トゥパック(2Pac)の名曲ベスト20:死後も聞かれ続けるヒップホップのパイオニア【全曲試聴付】

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2Pac - Photo: Al Pereira/Michael Ochs Archives/Getty Images

1971年6月16日に生まれ、1996年9月13日に25才の若さで亡くなった2Pac (本名トゥパック・シャクール) は、歴史に名を残す有名ラッパーのひとりである。優れた歌詞、社会的メッセージ、すばらしいビート感覚によって、彼は最高の楽曲を作り上げてきた。2パックは「ロックの殿堂入り」を果たした初のソロ・ラッパーであり、2枚組アルバムをリリースした初めてのヒップホップ・アーティストでもある。

彼は常にパイオニアであり、他人の後追いをするものではなかった。彼がノトーリアス・B.I.G.と繰り広げた抗争は今もヒップホップの世界に暗い影を投げかけているが、彼の一世一代の才能、キャリア、楽曲はそうした面をはるかに超える価値を持っている。2パックのベスト・ソングを聴いたなら、彼がヒップホップの歴史の中で最も重要なラッパーとなっていることがよくわかるだろう。

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20位 :「So Many Tears」

2パックの作品の多くは宗教的なモチーフを含んでいるが、アルバム『Me Against The World』収録の「So Many Tears」は詩篇23 : 4を直接引用している。1995年にレコーディングされたこのアルバムは、刑務所への服役が差し迫っていたこともあり、打ち沈んだ内省的なムードを漂わせている。彼は自らが行なった行動のいくつかを後悔しているが、自分がそうした出来事によって形作られたということもわかっていた。

 

19位 :「Temptations」

伝説的なヒップホップ・プロデューサー、イージー・モー・ビー (およびEPMDのエリック・サーモンのサンプル) のおかげで、この「Temptations」は2パックの楽曲の中でもとりわけ古風なサウンドの曲のひとつとなっている。この曲では恋人との関係についての悩みが歌われていたが、そうしたテーマは2パックにとってお得意のものだった。

 

18位 :「Keep Ya Head Up」

2パックは、アメリカの女性、特に黒人女性につきものの苦しみについて歌うことがたびたびあった。「Keep Ya Head Up」では、女性の扱い方について男たちに異議を申し立てている。マーヴィン・ゲイのトラックのサンプルをうまく自分のものにできるラッパーはほとんどいないが、2パックはここで見事にそれに成功している。

 

17位 :「Trapped」

「Trapped」も「Brenda’s Got A Baby」も2パックのデビュー・アルバム『2Pacalypse Now』に収録されているトラックだが、前者はもっと前の時代の作品のように感じられる。のちの作品ほど怒りに満ちてはいないが、ここで2パックは警察からの嫌がらせについてラップしている。このファンキーなサウンドの下には、苦しみと怒りが隠されていた。「Trapped」は2パックの友人レイ・ラヴが作ったデモが元になっており、そのレイを讃えるため、2パックはこれをアルバムからの最初のシングルに選んでいる。

 

16位 :「Dear Mama」

母親との関係によってキャリアが形成されたラッパーは2パックだけではない。とはいえ、彼は自分の人生やアメリカ文化全体の中で女性が果たしてきた役割について常に歌ってきた。それゆえ、母アフェニ・シャクールに捧げたこの「Dear Mama」はとりわけ重要なトラックになっている。

この曲は彼の作品の中でも特に人気の高いもののひとつだ。ここでは、母親として、また人間として苦闘してきたアフェニのあゆみが詳しく描かれている。この曲の中で、2パックはシングルマザーとして自分を育ててくれた母親に感謝と理解の気持ちを示している。

 

15位 :「Picture Me Rollin’」

このG・ファンクの曲は、2パックの出所直後に作られたトラックのひとつである。実に挑戦的で攻撃的な歌詞ではあるがトラックそのものは非常にスムースな仕上がりだ。同じデス・ロウ・レーベルに所属していたR&Bシンガー、ダニー・ボーイは2パックの曲に何度も参加していたが、この「Picture Me Rollin’」は「Ain’t Mad At Cha」と肩を並べる曲かもしれない。

