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マイルス作品などで知られるジャズ・ドラマー、ジャック・ディジョネットが逝去。その功績を辿る

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Photo: Jack Vartoogian/Getty Images

グラミー賞受賞歴を誇るジャズ・ドラマーで、バンドリーダー、サイドマンとしてモダン・ジャズ界を牽引したジャック・ディジョネット(Jack DeJohnette)が、米時間2025年10月27日、うっ血性心不全のためニューヨーク州ウッドストックで逝去した。享年83。

ジャック・ディジョネットは、チャールス・ロイド、フレディ・ハバード、ビル・エヴァンス、ジョン・アバークロンビー、アリス・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、パット・メセニー、ハービー・ハンコック、ジョン・スコフィールドといった数多くの名手たちと共演し、60年近くにわたって膨大な作品を残してきた。

彼が最も知られているのは、1970年代初頭にマイルス・デイヴィスが発表した先駆的なジャズ・フュージョン作品群での演奏だろう。ジャック・ディジョネットは、『Bitches Brew』や『On the Corner』といった極めて影響力のあるマイルス作品のリズム・セクションの中心として、ジャズ、ロック、ファンク、R&Bを融合させたサウンドに自身の自由奔放で流麗なスタイルを注ぎ込んだ。彼は後に「マイルス、デイヴ・ホランド、チック・コリア、ウェイン・ショーターと一緒に演奏していたあの時期は本当に刺激的だった。毎回ステージに上がるのが待ちきれなかった。今日はどんな“いたずら”を仕掛けられるだろうってね」と当時を振り返っている。

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その生涯

1942年にシカゴで生まれたジャック・ディジョネットは、幼少期にピアノを学び始めたが、13歳でドラムに転向し、翌年には早くもライヴ演奏を行うようになった。ヴォーカル・グループやロック・バンドでの活動を経て、やがて彼は、自身の冒険心あふれる音楽的本能を最も自由に追求できる場をジャズの世界に見出した。

1966年にニューヨークへ移住後、彼は、ロックの影響をジャズに取り入れた先駆者であるチャールズ・ロイド・カルテットに加入。このグループでの活動を通じて、長年のコラボーレーターとなるピアニスト、キース・ジャレットと知り合い、マイルス・デイヴィスのバンドにキースを招き入れた。

So Tender

卓越したサイドマンとして確固たる地位を築く一方で、バンドリーダーとしても頭角を現していった彼は、1968年にデビュー・アルバム『The DeJohnette Complex』をリリースし、1980年代以降にECMレコードから発表した一連の傑作をはじめ、その後数十年にわたり輝かしい功績と多くの作品を残した。

彼の演奏は世界中のジャズ・ミュージシャンやジャズ・ファンに支持され、その功績はやがて公式なかたちでも認められることとなる。ジャック・ディジョネットはグラミー賞を2度受賞し、複数回ノミネートされたほか、1990年にはバークリー音楽大学から名誉音楽博士号を授与され、2007年にはモダン・ドラマーの殿堂入りを果たしている。

Equipoise

彼の最初の妻はシカゴの学生時代の同級生ディアドラ・ダヴェンポートで、1966年にはロンドン公演の楽屋で出会った2番目の妻リディアと再婚し、二人の娘ファラーとミーニャをもうけた。

Written By Sam Armstrong



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