ケイティ・ペリーの熱心なファン”KatyCats”とは?:アーティストとファンとの強い結束力

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Photo: Liza Voloshin, courtesy of Capitol Records

いったい何が、そのアーティストをアイコン的な存在にするのか? 高いセールスはその一つに数えられるだろう。キャリアを積み重ね、数100万セットを売り上げるヒット・アルバムをいくつかリリースして、長く生き残ることで栄誉がもたらされると考える人もいるだろう。あとは、批評家の役割もある。十分な信頼性を彼らから得ることで、最初に広く認知された後に、偶像の仲間入りをする権利を得る。しかし真にアイコン的な人たちの大部分に共通しているのは、ファンとの良好な関係だ。

ティーンの間での一時的なセンセーションが、その火が点くのと同じくらいの早さで燃え尽きてしまう傾向がある中で、業界のトップで活躍し続ける者たちは皆、互いに感謝しあう以上の深い関係をファンと築いている。またそのファン・グループが特定の呼称を持つほど強い結束力を持って支持されているアーティストもいる。例えばテイラー・スウィフトの”Swifties”、アリアナ・グランデの”Arianators”、そしてケイティ・ペリーの”KatyCats”だ。皆、自分たちのアイドルに熱烈に傾倒している。

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固い絆

21世紀になると、ファンとアーティストの繋がりはこれまでにないほど強くなった。2008年に「I Kissed A Girl」で世界的にブレイクしたケイティ・ペリーは、彼女のファンとの関係の中に他の伝説的な女性シンガーたちと共有している遺伝子を見出すことが出来る。それは母性的な心だ。

マドンナはセクシュアリティやエンパワーメントに対しての断固とした姿勢によって、声の影響力と彼女に対する崇拝を獲得した。レディー・ガガはそれを新しい世代に向けて再解釈したと言ってもいいだろう。スパイス・ガールズは自信を持つことをシンプルなメッセージにして1990年代後期の無数の若い女性を励ましたが、それから20年経って、同じ信頼感や自分を信じる心といったものを、より微妙で複雑な現代においてテイラー・スフィフトが体現している。

ケイティ・ペリーは、彼女の個人的な人生経験をもとにしているが、シンプルなスローガンに簡略化したり、諸問題を狭い範囲で一面的に判断して伝えるようなことはしない。彼女の最も熱心なファンたち、”KatyCats”はジェンダーや人種、年齢や性的指向で定義されることのない多様性を持った集まりなのだ。

 

「”KatyCat”になると連帯感を感じられる」

2015年に米ビルボードは”Fan Army Face-Off”と題したコンテストを行い、そこでさまざまなアーティストのユニークな魅力を引き出すためにファンたち同士を競い合わせた。ケイティの場合は、一人のファンがこのように書いている。

「ときにこの世界は厳しく、残酷かもしれません。人は誰も孤独で、誰にも愛されたり求められていないと感じることもあります。しかし”KatyCat”になると、連帯感を感じることができる。わたしたちは家族なのです。大きくて、愛情に溢れ、クレイジーでいて、最高にすてきな家族なのです。わたしたちは世界中から集まっていて、年も違えば、肌の色も、物事に対する姿勢も宗教も違います。けれどもそんなことは問題じゃない。ただケイティと彼女の音楽に対する情熱と愛を共有しているということで、わたしたちは一つになれる。そしてケイティ自身もわたしたちのことを家族のように扱ってくれるのです」

2017年、ケイティは”カミング・アウト・デー”を祝って、二人の女性ファンをニューヨークのブルックリンで行われたライブのステージに招待した。というのも、その二人の女性の内の一人がプロポーズに力を貸してくれるようケイティにEメールで頼み、彼女の同意を得たたからだった。「うまくいくことを願ってるよ」と彼女は伝えた。「あなたたちはとても素敵なんだから」。

以上の出来事は事前に企画されたものだったが、ケイティは常に自身のリアルな姿を見せようと努めている。同じ年にイギリスはマンチェスターで開催されたアリアナ・グランデのコンサートが爆破テロに遭った際も、ケイティは、彼女と同様ショックを受けたファンたちを、セキュリティの指示を無視してまで抱擁し、慰めた。

世界で最も有名な人物の一人であるにもかかわらず、彼女は多くのスターたちが踏み越えないように強いられている”演出された姿”という壁を超えることに躊躇いを見せようとしない。ソーシャル・メディアを少し探してみるだけでも、このような自発的な行いがいくつも見つかるに違いない。

 

仲間たちのリーダーとして

決して自分を偽ろうとしないケイティの姿勢は、キャリアのごく初期から彼女の力になってきた。まだ”KatyCats”の大半がティーンになっていなかったころ(12歳以下)、彼女はアルバム『Teenage Dream』で世界中に強烈なインパクトを与え、やがて繊細で思慮深いテーマを扱った作品『Witness』を発表するまでに成長した。そしてこの間も、彼女は絶え間なくファンを魅了し続けてきた。さまざまな意味でファンとスターは一緒に成長する。人生の浮き沈みを共有し、ときに疑問を抱き、自信を深めながら、学んでいくものなのだ。

今ではアーティストはファンと直接対話することが可能になったが、2020年現在、そうした行為はよりスピーディで一般的なことになり、同時にある種の危うさを伴ったモノになっている。しかしケイティは大衆受けを狙ったイメージ戦略に走ったりはしないし、タブロイド紙が喜びそうな論争の的になるような真似もしない。彼女は、家族に接するように、偽りのない姿勢でファンと対話する。”KatyCats”にとって、今も昔も、彼女は心から信頼できるリーダーなのだから。

Written By Mark Elliott



ケイティ・ペリー『Smile』
2020年8月28日発売
CD&Goods / iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music



 

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