(function(h,o,t,j,a,r){ h.hj=h.hj||function(){(h.hj.q=h.hj.q||[]).push(arguments)}; h._hjSettings={hjid:104204,hjsv:5}; a=o.getElementsByTagName('head')[0]; r=o.createElement('script');r.async=1; r.src=t+h._hjSettings.hjid+j+h._hjSettings.hjsv; a.appendChild(r); })(window,document,'//static.hotjar.com/c/hotjar-','.js?sv=');
Join us

Stories

「ダークなアルバムだよ」とリヴォンが語るザ・バンド『Stage Fright』の魅力とは

Published on


ザ・バンドが3枚目のアルバム『Stage Fright』のレコーディングに入ろうとしていた1970年5月、世の中の彼らへの期待度は最高潮に達していた。彼らは既にボブ・ディランのバッキング・グループとしてツアーをこなした後、自分たちだけで進む道を選び、1968年の傑作『Music From Big Pink』とバンド名をそのまま冠した2作目で、アメリカン・ミュージックの方向性を変える上で不可欠な役割を果たしていた。そして『Stage Fright』という3作目のタイトルが示す通り、グループは自分たちの実力をもっと証明すべきだと自覚していたのだった。

ウッドストックの住人たち――有名ミュージシャンが多く住む町に暮らすがゆえの様々な問題を受容していた――に対する配慮として、ザ・バンドは『Stage Fright』をプライヴェートなタウン・コンサートの形で録音することを提案した。だがこの申し出は地元の町議会から突っぱねられ、彼らはアルバムのレコーディングをウッドストック・プレイハウスで、観客なしで行なうことにした。サウンド面を統括したのは若きエンジニア、トッド・ラングレンで、ギタリスト/ヴォーカリストのロビー・ロバートソンいわく、「結果としては音響的に非常に興味深い状況になったと思う。幕を下ろした状態でプレイすればほぼ完全にドライなサウンドになるし、幕を上げれば一瞬で会場の音が加わるわけだからね」。

ザ・バンドにはクリエイティヴィティを展開するプライヴァシーが与えられていたが、1970年8月17日にリリースされた『Stage Fright』には、全体として恐れや孤立といったテーマの曲ばかりが並んでおり、彼らの抱えていた名声と成功に対する不安が透かして見えた。

The Band, Stage Fright

 

曲の内容も前2作と比べてパーソナルなものが多いが、ハイライトは間違いなくタイトル・トラック「Stage Fright」で、ロビー・ロバートソンのあがり症に対する葛藤が率直に描かれた曲だ。彼はオーディエンスの前でプレイすることに対する恐怖心を、普遍的な悲嘆へと転化してみせた。ロビー・ロバートソン曰く「 ‘Stage Fright’では、俺がずっと抑え込もうとしていた沢山の物事が知らないうちに這い出してきたんだ」。この曲でリード・ヴォーカルを取っているのはベーシスト兼フィドル奏者のリック・ダンコで、ガース・ハドソンによる澱みないオルガンのサポートを得てパワフルなパフォーマンスを披露している。

『Stage Fright』でも相変わらずザ・バンドの多才さは際立っている。ガース・ハドソンはレコードでは他にエレクトリック・ピアノとアコーディオン、テナーとバリトン・サックスもこなし、リヴォン・ヘルムはドラムス、ギター、パーカッション(更に4曲でリード・ヴォーカルを担当)、そしてリチャード・マニュエルはピアノ、オルガン、ドラムス、クラヴィネットをプレイしている。

こうしたミュージシャンとしての力量と、リチャード・マニュエルのシンガーとしてのスキルがすべて結集されたのが 、記憶を反芻するかのような「Sleeping」で、ロビー・ロバートソンとリチャード・マニュエルによる楽曲はロックとジャズの影響をメリハリよくブレンドし、珠玉のナンバーへと昇華されている。

The Band – The Shape I'm In

 

このペアはまた、ザ・バンド独特の疾走感をもった 「Just Another Whistle Stop」も共作しているが、「The Shape I’m In」では雰囲気は再び暗転し、キャッチーな 「The WS Walcott Medicine Show」が続く。荒涼とした 「Daniel And The Sacred Harp」魂を売り渡そうとしているミュージシャンの物語だ。

The moment of truth is right at hand
Just one more nightmare you can stand
最後の審判の時はすぐそこに迫っている
あとひとつ悪夢を我慢さえすれば

この曲を書いたロビー・ロバートソンは、当時のミュージシャンたちが置かれていた無防備で救いのない状況を何とか伝えようとしたのだと語っていた。

リヴォン・ヘルムはロビー・ロバートソンが自分の子供のために書いたという辛辣なララバイ 「All La Glory」で優しい歌声を聴かせている。ハドソンの優美なアコーディオンが、感動的な歌詞を際立たせる一方、ロビー・ロバートソンがひとりで書いた7曲のうちのひとつである「The Rumour」は力強いナンバーだ。

1970年のローリング・ストーン誌のレヴューでは、このアルバムは「つかみどころがない」と表現されていた。確かに『Stage Fright』はバンド・メンバーたちの間の絆が個人的、あるいは仕事上の軋轢によって試されていた時期に作られた、不確実性そのもののようなレコードである。しかしながら音楽として、時の試練に耐え得る力を持った作品だったことは既に実証済みだ。

「あれはダークなアルバムだよ」とリヴォン・ヘルムは後年認めている。「と同時に我々のグループの集合体としての心理的天候をそのまま写し取った作品でもある。みんな何かがおかしいと感じ取っていたんだ、あちこち綻び始めてるってね」

けれど、このアルバムは大衆に大いに愛される作品となった。『Stage Fright』はグループとして最高位であるアルバム・チャート第5位まで上昇し、50万枚以上を売り上げてゴールド・ディスクを獲得した。

Written By Martin Chilton

『Stage Fright』

   


ザ・バンド『Music from Big Pink (50th Anniversary Edition)』
2018年8月31日発売

ボックス1CDLPカラーLP


The Band Music From Big Pink Album Cover with Capitol 75 Logo - 530 The Band The Band Album Cover With Logo - 530

◇『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』
◇『ザ・バンド』

発売中


Share this story
Share
日本版uDiscoverSNSをフォローして最新情報をGET!!

uDiscover store

1 Comment

1 Comment

  1. 佐藤 理英

    7月 6, 2018 at 10:55 pm

    高校生になってすぐCRAFTと言う国学院大学出身の日本のバンドのファンになり、文通で彼等が好きな音楽の中に、ザ・バンド、ザ・ビーチボーイズ、ザ・バーズがいました。
    周りの同年代の女子高生が憧れているバンドとは全く違う事もあり、非常に引かれザ・バンド以外は来日コンサートに行けましたが、ザ・バンドだけは解散後のロビー抜きの新しいメンバーを入れた再結成来日コンサートに行きました。
    そしてその後は次々とボーカルを失ってしまいましたが今回、ザ・バンドが再びフェニックスの様にフイルムで復活した事に、とても感動すると共に、当時私に彼等を教えてくれたCRAFT(リーダー三井誠)に感謝します。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Don't Miss