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日本の音楽プロモーターが語るアヴィーチーとの出会い、熱狂、別れ
2025年5月16日に発売されたアヴィーチー(Avicii)初のベスト・アルバム『Avicii Forever』。この発売を記念して、連載として日本の歴代アヴィーチー担当者にインタビューを実施して、当時のことを振り返ってもらっています。
連載最終回となる第四回は、アヴィーチー唯一の来日公演を担当したコンサートプロモーター、クリエイティブマンプロダクションの坂口さんにお話をお伺いしました。
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・連載第1回:日本の初代担当者が語るアヴィーチー:『True』時代の熱狂
・連載第2回:来日公演当時の担当者が語るアヴィーチー
・連載第3回:訃報の時、そして『TIM』の日本担当者が語るアヴィーチー
・アヴィーチー初のベスト盤『Forever』発売決定、新曲も収録
・アヴィーチー『TRUE』解説:デビューアルバムへ至る道のりと後世に残したもの
アヴィーチーを知った時
―― 本日はよろしくお願いします。坂口さんは、アヴィーチーのことはいつ頃からご存じでしたか?
坂口:「Levels」で世界的に有名になる前からですね。おそらく、彼が一番最初に音源を出し始めた頃、名義がまだ「Tim Berg」の時から知ってました。海外からも「この人がおすすめです」っていうお知らせも来ていました。
―― 結構前の段階からですね。
坂口:その頃は、ダンスミュージックの盛り上がりが来ていた段階で、最初は「Tim Berg」で認識していたんですが、「Levels」でドンっていっているタイミングで、「Tim Bergはアヴィーチーという名前で本格的にやっていくんだ」と思ったのは覚えています。
―― 「Levels」の反響は覚えていますか?
坂口:凄かったですよね。クラブとかに行くと、1日に数回はかかっていましたし、その界隈では流れない日はなかったです。DJさん的にも絶対盛り上がるし、鉄板で使いやすい素敵な楽曲っていうのもあったんでしょうね。
―― 最初の来日公演の発表は2013年のフェス、SPRINGROOVEでした。アヴィーチーは当時、アルバム・デビューさえもしていないタイミングでしたが、NE-YOとのコ・ヘッドライナーとしての発表でしたね。
坂口:弊社の海外アーティストのブッキングは、うちの社長の清水が行うんですが、彼から「アヴィーチーがSPRINGROOVEのラインナップに入ることになるよ」と聞いて。前年の2012年にデヴィッド・ゲッタをSPRINGROOVEに招聘していて、その前のタイミングからEDMとかダンスミュージックの勢いがきていた頃でした。あの時は、BIGBANGや2NE1が出て、ゲッタ以外にも、LMFAOは全盛の時でしたし、アフロジャックさえもきてました。その流れで「SPRINGROOVE」がフェスとしてヒップホップとR&Bとかだけじゃなくて、ダンスミュージックも取り入れるフェスへと変容していった時代だったんです。
幻となった初来日公演と度重なる中止の裏側
―― それでもアヴィーチーは大抜擢でしたね。
坂口:アヴィーチーの招聘が決まったタイミングで、次のスターは彼だなという雰囲気になっていましたね。でも、彼が直前でキャンセルになって…。でも同じジャンルとしてはゼッドが出演していて、彼がアヴィーチーの曲をかけてくれたんです。そこには友情もあるし、あの世代が今後盛り上げていくんだろうなと思ってました。
―― その年、2013年9月に『True』が発売となりました(日本盤CDは翌、2014年1月発売)。
