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ザ・バンド『Stage Fright』発売50周年盤発売決定。1971年のライヴ音源など未発表音源多数収録

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ザ・バンドの傑作サード・アルバム『Stage Fright』の発売50周年を記念して、新規リミックス・リマスターを含む拡張版50周年記念エディションを発表する。パッケージの種類は、スーパー・デラックス・ボックス・セット(2CD/ブルーレイ/1LP/7インチ・シングル)、デジタル配信、2CD、180gブラックLP、限定版180gカラーLPとなっている(購入はこちら)。

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50周年盤の収録内容

今回の50周年記念エディションは、すべてメイン・ソングライターのロビー・ロバートソンが監修。さらには、ボブ・クリアマウンテンがオリジナル・マルチ・トラック・マスター・テープからリミックスしたニュー・ステレオ・ミックスを採用し、また今回初めて収録曲が当初計画されていた曲順で並べられている。

今回のボックス・セット、CD、デジタル配信には未発表音源も多数収められており、その中には絶好調の状態にあったヨーロッパ・ツアーのライヴ音源『Live at the Royal Albert Hall, June 1971』、「Strawberry Wine」と「Sleeping」のオルタネート・ヴァージョン、さらには7曲の未発表音源『Calgary Hotel Recordings, 1970』も含まれている。この未発表音源7曲は深夜にホテルの一室で行われた即興ジャムをその場で録音したもので、まだミキシング中だった『Stage Fright』の収録曲をロバートソン、リック・ダンコ、リチャード・マニュエルが演奏している。

今回のスーパー・デラックス・ボックス・セットのみに収録されるブルーレイには、アルバム本編、ボーナス・トラック、ライヴ音源のクリアマウンテンによる5.1サラウンド・ミックスとハイレゾ・ステレオ・ミックスも収録される。これらのニュー・ミックスに関しては、すべてボブ・ラドウィック(ゲートウェイ・マスタリング)がマスタリングを担当。またボックス・セットのみに収録される7インチ・シングルは、ザ・バンドが1971年に発表した「Time To Kill / The Shape I’m In」のスペイン盤シングルをニュー・ステレオ・ミックスで再現したものとなっている。

さらにボックス・セット収録の写真ブックレットには、ロビー・ロバートソンとジョン・シール(「Calgary Hotel Recordings」を録音したツアー・カメラマン)による書き下ろしライナーノーツ、著名な評論家ロバート・ヒルバーンが当時『Los Angeles Times』紙で執筆したアルバム評の再録、当時の模様を撮影した写真のリトグラフ3枚、シールやその他のカメラマンが撮影した写真多数が収録されている。

『Stage Fright』50周年記念エディションは現在予約受付中。またアルバムのニュー・ミックスの試聴用サンプルとして、本日より「The Shape I’m In」(2020年ニュー・ミックス)が公開されている。これはストリーミングで聴けるほか、デジタル配信を予約した場合はすぐにダウンロードできる。

The Shape I'm In (Remix / 2020)

ロビー・ロバートソンが語るリミックス

今回のリミックス・ヴァージョンの制作にあたり、クリアマウンテンとロバートソンは高い評価を受けた『Music From Big Pink』と『The Band』の50周年記念エディションと同じアプローチを採用し、ファンから愛されているこのアルバムの収録曲と表現者としてのザ・バンドに敬意を払いながら細心の注意をもってリミックスを行っている。

ロバートソンは新たなライナーノーツでこうつづっている。

「このアルバムの曲の新しいミックスをボブ・クリアマウンテンと一緒に作れたのは実に幸運なことであり、また特別なチャンスでもありました。グリン・ジョンズとトッドはオリジナル盤をイギリスでミキシングして、素晴らしい結果を出してくれました。そのころザ・バンドは、ジャニス・ジョプリンやグレイトフル・デッドと一緒にカナダをまわる‟フェスティヴァル・エクスプレス”鉄道ツアーに参加中でした。それまでの僕らはミキシングの作業にいつも関わっていたので、このアルバムに関しては少し未完成なような気持ちが残ったんです。今回クリアマウンテンは、このアルバムの曲にふさわしい音響的な若返り手術を施してくれました。こうして当初の曲順と新しいミックスの深みによって、このアルバムをまったく新しいかたちで聴くという体験ができるようになりました」

