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ブルー・アイド・ソウルとしての実績を高めたロバート・パーマー『Double Fun』

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1978年3月にロバート・パーマーが4枚目となるアルバム『Double Fun』を発売した時、母国イギリスでの彼に対する評価は矛盾していた。高まる評判とソロ作品の疑う余地のない最上級の楽才と、ちょうど一週間だけというチャートでの成績は対照的だった。

1976年発売の前作『Some People Can Do What They Like』も一瞬だけ46位にランクインされただけだった。『Double Fun』もその状況を変えることはなかったが、新曲「Best Of Both Worlds」と元フリーのベーシストであるアンディ・フレイザーの不朽の「Every Kinda People」はヨークシャーのラジオ局でオンエアされた。

Best Of Both Worlds

 

ポジティブで普遍的メッセージが込められたアンディ・フレイザーの曲はロバート・パーマーにとって初のアメリカでのトップ40入りを果たした曲となり、最高16位にランクインされた。色々な意味でそれはその後に彼のキャリアの一貫した成功へと扉を開いた楽曲となった。その他にも『Double Fun』をロバート・パーマーのアメリカでもヒットしたアルバムにする手助けをし、ピーク・ポジションは45位、そしてチャートインは25週間を記録した。

Every-Kinda-People

三ヶ所(ニューヨークのヒット・ファクトリーとメディア・サウンド、そしてフィラデルフィアのシグマ・サウンド)にてレコーディングされたアルバムは、再び最高レベルのコラボレーターたちを迎えた。その中には、リトル・フィートのポール・バレア、ビル・ペイン、そしてリッチー・ヘイワード、モータウンのブレッカー・ブラザーズとファンク・ブラザーズのボブ・バビット、そして今でもあまり知られていないブレンダ・ラッセルがバック・ヴォーカルで参加している。

「最初は、前のツアーからの曲を新しいアルバムでバンドと収録しようと考えていました」とロバート・パーマーはアルバム発売当時にサーカス誌に話している。「ライヴ・スタイルでレコーディングを行うことを決めたのですが、ミュージシャンたちがスタジオでのレコーディングに怖気づいてしまったんです。集中すべきところが異なり、ひとつの瞬間だけ観客に焦点を合わせるのと、スタジオで巨大なはね返りスピーカーの前に建つのとは違うからです」。

スティーヴ・スミスが3作品を手掛けた後に制作された『Double Fun』では、スタジオでのロバート・パーマーの自信が深まったのが分かる。9曲中5曲をロバート・パーマーがプロデュースし、残りはトム・モールトンが手掛けた。トム・モールトンはその頃には、ロバート・パーマーと同じレーベルのグレース・ジョーンズのプロデューサーを務め、当時のダンス・カルチャーでの地位をすでに獲得していた。

セクシーな「Best Of Both Worlds」、ソウルフルな「Where Can It Go」、レゲエ調の「Love Can Run Faster」、そしてロバート・パーマーがティーンだった頃に発売されたキンクスの「You Really Got Me」のファンキーなカヴァーはトム・モールトンがプロデュースを手掛けている。

ロバート・パーマーはその他の曲をプロデュースした。その中にはアラン・トゥーサン作曲の「Night People」のリメイクも含まれている。ロバート・パーマーはそれまでに既にニューオーリンズ出身の優れたミュージシャンであるアラン・トゥーサンに対する高い評価を何度もカヴァーを通じて示している。1974年にカヴァーしたアラン・トゥーサンの「Sneakin’ Sally Through The Alley」は初のソロ・アルバムのタイトル・トラックとなり、同アルバムには「From A Whisper To A Scream」のカヴァーも収録されている。1975年発売の次作『Pressure Drop』では「River Boat」をカヴァーしている。

グルーヴとホーンの効いた「Come Over」など、その他にも『Double Fun』はロバート・パーマーのブルー・アイド・ソウルとしての実績を高めた。ロマンチックな「You Overwhelm Me」はその先にロバート・パーマーが幾つものオリジナル曲とカヴァーを生み出すことをほのめかしている。そして最終トラック「You’re Gonna Get What’s Coming」の可能性に気付いたボニー・レイットは、1979年の7枚目となるアルバム『The Glow』でカヴァーをした。


Double-Fun

ロバート・パーマー『Double Fun』

By Paul Sexton


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