ケイティ・ペリーのベスト・ソング20:21世紀のポップを形成した名曲たち(動画付)

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Photo: Liza Voloshin, courtesy of Capitol Records

ポップ・ミュージックのジェット・コースターは、ケイティ・ペリーの味方だった。世界的ブレイクを果たしてから11年、彼女の成功にはふたつの揺るぎない要素がある。まず彼女には、どのシングルにもヒットの方程式を当てはめる不思議な才覚があるという点だ。それゆえに、彼女は耳に残りやすいポップ・チューンの数々をいとも簡単に生み出してしまう。また、彼女の性格に起因する温かなカリスマ性も重要な要素のひとつである。

彼女は一貫して、自ら決意する強さをテーマにし、社会にも責任感を示してきた。だからこそ、音楽性が変化しても支持し続ける献身的なファンがついたのだ。過去10年において彼女がポップ界の中心でこれほどの人気を集めてきたことを考えると、現在のケイティ・ペリーの名義では4枚のアルバムしか発表していないのは驚きだ(過去にはケイティ・ハドソン名義でアルバムを発売している)。しかし、抜け目ないポップ・シングルを生み出す名人であるケイティ・ペリーの代表曲の数々は、そのまま21世紀初頭のポップ・ミュージックの進化を反映している。

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20位: The One That Got Away

ポップ・ミュージック界の通常の基準に照らすなら、アルバム1枚からの6枚目のシングルともなれば、さすがに大きなヒットは望み得ない。軽々しく引き合いに出せる作品ではないが、ケイティの『Teenage Dream』はマイケル・ジャクソンの『Thriller』のように、このランキングの候補となる佳曲が満載のアルバムだった。アルバムの比較的目立たない曲にも「The One That Got Away」のような良曲があることは、キャリアの初期からケイティやドクター・ルーク、マックス・マーティンが魔法のような手腕を振るっていた証拠だろう。

ビデオも刺激的な同曲はミドルテンポの痛切なバラードで、全米シングル・チャートのトップ3にランクインし、その他各国でもヒットを記録した。交際には至らなかったジョシュ・グローバンとの関係にヒントを得た同曲には、ケイティ自身も生々しさの感じられる楽曲を作れたと満足している。

 

19位: Waking Up In Vegas

ロックのフィールドで絶大な地位に立つデズモンド・チャイルドとスウェディッシュ・ポップ界の名士アンドレアス・カールソンが作曲に参加した「Waking Up In Vegas」は、原点回帰的なサウンドでアルバム『One of the Boys』をさらに勢い付けた。印象的なギター・リフとポップなコーラスを引き立てたグレッグ・ウェルズのプロデュースも奏功し、2009年4月にラジオで放送されると人気を博した。

映画『アバター』で有名なジョエル・デヴィッド・ムーアが出演したプロモーション・ビデオも話題となり、ケイティはこの曲でアメリカのシングル・チャートのトップ10に返り咲いた。

 

18位: Con Calma (Remix) (Daddy Yankee and Katy Perry, feat. Snow)

ケイティがゲスト参加しリミックスされたレゲトン・ナンバー。2019年4月にラジオでプレイされたこの曲は、1992年に一発屋的なヒットを記録したスノーの「Informer」を基にしている。

プエルトリコ人ラッパーのダディ・ヤンキーは、スノーの「Informer」の大ファンだったのだという。このオマージュ・ヴァージョンが世界中の有力ラジオ曲で流れたのはケイティの参加によるところが大きいだろう。

 

17位: Birthday

この曲にはフレア・パンツが似合う。一気にディスコ全盛の70年代に引き戻されてしまうようなメロディックなダンス・ナンバー。ケイティは傑出したビデオでも有名だが、コメディ色が強いこのビデオは代表作のひとつだろう(その作り込まれた寸劇は曲自体を食ってしまいそうなほどだ)。折衷的なアルバム『Prism』収録の同曲はシンプルかつ楽しげな曲調で、彼女の軽妙な曲作りの才が見て取れる。

 

16位: Rise

痛切なカリスマ性が漂う、ダークなエレクトロニカ・ナンバー。2016年のリオ五輪の際、アメリカのテレビ番組のテーマ曲として使用され、その夏にヒットを記録した。ケイティは大統領選の際、サヴァン・コテチャと共作したこの曲を民主党支援の立場で披露したが、選挙の結果は苦いものだった。

 

15位: Bon Appetit (feat. Migos)

ポップとヒップ・ホップを掛け合わせたようなこの曲には、アメリカのラップ・グループ、ミーゴスが参加。アルバム『Witness』からのセカンド・シングルとしてリリースされた。曲に込められた風刺的な性描写は洗練されており、ビデオで見事に視覚化されている。

 