こうしてできたニュー・ミックスにより、これらの不朽の名曲をかつてないほどクリアな音質で聞くことが可能になった。ロバートソンはこう付け加えている。

「一部には、‟元通りそのまま”のほうを好む原理主義者もいるかもしれません。もちろん、それも相変わらずすぐに聴くことができる。僕は、この新しいヴァージョン、このストーリー、この音楽的な旅を楽しんでいます。これを聴くと、ある種の達成感のようなものが感じられる。ザ・バンドの仲間たちも、間違いなく同意してくれるはずです」

今回初収録となるライブ音源の詳細

1971年の春、ザ・バンドはヨーロッパ・ツアーを開始した。ヨーロッパで演奏するのは、ボブ・ディランとの波乱に満ちた1966年のツアー以来のことだった。その1966年のコンサート・ツアーでは、ディランのエレクトリック転向を裏切りだと感じたフォーク原理主義者たちから毎晩ブーイングを浴びせられた。

そんなヨーロッパから5年間遠ざかっていたザ・バンドのメンバーたちは当然のことながら少し怖気づき、どんな反応が待ち受けているのだろうかと戦々恐々としていた。しかしツアー初日のドイツのハンブルグ公演では、観客がブーイングの代わりに熱狂的な反応を示した。それからは、どの会場でも熱烈な歓迎ぶりだった。

「ザ・バンドの各メンバーは、音楽的な興奮状態にあった。みんなが絶好調の状態で演奏し、歌っていた。毎晩毎晩、アムステルダムでもパリでもコペンハーゲンでも、気分は上り調子のままでした」とロバートソンは振り返っている。

やがてロンドンのロイヤル・アルバート・ホール公演が間近に迫ったころ、ザ・バンドの面々はそのコンサートの模様を記録したいと考えた。こうしてEMIが4トラック・テープレコーダーでライヴ録音を行うことになった。その音源が今回初めて『Live at the Royal Albert Hall, June 1971』として発表される。この高揚感に満ちた20曲のステージは、絶好調の状態だったザ・バンドのエンジン全開の演奏を記録している。

ここでの演目には、当時発売されたばかりの『Stage Fright』の収録曲に加えて、『Music From Big Pink』や『The Band』の人気曲が含まれている(「The Weight」「King Harvest (Has Surely Come)」「Up On Cripple Creek」「The Night They Drove Old Dixie Down」「Across The Great Divide」「Chest Fever」)。さらにはディランの「I Shall Be Released」やスティーヴィー・ワンダーが提供したフォー・トップスのヒット曲「Loving You Is Sweeter Than Ever」の鮮烈なカヴァーも演奏されている。

録音から約50年を経て、これらの音源はクリアマウンテンの手で復元されることになった。このときのステージについて、ロバートソンはこう語る。

「まさしく、ザ・バンドがこれまでにやった中でも飛び抜けて素晴らしいライヴのひとつ」

このロンドンでの興奮に満ちたコンサートはザ・バンドの歴史に残る名演となった。一方『The Calgary Hotel Recordings, 1970』では、まったく別の種類のパフォーマンスを垣間見ることができる。ザ・バンドのメンバーがツアー中のホテルの一室やバックステージで顔を揃えると、必ずといっていいほど、時のはずみで楽しいジャム・セッションが始まっていた。このカルガリーのホテルでは、ロバートソンが最近レコーディングしたばかりの『Stage Fright』の新曲をいくつか演奏し始めた。そのとき、ザ・バンドに同行していたカメラマンのジョン・シールがポータブル・カセット・レコーダーの録音ボタンを押したのだ。

こうして1970年7月3日の深夜、フェスティヴァル・エクスプレスの最終公演地カルガリーで行われた自然発生的なパフォーマンスが『The Calgary Hotel Recordings, 1970』として記録されることになった。この現地録音では、ロバートソンがギターとヴォーカル、ダンコがバック・コーラスとリズムを担当し、さらにマニュエルがヴォーカルとハーモニカで加わっている。この魅惑的な音源からは、友達同士でハメを外し、大好きな曲を一緒に演奏して楽しんでいる様子が伝わってくる。

『Stage Fright』の当時の評価

1970年8月17日に発表された『Stage Fright』は、ザ・バンドの代表曲である「The Shape I’m In」とアルバム・タイトル曲「Stage Fright」を収録していた。この2曲はそれぞれマニュエルとダンコが見事なリード・ヴォーカルを披露する曲で、その後はライヴの定番曲となった。

ウッドストック・プレイハウスのステージで12日間に渡って録音されたこのアルバムは、ザ・バンドが初めてセルフ・プロデュースで制作。レコーディングのエンジニアとミキシングはトッド・ラングレンが担当し、追加のミキシング作業はグリン・ジョンズが手掛けている。

