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ファウンテインズ・オブ・ウェイン「Stacy’s Mom」のヒット曲に隠された逸話

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Photo: Scott Gries/Getty Images for Tribeca Film Festival

リード・ヴォーカルのクリス・コリングウッド、ベースのアダム・シュレシンジャー、ギターのジョディ・ポーター、ドラムのブライアン・ヤングから成るファウンテインズ・オブ・ウェイン(Fountains of Wayne)は、1990年代半ばにオルタナティヴ・ロック・バンドとして音楽シーンに登場した。

デビュー・アルバム『Fountains of Wayne』をリリースした1996年には、シュレシンジャーが映画『すべてをあなたに』の主題歌を作曲しアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞のノミネートを受けている。

彼らはそれなりの成功を収めていたものの、1999年のセカンド・アルバム『Utopia Parkway』を最後にアトランティック・レコードから解雇され、メンバーたちは帰路に立たされることになった。ヤングはドラムのヤングはセッション・ミュージシャンとして活動し、ポーターとコリングウッドは別々のバンドを結成。一方でその間、アダム・シュレシンジャーは2001年の映画『プッシーキャッツ』に劇中歌を提供したり、ヴァーヴ・パイプやゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツのプロデュースを手がけたりしていた。

そんな彼らは2003年、ラジオ向きのポップ・ロックに舵を切った3枚目のアルバム『Welcome Interstate Managers』で再出発を果たす。この音楽性の変化は功を奏し、特に「Stacy’s Mom」は彼らをポップ界のメインストリームに押し上げる1曲になった。

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転機となった「Stacy’s Mom」

シュレシンジャーとコリングウッドが共作した「Stacy’s Mom」は、シュレシンジャーの祖母に対して異性としての憧れを抱いた友人のエピソードから着想を得たものだという。彼はMTVの取材にこう説明している。

「思春期を迎えて、急に異性なら見境なく魅力的に見えてしまう時期のことを歌っている。これは性への目覚めと、大勢の人に合う機会の少なさの両方から来るものだと思う。若いときは学校の人と、その他の知り合いくらいにしか会わないからね」

ニュー・ウェーヴとパワー・ポップを融合させたようなサウンドの「Stacy’s Mom」は、カーズとその中心メンバーのリック・オケイセック、そしてサイモン&ガーファンクルの「Mrs. Robinson」、リック・スプリングフィールドの「Jessie’s Girl」といった名曲からの影響を受けている。

想像力溢れる同曲の世界観を一層膨らませているのは、クリス・アップルバウムが監督したミュージック・ビデオの存在だ。ポップ・カルチャーへのオマージュを詰め込んだこのビデオでは、ステイシーと名もなき男友達がプールで遊ぶ様子が描かれる。その男友達はもちろん、終始ステイシーの母 (演じたのはモデル / 女優のレイチェル・ハンター) に釘付けなのだ。

Fountains of Wayne – Stacy's Mom (Official Music Video)

ビデオへの出演依頼にカーズのオケイセックからの回答はなかったというが、「I <3 RIC (アイ・ラヴ・リック)」のナンバー・プレートやオケイセック風の外見をしたステイシーのクラスメイトなどには、カーズへの敬意が散りばめられている。

また、ある場面は映画『初体験 / リッジモント・ハイ』でフィービー・ケイツが演じたプールでのシーンを模しているが、1980年代の映画界を代表するこの名シーンでもともと流れていたのはカーズの「Moving In Stereo」だった。

スマッシュヒット

ファウンテインズ・オブ・ウェインが10代の妄想を歌った曲「Stacy’s Mom」はスマッシュ・ヒットを記録。全米シングルチャートでは彼らにとって初のチャート・インとなり21位を記録、UKでは11位の好成績を収め、2004年のグラミー賞ではベスト・ヴォーカル・ポップ・パフォーマンス賞とベスト・ニュー・アーティスト賞にノミネートされた。ビデオも大きな人気を博し、MTVの”Total Request Live”やVH1のランキング番組”Top 20″で軒並み首位に輝いた。

バンドは続いて2枚のアルバム (2007年『Traffic And Weather』と2011年『Sky Full Of Holes』) を発表した後、無期限の活動休止を発表。その間にシュレシンジャーは、スティーヴン・コルベアが主演した『A Colbert Christmas: The Greatest Gift Of All!』の音楽を手がけてグラミー賞のベスト・コメディ・アルバム賞を獲得した。

アダム・シュレシンジャーの死去

彼らが一時的な再結成を果たしたのは2013年以来、2020年にライヴ配信で行われたチャリティー・イベントでのこと。だがこれは、新型コロナウィルスに関連する合併症でこの世を去ったシュレシンジャーへのトリビュートとしての演奏であった。

シュレシンジャーの死後、残されたメンバーが「Stacy’s Mom」に抱く感情は少し複雑なようだ。2020年、コリングウッドは雑誌Rolling Stoneの取材に応じ、そんな風に語っている。

「彼はあれを代表曲と呼ぶには勿体無いほどのソングライターだった。彼の死亡記事を読んだ人は全員あの曲を知ることになるけど、“I-95”や“The Girl I Can’t Forget”を聴くのはそのうちのごく僅かだなんて悲しいことだ。彼の功績はたったひとつの有名曲だけじゃないと多くの人が知るべきだ」

とはいえ、彼らの名前が語り継がれているのはほとんどその1曲のおかげなのが現実だ。「Stacy’s Mom」は近年でも『サイク / 名探偵はサイキック?)』などのテレビ・ドラマで使用されているほか、ドラマ『Crazy Ex-Girlfriend』でシュレシンジャーとコラボした女優のレイチェル・ブルームは、2020年6月にリリースされたトリビュート・アルバム『Saving For A Custom Van』でこの曲をカヴァーしている。

Written By Bianca Gracie



ファウンテインズ・オブ・ウェイン『Welcome Interstate Managers』
2003年6月10日発売
iTunes Store / Apple Music / Spotify / YouTube Music / Amazon Music

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