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コーチェラの大トリを飾ったアニマ(Anyma)とは? LISAとのコラボ曲が話題のプロデューサー

2026年のCoachellaにヘッドライナーとして登場して、最新オーディオとヴィジュアルを融合させたA/Vライブショー「Anyma presents ÆDEN」が話題となった音楽プロデゥーサーのアニマ(Anyma)。彼についてJun Fukunagaさんに解説いただきました。
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コーチェラ2026のトリでの出演
日本時間2026年4月18日(土)、アメリカ最大級の音楽フェスティバル「コーチェラ2026」のWeek 2初日のヘッドライナーの一角として、DJ/プロデューサーのアニマが出演。最新A/Vライブショー「ÆDEN」のワールドプレミアを行った。
今回のコーチェラ出演にあたり、Week 1直前にアニマはBLACKPINKのLISAとのコラボ曲「Bad Angel」をリリース。話題の新曲を引っ提げてのステージとなる予定だったが、そのヘッドライナーセットは強風によるステージ設営の問題で直前に中止となった。そうしたトラブルはあったものの、1週間後にアニマはÆDENを無事披露。そのステージには、LISAを筆頭に日本にルーツを持つシンガーのジョージ、ロックバンド・ミューズのマット・ベラミー、ラッパーのスウェイ・リーらがゲストとして登場するなど、圧巻のA/Vライブで現地の観客のみならずライブ配信を見ていた視聴者も魅了した。
世界的ポップスターとの共演が実現した「Bad Angel」のリリース、そしてコーチェラの大舞台でのパフォーマンスを機に、アニマへの注目はこれまで以上に多方面に広がっている。そこで本稿では、改めてアニマとはどんなアーティストなのかというテーマで、これまでのキャリアや代名詞的なライブでの映像演出、代表曲などを振り返りながらご紹介したい。
その経歴
アニマは、アメリカ生まれのイタリア人プロデューサー/DJ、マッテオ・ミレリによるソロプロジェクトだ。ミレリは2011年にテクノデュオ「テイル・オブ・アス」のメンバーとしてキャリアをスタートし、エレクトロニックミュージック・レーベル「Afterlife」を共同設立。テイル・オブ・アスは、感情的なメロディーを前面に出したテクノのサブジャンル「メロディックテクノ」の代表格として知られ、ヨーロッパのクラブシーンで確固たる地位を築いてきた。
そうした活動と並行して、ミレリは2021年にアニマとしての活動を始動。2023年から2025年にかけては、テクノロジー、自然、ヒューマニティ、共存をテーマに掲げたアルバム三部作を制作している(2023年にデビューアルバム『Genesys』、2024年に『Genesys II』をリリースし、三部作を締めくくる『The End of Genesys』を2025年5月に発表)。
また、この三部作には、グライムス、セヴダリザ、イート、070シェイク、Netflix映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』で知られるイジェといったジャンルを横断する多彩なアーティストが参加している。
音楽とビジュアルアートを一体化
次にアニマを語る上で欠かせないのが、音楽とビジュアルアートを一体化させる“複合メディア”へのこだわりだ。アニマのライブパフォーマンスは洗練されたメロディックテクノ楽曲とストーリー性溢れる没入感のあるビジュアルの融合でよく知られるが、この独特なA/Vライブが話題を呼び、2024年末から2025年にかけては、ラスベガスのSphere(世界で最も先進的なテクノロジーを搭載した没入型ライブ会場)で、エレクトロニック系ミュージシャンとして、同会場初のレジデンシー公演を開催。錚々たるプロデューサーやビジュアルアーティスト、ミュージシャン、DJとのコラボレーションが実現し、全12公演で20万人を動員している。
また、自身のライブ以外でもその卓越したビジュアルセンスを発揮しており、2024年にブラジルのサンパウロで開催されたザ・ウィークエンドの公演では、ビジュアル・クリエイティブ・ディレクターを務めている。
そんなアニマ自身は、PAPER Magazineのインタビューで、自らのショーの核にあるテーマを「人間性、哲学、そして未来」と明かした上で、「観客がショーを終えたとき、少しの間、別の世界に入っていたと感じられるべきだ」と述べている。
