新谷洋子さんに、エディのソロ活動についての変遷をまとめていただきました。
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パール・ジャム外での活動
パール・ジャムが30年以上にわたって存続し、コンスタントにアルバムをリリースしながらその人気と影響力を維持して、90年代に結成されたバンドの中では極めて稀なキャリアを誇っているのはなぜか? 回答は幾つかあるが、各メンバーがバンドの枠外でも活発に活動していることが理由のひとつだということは間違いないだろう。誰もが複数のクリエイティヴな表現の場を持ち、バンドの活動とバランスをとって、課外活動で得た体験をバンドに反映させる。そういうサイクルが出来上がって久しい。
例えば、2枚のソロ作品を発表しているストーン・ゴサード(Gt.)はパール・ジャムと並行して長年ブラッド(Brad)の一員でもあり続け、マイク・マクレディ(Gt.)はかつてアリス・イン・チェインズの故レイン・ステイリーやガンズ・アンド・ローゼズのダフ・マッケイガンとユニットを組み、ジェフ・アメン(Ba.)も同様にシンガー・ソングライターのジョゼフ・アーサーらと結成したRNDMなど様々な形で活動してきた。
自然な流れでのエディのソロ活動
そんな中でエディ・ヴェダーはと言えば、それまでも映画に曲を提供したり、チャリティ・イベントに単独で出演するなどしていたものの、本格的に独自の活動を始めたのは00年代後半になってから。
その頃にはバンド内の人間関係はすっかり安定していたわけで、彼の場合、ソロでの音楽作りは必要に迫られたものではなく、成り行きと言っては失礼かもしれないが、自然な流れに任せた結果だと言えるのではないだろうか? 例えばソロ名義での初のアルバムは、個人的に親しいショーン・ペンのたっての希望で、彼の監督映画『イントゥ・ザ・ワイルド』(2007年全米公開)のために、全パートを自ら演奏して主人公の想いを代弁するようにして作り上げたサウンドトラックだった。
そして2011年になって今度は『Ukulele Songs』と題されたセカンドを発表。スタンダード曲のカヴァーとオリジナルのラヴソングを、パール・ジャムでも時折プレイしていたウクレレの弾き語りで披露するという、タイトル通りの実にシンプルでロマンティックな1枚だ。
つまり最初の2枚はいかにもソロらしい佇まいの、肩の力が抜けたセルフ・プロデュースのアコースティック・アルバムであり、歌い手かつメロディ・メイカーとしての魅力を前面に押し出すことで、パール・ジャム作品の重厚なロックンロールと鮮やかなコントラストを成していた。
その後パンデミック中の2020年末に久しぶりにEP『Matter of Time』を発表してソロ活動を再開したエディは、元フレイムス/ザ・スウェル・シーズンのグレン・ハンサード及び娘オリヴィアとのコラボレーションで、再びショーンの監督映画『フラッグ・デイ父を想う日』(2021年全米公開)のサウンドトラックに9曲を提供。他にも多くのプレイヤーを交えて従来の路線の延長にあるふくよかなサウンドを聞かせたのだが、2022年に届いたサード『Earthling』ではエレクトリック志向に転じ、新バンドを結成するに至った。
新たなソロ活動『Earthling』
ジ・アースリングスと命名されたそのバンドのメンバーはグレン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミス、パール・ジャムの最新アルバム『Dark Matter』(2024年)をプロデュースすることになるアンドリュー・ワット、ジョシュ・クリングホッファーの4人。ソングライティングも共同で行ない、エルトン・ジョンやリンゴ・スターら豪華ゲストの参加も話題になった。
それでいて、ここにきて自身の価値観や信念を歌詞に綴り、パーソナルな趣を強めたことも特筆すべき点で、父が残したヴォーカル音源を用いたバーチャル・デュエットなどはソロ作品でなければ実現し得なかった試みだろう。またエレクトリックなバンドであっても音色は明らかにパール・ジャムのそれとは一線を画し、より軽やかでポップでもあった。
このようにマイペースに歩んできたソロ・アーティストとしてのエディは、パール・ジャムの活動の合間にライヴの回数も重ね、中でも、2008年に初の正式なツアーのワシントンD.C.公演を記録した映像作品『Water on the Road』からは最初期のパフォーマンスの様子を知ることができる。
それは、着席式で、ウクレレやギターやオルガンの弾き語りを基本とし、曲によってオープンリールのテープデッキを使ったり、前座のアーティストを交えたりしながら歌うという、極めてインティメートなショウだ。
2009年に行なったインタヴューで、そんな彼にとってもファンにとっても新鮮な体験について語っていた箇所をここで改めて訳出しておこう。バンドとソロの違いをトラックと小型車に準えて、分かりやすく比較している。
「ショーンと一緒に、半ダースの缶ビールと2箱のタバコと灰皿を抱えて床に座り込んで『イントゥ・ザ・ワイルド』を見て、その半年後には独りでステージで歌っていた。だから思いがけない授かりものでしたし、コミュニケーターとして自分を磨くいい機会になりました。小さなハコで、みんな着席していて、音響も良くて、じっくり音楽を聴いてもらえる環境に身を置いたわけですから。(注略)これまではトラックばかり運転していたんですが、もう一台小型車を手に入れて、こっちは小回りも効くし、燃費がいい。かつ、午後3時にふと思いついて書いた曲を4時にサウンドチェックで練習して、8時にステージで歌うことができる。バンドに教える必要もない。全てがシンプルなんです。もちろんライヴでやることは基本的に同じで、ステージに歩み出て、あるレベルまでエネルギーを持って行く。でも終わった時に、交通事故に遭ったみたいなボロボロの状態にはなりません(笑)。汗まみれのシャツを着替える必要もないし、翌朝筋肉痛に苦しむこともない! それにバンドも全面的にサポートしてくれました。ソロで学んだことは究極的にはバンドに還元されるとみんな分かってくれていたので」
