ケイティ・ペリー『Teenage Dream』発売10周年:この作品とケイティから影響を受けた5人のアーティストが語る

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Photo: Ari Michelson

ケイティ・ペリー(Katy Perry)の『Teenage Dream(ティーンエイジ・ドリーム)』は、2010年と以降10年間、ポップ・ミュージックと彼女を敬愛する多くのアーティストに影響を与えた。このアルバム、そして影響をうけた5人の女性アーティストたちの発言をご紹介。



2010年8月24日に発売されたケイティ・ペリーのアルバム『Teenage Dream』は、親しみやすいタイトル・トラックと共に、このケイティというポップ・アイコンの美学の道筋を定めながら、今もなおノスタルジックな光景としても生き続けている。

綿菓子のような雲に浮かびながら、ホイップクリーム状のブラジャーを宣伝しているようなケイティの写真がキャンディー・コーティングされ、健康的に日焼けしたようなリード・シングル「California Girls」を始めとする、お菓子のような魅力がこのアルバムを支えている。ハイキャンプなスタイルのこのアルバムで、ペリーは甘ったるいポップを積極的に取り入れながら、自分のイメージを育んでいった。

『Teenage Dream』は80年代に影響を受けたアンセム(「Last Friday Night」)、自信を後押しする爽快なエール(「Firework」)、そして青年期の幸福感(「Teenage Dream」)が前面を飾る。しかしそれだけではなく、ケイティは「Circle The Drain」や「Not Like in the Movies」といった隠れた名曲では名声に対する苦悩を歌い、アルバム・タイトル・トラックの対になる「The One That Got Away」では、壊れていく若者達の愛についても躊躇なく綴っている。

ケイティは『Teenage Dream』から、全米シングルチャート1位獲得曲を5曲も誕生させるという、マイケル・ジャクソン以来となる音楽史上2例目の快挙を成し遂げた。アルバムはその後、世界中で600万枚以上を売り上げ、マルチ・プラチナに輝き、グラミー賞にも7部門ノミネートされている。

2019年、ビルボード誌は「Teenage Dream」をこの10年を特徴づけた曲のひとつとして挙げた。シングル「Teenage Dream」とこのアルバムの10周年を祝し、この曲からどのような影響を受けたかを語る、5人のアーティストを紹介しよう。

ロード / Lorde

失恋の影響について詳しく綴ったセカンド・アルバム『Melodrama』の発売プロモーション中、ロードはケイティのシングル「Teenage Dream」とバブルガム・ポップに対する強い想いを“ニューヨーク・タイムズ・マガジン”のインタビュー告白し、こうコメントしている。

「聴いていて自分の若さを感じると同時に、諸行無常を感じるような、何とも言えない切なさが漂う作品なんです」

ロードは「Teenage Dream」がデヴィッド・ボウイ、フリートウッド・マック、そしてニール・ヤングの音楽と同じくらいに感動を与えてくれたと、その思いを伝えた。

「感じる必要があるとは知らなかったようなものを感じさせてくれる作品。どこか神聖な感じがするんです」

2017年アルバムに発売されたロードの『Melodrama』は『Teenage Dream』よりもかなりメランコリックであるが、影響をうけたノスタルジアが一貫して漂っている。

マレン・モリス / Maren Morris

ケイシー・マスグレイヴス同様、マレン・モリスはオルタナティブ・カントリー界で愛されるアーティストとして成長した。マレン・モリスの曲の多くは、トラディショナル・カントリー・ラジオとポップ風の歌を行ったり来たりするが、セカンド・アルバム『GIRL』の「A Song For Everything」では、ケイティ・ペリーの「Teenage Dream」について歌っている。

作曲の共作者と仕事をしている最中、若い頃どういうアーティストに影響を受けたかを話し合っている時に、インスピレーションを得たと言う。彼女はTooFabでこう語った

「わたしがずっと好きだったポップ・ソングと言ったら、ケイティ・ペリーの“Teenage Dream”。それから間違いなくコールドプレイ。それを曲に取り入れることで、自分のストーリーや、子供の頃に凄く影響を受けた人達のことを伝えられると思ったんです。自分の人生のサウンドトラック、過去を思い出させてくれる曲について書いたんです」

ボニー・マッキー / Bonnie McKee( ブリトニー・スピアーズ「Hold It Against Me」)

あまり知られていないことかも知れないが、ケイティ・ペリーは、2011年に発売されたブリトニー・スピアーズのアルバム『Femme Fatale』のシングル「Hold It Against Me」のインスピレーションの源になっている。

「Teenage Dream」のソングライターであるボニー・マッキーは、ケイティと一緒に曲作りに取り組んでいた時、ブリトニーの音楽に取り掛かる為に部屋を離れた。ボニーは「Hold It Against Me」の創作を、ケイティにインスパイアされた“幸運な出来事”と2013年、ハリウッド・レポーターにこう語っている。

「(ケイティが)タイトでセクシーな小さなドレスを着て部屋に入って来て、わたしは “ケイティ、なんてステキな身体しているのでしょうと言ったら、あなたはわたしを非難する(you hold it against me)?”ってジョークっぽく言ったんです。あの時にイメージがおりてきて、それで“Hold It Against Me”を書いたんです」

ヘイリー・ウィリアムス / Hayley Williams

ケイティ・ペリーは、メインストリーム・ポップの舞台に加わる以前、大勢のパンクロックバンドが一堂に会する移動式フェス、ワープド・ツアーに参加している。2013年に、パラモアのヘイリー・ウィリアムスが、ペリーとポップ・ミュージック全体を称賛したのは、それほど意外なことではないだろう。ウィリアムスはオーケー・マガジンで語っている。

「ケイティ・ペリーはひどくイカした人。彼女のことを凄くよく知っているわけではないですが、会った時の印象はいい意味でヤバい女性って感じで、そういうところが大好きなんです。わたしはポップ・ミュージックが大好きなんです。堂々と言いますよ。わたしはパラモアに参加していて、ポップとはまるで違う音楽シーンから登場したけど、ポップ・ミュージックの大ファンなんです」

ヘイリー・キヨコ / Hayley Kiyoko

「Teenage Dream」以前にリリースした「I Kissed A Girl」(2008年)は、ケイティ初のヒット作となり、未来のクィア・ポップ・アーティスト達にインスピレーションを与えた。ペイパー・マガジンのインタビューで、ヘイリー・キヨコは「I Kissed A Girl」を初めて聴いた時に感じたことについてこう語った。

「あの曲がリリースされた時、わたしは生まれて初めて “これスゴい!” って感じたんです。だって女性にキスして、それでステキだと思ったって認めてるわけじゃないですか」

ヘイリー・キヨコにとって、ケイティの「I Kissed a Girl」は画期的だったのだ。

「凄く良い曲を書けば、それがどんなことであろうと、人は自分と重ね合わせることができると、あの曲は教えてくれました。その思いは2015年の自分の曲“Girls Like Girls”でようやく実を結んだんです」

Written By Ilana Kaplan



ケイティ・ペリー『Smile』
2020年8月28日発売
CD&Goods / iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music



 

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