ボビー・ジェントリーの隠れた名曲ベスト10(全曲視聴動画付)

1月 20, 2019


ボビー・ジェントリーの隠れた名曲ベスト10(全曲視聴動画付)

ボビー・ジェントリーは、実に幅広い視野を持ったアーティストだった。『The Girl From Chickasaw County』は、その偉業を称えるために作られた8CDボックス・セットである。このセットには「Ode To Billie Joe(ビリー・ジョーの唄)」、「Fancy」、「I’ll Never Fall In Love Again」といった大ヒット曲だけでなく、忘れられた名曲や見過ごされがちな珍しい音源がたっぷりと収録されている。まさに、彼女を再発見するのにもってこいの内容だ。今回は、ボビー・ジェントリーの必聴曲ベスト10を紹介しよう。

 

■「Mississippi Delta」:『Ode To Billie Joe』収録(1967年)
これがそもそもの始まりだ。ボビーが初めて吹き込んだデモであり、デビュー・アルバムの冒頭1曲目でもある。荒削りでサイケデリックな「Mississippi Delta」は、'60年代後期の雰囲気、さらには泥にまみれた昔の真夜中の儀式を聴く者の脳裏に浮かび上がらせる曲。これは、この時期にボビーが録音した中でもベストのひとつだ。本人によれば、この曲のヒントになったのは地元のヴードゥーの呪文だという。確かに、彼女のざらついたヴォーカルには敵を地獄送りにできそうな迫力がある。

Mississippi Delta

Mississippi Delta

 

■「Reunion」:『The Delta Sweete』収録(1968年)
ボビーのセカンド・アルバム『The Delta Sweete』は野心的なコンセプト・アルバムの傑作で、アメリカ南部の文化が中心テーマとなっている。収録曲はそれぞれ重なり合い、この「Reunion」の場合、複数の視点がひとつのシナリオの中で重ね合わされている。「Reunion」に登場する奇妙なお喋りは、「Ode To Billie Joe」で描かれた家族内の疎外感を別のかたちで表現していた。つまり、私たちはみな一度に喋り、お互いに耳を傾けることがない。そして、馬鹿げた騒音の中で迷子になるまで、そうしたお喋りを続けてしまうのだ。

Reunion

Reunion

 

■「Courtyard」:『The Delta Sweete』収録(1968年)
「Reunion」が日々のやり取りの中にある孤独を表現したものであるなら、「Courtyard」はその正反対。繊細かつ慎重に、主人公の女性は語っていく。男が自分のために豪華な牢獄を築き上げたと。けれどその男は、ふたりの関係から気持ちが離れていった。これは悲劇であり、喪失感であり、完璧な疎外感である。

Courtyard

Courtyard

 

■「Casket Vignette」:『Local Gentry』収録(1968年)
ボビー・ジェントリーのサード・アルバムは全作『The Delta Sweete』での実験を再び繰り返しているが、彼女の名曲の多くにあるブラック・ユーモアはかなり健在だ。「Casket Vignette」はボビーの曲の中でも特に残酷な部類に入る。ここで描かれるのは、葬儀屋兼セールスマン。この葬儀屋は、恋人を亡くしたばかりの若い女性に、豪華な葬儀用具をせっせと売りつけようとしている。ボビーによれば、この曲を作ったのは飛行機に乗っていたときだという。「あのときのフライトはかなり荒れてたんじゃないかな」と彼女は無表情に語っていた。

Casket Vignette

Casket Vignette

 

■「Ace Insurance Man」:『Local Gentry』収録(1968年)
このファンキーな曲は、見過ごされがちな名曲だ。「Casket Vignette」と同じように、これも登場人物の描写には何の容赦もなく、ここでボビーが標的にしているのは、ダラダラと語られる噂話だ。そんな辛辣なコメントの歌ではあるけれど、曲はグルーヴィーなホーンと渦巻くようなストリングスで陽気に仕上がっている。

Ace Insurance Man

Ace Insurance Man

 

■「Sunday Mornin」:『Bobbie Gentry And Glen Campbell』収録(1968年)
ボビー・ジェントリーは、他の歌手の歌をカヴァーすることにためらいがなかった。そうしたカヴァーの中でもとりわけ優れた作品、たとえばこの曲では、ボビーは他人の歌を自らの独特な世界観の中に組み込んでいる。この曲を作ったマーゴ・グリヤンは、まさしくニューヨーカーというべき歌手だった。そんな都会風の曲に、ボビーとグレン・キャンベルはゆったりとしたカントリー風味を付け加え、そこにほんの少しだけ不安の種を紛れ込ませている。

Sunday Mornin' (Alternate Take)

Sunday Mornin' (Alternate Take)

 

■「Seasons Come, Seasons Go」:『Touch ’Em With Love』収録(1969年)
ダスティ・スプリングフィールドの『Dusty In Memphis』やルルの『Melody Fair』がそうだったように、ボビーの4枚目のソロ・アルバムは彼女がソウルに挑戦した作品になった(ここではダスティ・スプリングフィールドの「Son Of A Preacher Man」が採り上げられている)。「Seasons Come, Seasons Go」は、このアルバムの中では落ち着いた雰囲気の曲。ボビーは自ら作ったこの曲で新しい作風に挑戦している。歌詞は、十八番にしていた南部の鮮烈な物語風の語り口から離れ、牧歌的でぼんやりとした印象派風のものになっている。

Seasons Come, Seasons Go

Seasons Come, Seasons Go

 

■「He Made A Woman Out Of Me」:『Fancy』収録(1970年)
ボビー・ジェントリーは、独特な気品と作法を持つ官能的な女性だった。「He Made A Woman Out Of Me」は彼女の作品の中でも露骨にエロティックな曲のひとつ。「16歳になるまでは何も知らなかった……川を上ってきたジョー・ヘンリーが私を女にした」と歌うこの曲では、ギターさえもがいやらしい音色を奏でている。

He Made A Woman Out Of Me

He Made A Woman Out Of Me

 

■「Somebody Like Me」:『Patchwork』収録(1971年)
アルバム『Patchwork』で、ボビーはついにプロデューサーも務めるようになった。このアルバムでは、ときおりユーモラスな、そしてしばしば物憂げな雰囲気を漂わせるカントリー・ポップの名曲が『The Delta Sweete』を思わせる間奏曲でつなぎあわされている。「Somebody Like Me」はアルバムの中では異色の曲だが、ボビー・ジェントリーの代表曲のひとつとなった。実に魅力的な1971年のポップ・ソングである。

Somebody Like Me

Somebody Like Me

 

■「Lookin’ In’」:『Patchwork』収録(1971年)
「私はまたひとつ歌を作る / 私がこれまで過ごした世界をあなたに知ってもらうために」アルバム『Patchwork』を締めくくるこの曲で、ボビーはそう歌っている。この「Lookin’ In’」は、彼女が音楽業界に別れを告げた曲という解釈が今では一般的だ。ここで彼女は、電話、契約、空港、ホテル……といった生活にうんざりしていると語り、「お決まりのことをやるための新しいやり方を考えてる」と打ち明けている。これはボビーの最後のレコードではないが、この疲れたため息のような曲を聴くと、これから先はもう長続きしないだろうと感じさせられる。「どうしても妥協はできない」とボビーは歌う。確かに、その音楽活動の中で、彼女は妥協したことがほとんどなかった。

Lookin' In

Lookin' In

 

Written By Jeanette Leech


『The Girl From Chickasaw County - The Complete Capitol Masters』


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