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レッキング・クルーのメンバーで、マルチ奏者のジーン・シプリアーノが94歳で逝去。その功績を辿る

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Gene Cipriano at the Grammy Museum in 2016, flanked by Chuck Berghofer (L) and Tina Sinatra (R). Photo: Alison Buck/WireImage

数え切れないほどの映画のサウンドトラックや、フランク・シナトラ、グレン・キャンベルなど多くのアーティストの名盤に参加したセッション・ミュージシャンであり、名高いレッキング・クルーのメンバーだったジーン・シプリアーノ(Gene Cipriano)が、2022年11月12日、ロサンゼルスのスタジオ・シティで94歳で逝去した。

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It Was A Very Good Year (2008 Remastered)

その生涯

サックス、オーボエ、フルート、クラリネット、ピッコロ、コーラングレなどのマルチ奏者として絶大な人気を博し、“シップ”の愛称で親しまれた木管楽器・ホルン奏者、ジーン・シプリアーノは、ロサンゼルスからニューヨークに活動の拠点を移した後、作曲家のヘンリー・マンシーニに雇われ、TVシリーズ『ピーター・ガン』のサウンドトラックで演奏することになった。

その後も1960年代にわたり、ヘンリー・マンシーニが手掛けた『酒とバラの日々』(1962年)、『シャレード』(1963年)他、『ウエスト・サイド物語』(1961年)、『いそしぎ』(1965年)、『華麗なる賭け』(1968年)、『ワイルドバンチ』(1969年)などのサウンドトラックに参加。

1970年代には『フレンチ・コネクション』や『マラソンマン』、近年では2009年の『カールじいさんの空飛ぶ家』などの映画作品他、『スタートレック』『原始家族フリントストーン』『バットマン』『M☆A☆S☆H マッシュ』『刑事コジャック』『こちらブルームーン探偵社』『ザ・シンプソンズ』『ファミリー・ガイ』『アメリカン・ダッド』といった幅広いジャンルのTV作品にもその名がクレジットされている。また、彼は半世紀以上にわたってアカデミー賞のオーケストラで演奏してきた。

Wichita Lineman (Remastered 2001)

 

レッキング・クルーとして

ジーン・シプリアーノは、フランク・シナトラの不朽の名曲「It Was A Very Good Year」の冒頭で悲しげなオーボエを披露している他、グレン・キャンベルの名曲「Wichita Lineman」や「By The Time I Get To Phoenix」にも参加。

また、エルヴィス・プレスリーが完全復活を遂げた1968年のNBC特番『’68カムバック・スペシャル』のバッグバンドのメンバーでもあり、過去にはニール・ダイアモンド、エルトン・ジョン、ヘレン・レディ、バリー・マニロウらとレコーディングを行なっている。彼は、レッキング・クルーでの仕事について、MakingLifeSwing.comに生前こう語っていた。

「作曲家がリズム隊に、“この曲に合うようなワイルドな演奏を考えてくれ”と言うことがよくあるので、とても楽しいです。リズム隊が何か考えて、アドリブで何を弾くか指示を送ったり、時には、即興で音楽を作り上げることもあります」

さらに、彼はその目覚ましいキャリアの初期に学んだことについて、こう付け加えた。

「時間を守ること、遅れないこと。決して作曲家の悪口を言ったり、音楽を笑ったりしてはいけません。作曲家がボスなのですから、彼らに敬意を払わなければなりません」

Written By Paul Sexton



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