坂口:『True』はもちろん覚えてますね。このアルバムからアヴィーチーはクラブシーンだけじゃなくて、一般化していきましたよね。本当にどこに行っても彼の曲が流れているっていうぐらいになって、じゃあ、いよいよということで、2014年7月に、その年の10月に単独公演を行うことを発表しました。場所は、富士急ハイランドのコニファーフォレストで、キャパシティは2万人ですね。
―― アルバム・デビューしたばかりのアーティストの初来日公演として結構大きい場所ですよね。
坂口:既に人気もすごかったので、それぐらいのキャパを用意したと思うんですよね。それぐらいのキャパだとさいたまスーパーアリーナとかになるんですが、たしかスケジュールが既に埋まっていたという理由もあったと思います。
―― なるほど。
坂口:それに海外のDJ系のアーティストのオファーはいわゆるバンド系と違って、「2ヶ月後、1ヶ月後には日本に行けるけどどう?」みたいな連絡があったりもするんです。ビザが間に合わないとか、そういう理由で断ったりもすごく多くて。
アヴィーチーの場合は1,2か月前とかではなかったですが、それでも時間の余裕はそこまでなかったので取れる会場が都内近郊ではなくて。会場に決めた富士急ハイランドは、初年度のサマソニもやってましたし、車だと都内から2時間ぐらいで行けちゃう場所なので、ここでやったら日本中のパーティー好きが来てくれるかなとか思っていたり。
―― ただ、残念ながら発表の2ヶ月後にキャンセルになりましたね…。
坂口:当時、なんでキャンセルになったのかを出してくれとエージェントとやり取りをしていて、ちゃんとした公的書類まで来たのを覚えています。ですので、当たり前ですが本人の気まぐれで「やっぱやめた」っていうわけじゃないとはわかっていて、本当にハードワーカーだったので、キャンセルせざるを得なかったのだと思います。
―― そして翌年、2015年5月、3度目の正直となる来日公演を10月に開催することが発表されました。
坂口:この時の単独公演の会場は同じく富士急ハイランドさんでリベンジをということで。当時は、正直3回目のキャンセルはないだろうとは思っていましたね。キャンセルなんてそうそう起こりうるものではないので。
―― 今ならドキュメンタリーで彼の辛かった状況はわかりますが、当時はそういった事情はわからないですもんね。
坂口:そうですね、それまでの2回のキャンセルだって、びっくりしてるぐらいなんで。ユニバーサルミュージックさんともセカンド・アルバムの『Stories』の発売で色々なタイミングとか日本盤とか発売とかも調整していただいたのに…。
―― 公演の1ヶ月前の9月にキャンセルが発表となりましたね。
坂口:確か、当時のユニバーサルのアヴィーチー担当だった川崎さんから夜中に連絡をもらったんですよ。「アヴィーチーキャンセルって出てるんですけど」って。
―― エージェントとかからの連絡じゃなかったんですね。
坂口:そうなんです。で、「え!?何それ!?」ってなりまして。確認したらニュースサイトに本当に出てて。今でも覚えてるんですけど、ちょうどそのタイミングは社長が海外出張中だったんです。あちらが夜中の3時とか4時とかなのは知っていたんですが、申し訳ないのを承知で何度も電話して話した記憶があります。それからエージェントに対して「これは本当ですか?」と聞いたら、彼らも情報が何もなく、情報確認して連絡するという感じでした。
―― なるほど。
坂口:そこからユニバーサルさんは勿論のこと、会場・チケット会社・各ご関係者さまとか、何より今度こそはと信じてチケットをご購入いただいていたファンの方々への払い戻しとか、各所に本当にご迷惑おかけしましたが…。
4度目の正直とキャッチコピー
―― その後はどうされたのですか?
坂口:その後も、ライヴ活動を完全に中止したわけではなかったので、弊社以外のDJ系のフェスとかからもアヴィーチーのもとにオファーはあったんですよね。でも、3回連続で直前キャンセルとなっているけど、「もう一度やる!」っていう話になりまして。これは社長の男気だなと思うんです。
―― 熱いですね!
