なぜケイティ・ペリーのTwitterフォロワー数が世界一なのか

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アクセス総数5億ページ超の大人気サイト「ABC振興会を運営しながら、多数のメディアで音楽やセレブに関する執筆やインタビューなどをこなす米国ハリウッド在住の「D姐」さんの連載コラム「D姐の洋楽コラム」第6回です。コラムの過去回はこちら


本来のアメリカン・プロフットボール、NFLの王者決定戦というよりも、「毎年、世界最高の視聴率」「CM広告料金が1本4~5億円」といった桁外れのメガイベントの生中継番組として、すっかり日本でも定着した感があるスーパーボウル。そして全世界200以上の国と地域で中継されている理由の大きな要因でもあるのが、ゲーム以上に注目されているとも言える第2クオーターと第3クオーターの間に開催される「ハーフタイムショー」だ。

スポーツ界のみならず、テレビ界や経済にまで影響を及ぼし、ただでさえ年間視聴率1位という超人気番組の中で、とりわけ歴代1位の視聴者数を叩き出したのは、実は2015年のケイティ・ペリーのライブだった。ケイティが大ヒット曲「Roar」に合わせ、黄金の巨大トラに乗って登場して幕開けた13分の圧巻パフォーマンスを1億2070万人がお茶の間で堪能したことになる。

ハーフタイムショーは、それまで開催地の地元の大学のマーチングバンドの演奏を中心に、その年のテーマに合わせた複数のパフォーマーによるスターンダード・ポップの「余興」的なモノだったが、マイケル・ジャクソンが1993年のハーフタイムショーで初の単独パフォーマンスに抜擢され、本格的なライブを見せつけて伝説のイベントとなり革命を起こした。これが原型となって、特に2000年以降、ハーフタイムショーは最も旬なアーティストをメインにしたライブとなり、本家スーパーボウルと肩を並べる「目玉」の一大イベントになったのだ(この進化は96年からハーフタイムショーにスポンサーがつくようになったことも大きい)。

マドンナ、プリンスU2ザ・ローリング・ストーンズポール・マッカートニーザ・フー、トム・ペティ、ブルース・スプリングスティーン、ビヨンセ、ブルーノ・マーズ、そして僅差の1億1750万人視聴者で歴代2位のレディー・ガガまで、錚々たる出演アーティストの頂点を極めたケイティの人気は、視聴者数だけではなくツイッターのフォロワー数でも如実に現れている。

それまでもSNS界の女王として認知されていたケイティが世界初の1億人超えフォロワーを記録したのは、2017年6月で、現在は1億870万人のフォロワー。2位はジャスティン・ビーバー(当時9,670万人フォロワー/現在1億500万人フォロワー)だが、これはいわゆるタレントのみを対象にした快挙ではなく、3位にはオバマ元大統領(当時9,080万人フォロワー/現在1億フォロワー)がランクインしていて、まさにTwitterでも世界の頂点を極めた形だ。

誰もが口ずさめるような大ヒット曲のオンパレードで目にも大いに楽しませてくれたハーフタイムショーが世界で最も見られたライブだということは、アーティストとしての成功に他ならないが、なぜこんなにもケイティが、Twitterで支持されているのかといえば、彼女の真骨頂である優しさやウィットに富んだリアルな「言葉」が、ファンを虜にしている証だ。

その美しすぎるルックスや、派手でキュートな衣装からアイドル的なポップスターとも見られがちのケイティだが、自分で作詞作曲もこなすシンガーソングライターであり、歌詞にもその才能が溢れているように、“言葉で勝負”するツイートの内容も多彩。時にファンをインスパイアさせる言葉もあれば、自虐してみたり、自分に関するゴシップを皮肉ってみたり…と、正直でクスっと笑えるぶっちゃけツイートが炸裂する。

プレゼンターで出席したケイティがゴージャスすぎると話題になったゴールデングローブ賞の夜には

”ドレスにフライドポテトが絡まっていたのを発見。食べちゃえ。お腹壊さないといいけど。#おやすみゴールデン・グローブ賞”

 

“他のみんなはフライデーナイトを楽しんでいるって時に、私は鼻の頭の毛穴取りのパックを剥がしている。だけどこれ以上に有意義なことってないわって、力説したい。”

 

