グレッグ・オールマンの一生:サザン・ブラッドの兄弟を偲んで

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Photo: Joel Fried/Getty Images

2017年9月に最後の音楽的な意思として、そしてグレッグ・オールマンの遺言としてリリースされた『Southern Blood』は、心が痛む作品ではあるものの、この偉大なミュージシャンが表現してきた全てを思い出させてくれる。その高潔感は、製作時にこのアルバムが彼にとって最後の作品になるだろうと彼が知っていたという事実によって高められ、彼の家族がいるときも、いないときも、50年近くにわたって、グレッグ・オールマンが作り上げてきた一連の作品群を締めくるるものとして存在している。

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グレッグ・オールマンは1947年12月8日にナッシュビルで生まれ、1歳年上の兄、デュアン・オールマンと共に、とびきりのブルース・ロックのグループ、オールマン・ブラザーズ・バンドを一緒に結成した。まさしくサザンロックというジャンルを作る手助けを共に行ってきた彼らだが、それ以前は、特にエスコーツやオールマン・ジョイ、アワー・グラスと共に、1960年代を通して活動を続けた長い下積み時代があった。

Gregg (top right) and Duane Allman (bottom left) in 1966 as members of Smash Records signings the Spotlights

オールマン兄弟の父親が強盗に撃たれ悲劇的な死を遂げたとき、グレッグ・オールマンはまだ2歳だった。楽な生活とは程遠い幼少時代を送ってきた兄弟は、母親ジェラルディーンが女手一つで苦労しながら育てられた。弟がまだ9歳の時、彼らはフロリダのデイトナ・ビーチへと移住。グレッグは数十年経って、サザン・リビング誌にこう伝えている。

「天井から飛び出したオーク材と共に、道なりを進んでいたのを覚えてるよ。今まで見た中で一番、ヒッピーなことだったと思ったよ」

グレッグ・オールマンは5年生のときに初めてギターを本格的に弾き始めた。そして昔見たオーティス・レディングやその他のアーティストによるソウル・アーティストのコンサートと彼の兄が抱いた同じ音楽への情熱に後押しされ、音楽は彼の人生となった。

「デュアンと僕はまるで病気のように取り憑かれたんだ。僕らは何も食べず、睡眠も取らず、音楽以外のことは一切考えなかった。音楽を演奏するのは一時的なものだと考えていたよ。こうなるだろうと予想した通りには何事もいかなかったね」

1960年の半ばには、兄弟2人ともブルースの誓約を交わし、マディ・ウォーターズや他のヒーローを崇拝していた。アワー・グラスという名の下、グレッグ・オールマンが当時19歳の若さだった時に、彼らはリバティ・レコードとの契約にこぎつけた。

1967年の終わりにデビュー・アルバムをリリースしたが、 あまりにもポップ過ぎる貧弱な出来栄えに、彼らは自分のアルバムと認めなかった。その後すぐにセカンド・アルバム『Idlewild South』が続き、兄弟たちはより共感できるインスピレーションをすぐに見つけることが出来ることになる。

アラバマ州、マッスル・ショールズにあるフェイム・スタジオにて、第一線のセッション・ギタリストとして活動をしていたデュアン・オールマンだったが、そのことが次につながるきっかけだった。一つのグループ以上の存在となるためにとグレッグはデュアンのあとに続いた。

デュアン・オールマンとディッキー・ベッツがリード・ギターを弾き、グレッグ・オールマンの滑らかなオルガンと特徴的なリードヴォーカル、ベリー・オークリーの揺るぎないベースと、ジェイ・ヨハニー・ヨハンソン(通称ジェイモー)とブッチ・トラックスという2人体制の形で重視したパーカッションと共に、それはバンドの名前の文字通り、そして隠喩的にも、”兄弟”によるバンドであった。そして1969年後半、オールマン・ブラザーズ・バンドによるセルフ・タイトルのデビューアルバムが完成した。

しかしながらアメリカ、そして世界は彼らの絶妙なブルース・ロックのインプロヴィゼーションを完全に受け入れる準備がまだ出来ていなかった。しかし年が明けて70年代が始まり、グレッグ・オールマンとグループは急成長するサザン・ロック・シーンの長となる。1970年に発売した『Idlewild South』のリリース後、彼らはライヴレコーディングを再定義した、まさにロック・コンサートの概念ともいえるアルバムを作り、1971年に最高の『At Filmore East』をリリース。永遠に史上最高のライヴ・アルバムである。

