バリー・ホワイトの「Can’t Get Enough of Your Love, Babe / あふれる愛を」

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世間の人の大半がバリー・ホワイトの声を初めて耳にしたのは、1972年の春のことだった。それは電話越しの声 ―― もっと正確に言えば、レコードに収められた電話越しの声だった。その声は、女性グループ、ラヴ・アンリミテッドが全米チャートのトップ20に送り込んだヒット曲「Walkin’ In The Rain With The One I Love」の最後に入っていた。その1年後、バリー・ホワイトのソロ・デビュー作「I’m Gonna Love You Just a Little More Baby」が全米チャートのトップ3に入り、イギリスでもトップ20寸前まで上昇。それからも矢継ぎ早にヒットが生まれていった(「Never, Never Gonna Give You Up」はその一例だ)。

1974年8月3日、ホワイトの「Can’t Get Enough of Your Love, Babe(邦題:あふれる愛を)」がビルボード誌のシングル・チャートに初登場51位を記録した。これはこの週に初めてチャート入りした曲の中では最高の順位だった。当時のチャートでは、初登場で70位より上の順位を記録するのはほぼ前代未聞。それゆえ、これは驚くべき記録だった。同じ週にチャート入りした他の曲に目を向けると、スティーヴィー・ワンダーの「You Haven’t Done Nothin’」は93位、ローリング・ストーンズの「It’s Only Rock ‘n Roll」は94位、そしてウォンブルズの「Wombling Summer Party」は95位だった。

それから7週間後、9月21日の全米シングル・チャートでは「Can’t Get Enough of Your Love, Babe」は首位に立っていた。この曲に首位を譲ったのは、エリック・クラプトンの唯一の全米チャート1位曲「I Shot the Sheriff」だった。ホワイトが首位に立っていたのはこの1週のみ。翌週には、その座をアンディ・キムの「Rock Me Gently」に譲っている。「Can’t Get Enough of Your Love, Babe」は、ホワイトがソロで獲得した唯一の全米ナンバー・ワン・ヒットとなった。イギリスではこの曲は最高8位に留まったが、次のシングル「You’re The First, The Last, My Everything」は首位を獲得している(彼が全英チャートの1位に到達したのはこのときだけ)。ちなみにホワイトが全米チャートの首位に初めて立ったのは、ラヴ・アンリミテッド・オーケストラの「Love’s Theme」でのことだった。こちらは1974年初めにビルボード誌のチャートで1週間首位に立っている。

では、なぜバリー・ホワイトがラヴ・アンリミテッドのレコードで電話越しに喋っていたのだろうか。それは、彼がこのグループを生み出した張本人であり、プロデュースも担当していたからだった。ラヴ・アンリミテッドのメンバーは、彼の将来の妻グロディーン・ジェームズ、その妹のリンダ、ふたりの従姉妹のダイアン・テイラーという顔ぶれになっていた。

Written By Richard Havers


バリー・ホワイト『Can’t Get Enough of Your Love, Babe』

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