 

14位 :「How Long Will They Mourn Me?」

「How Long Will They Mourn Me」は2パックのベスト・ソングのひとつだが、その理由は彼のラップだけにあるわけではない。これは集団MC による「ポッセ・カット」の代表曲のひとつでもあった。2パックは1ヴァースとフックに登場するが、ネイト・ドッグ、レイティッド・R、ビッグ・スカイ、マカドシスといった面々もフィーチャーされている。

 

13位 :「Hit ‘Em Up」

NASの「Ether」がディス・トラックの代名詞となる以前にも、2パックの「Hit ‘Em Up」があった。ここで彼はジュニア・MAFIAの「Player’s Anthem」を嘲笑い、東海岸のすべてのラッパーを言葉で攻撃している。ジョニー・”J”・ビートを使ったこの「Hit ‘Em Up」は、東西海岸ヒップホップ抗争を象徴するディス・トラックとなった。この抗争は今もラップの世界に影を投げかけている。

 

12位 :「Brenda’s Got A Baby」

2パックのキャリアは、ストーリーテラーとしての側面と社会的メッセージを訴える側面が特徴となっている。その両方が表に出ていたのが、このデビュー・シングルだった。「Brenda’s Got A Baby」は幅広い話題を取り上げた曲で、十代の妊娠、親子関係、性的暴行、公的支援、ドラッグ使用といったテーマが盛り込まれている。これは警告を促すストーリーであると同時に、悲劇に同情し寄り添うトラックでもあった。

 

11位 :「Me And My Girlfriend」

2パックのラップには愛とセックスをテーマとしたものがたくさんある。とはいえこの曲では、題名からもわかる通り、一夜だけの付き合いに止まらない特定の女性との関係が歌われている。「Me And My Girlfriend」は2パックの楽曲の中でも特に有名なもののひとつで、「ride or die」の繰り返しが特徴となっている。また、引用されることが多い曲でもある。その最も有名な例は、ジェイ・Z&ビヨンセの「03 Bonnie & Clyde」だろう。

 

10位 :「How Do U Want It」

ジョデシィのケイ・シーとジョジョが参加した「How Do U Want It」は、ふたつの曲がひとつになった作品である。これは明らかにセックスを歌ったバラードだが、名声と成功を追い求める意味、名声や成功との付き合い方について考察を深めている曲でもある。『All Eyez On Me』でかなりの曲をプロデュースしたジョニー・”J”は、ここでクインシー・ジョーンズのサンプルを使い、曲全体をリズミカルに仕立て上げている。

 

9位 :「To Live And Die In LA」

この「To Live And Die In LA」も2パックの予言的な曲となった。これは、自らをスターにした街、つまりロサンゼルスに捧げるノスタルジックなラブ・レターだった。ロスにちなんだフレーズが多用されるこの曲は、「California Love」に対する返答のような曲と言える。ただしここで2パックは、この街に蔓延るギャング・カルチャーに異議を唱えており、歌詞の中にはかの有名なロス暴動について言及した部分もある。

 

8位 :「Can’t C Me」

「Can’t C Me」はサンプルが多用されたトラックで、さらにいえばジョージ・クリントンの渋い歌声まで聴ける。ドクター・ドレーの当時としては最高に強力なビートに乗って、2パックは簡潔でありながら熱気のこもったラップを披露している。2パックの楽曲の中でも、「Can’t C Me」でのラップはトップクラスに入るだろう。これは2パックのベスト・ソングのひとつというだけでなく、この時代を代表する作品のひとつでもある。

 

7位 :「2 Of Amerikaz Most Wanted」

この曲が発表されてから20年以上経つが、2パックとスヌープ・ドッグは今でも西海岸で最も有名なラッパーという地位を失っていない。このヒップホップの歴史に残る大物同士のコラボレーションでは、ダズ・ディリンジャーが非常にすばらしいビートを作り出している。それは彼が「Ambitionz Az A Ridah」のために作ったビートに匹敵するほどだ。この事実が、かなり多くのことを物語っている。