1971年に起きたバイク事故によるデュアン・オールマンの死の後、兄であるグレッグは、音楽のモチベーションを、そして失ったものに耐える強さを見つけることなどが再び出来るのだろうかと疑問に思ったが、彼はやってのけた。そして彼が完成させた初期作品のひとつ。その曲はようやく1972年のアルバム『Eat A Peach』に収録されている。

グレッグ・オールマンの実績を必然的に精選してまとめると、1973年の彼のデビュー・ソロ・アルバム『Laid Back』は特筆すべき一枚である。ライターでありアーティストであるジョニー・サンドリンによるプロデュースで、オールマン・ブラザーズのグループ内で通常身につけるよりもソウルフルな態度と共に、グレッグ・オールマンがリズム・アンド・ブルースの中で楽しそうに訓練の探求を続けている一枚だ。

ゴールド認定された『Laid Back』には、オールマン・ブラザーズ・バンドの『Idlewild South』で初めてレコーディングされ、最も知名度が高く、あちこちでカヴァーされている「Midnight Rider」をグレッグ・オールマン自身がカヴァーしたヴァージョンが収録されている。またアルバムにはジャクソン・ブラウンの「These Days」のカヴァーや、ゴージャスな秘蔵のソウル・ナンバー「Queen Of Hearts」などは爽やかで新しい曲なども収録されている。

レコーディングとツアーの合間にやや断続的にグレッグ・オールマンは彼のソロ活動を続け、両方の分野で功績の数々がまだ店内には多く残っていた。たとえ彼らが初期作品のプラチナ・セールスの基準を維持できなかったとしても、オールマンは大勢のファンを持ち続け、カプリコーンから1979年にリリースした最後のアルバム『Enlightened Rogues (いま、再び)』でアメリカではトップ10入りを果たしていた。

ディッキー・ベッツが書いた同アルバムからのシングル「Crazy Love」もトップ30入り、また傑出した「Just Ain’t Easy」ではディッキー・ベッツの素晴らしく機敏なギター・プレイの完璧な引き立て役として、彼の声とキーボードをグレッグ・オールマンは提供した。

グレッグ・オールマンの身体と精神の健康状態に大きな打撃を与えたのは紛れもなくドラッグとアルコールだった。しかし、彼は釣り、ボート、そしてモーターサイクルと替わりの楽しみを選び、ついにそれらの習慣を断ち切ることができた。彼はサザン・リビング誌にこう告げた。

「次に飲酒をしたら文字通り、命がなくなってもおかしくなかった。自分が野獣に飲み込まれるまでは、自分が中毒になるとは誰も気付かないさ」

晩年のグレッグ・オールマンは健康状態の悪さに悩まされた。2007年にはC型肝炎と診断され、2010年には肝臓移植を成功させたが、幸運にも、アメリカではトップ5位入り、特にT・ボーン・バーネットがプロデュースした2011年のアルバム『Low Country Blues』など、彼の作品があらためて大きく評価されているところを見るまで生き延びることが出来た。このアルバムには彼にとって刺激的な人である、マディ・ウォーターズが書いた「I Can’t Be Satisfied」のカヴァー・ヴァージョンが収録された。

2012年にグレッグの自伝『My Cross To Bear』が発売され、そして『Southern Blood』の製作のため、グレッグ・オールマンは彼の心の故郷のひとつであるフェイム・スタジオへ回帰した。プロデューサーのドン・ウォズによって絶妙に完成したそのアルバムは、彼の素晴らしい作品群における感動的な最後のエントリーとして存在する精神と愛と共に、大胆にもオールマンの差し迫る死期に対処した。このアルバムは、彼の長年の友人であり共同制作者が参加したもうひとつのジャクソン・ブラウンのカヴァー「Song For Adam」で、適切に締めくくられている。

とグレッグ・オールマンの死について、ジャクソン・ブラウンはこう語っていた。

「彼が亡くなる1週間前にちょうど彼と話す機会があったんだ。そして彼の音楽と彼の音楽が僕にとってどれほど意味のあることだったのか伝えなければいけなかった。彼は最近、僕の初期の曲 “Song for Adam” をレコーディングし、彼とドン・ウォズが歌入れをして欲しいと送ってきたんだ。そして僕は歌ったんだ」

「あの曲は、彼の人生が終わるというときに、彼がどのように歌ったか、そしてどこから彼が歌ったか。彼はあの曲を完成させ、彼にしか加えられなかった共鳴と重要さを曲に与えた。彼を恋しく思う」

Written by Paul Sexton



グレッグ・オールマン『Southern Blood』



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