記念碑的なデビュー作とセカンド・アルバムに続いて発表されたこのアルバムによって、ザ・バンドは60~70年代を代表するエキサイティングな最重要バンドのひとつという地位を確固たるものにした。『Los Angeles Times』紙に掲載されたレコード評では、著名な音楽評論家ロバート・ヒルバーンがこのアルバムを次のように褒め称えている。

「最初のアルバム2枚と同じように、今回の新譜でもこのグループは音楽的な力を驚異的なくらい見せつけている ―― ここでは、優れた編曲、はっきりとした明確なヴォーカル、そして味わい深く、時代を超越した歌詞を聴くことができる」「‟The Rumor”、‟Daniel and the Sacred Harp”、‟The Shape I’m In”、‟Time to Kill”を含む少なくとも5曲は、‟The Weight”、‟The Night They Drove Old Dixie Down”などと悠々と肩を並べている。つまりザ・バンドがこれまでに発表した中でも特に素晴らしい名曲として数えられるのだ」

『Stage Fright』は『ビルボード』誌のアルバム・チャートで最高5位に到達。売り上げはザ・バンドが発表した前のアルバム2枚を越え、ゴールド・ディスクを獲得している。

そして今回の『Stage Fright』50周年記念エディションでは、曲順が当初計画されていた順序に変更されており、ロバートソンはこう明かしている。

「実際に発表されたオリジナル盤は、最終的に違う曲順になりました。その狙いは、ソングライターとしてのリチャードとリヴォンを前面に出し、さらにはあのふたりに曲作りを促すことにあった。けれども時間が経つにつれ、僕は当初の曲順がしきりに恋しくなったんです。というのも、この曲順なら聴き手が『Stage Fright』のシナリオに引き込まれるからだ」

発表から50年の歳月を経て、長年のファンもザ・バンドを発見したばかりの人たちも、このアルバムをまったく新しいかたちで体験することが可能になった。かつてないほど良い音質で、あるいはかつて耳にしたことのない新鮮なかたちで『Stage Fright』を聴くことができるのである。



ザ・バンド『Stage Fright』50周年記念スーパー・デラックス・エディション
2021年2月21日発売
<2CD + 1LP + ブルーレイ + 7インチ・シングル/輸入国内盤仕様/完全生産限定盤>
購入はこちら

★CD1:ニュー・ステレオ・ミックス + ニュー・ボーナス・トラック + 未発表のカルガリー・ホテル・デモ・トラックス
★CD2:1971年ロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ音源
★1LP:180g重量盤/ニュー・ステレオ・ミックス
★ブルーレイ [オーディオのみ]:ステレオ、5.1サラウンド&ハイレゾ・ミックス
★7インチ・シングル「Time To Kill / The Shape I’m In」(オリジナル・キャピトル盤を復刻)
★ロビー・ロバートソンによるニュー・ライナー&1970年のロサンゼルス・タイムス・レヴュー付フォト・ブックレット

<日本盤のみ>★英文ライナーの翻訳/歌詞対訳付 ★SHM-CD仕様


ザ・バンド『Stage Fright』50周年記念
2021年2月21日発売
2CD / カラーLP / LP

CD1:
“The W.S. Walcott Medicine Show”
“The Shape I’m In”
“Daniel And The Sacred Harp”
“Stage Fright”
“The Rumor”
“Time To Kill”
“Just Another Whistle Stop”
“All La Glory”
“Strawberry Wine”
“Sleeping”
Bonus Tracks
“Strawberry Wine” (Alternate Mix)
“Sleeping” (Alternate Mix)
Calgary Hotel Room Recordings, 1970
“Get Up Jake” (#1)
“Get Up Jake” (#2)
“The W.S. Walcott Medicine Show”
“Rockin’ Pneumonia And The Boogie Woogie Flu”
“Calgary Blues”
“Before You Accuse Me”
“Mojo Hannah”

CD2:
Live At Royal Albert Hall, June 1971
(Previously Unreleased)
“The Shape I’m In”
“Time To Kill”
“The Weight”
“King Harvest (Has Surely Come)”
“Strawberry Wine”
“Rockin’ Chair”
“Look Out Cleveland”
“I Shall Be Released”
“Stage Fright”
“Up On Cripple Creek”
“The W.S. Walcott Medicine Show”
“We Can Talk”
“Loving You Is Sweeter Than Ever”
“The Night They Drove Old Dixie Down”
“Across the Great Divide”
“The Unfaithful Servant”
“Don’t Do It”
“The Genetic Method”
“Chest Fever”
“Rag Mama Rag”




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