坂口:そして2016年の3月14日に単独公演を発表しました。会場は6月4日に大阪 舞洲特設会場、翌6月5日に千葉 QVC マリンフィールドの二日間ですね。これぐらいの規模の会場で発表から本番まで3ヶ月を切るということは早々なくて、発表から公演まで1年程度は欲しいんですが、このタイミングで発表しました。
その時のキャッチコピーが、もう僕の個人的な想いでもあるのですが、「頼むぜ、アヴィーチー!僕らは君を諦めない!」にしまして。今回はお客さんにも次は絶対何とかするから大丈夫ですよって伝えたくて。ちゃんとキャッチコピーを海外にも確認した記憶もありますね。
―― なかなかないタイプのキャッチコピーですよね。
坂口:もちろん発表前に今までと同じくちゃんとコンファームもしてましたが、どうしても頭の片隅で、前の3回のキャンセルがよぎるというか。
―― 過去に3回キャンセルがあったら、そうなりますよね。
坂口:こちらは主催者なので、文字通りチケットを買ってくれて握りしめて、アヴィーチーの来日を信じて待ってくださっている大事なお客さまもいらっしゃる中で、食らいついてでも我々がしっかり気持ちをもって招聘しますよ!という事を伝えないとダメだなと思いまして。ちゃんと「自分たち”こそ”諦めていません」という気持ちや、同じ気持ちでいらっしゃるファンの方々の心情を代弁するような「頼むぜ、アヴィーチー!僕らは君を諦めない!」に決めました。
―― 珍しいですが、決意が感じられるコピーですね。
坂口:このコピーを発表した後、J-WAVEでクリス・ペプラーさんが「このキャッチコピーはなんかいろんな感情がこもってていいですね」みたいな感じで取り上げてくれたのを覚えています。
―― なかなかここまで主語の主張が強いコピーもないですよね。
坂口:「僕ら」の中には僕個人も入ってるし、弊社も入ってるし、もちろんファンの方たちも。諦めてないから頼むぜっていう気持ちですね。
―― ちなみにクリエイティブマンさんで、それまで実際に会った方はいらっしゃったんですか?
坂口:一度メキシコのEDCで会うことになっていたんですが、残念ながら現地で会えずじまいで。なので誰も会えていなくて、だからもうずっと「伝説だな」みたいな。「本当に存在するのかな?」と思っていましたね。
―― チケットの売れ行きはどうだったんですか。
坂口:それまでは全部売れてたんですけど、3度キャンセルの後の4回目だったので、やっぱりお客さんもちょっと足踏み感もあったのか、チケットを買うのギリギリまで待っていた感じではありました。本当に来るか、来てから考えようみたいな。なのでチケットの動きはそれまでに比べて少し遅かったです。
初めての来日公演
―― 来日当時のことを教えてください。
坂口:通常、アーティストを空港まで迎えるのは専門の担当がいるので、あまり公演担当者として行くことは多くないんですが、今回は絶対行くって成田空港に同行しました。飛行機が到着して、クルーとかスタッフは出てきたんですが、アヴィーチー本人はしばらく出てこなかったんです。予定よりも1時間近く出てこなくて。「出口はここしかないよな。でもまだ来ない、まだ来ない」って心配になっていて。アヴィーチー本人の携帯はさすがに知らないし、なかなか連絡取れない状況でした。
―― それは心配ですね…。
坂口:そうしたら首にネックピローを付けたままのアヴィーチーが、のそっと出てきて。僕らは「おお!いた!実在した!」ってなって。
―― (笑)。
坂口:とりあえずは会えてよかったと。そしてここから僕の仕事はちゃんと最後まで送り届けることだとなりまして。まずはホテルに連れて行って。そこでとにかく、日本を好きになってもらいたいと思い、最初に一緒にラーメン屋に行ったんです。
―― 着いていきなりだったんですね。
坂口:ホテルに着いて、ちょっとご飯食べようみたいなって。何を食べるのかな、和食とかの高級料理かなと思いきや、日本のラーメンを食べたいとなりまして。じゃあと近くに家系ラーメンがあったので。
―― おぉ家系!
坂口:家系、家系。一発目にしてはちょっとクセ有りますよね笑。あまり色々な所に連れて行って、「アヴィーチーじゃん」とか「アヴィーチーが来日してる」って囲まれるのもセキュリティ上は避けたかったので、ホテルの近所にラーメンを食べに行こうと。箸の使い方が当たり前ですがそこまで慣れてなくて、食べるのに少し苦戦している姿が可愛かったのを覚えています。
―― そのラーメン屋さんって今もあるんですか?
