リル・ベイビー(Lil Baby)が名声を成すまでの6つのステップ:アトランタ・ヒップホップ界に出現した新ヒーローの軌跡

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Photo: Kenneth Cappello, courtesy of Capitol Records

リル・ベイビー(Lil Baby)は、何十年もの間ヒップホップ界のビッグ・ヒットを生み続けている街、アトランタ・ヒップホップ・シーンの最前線において、瞬く間に最も大きな成功を手にした人物のひとりとなった。アトランタは熟練の腕を持つ多くのMCを生み出しただけでなく、過去5年間でメインストリームのポップ・ミュージックまで広がりをみせている“トラップ”というジャンルを生んだ街でもある。ではリル・ベイビーとは一体何者なのか?そしてシーンにとってどのような存在なのだろうか?

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リル・ベイビーが名声を得るまでの6ステップ

アトランタはグッチ・メイン、ヤング・サグ、ミーゴス、そして新たなシーンを牽引するリル・ベイビーらが住む、ヒップホップの革新における中心地だ。彼らは地元の名門レーベル“クオリティ・コントロール”による舵取りのもと、音楽業界内にコミュニティを育んでいった結果、ソロそしてコラボレーション・ユニットとして、独自の音楽を創り上げていくことを可能にした。

リル・ベイビーはラジオを征服しながらチャートのトップを飾り、グラミー賞にまでノミネートされたわずか数年の間でアトランタのヒップホップ界における影響力を強めていった。そうして急速に人気を獲得していった彼は、他のアーティストが10年かけて手にする以上の成功を収めたのだ。

その滑らかで巧みなラップは、メロディアスで自信に満ち溢れ、既に絶頂期にあるようにさえ感じられるが、実際にはスタートを切ったばかりだ。ここでリル・ベイビーが名声を成すまでの6つのステップを紹介しよう。

1. ゲームの達人 (*テレビ・ゲームではなくラップ・ゲーム=競争的な意)

元々、街中で違法行為をしながらカネ稼ぎをしていたリル・ベイビーだったが、程なくして近所のラッパーたちとの関係性を築いていく。それまでは音楽に興味はなく、手慣れた方法でカネを稼ぐことに満足していたが、地元の才能溢れるラッパーたちは、彼にスタジオへと通うよう背中を押した。

リル・ベイビーの自信と見事なマイクさばきは天性のものである一方で、彼はいまだ修行中の身であると主張し、まさに試合中のアスリートのメンタリティでラップと向き合っているのだ。即座に“キメてやろう”とするラッパーが多い中、リル・ベイビーは準備に入念で、新たなプロジェクトの度に、腕を磨きながら、学び続けている。この慎重なアプローチの成果は、その緩やかな成長の中に顕著に表れており、彼は比較的短期間で名声を得たものの、それが決して一朝一夕に起こったことではないことがわかる。

2.不屈のハングリー精神

リル・ベイビー(本名ドミニク・ジョーンズ)は、若い頃に地元アトランタで頭角を現し、その野望を曝け出した。彼は学業面においては問題を抱えてはいなかったものの、高校時代にはたびたびトラブルに巻き込まれていた。その後高校を中退すると、家族を養うカネを稼ぐために様々な手段を駆使して、忙しい毎日を送っていた。アトランタでは既によく知られた存在になっていたものの、彼自身はラッパーを志望していたわけではなかったが、地元アトランタのスターや業界のリーダー等は、すでに彼の才能と魅力に気付いていた。しかし法律上のトラブルに見舞われたことによって何度も逮捕され、18歳の時に実刑判決を受けてしまったことで、彼が勢いに乗りつつあったキャリア初期は一旦幕を閉じてしまった。

出所後、より一層真剣にラップ取り組み始めたリル・ベイビーがインスタグラムに投稿するようになったスタジオでのレコーディング動画の一部がグッチ・メインとヤング・サグに目に留まり、ふたりは彼と契約を交わそうと競い合う。その後契約を勝ち取ったヤング・サグは、この若きラッパーを指導するためにじっくりと時間を費やし、彼を街から遠ざけ、スタジオで制作に専念させるために給料も払った。

ヤング・サグとの契約によってやる気に火がついたリル・ベイビーは、ほぼ毎日レコーディングに没頭するようになる。程なくして彼は地元の名門レーベルであるクオリティ・コントロールと契約を結び、2017年に、リル・ヨッティやヤング・サグ他、アンダーグラウンド・アーティスト達との一連のコレボレーション曲を収録したデビュー・ミックステープ『Perfect Timing』をリリースした。

 

