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来日直前のガンズ・アンド・ローゼズ:5月1日の韓国公演からわかることと期待すること
2025年5月5日、Kアリーナ横浜にて一夜限りの来日公演を行うガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N’ Roses)。そんな彼らについて音楽評論家の増田勇一さんによる短期連載を掲載。第4回は、いよいよ目前にせまった来日公演を前に行われた韓国公演からわかることと期待することについて。
また、来日公演予習プレイリストが公開となっている(Apple Music / Spotify / YouTube)。
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5月1日、韓国は仁川(インチョン)にあるSongdo Moonlight Festival Parkでの公演をもって、いよいよガンズ・アンド・ローゼズの新たなツアーが幕を開けた。彼らの次なる目的地は言うまでもなくここ日本であり、5月5日にはKアリーナ横浜での公演が控えている。
このツアー初日公演の様子についてはすでに各音楽情報サイトやSNSなどを通じて伝わってきているだけに、敢えてそれについて伏せておく必要はないはずだが、この先には具体的な演奏曲目などについての記述もいくつか含まれているので、事前情報のない状態で来日公演と向き合うことを望んでいる方々はご注意いただければ幸いだ。
Rehearsal time. We’re F’N’ ready for tonight! pic.twitter.com/RjVZ2pp2uG
— Guns N’ Roses (@gunsnroses) May 1, 2025
5月1日の韓国公演
長年にわたりバンドに貢献してきたフランク・フェラーの後任ドラマーにアイザック・カーペンターを迎えた体制での初ライヴとなった今回の韓国公演は、なんと「Welcome To The Jungle」で幕を開けている。特に驚くべきことではないと思われるかもしれないが、2016年4月以降、すなわちスラッシュとダフ・マッケイガンの復帰を経てからの彼らのライヴにおいては、「It’s So Easy」が常にオープニングの定番だった。
もちろん看板曲のひとつである「Welcome To The Jungle」自体もセットリストから外れることはなかったが、この曲が1曲目に披露されたのは、実に2012年2月以来のこととなる。それはすなわち、アクセル以外のオリジナル・メンバーが不在だった時代のこと。実際、当時のライヴは、この曲や「Chinese Democracy」で幕を開けるケースが多かったものだ。ちなみにガンズ・アンド・ローゼズが韓国を訪れたのは今回が2回目ということになるが、前回の訪韓は2009年12月のことで、その際には「Chinese Democracy」がショウの幕開けを飾っている。
5月1日の公演時の実際の演奏曲目自体には、その点を除けば特筆すべき目新しい要素は含まれていない。ただ、2023年にシングルとしてリリースされた「Perhaps」が披露されている点などは見逃すわけにいかないだろう。前回の日本公演が行なわれたのは2022年のことだが、その際にこの曲は当然演奏されておらず、もしも今回プレイされたならば日本初披露ということになる。
また、彼らのセットリストにはいつも「代替曲リスト」が書き添えられており、ステージ上での即時的な判断により演奏曲がそれらに変更されることが多々ある。SNS上などに見つけることができる韓国公演での曲目リストには、実際には演奏されなかった楽曲(カヴァーと思しきものも含む)や、『Chinese Democracy』期の未発表曲と思われるタイトルもみられるだけに、5月5日の横浜では意外な楽曲が初披露されることになるかもしれない。
29回目の日本公演
前述の通り、彼らにとって韓国公演は今回でようやく2回目であり、ダフとスラッシュの復帰後は初ということになる。それは、日本の次の公演地にあたる台湾についても同じことだ。そうした事実を踏まえると、日本はかなり優遇されてきたのだと思わずにいられない。
なにしろ5月5日のKアリーナ横浜公演は、このバンドにとって日本での29本目のライヴということになるのだから。もちろんその数字はアメリカやカナダには遠く及ばないが、現時点において日本は、オーストラリアに次ぎ7番目に多くの公演が行なわれてきた国となっている。
そうした事実を踏まえれば日本のファンは幸運だったといえるだろうし、このバンドが経てきた紆余曲折のさまざまな局面を目撃する機会に恵まれてきた。当然ながら、スラッシュとダフが不在だった時代も含めて。
そして今回、アイザックを含む新布陣で、これまでの慣例からは少しばかり離れた演奏内容によるショウでスタートした新たなツアーを、日本のファンはもうまもなく目撃することになる。このツアーに掲げられた『Because What You Want & What You Get Are Two Completely Different Things』というタイトルが何を意味するのかはいまだに謎のままであり、それは実際にそのステージを観たところで解き明かされるものではないのかもしれない。ただ、これまでとは何かが違うガンズ・アンド・ローゼズを体感することができることは間違いないだろう。それを楽しみにしながら、5月5日、会場に足を運ぼうと思う。
Written by 増田勇一
来日公演予習プレイリスト公開中
Apple Music / Spotify / YouTube
ガンズ・アンド・ローゼズ『Appetite For Destruction』
1987年8月21日発売
BOX SET / CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music
- ガンズ・アンド・ローゼズ アーティストページ
- 【連載第1回】今年始動40周年、来日が迫るガンズ・アンド・ローゼズ
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