14位: Unconditionally

アルバム『Prism』の収録曲の中で、ケイティ自身がとりわけ気に入っているというこの「Unconditionally」は、ナッシュヴィルの地にヒントを得て書かれた。ケイティがユニセフのプロジェクトを支援するようになって書かれた良質なパワー・バラードでもある。2010年以降のケイティの代表曲のひとつであるこの曲のテーマは普遍性である。ラジオでも人気を得たほか、宮中の時代劇風のビデオも印象的である。

 

13位: Wide Awake

2012年発表のこの楽曲は、彼女とラッセル・ブランドとの終わりゆく関係を反映しているのではないかと様々な憶測を呼んだ。どんな困難な状況でも前に進んでいくというメッセージは、おそらくふたりの関係を表したものだろう。

この曲はコンサートとその裏側を捉えた映画『ケイティ・ペリーのパート・オブ・ミー』用の新曲として、長年に亘って共同作業を続けてきたボニー・マッキーとケイティ(そしてマックス・マーティン、サーキット、ドクター・ルーク)が共作したものだ。2012年5月にシングルとしてリリースされ、アメリカのチャートで2位、イギリスでは9位まで上昇した。

 

12位: 365 (Zedd and Katy Perry)

『Witness』のリリースに際して行われたコンサート・ツアーへの参加がきっかけとなり、ゼッドとケイティは2019年2月にシングルとしてリリースされたこの曲でもコラボレーションを続けることになった。

ゼッドはロシア生まれのDJ/プロデューサー/ソングライターで、アリアナ・グランデやフォクシーズ、セレーナ・ゴメスら有名アーティストとコラボしてきた。だが彼とケイティによる同プロジェクトは、非常に面白い何かの始まりを期待させる。ケイティがダンス・ミュージックやエレクトロニカに傾倒する中で、ゼッドは彼女のポップ・センスとのすばらしい相性を見せたのだ。

 

11位: Last Friday Night (TGIF)

大騒ぎしたパーティ翌日の二日酔いをコミカルに描いたビデオが見事な1曲。ダンス・フロアで大人気のポップなダンス・アンセムは、ケイティが1枚のアルバムから5曲のシングルを全米1位に送り込む偉業を達成したうちの1曲でもあり代表曲となった。

『glee/グリー』のダレン・クリスやハンソン、80年代のアイコンであるデビー・ギブソンやケニー・Gがビデオを盛り上げている。ジョン・ヒューズの名作映画『すてきな片想い』に着想を得たビデオは、繰り返し観ても面白い仕上がりになっている。同ビデオは2012年のピープルズ・チョイス・アワードで”Favourite Music Video (ミュージック・ビデオ賞)”に輝いた。

 

10位: Hot N Cold

「I Kissed A Girl」のリリースから数ヶ月後に発表されたこの曲は、ケイティが一発屋ではないと証明した1曲で、ファンから確固たる人気を得ている。作曲にはドクター・ルークとマックス・マーティンのほかにベニー・ブランコが参加。彼の代名詞ともいえるシンセ・ポップ・サウンドが、本質的にはロック色の強い同曲を見事に彩っている。「Hot N Cold」はアメリカのヒット・チャートを着実に上昇し続け、ケイティは2曲連続で米トップ3ヒットを生むことになった。

 

9位: Dark Horse (feat. Juicy J)

力強いこの楽曲は2013年12月にアルバム『Prism』からのサード・シングルとしてリリースされ、アメリカのチャートで首位を獲得した。この曲はケイティにとってかなり実験的な楽曲であり、ラッパーのジューシー・Jがゲストに迎えられたことで都会的なサウンドが深まっている。ウルトラヴァイオレット・サウンドというプロジェクトに参加するサラ・ハドソンも作曲に加わり、同曲は2014年のシングル売上で世界2位となった。

 

8位: Teenage Dream

デビュー間もない頃、世間はケイティのことを“風変りでカリスマ性に頼ったパフォーマンスだけの浅はかなアーティスト”と見る傾向があった。その見方を変えたのがこの「Teenage Dream」だった。ほのかにノスタルジー漂う曲調と多幸感のあるメロディがロマンティックなノリと相まって、魅力ある楽曲に仕上がっている。今でもコンサートの定番曲であり、この曲で批評家もようやくケイティに目を向けるようになった。ケイティ・ペリーの代表曲であり続ける1曲だ。

 

7位: Swish Swish (feat. Nicki Minaj)

『Witness』からのサード・シングル。ケイティによる野心的なダンス・トラックで、テレビ番組『Saturday Night Live』でのパフォーマンスではラッセル・ホーニング(通称“バックパック・キッド“)がフロス・ダンスを踊り話題となった。それも助けとなり、ニッキー・ミナージュが参加した同曲はアメリカのダンス・チャートで1位になった。

 

6位: ET (feat. Kanye West)

『Teenage Dream』収録の楽曲にカニエ・ウェストが参加した(アルバム・ヴァージョンには不参加)ことで、さらにこの曲のドラマ性は高まった。それまで、『Teenage Dream』からシングル・カットされたトラックはポップ色の強い曲ばかりだった。ポップな曲調ではなく有名ラジオ局に支持されなければ、そのタイミングで同曲をシングル・カットするのは批判に繋がりかねない大胆な戦略だ。