共演相手として2パックに肩を並べるほどのアーティストを起用するなら、スヌープほどの大物でなければならなかった。2パックは他にもコラボレーションをいろいろ発表していたが、この「2 Of Amerikaz Most Wanted」はその中でも傑出したものになっている。

 

6位 :「I Ain’t Mad At Cha」

「ほろ苦さ」は2パックが得意としていたテーマのひとつ。ディリンジャーが2パックに提供した他のビートと比較すると、この曲は教会音楽をそのまま持ち込んだように聴こえる。ここで2パックはかつての友人たちのことを思い出し、名声が自分の人間関係を変えたことに思いを馳せる。違う道を歩んで行った昔の友人たちに対して彼は辛辣な気持ちを抱いていない。また、それぞれの人生を変えるために必要だった選択のことで人を責めるのは難しい。「I Ain’t Mad At Cha」には、そんな悟りの境地が現れている。

 

5位 :「California Love」

明らかな事実を過剰に言い立てるつもりはないが、これはカリフォルニアを歌った曲の中でも最も有名なもののひとつである。この曲にはある特定の時代とサウンドが封じ込められており、ドクター・ドレーの最高にファンキーなG・ファンク・ビートがフィーチャーされている。

また、「California Love」は2パックがデス・ロウ・レーベルで発表した最初のシングルでもある。彼がこのレーベルと契約した主な理由のひとつは、ドレーと手を組むチャンスを得られることにあった。「California Love」は1990年代のあの時期を切り取ったスナップショットであり、今もロスのカーラジオから流れ続けている。ドレーはコンプトンを有名にしたが、2パックはカリフォルニアを世界的に有名な存在にした。

 

4位 :「Changes」

「Changes」は、2パックの特にメロディアスな曲のひとつ。現在ラジオで頻繁に流れていることからすると意外だが、これは彼が生きているあいだはシングルとして発表されなかった。ゲストであるタレントのフックのほろ苦いサウンドに覆い隠されているが、この曲ではアメリカの黒人に対する警察の暴力が告発されている。そうした警察の暴力は、恐ろしいことに現在も大きな問題であり続けている。

 

3位 :「Life Goes On」

2パックの情熱的な声とステイシー・スモーリーによるメロディアスなバック・コーラスのおかげで、「Life Goes On」はとりわけ感動的なトラックのひとつとなっている。この永遠の名曲は裏稼業の厳しい現実を描いており、そうした後ろ暗い人間にもっと良い世界があることを思い出させる曲だ。先に進むにつれ、歌詞はより率直に内心を吐露するするものになっていき、リスナーの心を揺さぶることになる。

 

2位 :「Ambitionz Az A Ridah」

ヒップホップの歴史に残る大ヒット・アルバムであるのなら、冒頭1曲目は最高の曲でなければならない。これはまさにそのいい例だ。マイケル・バファーの”Let’s get ready to rumble”というキメのフレーズ、ダズ・ディリンジャーの強力なビート、そしておそらくヒップホップの世界で最も借用されているフック、『All Eyez On Me』に収録されているこの「Ambitionz Az A Ridah」は、2パックのテーマソングと言ってもいいだろう。

 

1位 :「Hail Mary」

「Hail Mary」はそのほかの有名なトラックに比べると知名度は低いかもしれないが、芸術的な完成度という点で、2パックの最高傑作と言っていい。これは、2パックの最後のアルバム『The Don Killuminati : The 7 Day Theory』 (没後にマキャベリ名義でリリースされている) からシングル・カットされた3つ目の曲だった。

この曲でプロデューサーのハート・エム・バッドは歴史に残る印象的なビートを作り出している。「Hail Mary」にはアウトロウズのカストロ、ヤング・ノーブル、ヤキ・カダフィ、さらにプリンス・アイタル・ジョーといった顔触れも参加しているが、主役はやはり2パックその人だった。

Written By Patrick Bierut




 

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