坂口:まだありますね、僕も1年に1回ぐらい行ってるんですが。あの時は他のお客さんもいたんですけど、そこでは誰もアヴィーチーだとは気づかなくて。でもアー写のまんまのそのまんまアヴィーチー。
―― さすがにラーメン屋さんにアヴィーチーがいるとは思わないですよね。
坂口:そのあと少し散策して。海外からのカメラマンも同行してたんですが、とにかく日本に来たっていうことをSNSで伝えないと誰も信じてくれないと思い、日本の風景とアヴィーチーがセットになった写真を欲しいとリクエストして、Twitterに投稿しました。
AVICII、日本の地を散歩(済)https://t.co/bil6MSFxWd#激写 #avicii #japan #6月4日大阪公演 #6月5日千葉公演 pic.twitter.com/eQQ2aYE7SL
— Creativeman (@CMP_official) June 1, 2016
坂口:そこからいろんなとこ行ったんですよね。鎌倉とか行ったり、普通に電車とかも乗ってるんですよね。その電車内でちょっと寝ちゃっていたりしたSNSの投稿もあったりと。そういう写真が送られてきたので、ガンガン使おうと思って。そうやって日本に来てるっていうことをアピールしたら、そこからチケットがグイーンっと伸びて。もともと売れはじめてはいたんですが、さらに凄い勢いで伸びました。
【AVICII 千葉公演アリーナスタンディング、プラチナチケットが残り僅か!】
各公演日前日まで当日引換券をローソンチケット/e+/ぴあで販売中!!
AVICII、絶賛来日中!https://t.co/bil6MSnWxD pic.twitter.com/hYXWur43Zj— Creativeman (@CMP_official) June 2, 2016
大阪と千葉公演
―― 6月4日、大阪での日本初公演のことを教えてください。
坂口:大阪はアヴィーチーの会場入りが結構時間ギリギリだったんですよ、リハーサルにも来なくて。リハーサルって言ってもDJなので、クルーが機材をセットして本人は来ないパターンもたまーにあるんですけど、アヴィーチーにそれをやられるとちょっとなんか心がざわざわして落ち着かなくて…。僕は会場で本人を受ける体制でいたんですが、ホテルにいるスタッフに「まだ?」と何度も聞いて、そしたら「アヴィーチーホテル出ましたよ!」と連絡がきて。
出演時間のちょっと前に会場に入って、本当に結構ギリギリだったんですよ。僕が「もう結構時間ギリギリなのでもうステージ行きましょうか」って話した時に「ちょっと待って」って1回トイレに行って。トイレからなかなか出てこなくて、そこに居るのは分かっているんだけど早くしてくれと焦るみたいな。トイレから出るとすぐにステージへ上がっていきなりパフォーマンスをして。
―― 担当としてはヒヤヒヤですね。
坂口:ただ、大阪がアヴィーチー初めての日本公演ということもあって、その時の歓声は凄かったです。「本当にいた!」「本物だ!」とかの反応もあって。こういう反応って、ライブでもなかなかないじゃないですか。それと通常はライヴ・レポートはライターさんにお願いして書くのですが、この時ばかりは自分で書いたんです。
―― おぉ!
坂口:そのタイトルでたしか「アヴィーチーは実在した!」って書いちゃったんですよ。
―― 東スポみたいですね(笑)。
坂口:本当に思ったままの感想みたいなタイトル書いちゃって。
―― 本人とはどんな会話をしたか覚えていますか?
坂口:最近は瞑想にはまってるみたいな話とかした記憶はありますね。ちなみにこの時は、お酒も飲んでいなかったです。とてもヘルシーな生活をしているとのことでした。千葉公演も涙なしではいられなくて、すごい盛り上がりました。他の出演者とかもすごい盛り上げてくれて、彼らにも感謝しかないです。あれぐらいのスタジアムが埋まるのは、DJでは今までになかったんじゃないかなと思うんです。DJ枠ではないけれどもサマーソニックでのアンダーワールドとかはありますが、単独だったとしたら誰もその規模はやってないと思うんです。アヴィーチーはスタンドまで人がビッチリで。あの時代を代表する人だったんだろうなと思います。
―― 坂口さんはどこで見ていたんですか?
