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イージー・ライフ(Easy Life):今年最注目の新人であり、UKバンドの枠組みからはみ出す5人組の魅力とは

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英国放送協会BBCが毎年1月に注目の新人を選ぶ「BBC Sound of」。その今年のリストの第2位に選出された新人バンド、イージー・ライフ(Easy Life)。そんな注目を集める彼らの成り立ちやサウンド、海外メディアに評価されている理由などを『rockin’ on』5代目編集長、現在は音楽ライター/ジャーナリストとして活躍されている粉川しのさんに解説いただきました。

2020年最注目のUKニューカマー、イージー・ライフとは何者なのか

2020年に最も活躍が期待されるUKニューカマーとして、真っ先に名前が上がるのがこのイージー・ライフであるのは間違いないだろう。BBCが毎年発表している恒例の新人リスト、「Sound of 2020」では見事2位に入賞。インヘイラー(5位)と合わせて2組のバンドが入賞を果たした今年は、ヒップホップ、R&B系のソロ・アーティストが席巻していた近年の「Sound of」では珍しい年だったわけだが、イージー・ライフはいわゆる「UKバンド」のイメージからはかけ離れたグループでもある。ヒップホップやR&B、ジャズにギター・ポップ、エレクトロニカやアフロポップ、ラテン・ミュージック……等々、様々なジャンルをシームレスに横断していく彼らのサウンドは、UKバンドの枠組みからはみ出しているからこそ、グローバル・ポップとしての可能性をひしひしと感じさせるのだ。

Easy Life – Dead Celebrities

イージー・ライフの可能性、それは1月にリリースされた最新ミックステープ『Junk Food』を聴いていただければすぐに確信に変わるはずだ。『Junk Food』はあくまでもミックステープ扱いの作品であるにもかかわらず、UKアルバム・チャートで初登場7位を記録!ヴァイナル、フィジカル・チャートでは堂々1位で、いよいよ本格的なブレイクの軌道に乗ったようだ。同作には最新シングルの「Dead Celebrity」や、同じく「Sound of 2020」にエントリーした18歳の新星Arlo Parksとコラボした「Sangria」など、現時点でのイージー・ライフのエッセンシャルなナンバーが詰まっている。「イージー・ライフってどんなグループ?」と気になっている方は、まずはこの『Junk Food』で彼らに出会ってみてほしい。

Easy Life – Sangria (Official Video) ft. Arlo Parks

 

結成から3年、スターダムへと駆け上がったイージー・ライフの歩み

とは言え日本ではまだまだ正体不明の彼らだけに、改めて彼らのプロフィールをご紹介しておこう。イージー・ライフは2017年に英レスターで結成された5ピース・バンド。レスターと言えば2016年にプレミアリーグで奇跡の初優勝を果たしたレスター・シティFCの本拠地としてご存知の方も多いはず。ただし、ほぼ唯一のご当地スターとしてカサビアンを輩出しているものの、音楽シーン的にはイングランド中部のごく地味な地方都市といった印象だ。「Sound of 2020」に合わせて制作されたBBCのミニ・ドキュメンタリーでは、農場で育ったというフロントマンでヴォーカルのMurray Matraversを筆頭に、長閑な環境で育った彼らのバックグラウンドが伺える。

Easy Life discuss their hometown and touring "We all feel very connected to where we come from"

もともと地元のレゲエ・グループで活動していたメンバーや、学校で音楽の教師をやっていたメンバーもいるというイージー・ライフは、Murrayいわく「気まぐれ」で結成されたグループだそうだが、そんな彼らが最初に注目されたのが2018年9月にリリースされたシングル「Nightmares」だろう。レイドバックしたレゲエとヒップホップがミックスされたビートに、ジャズ・ギターやホーンが軽やかに折り重なったフュージョン・ポップで、不眠症や強迫観念をテーマにしながらも軽やかにホッピングしていくその足取りが新鮮で、彼らは結成からわずか1年で英人気TV番組「Later… with Jools Holland」への出演を果たし、一躍最注目のニューカマーとなったのだ。

Easy Life perform Nightmares on Later… with Jools Holland

2019年に入るとさらに勢いが加速。複数のシングルがBBCレディオ1のDJエイミー・マックの番組でホッテスト・レコードとしてプッシュされる一方、UKツアーは軒並みソールドアウトに。6月のグラストンベリー・フェスティヴァルでは新人テントに該当する「BBC Introducing」のヘッドライナーをつとめ、超満員のオーディエンスのシンガロングが轟いた。

Easy Life – Pockets (Glastonbury 2019)

注目すべきはイージー・ライフのアメリカ進出の素早さだろう。何しろ音楽見本市のSXSWを皮切りに、デビュー・アルバム前のUKバンドがコーチェラ・フェスティヴァルやNYのガバナーズ・ボールなど錚々たるUSフェスに出演を果たしてしまったのだから。そこにもイージー・ライフのUKバンドらしからぬサウンドのポテンシャルが感じられると思うし、ストリーミング・サービスのプレイリストやSNSを通して注目を集め、あっさり海を渡っていく新世代のポップの伝播力を証明するものでもあったと言える。

