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スティング「Fields of Gold」解説:世代を超えて人々を魅了する名バラード

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自然はソングライターにとって、最も大きなインスピレーション源のひとつだ。スティング(Sting)の「Fields of Gold」は、1990年代の楽曲の中でもその代表例であり、イングランドの田園地帯にある16世紀の邸宅の周囲に広がる黄金色の大麦畑を題材にしている。

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【和訳】Sting – Fields Of Gold / スティング – フィールズ・オブ・ゴールド

スティングは著書『Lyrics』の中で、その心を揺さぶる風景について次のように語っている。

「イングランドでは、私たちの家は大麦畑に囲まれていて、夏になると、風がその煌めく表面を通り抜ける様子が、まるで黄金の海の波のように見事で魅了される。その光景には本能的にセクシーで、原始的な魅力があるんだ」

大麦畑はイメージを提供するが、この歌は恋愛関係について歌っている。時系列に沿って語られるこの曲で、スティングは「あなたは私の恋人になってくれるだろうか?」と問いかけながら、誰かに恋をしたときに私たちが経験する不確かさを歌い、結婚、子育てを経て、やがて避けられない別れの瞬間へと私たちを導いていく。その過程で繰り返される「西風が吹く時、君は僕を思い出してくれるだろう」という絶妙なフレーズが、物語を紡いでいくのだ。

彼が望むのは、ただ「黄金の畑を歩くときに自分のことを思い出してほしい」ということだ。魅惑的で物憂げ、そして深く心に響く「Fields of Gold」は優雅で力強いと同時に、驚くほどシンプルだ。この楽曲がまさに愛そのものの比喩であると考えるのは、ごく自然なことだ。愛がどれほど力強く、また単純なものになり得るか――ただしそれは、正しい相手と共にある時だけである。

この曲は「Fields of Gold」にインスピレーションを与えたスティングの自宅で録音された。彼はダイニング・ルームを自宅スタジオに改造。キーボードを担当したデヴィッド・サンシャスはかつて、「Fields of Gold」の美しさの一端はスタジオでの生録音にあったと回想している。彼はオーバーダビングは一切なかったことを明かした。本質的に、これは実にシンプルな曲なのだ。

 

ポールが語る「Fields Of Gold」

2008年のインタビューで、「他人の曲の中で自分が書きたかったと思うものは?」と尋ねられたポール・マッカートニーは次のように答えている。

「そういう曲はいくつもあるよ。耳にするたびに“ああ、自分が書けたらよかったのに”と思うんだ。スティングの“Fields Of Gold”も好きで、“あぁ自分が書くべきだったな”って思ったんだ」

この言葉に大きな喜びを示したスティングは、自身のSNSでポールへの感謝をこう綴った。

「ポールの曲の中で、自分が書けたらと思ったものは一つや二つじゃない。人生の恩人からそんな風に言ってもらえるなんて、本当に特別なことだよ」

さらに「Fields of Gold」は、ケイティ・メルアやエヴァ・キャシディをはじめ、多くのアーティストによってカヴァーされてきた。どの演奏も美しいが、歌詞と旋律が完璧に調和したスティングのオリジナルは、まさに彼のキャリアを代表する傑作といえる。

Written By Emma Harrison



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