坂口:いろんな場所でお客さんの顔も見たいし、ここで音を聴いたらどんな音になるのかとかも思っていたりしたので、袖からとか、会場中央のFOHからとか、スタンド一番上とか、いけるところは全部行きましたね。そして「Levels」をかける前に、ボーカルサンプルでEtta James「Something’s Got a Hold on Me」がフェードインのタイミングでかかっていて、そこから彼の「Levels」がかかった瞬間のお客さんの熱量とかは、今まで感じたことがなくて、もう怒号というか、地鳴りと言うか、僕自身もドーパミンが凄い出ただろう体感をしたのを覚えています。
ライヴが終わった後には、次はプライベートで来たいって言ってて。その時にはみんなで会おうよって話をして、それとホテルに移動した時にこのポスターにサインを書いてもらいました。
―― あまりにもキャンセルが多かったので、「日本嫌い説」みたいなのもありましたよね。
坂口:SNS上だとありましたね。でも、実際に来日してくれて、日本大好き説が最終的には勝っていました。日本には凄い満足してくれ、もう帰りたくない、やっと来れた、みたいなことも言ってました。やっぱり日本のファンのみんなのことは大好きだったんだなと話せば話すほど感じました。
◢ AVICII無事出国(済) ◤#最初で最後の来日公演、無事終了#信じてご来場頂いたお客様、支えてくださったご関係者の皆様、誠にありがとうございました!#バイバイ、アヴィーチー!僕らは君が大好きだ!! pic.twitter.com/7k7rlztFtx
— Creativeman (@CMP_official) June 7, 2016
訃報、そして残された音楽
―― ちなみに訃報はどこで知りました?
坂口:2018年に ZOZO マリンと幕張海浜公園で行った「EDC Japan 2018」があって、僕はその担当でもあったので、そのプロモーションで名古屋のクラブにいました。そのクラブにいた時に、数十件ぐらい電話やLINEとかで連絡が来まして…。
―― なるほど…。
坂口:訃報を知った時は流石にちょっと泣いちゃいましたね。仕事中だったので、現場は離れられなかったんですが、その訃報を聞いた現場のDJさんがアヴィーチーの曲をかけていたのを覚えています。
―― その後は覚えていますか?
坂口:弊社のHPに感謝と追悼のメッセージをサイトに掲載しまして。2016年の来日公演のサイト自体は残してあったので、我々としても、そして個人的にもその旨を伝えたいと思いまして、キャッチコピーを変更しました(サイトはこちら)。
アヴィーチーが亡くなったタイミングで、ちょっと音楽シーンやそれに伴う時代も変わるだろうな、とは思っていましたが、やっぱりシーン全体の音楽性も変わっていって。もし彼がまだいたら、どんな音楽をやっていたんだろうなとは今でも思います。
アヴィーチーの一番好きな曲
―― 今までインタビューをした全員に聞いてるんですけど。 一番好きな曲はなんですか?
坂口:今回のベスト・アルバムには入ってなくてユニバーサルさんにはこのリリースタイミングで申し訳ないのですが「Dear Boy」ですね。「Levels」とか、「Wake Me Up」とか「Waiting For Love」も今聴くと、なんかグッと来ちゃいますけど。「Hey Brother」も好きだし、「I Could Be The One」も好きですが。「Dear Boy」は生前からですが一番大好きな曲なんです。今聴くと歌詞も曲も切ないですよね。この曲で歌っているMØっていうアーティストも担当したこともあったりして、この曲が一番好きなんですよ。
―― なるほど。
坂口:そういえば一度、アヴィーチーが亡くなった後にオーケストラでの来日公演の話があったんです。純粋に、アヴィーチーの曲を日本でまた聞いてもらいたいという話があって。今までのヴォーカリストも、全員じゃないけれども来れるんだったらみたいな話ではあったんですが、残念ながら実現しなくて。でもいつか何かの形で関われたりしたらありがたいなとは思っています。
―― そのいつかを期待しております。本日はありがとうございました。
坂口:彼を担当させてもらえて光栄でした。ありがとうございました。
Written by uDiscover Team
・連載第1回:日本の初代担当者が語るアヴィーチー:『True』時代の熱狂
・連載第2回:来日公演当時の担当者が語るアヴィーチー
・連載第3回:訃報の時、そして『TIM』の日本担当者が語るアヴィーチー
アヴィーチー「Avicii Forever」
2025年5月16日発売
CD&LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify