ブリット・アワード歴代の最優秀ライヴ・パフォーマス・ベスト12(動画あり)

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グラミー賞のように、全世界中に華やかさを放っていないかもしれないが、毎年行われるブリティッシュ・レコード・インダストリー・トラスト・ショー・アワード(略称:ブリット・アワード)は、イギリスの最も名誉ある音楽の祭典式であり、イギリス国内で500万人以上の視聴者を誇っている。1977年に、エリザベス女王2世戴冠25周年の祝典として始まって以来、多くのレジェンドが集まり、伝説的な瞬間を宿す聖地となり、感動的な瞬間(1990年に、クイーンのフロントマンであるフレディ・マーキュリーが、最後に公の場に姿を見せる)や、挑発的な瞬間(1996年に、オアシスが、ライバルであり、同じイギリス出身のポップバンド、ブラーを公に嘲る)、歴代のライヴ・パフォーマスにより、今ではカレンダーに刻まれる重要なイベントだ。

この小規模なイギリスの祭典へ称賛を送るために、ブリット・アワードの傑作ライヴ・パフォーマスをまとめた。

スパイス・ガールズ(1997年)
ブリット・アワードの歴代で最も印象的なライヴ・パフォーマスと評されたスパイス・ガールズのパフォーマンスは、現在も誇り高くその地位に留まっている。その理由は、スパイス・ガールズの象徴的なヒット曲、「Wannabe」と「Who Do You Think You Are」の力強いパフォーマンスのみならず、ジェリ・ハリウェルの衣装にも注目が集められたためである。

この頃は、スパイス・マニアの絶頂期であり、デビュー・アルバムの『Spice』が米国アルバム・チャートの上位に上り詰めた事を祝い、ジェリ・ハリウェルは、彼女の姉妹がユニオン・ジャックの布巾から作った、背面にピースサインが描かれたドレスを着用した。この華やかなパフォーマンスにより、ブリット・アワードの30周年を記念した賞「The BRITs Hits 30」を受賞し、ブリット・アワードの歴代最優秀ライヴ・パフォーマス賞として歴史に残っている。

 

エイミー・ワインハウス(2008年)
エイミー・ワインハウスがブリット・アワードに登場した頃、彼女は人生の波乱ある時期を耐え忍んで生きていた。彼女のプライヴェートな日常は、タブロイドに叩かれ、ライヴ・パフォーマスまでも批判されていた。彼女は、ブリット・アワードでマーク・ロンソンと共演し、ザ・ズートンズの「Valerie」の素晴らしいヴァージョンを披露した後、一人ステージに戻り、「Love Is A Losing Game」を歌い、観客を騒然とさせ、彼女の誹謗者を確実に黙らせるようなパフォーマンスを披露した。

 

■ザ・ケイエルエフ(1992年)

シンプリー・レッドと共に、最優秀ブリティッシュ・グループ賞を受賞した、エレクトロ・ポップの先駆者のザ・ケイエルエフは、1992年のブリット・アワードの午後の部でオープニング・アクトを務めた。ジミー・コーティとエコー&ザ・バニーメンの前マネジャーのビル・ドラモンドで編成されているバンドであるザ・ケイエルエフは、ヒット曲「3am Eternal」を披露せず、代わりに、グラインド・コアのエクストリーム・ノイズ・テラーと共演し、激しいメタル楽曲を披露した。

演奏の最後にビル・ドラモンドは、ヴィンテージのマシンガンで観客に向かって空砲を打ち、ザ・ケイエルエフの広報担当のスコット・ピアリングは「皆様、これを持ちまして、ザ・ケイエルエフは音楽業界を立ち去ります!」と発表した。これは冗談ではなかった。この大々的な出来事で、当ユニットの音楽キャリアに終止符が打たれた。

 

サム・スミス(2015年)
2015年のブリット・アワードで、サム・スミスは、2つの賞(ブリティッシュ・ブレイクスルー・アクト賞/新人賞とブリティッシュ・グローバル・サクセス賞)を持ち帰り、これまでの経緯を心底から祝福するように「Lay Me Down」を披露し、サム・スミスにとって紛れもない、思い出深い行事となった。

 

■マイケル・ジャクソン(1996年)
1996年のブリットで、マイケル・ジャクソンは、アーティスト・オブ・ア・ジェネレーションを受賞した。マイケル・ジャクソンは、祭典中に「Earth Song」を披露し、背後から照明を当てられ、子供達に囲まれ、神のような佇まいで、曲の最後を迎えた。しかし、それに対して激怒したパルプのフロントマンであるジャーヴィス・コッカーは、ステージに上り、ジャケットをまくり上げ、マイケル・ジャクソンに向け服は着たままだったが尻を振った。ジャーヴィス・コッカーの乱入騒動は、マイケル・ジャクソンのドラマチックなパフォーマンスと同等に、ブリット・アワードの記憶に最も残る出来事のひとつとなった。

