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ザ・ビートルズの内輪ネタからタイトルが付いたポール・マッカートニー『Flaming Pie』

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ポール・マッカートニーが自身の名前で発売した10枚目となるソロ・アルバム『Flaming Pie』は、ザ・ビートルズと競い合わないように発売日が延期となった作品だ。

『Flaming Pie』は1997年5月5日にUKで発売されたが、その内の2曲は1990年代初期に書かれていたものだ。ポール・マッカートニーが残りの大半を手掛けている時に、EMIが1990年代半ばからザ・ビートルズの貴重品を収めた大規模な『Anthology』プロジェクトに着手。ポール・マッカートニーはそちらを優先させ、ソロ作品の発売を後回しになってしまった。

「『Anthology』に充分に時間を使えたと思うよ」とポール・マッカートニーはアルバム発売当時モージョ誌に語っている。「それからあっという間に自分の作品を仕上げて、リンダに写真をお願いして、彼女が用意した素晴らしい写真を寄せ集め、すべてが上手く進んでいると思っていたら、“あぁ、そうきたか…”という感じだったよ」

実際には滅多に遭遇しそうにない状況がつけられたタイトル(“燃え上がるパイ”)はどうやらザ・ビートルズの内輪ネタらしく、我々が知る愛しいザ・ビートルズが生まれたきっかけでもあった。リヴァプールのビート・ミュージック雑誌マーシー・ビートの1961年の記事でジョン・レノンはそれについていつものように無愛想に語っている。

「僕は見たんだ。燃え上がるパイに乗った男が現れて、“今日からきみたちは(Eの代わりに)Aの綴りを使ったビートルズだ”と、僕たちに告げた。そして僕たちは、その男にありがとうございます、とお礼を言った」

『Flaming Pie』でポール・マッカートニーは、『Anthology』シリーズの重要人物二人、プロデューサー/アーティストのジェフ・リンとザ・ビートルズの良き指導者ジョージ・マーティンが参加し、他にも多くの興味深いゲストが参加している。ポール・マッカートニーの長年の友人スティーヴ・ミラーがギターとヴォーカルで「Used To Be Bad」にフィーチャーされている。というのもポール・マッカートニーがまだザ・ビートルズのメンバーだった頃に“匿名”でスティーヴ・ミラーの「My Dark Hour」に参加したことがあった。

ポール・マッカートニーのパートナーであるリンダ・マッカートニーがいつものようにバック・ヴォーカルで参加しているが、その1年以内に彼女は惜しくも亡くなってしまう。息子のジェームスがエレクトリック・ギターで参加し家族や友人に支えられた暖かい雰囲気に貢献しており、更にリンゴ・スターがドラムで参加している。特に、アビイ・ロードにてジョージ・マーティンが上品にアレンジを手掛け、過小評価されている「Beautiful Night」では、その雰囲気が特徴的だ。

「Beautiful Night」は、「Young Boy」と「The World Tonight」に続き、3枚発売されたUKシングルの最後の一枚としてリリースされた。また、今作では初めてのポール・マッカートニーとリンゴ・スターの共作トラックがクレジットされてこのコンビで「Really Love You」のコラボレーションが行われた。その他のハイライトとして、前作のソロ・アルバム『Off The Ground』(1993年)の発売よりも前の1990年代初期に書かれた「Calico Skies」が収録されている。

『Flaming Pie』は世界中のチャートで高く評価され、UKとUSの両方で最高2位にランク・インし、それぞれの国でゴールド・ディスクを獲得した。日本とノルウェイでもゴールドを獲得し、ヨーロッパの殆どの国でトップ5入りを果たしたアルバムとなった。

Written By Paul Sexton



ポール・マッカートニー『Flaming Pie』

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ポール・マッカートニー『Egypt Station』
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♪ 『Paul McCartney Best Of

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