“楽曲作りに忙しすぎた時、ふと下を見ると、もうどうでもいいから、わき毛が結えるまで伸びていたことに気がつく。クール”

 

といった自虐ツイートや、ケイティの来店に気がついてもそっとしておいてくれたスターバックスの店員にはシカゴ店のジェイソン、あなたのラテは最高だったわとツイートする優しさ返しをしたり、ネットで見かけた10歳の美少女ダンサーの動画をツイートするや大きな反響となり、この少女はテレビで取り上げられるなどダンサーとしてブレイク、2年後のケイティのハーフタイムショーではゲストのミッシー・エリオットのパフォーマンスにバックダンサーとして出演したりとファンとも気軽に絡んでくるフレンドリーさも魅力だ。

そして時には自分自身がファン目線になり、ケイティ節でセレブたちを賞賛する。

“私はもう宗教的に支援しているものはないけれど、チャンス・ザ・ラッパーは信仰するわ”

 

“クソ最高、P!NKのアメリカン・ミュージック・アウォードのパフォーマンスが、丸ごとレジェンド”

 

“オッケー、わかったわ。アリシア・ヴィキャンデル、私はあなたとデートしたい”

 

と、セレブ女優にまでジョークでデートを申し込んでしまうケイティだが、自分に対する世間の恋愛ゴシップだって、ケイティにかかれば賢いジョークで軽くいなされてしまう。ケイティが昨年4月に俳優ライアン・フィリップと噂になった時、ライアンは「僕はケイティ・ペリーと交際していない。彼女のこともほとんど知らない。お願いだから、僕の家の上をヘリコプターで旋回するのはやめてくれ。彼女はここにはいないから」真面目に反論ツイートしたが、ケイティは噂を否定するどころか逆手にとって、このツイートをRTしてライアンに「私を地下牢から出してくれない?」とツイートした。

 

またツイートではヒラリー大統領候補を応援したり、災害や銃撃事件などの大事件があれば被害者たちへの言葉をかけるツイートも忘れないが、ケイティはツイートだけではなく、実行に移すことでも高く評価され感銘されている。

犠牲者21人、行方不明者2人を出した南カリフォルニア・モンテシートで起こった土砂崩れ被害のためのに、2018年2月26日に行われたチャリティ・コンサートに、ケイティがサプライズ出演したことも話題になった。このチャリティ・コンサートではおよそ2億円の義援金が集まったが、被害地中心にほど近いグレタで生まれ育ったケイティは「ここは私が育ったところ。土砂崩れ災害に心が痛みました。地域のためにできることなら、何でもしたいです」と語り、楽屋ではこの土砂崩れて父親を失い、兄がいまだに行方不明という女子中学生と面会して勇気付けた。

ちなみに最近のTwitterでは村上春樹の『海辺のカフカ』から

“その砂嵐が終わったとき、どうやってそいつをくぐり抜けて生きのびることができたのか、君にはよく理解できないはずだ。いやほんとうにそいつが去ってしまったのかどうかも確かじゃないはずだ。でもひとつだけはっきりしていることがある。その嵐から出てきた君は、そこに足を踏みいれたときの君じゃないっていうことだ。そう、それが砂嵐というものの意味なんだ”

という一節を掲載している。

ケイティ・ファンからしてみればかなり意味深な言葉とも受け取れ、ケイティにとっての“砂嵐”とは?と詮索してみたく、お察ししてみたくなってしまうって、早速噂になっているが、常に上を目指す、苦難があっても負けない最強ガール・ケイティの真髄が見え隠れしているのかもしれない。



ケイティ・ペリー『Witness』


■著者プロフィール / ABC振興会D姐(Dane/あね/ねえ)

米国ハリウッド在住。セレブやエンターテイメント業界のニュースを独自の切り口で紹介する、アクセス総数5億ページ超の大人気サイト「ABC振興会」を運営。多数のメディアで音楽やセレブに関する執筆、現地ロサンゼルスでのテレビやラジオ、雑誌用のセレブやアーティストのインタビューやレッドカーペット等の取材をこなす。

ABC振興会:http://abcdane.net
Twitter:https://twitter.com/Dane_ABC

*毎週金曜日FM OH!17:00〜鈴木しょう治さんの「MUSIC+ FRIDAY」のコーナー「ハリウッド・ニュース from LA」に出演中

連載『D姐の洋楽コラム』 バックナンバー

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