 

UKらしからぬUKバンド、イージー・ライフの音楽的バックグラウンドとは

「うまく説明できないが、一発で好きになる」と、イージー・ライフの魅力を形容したのはBBCだったが、たしかに彼らの気まぐれに表情を変えていくサウンドを特定のジャンルで区切って理解することは、ほぼ不可能に思える。しかし、そんな中でも間違いなく最も顕著なのはヒップホップからの強い影響だ。ミックステープへの拘りもヒップホップ・カルチャーへのリスペクトを感じるし、ヒップホップが大前提となった世代がバンド・ミュージックをやると、必然的にかくも折衷を極めたポップになるということなのかもしれない。

イージー・ライフのホップ・ソングは、(例えばそれはカニエ・ウェストの2010年の『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』以降、とざっくり定義することもできると思うが)他のジャンルを飲み込み、曖昧に溶け出したR&Bとの境界の先でヒップホップがポップ・ミュージックそのものになった、テン年代の成果として鳴っている。ローファイな骨組みの中でミニマルに刻まれるトラック、メロウで柔らかな質感のR&B、日常の延長線の呟きのようなラップには、フランク・オーシャンやブロックハンプトンのケヴィン・アブストラクトといったアーティストたちを彷彿とさせる感覚が宿っている。

Easy Life – Sunday (Official Video)

 

インディ・ジャズやエレクトロニカのエッセンスが伝えるUK新世代ポップとの共振

彼らが「Vevo DSCVR ARTISTS TO WATCH 2019」にエントリーした際に披露した「Pockets」は、イージー・ライフの2017年のデビュー・シングルだ。この曲でも大活躍しているように、彼らトランペットとサックスをパーマネントに使いこなしているグループだ。それは時にレゲエやカリプソ、アフロ・ポップのチアーでレイドバックしたムードを先導し、時にジャズのスウィングに華を添えていく。

Easy Life – Pockets (Live) | Vevo DSCVR ARTISTS TO WATCH 2019

そう、ジャズもまたヒップホップと並んでイージー・ライフの重要なキーとなる要素で、ヒップホップ〜R&B〜ジャズをスムースに横断していく彼らのマナーは、例えばキング・クルールやトム・ミッシュ、ロイル・カーナーといった同世代のアクトに代表されるロンドンのジャズ〜ネオ・ソウルのムーヴメントとシンクロしている、と言ってもいいかもしれない。また、「Earth」のようなアンビエント・ソウル、エレクトロニカ調のナンバーを聴いて、ムラ・マサやブラッド・オレンジのデヴ・ハインズを連想する人もいるかもしれない。

Easy Life – Earth (Official Video)

 

不確かな時代の淡い輪郭を描き出すイージー・ライフのメロウ・サウンド

ヒップホップをベースにしてジャズやソウル、エレクトロニカ、さらにはラテンやアフロの要素をもフュージョンさせたイージー・ライフのサウンドは、前述のように今日的なポップ・ミュージックのグローバル・スタンダードを踏襲していて、それが彼らのブレイクの原動力となっているのはたしかだ。しかしその一方で、リリカルなギター・ポップのメロディやアイロニカルなユーモアを感じる歌詞には、極めて英国的なローカリズムが宿っているという点も彼らの大いなる魅力だ。

イージー・ライフの歌詞は彼らのごく個人的な経験を反映したものだとMurrayは語っている。分厚い雲がどんよりと垂れ込めた空の下、冴えない日常のしんどいあれこれにうんざりしながらも、それでもなんとか前向きに、肩の力を抜いて生きていこうとするイングランドの若者たちのリアルな心象を描き出したそれは、ザ・ストリーツのマイク・スキナーに通じるUKストリート・ポエットの系譜を感じさせるものだし、アメリカ大統領を徹底的におちょくった「Nice Guys」のミュージック・ビデオや、ハリウッドの空疎なセレブ・カルチャーを描写した「Dead Celebrity」などでは、まさに英国人らしいユーモアとサーカズムが炸裂している。

Easy Life – Nice Guys (Official Video)

ちなみに前述の「Earth」は、そのタイトルにも明らかなように今世界中で高まりを見せている気候変動危機に対するプロテストと共振したナンバーだ。そのスローでメランコリックなフロウには、不安定な時代が影を落としている。しかし、ぼんやりと滲んだ不確かな未来を宿命づけられた世代であるイージー・ライフの鳴らすサウンドには、常にウイットとなけなしのオプティミズムが宿っていて、それこそが彼らの同世代のオーディエンスに愛されてやまないものなのだと思う。

最後に、テントを目一杯埋め尽くしたオーディエンスの熱狂ぶりとシンガロングに驚かされる、昨年8月のリーズ・フェスティヴァルのライブ映像をご紹介しておこう。2020年、この熱狂は英国から世界へ、そしてもちろん日本にも到達するはずだ。

Easy Life – Leeds Festival 2019

Written by 粉川しの



イージー・ライフ『Junk Food』
2020年1月17日発売
iTunes / Apple Music / Spotify




 

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