その世界観を日本で実際に体験できる貴重な機会となったのが、2025年1月にGMO SONIC 2025で披露されたA/Vライブだ。このときは、ヒューマノイドがスクリーンを突き破ろうとするオープニングに始まり、その後、聖書の創世記をモチーフにした映像が次々と展開される構成になっていた。
一方、見応えのある派手な映像をあえて抑え、観客を踊ることに集中させる時間が要所要所で意図的に差し込まれていたことも印象的だった。先述したようにアニマのA/Vライブは、圧倒的な映像演出面で語られることが多い。しかし、実際に体験してみると、こうしたダンスミュージックの本質を突く面もしっかりと持ち合わせていることがよくわかる。
今回、コーチェラで披露されたÆDENでは、インタビューで語られた設計思想を保ちつつも映像演出がさらにスケールアップ。古代ギリシャを思わせる彫刻とデジタル映像を掛け合わせた新たな世界観のもとに展開されたこのA/Vライブで、特に強烈なインパクトを放っていたのは、かねてからファンの間で注目が集まっていたLISAとの「Bad Angel」披露時だ。
この時は、ステージにLISA本人が登場してパフォーマンスする一方で、ライブ配信の画面にはAR演出による巨大なLISAのアバターが出現。これは一瞬、リアルの世界にホログラムとして出現したかのように見えた。実際には、ARを活用したライブ配信向けの演出だったと報じられているが、コーチェラのステージに立つLISAとアバターのLISAが共演するデジタルツイン的な手法を通じて、リアルとバーチャルの境界線を溶かす体験を実現させたアイデアは興味深い。
その音楽性
最後にアニマの楽曲にも触れておきたい。代表曲のひとつ「Eternity」は、フロア向けのダンサブルなメロディックテクノだ。攻殻機動隊の草薙素子の義体を思わせるヒューマノイドがスクリーンから飛び出すような映像演出とともに知られる同曲は、ライブでは定番の1曲となっている。
また、こうした楽曲を軸としつつも、Genesys三部作ではエリー・ゴールディングとの「Hypnotized」のようなダンスポップ寄りの楽曲も手がけている。
さらに自身の作品に限らず、日本でも人気の高いスウェディッシュ・ハウス・マフィアとフレッド・アゲインによる「Turn On The Lights again..」や、今年のコーチェラにも出演しているFKAツイッグスの「Eusexua」のリミックスワークでもその越境性は存分に発揮されている。これらの楽曲はアニマの音楽性の射程が幅広いことを示す代表例といえる。
このようにエレクトロニックミュージックシーンの内と外を自在に行き来してきたアニマだが、その活動の延長線上にあるのが、LISAとの「Bad Angel」だ。同曲は、彼の特徴であるシネマティックなサウンドスケープに、アグレッシブなシンセリフとLISAのダイナミックなボーカルが重なるダンストラックに仕上げられている。ちなみに2人が共演するMVでは、繋がり、アイデンティティ、そして超越というこの楽曲のテーマが、超現実的なデジタル空間とパフォーマンス主導のストーリーテリングで描かれているので必見だ。
そして、「Bad Angel」に先駆けてリリースされたジョージとの「Beautiful」は、愛と記憶、そしてデジタル時代における親密さの儚さを描いた1曲。メロディックなリズムと映画的な空気感を纏いながらもクラブアンセムとして機能する同曲は、ÆDENではセットリストのラストを飾っている。
予想外のトラブルに見舞われたものの、無事コーチェラでÆDENのワールドプレミアを果たし、独自の存在感を改めて示したアニマ。最新A/Vライブを引っ提げ、この後アジア、中東、オーストラリア、ヨーロッパの12カ国を巡るワールドツアーを実施するほか、今夏には昨年に引き続きイビサの大型クラブ「UNVRS」でのレジデンシー公演も控えている。果たして、それらの公演では新たにどのような体験が観客に提供されるのだろうか。テクノロジーで音楽体験を更新し続けるアニマの次の一手に、引き続き注目していきたい。
Written By Jun Fukunaga

2026年4月9日発売
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アニマ&Joji「Beautiful」
2026年4月3日発売
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