しかしこのエレクトロ/ヒップ・ホップ調のバラードはチャートの首位に立った。そのサウンドはすばらしく、ポップ・ソングだけではないケイティの実力を知らしめた重要曲である。

 

5位: California Gurls (feat. Snoop Dogg)

初夏にリリースされたこの楽曲は、2010年の音楽を語る上で避けられない人気曲だ。ヒットしたデビュー・アルバムの次のシングル曲は難しいものだ。さらに強いインパクトを与えるため、ケイティには特別な楽曲が必要だった。セカンド・アルバム『Teenage Dream』が完成に近づいても、最後のキラー・チューンがないことをケイティは気にしていた。そ

んな中でジェイ・Zとアリシア・キーズによる「Empire State Of Mind」に対するウェスト・コースト風のアンサー・ソングを作るアイデアが生まれた。「California Gurls」は耳に残りやすいサウンドで人気を得て、スヌープ・ドッグがゲスト参加したことも人々を驚かせた。彼の参加で楽曲には広がりが生まれ、ビデオではケイティの英雄的な存在感が存分に発揮されている。楽曲とビデオが相まって、同曲は他のサマー・アンセムを圧倒した。

 

4位: Roar

アルバム『Prism』のもともとのコンセプトは、それまでよりもダークな作品を作ろうというものだった。その名残は同作の折衷的なサウンドにも表れているが、ケイティ・ペリーとしての3枚目のアルバムの発表に先立っては、「Roar」の普遍的なポジティヴさを押し出すのが良いと思われた。

アンセム然としたコーラス・パートには、ケイティの信条の中心にあるポジティヴさが満ちている。ビデオも、トレードマークのひとつともいえるコミカルな展開が印象的だ。「Roar」は結果として大成功を収め、アメリカ、イギリス双方のチャートで1位となったほか、数々の賞にもノミネートされた。

 

3位:「I Kissed A Girl」

この楽曲の目新しさは、キャリアを歩み始めたばかりのケイティに一発屋のレッテルを貼ってしまう恐れもあった。注目は集めるが、精巧に作り込まれたものではない。だが新しいアーティストに世間の目を向けさせるにはそれも有効な戦略だった。キャシー・デニスが共作しているこの曲によって、ケイティは世界中でセンセーションを巻き起こした。

この新しいパワー・ポップ・ナンバーは7週連続で全米1位になったが、次に何をリリースするかという大きな問題を生んだ。ケイティの答えはシンプルだった。慌てる必要も、同じものを作る必要もない。ただ、大きなテーマの中で力強い楽曲を作るだけ、それが彼女の考えだった。「I Kissed A Girl」は同曲のテーマが今より一般的でなかった2008年に、ユーモアと社会問題の絶妙なラインをうまく攻めて成功したのだ。

 

2位: Chained To The Rhythm (feat. Skip Marley)

世界が不安定な状態にあった2017年、『Witness』からのファースト・シングルとしてリリースされた同曲は、ケイティのメロディ・センスが存分に発揮された楽曲だった。作曲にはシーアも参加し、エレクトロ・バラードと正統派ポップの融合を手助けしている。

「Chained To The Rhythm」はクラブで映えるナンバーだが、同時にラジオ向きでもあり、今でもヘヴィ・ローテーションされている。ケイティが信頼を置くマックス・マーティンとアリ・パヤミによるプロデュースが同曲を大ヒットに導き、2017年にはブリット・アワードやグラミー賞でもパフォーマンスされた。ビデオは、印象的なものが多いケイティの楽曲の中でもベストといえる仕上がりだ。

 

1位: Firework

数多くのオーディション番組や、波乱万丈な半生を振り返るドキュメンタリー番組などでいつまでも使われ続けるであろう楽曲だ。自己肯定をテーマにしたこのアンセムは、2010年10月のリリース以降、ケイティの母国アメリカだけで1,000万枚以上を売り上げた。評価の高いソングライターのエスター・ディーンが作曲に加わり、スターゲイトとサンディ・ヴィーがプロデュースを担当している。この曲は未曾有の成功を収めた『Teenage Dream』からのサード・シングルで、ケイティの代表曲としての地位は揺るぐことがない。

既に多くのアーティストにカヴァーされており、ケイティにとって一番のスタンダード・ナンバーとなりつつある。同曲はグラミー賞の最優秀レコード賞にノミネートされたが、その偉業はまだ更新され続けるだろう。これだけ力強いメロディを持つ曲であれば、まだ生まれていないような未来のアーティストが数十年経ってから世界中で再ヒットさせるかもしれない。「Firework」はケイティが最初に生み出した真の名曲と言っていいだろう。

 

Written By Mark Elliott



ケイティ・ペリー『Smile』
2020年8月28日発売
CD&Goods / iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music



 

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