3. 技術を磨き続ける

『Perfect Timing』が業界の上層部たちから注目を集めたリル・ベイビーは、再びスタジオに入って腕を磨きながらラップに集中し、毎プロジェクトで、より良い結果を出そうと自らを駆り立てた。2作目のミックステープ『Harder Than Hard』は、そのわずか数ヶ月後にリリースされ、リル・ベイビーは一躍脚光を浴びた。

『Harder Than Hard』には、Starlito、フッドリッチ・パブロ・ジュアン、ドレイク、マネーバッグ・ヨー、ヤング・サグ、リル・ウージー、ガンナ、オフセット等々、多くの旬な売れっ子アーティスト達がフィーチャーされていた。サウスサイド、ウィージー、ターボ、クウェイ・グローバル、テイ・キースによる格段にレベルアップしたプロダクションも、大絶賛された。

ストリートで培ったその勤勉なメンタリティをラップにも注ぎ込んだリル・ベイビーは、アトランタ出身のラッパー、Marloとコラボレーションしたミックステープ『2 The Hard Way』を、そしてさらなる新たなミックステープ『Too Hard』を、立て続けに同年発表した。新たな作品をリリースする度に、リル・ベイビーはメインストリームへと近づき、『Too Hard』によってアトランタのラッパーたちのレベルを遥かに飛び越えてしまった。『Too Hard』後に発表されたシングル「Freestyle」とそのミュージック・ビデオは、リル・ベイビーの勢いが止められないことを他のラッパー達に知らしめた。

 

4. 本物であれ

『Too Hard』にはゲストが登場する曲がいくつかあるが、リル・ベイビーはそのソロ曲で輝きを放っていた。その腕に磨きがかかる一方で、作品のテーマは進歩を遂げ、彼が急速に得た名声と、自身のそれほど遠くない過去と折り合いつけているのをファンは目の当たりにした。

「Best Of Me」で彼は、「子供が死んだと思った、あの銃撃戦の時のことを覚えてるか?/唯一分かってるのは、車を止めた時みんな元気に飛び出して行ったこと/帰り道の車内では、みんな静かだったのを覚えてる」とラップする。

何よりもまず、リル・ベイビーの音楽には偽りがない。彼は前進し、人生をより良いものにするための足掛かりとして、自らの過去に基づく実体験をラップしているのだ。世の中の注目度が上昇する中、リル・ベイビーはこれまで以上に自分を駆り立てながら、2018年にデビュー・アルバム『Harder Than Ever』をリリースした。

 

5. 一流と仕事せよ

ドレイクとの「Yes Indeed」を収録した『Harder Than Ever』は全米アルバム・チャートで初登場3位を獲得した。ドレイクとのコラボレーションは度々、世に出て間もない新人がメインストリームで成功するための指標とされている。リル・ベイビーはこの後も活動を中断することなく、ガンナと5作目のミックステープ『Drip Harder』を発表した。

再びドレイク、ナヴ、リル・ダーク、ヤング・サグといった最高級クラスの顔ぶれをゲストに迎えた『Drip Harder』は、まるでリル・ベイビーとガンナによる見事なショウのようだった。2人は抜群の相性を見せつけ、アトランタにはひとりではなく、ふたりのスーパースターがいることをはっきりと提示した。今作からの「Drip Too Hard」はミリオンセラー・ヒットとなり、グラミー賞で“最優秀ラップ・パフォーマンス賞”を受賞している。

その後もウィニング・ランを続けたリル・ベイビーは、2018年後半にミーク・ミルとグッチ・メイン、オフセット、2チェインズ、ノーキャップ、ヤング・サグらアトランタの大物達をフィーチャーしたミックステープ『Street Gossip』を発表した。

 

6. 成功から目を逸らすな

リル・ベイビーは、2020年2月に2作目のスタジオ・アルバム『My Turn』をリリースし自身初の全米チャート1位を獲得した。今作に先立ってリリースされたシングル「Sum 2 Prove」の中で自身の新たな章がどんなものになるのかをファンに予告している。

「レースするように生きる/俺は1着か2着になるかも知れないが、ビリには絶対になるまい/このところ勝ったも同然/アクセルから足を放すなと兄貴に言われた/奴等が少し譲歩してきたら、俺は更に要求してやる/自分でシュートしてみせよう、テクニカル・ファールのように/街から街へ、オンナ達は大興奮」

その後もフューチャーをゲストに迎えた「Out The Mud」、そして「Woah」といった話題のシングルを次々とリリースしていった彼はアトランタの地平線の遥か彼方を見据えているのだ。

Written By Alyson Lewis



リル・ベイビー「The Bigger Picture」
2020年6月12日配信
iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music

リル・ベイビー『My Turn (Deluxe Edition)』
2020年5月1日発売
iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music




 

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