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DOMMUNE『来日直前!ビリー・アイリッシュ徹底解説SP!』の内容を抜粋して紹介

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これまで発表してきた楽曲でさまざまな記録を打ち立て、20歳にして現代の“ポップ・アイコン”として圧倒的な存在感を獲得したビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)。

2018年のサマーソニック以来、そして単独では初となる来日公演が2022年8月26日に迫ってきた。今や音楽だけでなくファッションや発言なども大きな影響力を与えるビリー。彼女がそこまで辿り着いた理由、2021年に発表された最新アルバム『Happier Than Ever』で表現した現在地、さらに来日公演への期待を、音楽評論家の田中宗一郎さん、音楽ライター/翻訳家の池城美菜子さん、さらにMCとしてラジオDJやモデルとして活躍する三原勇希さんを交え語り尽くす語りつくす番組が8月25日DOMMUNEにて放送された。その一部を抜粋して紹介する。

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ビリーを知った切っ掛け

三原 みなさんがビリーのことを知ったのは、どのタイミングだったのですか?

池城 大きくビリーのことが知られたのは、ドラマ『13の理由』ですよね。

田中 そうですね。ここでカリードとの楽曲「lovely」が使用されて、そこが彼女のブレイク・ポイントのひとつになったと思います。

池城 このドラマは、アメリカではベストセラー小説なんですよね。ドラマとして完成度が高く、かつ現実性も高い。その当時の10代の子たちが直面している問題が全部詰まっていて、観ていて辛いのですが、大人としては目を背けてはいけないと思って視聴していました。そこで流れていた楽曲が「lovely」で、私もここで彼女のことを知りました。田中さんは、私よりビリーのことを知るのが早かったんですよね?

Billie Eilish, Khalid – lovely

田中 僕は2017年の後半くらいですね。サブスクでヴィンス・ステイプルズというラッパーとの共演曲「&burn」で知り、デビューEP『dont smile at me』を聴きました。暗いし、終始怒っているし「何なんだろう?」というところから、引きこまれました。多分同世代の人は「他の世代ではわからない=孤独な魂」を大切にしていて、そういう声なき声を集約しているように感じる人が多くて、支持を集めているのではないかと思いましたね。

三原 そういう「孤独な魂」はどこから来ていると思いますか?

池城 ビリーが生まれた2001年って、アメリカで同時多発テロが起こった年。これをきっかけに、アメリカを取り巻くムードが大きく変わった。それまではパーティ気分で楽しくやってきたのに、テロをきっかけに怒りや恐怖に包まれていった。つまり、ビリーはアメリカが純粋に明るい時代を知らないなかで生まれたのです。時折明るい話題もありましたが、みんながどこかで不安を抱えている。だから、人生を楽観できない感じを表現し、それが同世代の人に共有されているんじゃないのかなって。

田中 この世代は基本的に不機嫌。生まれてからずっと楽しいことなかったよ、みたいなヴァイブスがありますよね。

三原 田中さんは、2018年のサマーソニック来日時にビリーのステージをご覧になれれて、とても興奮されていたのを覚えています。

田中 あの時のビリー、最高でしたよ。海外では、すでに大合唱が起こるほどの盛り上がりを見せているのに、会場にはどんな人なのか物見遊山的な観客が多くを占めていて、静かな状況になっていた。それに戸惑うミュージシャンが多いなか、ビリーは兄のフィニアスと目を合わせて笑っているんですよね。「この反応新しい」みたいな感じで。それが可愛いし、スマートだと思いました。でも、最後に観客全員をしゃがませて、「このタイミングで飛び跳ねるんだよ」と何度も言って、最後にはしっかり盛り上げてステージを去っていく。肝が据わっているんだなって思いました。

 

デビュー・アルバムについて

三原 その後、リリースしたデビュー・アルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』で、彼女のスタイルが明確に伝わりました。

田中 極端に音の分離が良くて、ヘッドホンで聴くと立体的に伝わる。特に冒頭の「!!!!!!」の歯の矯正を取るところ、すっごく好き(笑)。あれを取って、フィニアスと笑うことによって、ある種の束縛から解放されていく興奮と不安を感じることができた。

!!!!!!!

田中 そして、この次に流れる「bad guy」でこういうタイプの音も作るの?って。今までのダークな印象から、カラフルでコメディ・タッチのものを表現する。この楽曲をきっかけに、ビリーは新しい領域に足を踏み入れたと感じましたね。

[和訳MV] Billie Eilish – bad guy / ビリー・アイリッシュ – バッド・ガイ [公式]

三原 私はこの楽曲でビリーが好きだと思いました。それまでも注目するポイントはいっぱいあったのですが、あまり響かずで……。ビートが面白いと思いましたね。

田中 ビート全体のバランスがおかしいんですよ。だからクラブで流すと、似た音像の楽曲ってないから、景色がガラッと変わってしまう。そういう斬新な音をビリーとフィニアスは作りたかったんだと思います。なおかつ、当時はホラー映画が流行していて、ティーンとかマイノリティが抱える不安を描いているような。そういう時代の空気感のなかから、自分達がアクセスできるものはどんどん取り入れていく。時代に巻き込まれていくことを積極的にやっていると思うのです。

池城 スターがスターになるきっかけって、その人が持っている才能はもちろんなのですが、時代に選ばれることも大切。ビリーは、自分が何をきっかけにして人間は変貌してしまうのかが怖い時代、そこで足を踏み外してはいけないとみんなが心の中で手を繋いでいる状況のなかで出てきたからこそ、支持を受けたのではないかと思います。

 

2ndアルバムでのプレッシャーと変化

三原 そして次のアルバム『Happier Than Ever』では、黒髪からブロンドに変更するなど、見た目なども大きく変化しましたね?

池城 それまでの中性的で身体のラインを見せないスタイルから、女性的なイメージへ一変したことに対する戸惑いの声を聞くことが多かったですね。でも、ビリーはこの時点で何をやっても許される存在になったと思っていて、ここで彼女は自分自身をパロディ化させたというか。彼女は、元々ブロンドで蒼い瞳の持ち主ですよね。そういうものを生まれ持っているのだから、活用して何が問題があるの?ということを示したかったのではないかと思いました。

【和訳】ビリー・アイリッシュ – ロスト・コーズ / Billie Eilish – Lost Cause 【公式】

三原 体型を隠したスタイルばかりで、批判されることもありましたが、この作品で自分の姿をさらけ出している感じがしていいなと思いましたね。

田中 前作までは「孤独な魂」を表現していましたが「ポップスター」になって作られたのが、このアルバム。だから、デビュー当時は健康的にネガティヴな表現をしていた印象でしたが、ここでは泣き言や攻撃もないですからね。しかも、こんなに2ndアルバムに対する周囲のプレッシャーが強いミュージシャンって過去にいなかったと思うのですが、それを跳ね除けて、時代の求めるテイストを取り入れながらも、彼女にしかできないことを表現している。大胆かつ緻密に。とにかく感心するアルバムですね。

三原 そして、初の単独来日公演が迫っています。

田中 日本だけですよ、アリーナ公演は。他の国はスタジアム規模がほとんどですから。一番近い距離でビリーを観られる機会ですよ。2022年4月のコーチェラのステージに繋がる構成になっていくと思いますが、そこにどうツイストをかけていくのか、楽しみですね。

Billie Eilish – NDA (Live at Coachella 2022)

ビリー・アイリッシュ『Happier Than Ever』
2021年7月30日発売
来日記念盤CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music


ビリー・アイリッシュ『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』
2019年3月29日発売
CD・LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music



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