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ザ・ローリング・ストーンズ初めてのアメリカ滞在:一足遅れてしまった“ブリテッシュ・インヴェイジョン”

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1966年の6月5日、ザ・ローリング・ストーンズはアメリカ征服の第一歩を踏み出した。だが現在の認識からすれば意外だろうが、アメリカにおける当時のストーンズのポジションは、”ブリテッシュ・インヴェイジョン”の筆頭格といったものではなかった。ザ・ビートルズとデイヴ・クラーク・ファイヴがローリング・ストーンズが海を渡るはるか前から、アメリカでのトップ10ヒットを記録していたのだ。

「Not Fade Away」がビルボードのチャートにランクインしたのは1964年5月下旬のことだった。その数日後、ストーンズの面々はBOAC(British Overseas Airways Corporation/ブリティッシュ・エアウェイズの前身に当たる英海外航空協会)の飛行機に搭乗し、ロンドンのヒースロー空港を出発。6時間強経った頃にはニューヨークのJFK空港に降り立った。アメリカへの進出ではビートルズに先を越されていたものの、ストーンズはこの後50年以上に亘ってこの地で愛されることになるのだ。

ストーンズがニューヨークに到着した日は、チャーリーの23歳の誕生日を翌日に控えた1964年6月1日のことだった。500人のファンが出迎える空港で彼らは、「髪の毛を切れ」、「お前たちはビートルズか」とヤジを浴びせられることになる。そう叫ぶのはもちろんファンではなく、ほかの乗客や空港の職員たちだ。約100人の記者が出席した記者会見では、地元のDJであるマレー・ザ・Kが、会見の写真に記録されている通り、1頭のオールド・イングリッシュ・シープドッグを用意していた。その長い毛をメンバーの髪形と対比させる狙いがあったのである。

空港を出たメンバーはマンハッタンに向かい、タイムズ・スクエアのホテル・アスターに宿泊することになっていたが、彼らが部屋に入る前にファンたちがロビーに入り込んだためにホテルは大騒ぎになってしまった。朝食をとり、更なる会見やラジオのインタビューをこなした後、彼らは『The Les Crane Show』に出演した。ローカル局の番組ではあったが、それでも彼らにとって、これがアメリカにおけるテレビ・デビューになった。

6月3日になるとバンドはロサンゼルスへと飛び、ビバリー・ヒルトン・ホテルへと向かった。その後ABCテレビで、ディーン・マーティンが司会を務める『Hollywood Palace Show』のための収録を行っている。このとき彼らが披露したのは3曲だったが、結果的に使われたのは「I Just Want To Make Love To You(恋をしようよ)」の45秒相当のパフォーマンスだけで、さらにホストのマーティンはメンバーのヘアスタイルを揶揄している。翌日、メンバーはハリウッドで服のショッピングを楽しみ、マリブ・ビーチを訪れた後でRCAスタジオに顔を出している。後にこのスタジオで彼らは、1960年代を代表するいくつかのヒット作をレコーディングすることになる。6月5日の金曜日、バンドはバスに乗ってサンバナディノへ行き、アメリカ大陸で初めてのコンサートを行っている。

Stones San Bernardiono

6月6日にはサンアントニオに飛び、ステート・フェアに参加。ツアーで最も観客の多い1日だったが、彼らの目当てはローリング・ストーンズではなく、その日の最大のスター、ボビー・ヴィーだった。(それから約50年後の2015年6月6日、彼らは再びテキサスに降り立ち、ダラスのAT&Tアリーナで演奏することになるが、今度はもっと多くの観客が彼らを目当てにやってきたのだった)。

今ではストーンズの初めてのアメリカ・ツアーを見たと豪語する人は多いが、おそらくほとんどは2度目か3度目のツアーと混同しているはずだ。というのも、最初のツアーで行ったのは8箇所でのたった9公演だからだ。ミネアポリスではほんの400人、オマハでは600人、デトロイトやハリスバーグでは1万人は収容できるスタジアムに1,000人弱の観客しか訪れなかった。ほぼ満員になったのはカーネギー・ホールとサンバナディノだけだった。ほとんどの公演を、バンドは「Route 66」でスタートさせ、続いて「Not Fade Away」「I Wanna Be Your Man(彼氏になりたい)」、「High Heel Sneakers」「I’m Alright」「I just Wanna Make Love To You」などを演奏している。

Written By Richard Havers




ザ・ローリング・ストーンズ「Living In A Ghost Town」
発売日:2020年4月24日配信 / CD5月29日 / アナログ6月26日
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