 

■プリンス(2006年)
長年テレビ出演を通して世界中に姿を表し、話題性を得てきたプリンスは、最初で最後のブリット・アワードのパフォーマンスで、アルバム『3121』に収録されている2曲(「Te Amo Corazón」と「Fury」)を「Purple Rain」と「Let’s Go Crazy」の前に披露した。10年後に悲痛な出来事が起こるとは知らず、ウェンディー・メルヴォインとリサ・コールマンが数年ぶりにプリンスとステージで共演し、ブリット・アワードは、プリンスの生涯で最後のレヴォリューションのバンド・メンバーとステージを共にした場となった。

 

レディー・ガガ(2010年)
2010年に、レディー・ガガは、インターナショナル・ブリット賞を3つ(最優秀女性パフォーマー賞、最優秀ブレイクスルー・アクト賞、最優秀アルバム賞)を受賞した。特別な日を記念して、レディー・ガガはウェディング・ケーキに見立てたティアード・ドレスを身にまとい、目立つ衣装で祭典式場に現れた。当時のアレキサンダー・マックイーンのデザイナーに捧げたブリット・アワードのライヴ・パフォーマスでは、ドレスを脱いで、レースのボディー・スーツで登場し、「Telephone」と「Dance In The Dark」を披露した。

 

ロード(2016年)
2016年のブリット・アワードは、デヴィッド・ボウイが死去した数週間後に行われ、アニー・レノックスと俳優のゲイリー・オールドマンを含む、昔ながらのスター等も、祭典で悲しみを表明した。しかし、祭典で最も目立ったのは、ロードとデヴィッド・ボウイのライヴ・バンドによる時代を超えた名曲「Life On Mars」の生々しく、感情的な演奏だった。心がこもり、胸が張り裂けそうなパフォーマンスにより、ロードにスタンディング・オベーションが送られ、年月が経っても語り継がれる、ブリット・アワードの史上最も影響力のあるライヴ・パフォーマスとなった。

 

ケイティ・ペリーとスキップ・マーリー(2017年)
ブリット・アワードの最優秀インターナショナル女性ソロ賞、最優秀インターナショナル男性ソロ賞、最優秀インターナショナル・グループ賞は、英国外の国々を代表するアーティストが受賞する。アメリカのスーパー・ポップスターのケイティ・ペリーは、2009年に最優秀インターナショナル・女性ソロ賞を受賞。2017年には賞は受賞しなかったものの、「Chained To The Rhythm」を披露し、パフォーマンス中にトランプ大統領とイギリス首相のテレーザ・メイを骸骨に見立てた大型操り人形が登場した事により(米国大統領ドナルド・トランプの就任式が行われた1ヶ月後であった)、世界中で話題となった。ケイティ・ペリーは、2018年のブリット・アワードで、再び2つの賞(ブリティッシュ・シングル賞とブリティッシュ・ビデオ賞)にノミネートされた。

 

■ガールズ・アラウド(2009年)
2009年のブリット・アワードで初のテレビ出演を遂げ、瞬く間に大ブレークしたガールズ・アラウンドは5人組のグループであり、2009年のブリット・アワードでは、控えめにピンクの羽根で身を包みながらも裸のような衣装で「The Promise」を披露した。翌年2010年のブリット・アワードで、ブリット・アワードの30周年を記念した賞「The BRITs Hits 30」にノミネートされたが、この記事の最初に掲載した、1997年の印象的なスパイス・ガールズのパフォーマンスに惜しくも負けてしまった。

 

■オアシス(2007年)
オアシスと言えば、1996年のブリット・アワードで、マンチェスター出身のスターである、ギャラガー兄弟が最優秀ブリティッシュ・バンド賞を受賞した際、彼らのライバルであるブラーを冷やかした事が印象的である。しかし、2007年のブリット・アワードでは功労賞を受賞し、「Cigarettes & Alcohol」「Rock’n’Roll Star」「Don’t Look Back In Anger」などの名曲を傲慢に披露した。

 

■アデル(2011年)
アデルは、2枚目のアルバム『21』をリリースして数週間後にブリット・アワードにて、当時は認知度が低かったアルバムの収録曲の「Someone Like You」をピアノ・ソロのエモーショナルなヴァージョンで披露した。本人は、緊張のあまり、バックステージで泣いてしまったと言われているが、実に魅惑的なパフォーマンスを成し遂げた。このライヴ・パフォーマスの影響により、「Someone Like You」は米国とヨーロッパともに、1位を獲得し、アデルは有名な存在となった。

 

Written by Tim Peacock


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