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誰も予想していなかった『ゲッツ/ジルベルト』の大成功

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1963年3月18日の月曜の夕方、5人のミュージシャンが(そのうち1人は妻に付き添われ)ニューヨーク市のA&Rスタジオに到着した。その時には、これがかつてないと言ってもいいほどの衝撃をジャズ界に与えようとしていたなんて誰も想像していなかった。その頃のジャズはまだ一般向きなメインストリームに近いものもあったが、それでもまだまだマイナーな存在だった。

5人のミュージシャンとは、サクソフォン演奏者スタン・ゲッツ、ピアニストのアントニオ・カルロス・ジョビン、ベーシストのトミー・ウィリアムス、ドラマーのミルトン・バナナ(本名アントニオ・デソウザ)、そして妻に付き添われてきたのはブラジリアン・ギタリストのジョアン・ジルベルトだった。妻の名前はアストラッド・ジルベルト。後にヒット歌手となるが、こに当時彼女はまだ22歳でレコーディングをした経験もない素人だった。スタン・ゲッツは、1年前にチャーリー・バードとレコーディングし、全米アルバム・チャート1位を獲得したジャズ・サンバ作品『Jazz Samba』の成功を利用して、もう一度利益を得ようと次のアルバムを作ることを考えていた。その1ヶ月前にスタン・ゲッツはギタリストのルイス・ボンファと『Jazz Samba Encore』をレコーディングしていた。

プエルトリコ出身のオルガ・アルビズの絵をジャケットに使用したり、優しいサンバのサウンドを奏でたり、曲のテーマをリオデジャネイロにあるコルコバードやイパネマにしたり、『Getz/Gilberto』はすべてのグルーヴにブラジルが染み渡っている。

Getz/Gilberto』は1年後に全米チャートで2位にランクインし、2年近くベストセラー・リストにランクインした。1965年のグラミー賞にて全てのジャンルの中から選ばれる「最優秀アルバム賞」を受賞。ジャズのアルバムが受賞するのは初めてのことで、その後史上最も売れたジャズ・アルバムTOP5にはいる1枚であり続けている。そういった事実を別として、彼らは最終的にジャズが商業的、そして芸術的にも満足を与えてくれることを証明した。

この作品について言えることはすでに言い尽くされているが、ラジオでオンエアーされるような曲が必要だということでジルベルトの妻アストラッド・ジルベルトに 2曲英語で歌ってもらったことは、スタジオに入った後に思い付いたことだった。多くの昔ながらのブラジルの曲に英語の歌詞をつけたノーマン・ギンベルが「Girl from Ipanema(邦題:イパネマの娘)」の歌詞を書いた。彼はその他にもディーン・マーティンのマンボの傑作「Sway」の歌詞も書き、後にロバータ・フラックの「Killing Me Softly With his Song(邦題:やさしく歌って)」の歌詞も書いている。「Girl from Ipanema」のアストラッド・ジルベルトの美しいヴォーカルが、その45回転シングルを世界中のベストセラー・チャートにランクインさせる手助けをし、アメリカでは5位にランクインし、グラミー賞では最優秀楽曲賞を受賞した。

メンバーたちは次の日にスタジオでアルバムを完成させた。Billboad誌が1964年4月にLPについてこうレビューしている。「スタン・ゲッツの官能的なテノール・サックスと、ブラジルの有名人であるジョアン・ジルベルトの優しいエッジの利いたヴォーカルが組み合わさり、美しいブラジリアン・ミュージックを作り出している」もしかすると彼ら自身も、他の人たちも皆、『Getz/Gilberto』がそこまで成功するとは当時は思っていなかったのかも知れない。




スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト『Getz/Gilberto』

   


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  1. Pingback: 2枚の傑作に挟まれたスタン・ゲッツの『Big Band Bossa Nova』

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