そういう意味で、『Dark Matter』でのアンドリューの起用は「ソロで学んだことをバンドに還元」した好例だ。
その『Earthling』リリース後の2022年のツアーではもちろんアンドリューやチャドを引き連れて、プラグを入れたライヴに移行。そして最近は、ソロ&アコースティックとバンド&エレクトリック、ふたつの形態の間を公演ごとに行き来しているエディだが、『An Evening with Eddie Vedder』と題された来日公演の参考になりそうなのは、Netflixで先頃ストリーミングが始まった『マター・オブ・タイム:希望を歌にのせて』ではないかと思う。
同作は、彼と妻のジルが15年ほど前に設立したEBリサーチ・パートナーシップ(表皮水疱症という難病の治療研究を支援する団体)のために2024年10月に行なった、2夜に渡るソロでのチャリティ・コンサートの模様と、表皮水疱症の患者や研究者・支援者の日常を織り交ぜて構成したドキュメンタリー・フィルム。断片的ではあるものの、『Water on the Road』のパフォーマンスの進化形を観ることができる。
また全キャリアから広くセレクトし、多彩なカヴァー(とあるデータによるとその数は100曲を超えている!)をミックスしたセットにも、身軽なソロ・パフォーマンスとなると気分次第で何が飛び出すか分からない面白さがある。
例えば、最後に独りでフルセットをプレイしたのはまさに『マター・オブ・タイム:希望を歌にのせて』に収録されている公演なのだが、半数以上を入れ替えて2日間に歌ったのは計40曲。『Into the Wild』『Ukulele Songs』『Earthling』『Matter of Time』の収録曲と、新旧のパール・ジャムの曲(「Immortality」や「Driftin’」など普段はあまり取り上げないダウンテンポの曲を中心に選んでいる)を網羅しつつ、ブルース・スプリングスティーンやニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ、ピンク・フロイド、トム・ペティなどなどの名曲をプラスしている。
となると、4公演が予定されている今回の来日でも毎回何が聞けるのか予測不可能とあって、全公演制覇を目指している人も少なくないだろうが、さらにはこれを機に日本とパール・ジャムとの絆を再構築し、バンドでの来日につなげたいところだ。
『Dark Matter』に伴うツアーが昨年5月に終了し、7月にマット・キャメロンが脱退してからドラマーの席は空いたまま。恐らく当分動きはないだろう。でもすでに23年待ったのだから、あと数年我慢するくらい大したことではない。まずはエディを歓待して、いい思い出を持って帰ってもらうことから始めようではないか。
Written By uDiscover Team
エディ・ヴェダー 来日公演情報
・名古屋4/14 (⽕) Niterra ⽇本特殊陶業市⺠会館フォレストホール
・⼤阪 4/16 (⽊) フェスティバルホール
・京都 4/17 (⾦) ロームシアター京都 メインホール
・東京 4/20 (⽉) 東京ガーデンシアター
公演詳細はこちら
パール・ジャム『レッツ・プレイ・トゥー』一夜限定特別上映
【上映日時】4月4日(土)18:00~
【上映劇場・料金詳細】
◎東京:109シネマズプレミアム新宿(シアター3/142席)
・CLASS S:6,500円(シネマポイント会員6,000円)
・CLASS A:4,500円(シネマポイント会員4,000円)
※両席種ともウェルカムコンセッション(ソフトドリンク・ポップコーン)含むサービス料金込み
※CLASS Sはプレミアムラウンジ「OVERTURE」利用可能
◎愛知:109シネマズ名古屋(シアター6/255席)
◎大阪:109シネマズ箕面(シアター1/345席)
・一般:2,000円
・エグゼクティブシート:3,000円
※シネマポイント会員はエグゼクティブシートを通常料金で利用可能
【チケット販売】
2026年3月13日(金) 0:00より、109シネマズ各劇場公式ホームページにて販売開始
※シネマポイント会員は3月12日(木) 21:00より販売開始
※劇場では3月13日(金)のオープン時より販売
※オンライン販売で完売になった場合、劇場販売はございませんのでご注意ください。
109シネマズプレミアム新宿 HP
109シネマズ名古屋 HP
109シネマズ箕面 HP
(※各種割引、招待券等は利用不可)
エディ・ヴェダー『Earthling (Japan Tour Edition)』
2026年4月10日発売
日本独自企画盤/SHM-CD仕様
最新ソロ・アルバム『Earthling』(2022)の来日記念
初CD化音源8曲収録のディスク(2020年『Matter of Time EP』+ 2曲)付き
CD予約

パール・ジャム『武道館ライヴ!』
2026年4月10日発売
2003年3月3日の日本武道館公演を収録したライヴ・アルバムが、エディ・ヴェダーの来日公演に合わせて待望の再発。全30曲、2時間20分の熱演を完全収録
CD予約
- パール・ジャム アーティストサイト
- エディ・ヴェダーソロ来日記念、『Earthling』DX盤と『武道館ライヴ!』発売
- 芸人・永野のYouTubeでのパール・ジャム特集
- エディ・ヴェダーがブルース・スプリングスティーンと対談
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