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ロブ・ゾンビ『Mondo Sex Head』解説:変化を恐れない男であることの証明

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彼のキャリアを通して、ロブ・ゾンビが変化を恐れない男であることを証明したことは何度もあった。世界、そしてそれを占める音が進歩するにつれ、ゾンビも進歩した。彼のディスコグラフィーの中に見られる真の多様性と実験のレベルはその証しだった。しかし彼の名前を載せたすべての物の中で、ゾンビの適応する意欲を見せた例は、彼の2012年のリミックス・アルバム『Mondo Sex Head』以外、他にない。

ゾンビの以前のリミックス・レコード、1999年の『American Made Music To Strip By』によく似て、『Mondo Sex Head』は、(彼が『American Made…』や『Hellbilly Deluxe』でやったように) 特定の一枚のアルバムからの曲を単にリミックスするのではなく、ゾンビの曲を当時のエレクトロニック・ミュージックに合わせてアレンジ。そして彼のコラボレーターたちにホワイト・ゾンビ時代の曲も含めゾンビのカタログ全体から曲を選んで彼らオリジナルの印を残してもらった。

しかしリリースされる前にはすでに議論の核心になっていたこのアルバム。『American Made…』と同様に、ゾンビは彼の妻、シェリ・ムーン・ゾンビをアルバムのジャケットに登場させることを決めていた。今回は、店側があまり気にならないぐらいの裸がジャケットに掲載されていたが、リリース盤を仕入れるところはなかった。ゾンビは別のアルバム・ジャケットをデザインするように言われ、代わりに猫の顔をクローズアップしたデザインを起用した。ローリング・ストーン誌とのインタビューの中で、彼は皮肉を漏らした。「あのジャケットを検閲して台無しにする代わりに、俺がケツの写真を削除してプッシーの写真を載っけてやるよ」と。賢い考えだ。

その同じインタビューの中で、ゾンビは前作から13年の時を経て、2枚目のリミックス・アルバムをリリースすることを決めたことについて説明を行った。「過去にこんな感じのレコードを作ったことがあるんだが、年月を重ねるにつれて、こういった物に関する興味が薄れているように感じるんだ…。だから暫くの間やめてみたんだ」と彼は言った。「だが最近になって、たくさんの新しいDJやミキサーたちが彼らのショーやミックスに俺の音源を使っていることを聞くようになり、需要が戻ってきたんだと判断したんだ」数ある中でも、スクリレックスが『Hellbilly Deluxe 2』の「Sick Bubblegum」をリミックスするなど、ゾンビは間違いなく該当していた。「古かったものがまた生まれ変わって新しい物になるんだろうね。俺はリミキサーたちにどんどんやらせるぞ」

そして彼らは本当にやった。アルバムはJDevil (コーンのジョナサン・デイヴィスのEDM名義) が手がけたホワイト・ゾンビの「Thunder Kiss ’65」のアレンジから始まる。オリジナルの低俗なネクログラムを排除し、デイヴィスは彼のバンド、コーンのエレクトロニックを沢山含んだ2011年のアルバム『The Path Of Totality』から学んだことを生かしながら卓上にダンス・クラブの活気を持ち込み、ゴリゴリのダブステップのブレイクを曲の既存の構造に取り込んだ。

Thunder Kiss '65 (JDevil Number Of The Beast Remix – Lyric Video – Explicit)

「Foxy, Foxy」はインディー/エレクトロニカの作曲家でありプロデューサーのキー: セオリーによってもともとのスキャンダルさを残し、代わりに曲の舞台となる世界を変更した。マッド・マックス風の世界の終わり的な荒地に向けたストリップ・クラブのサウンドトラックというよりも、むしろこのリミックスでは、『Educated Horses』で登場した突き刺すようなギターと野生感のあるエネルギーを背景に並置された夢のような音の風景のおかげで、快楽主義的な未来のセンセムとしてよりアットホームさを感じることができる。

ゾンビの最も大きな曲「Dragula」をリミックスする作業は、デフトーンズのフロントマン、チノ・モレロ、ファーのギタリストのショーン・ロペス、チャック・ドゥームによるエレクトロ系のサイド・プロジェクト、††† (クロセズ) に委ねられた。曲のコーラスの優れたパワーを保持しながらもオリジナル版のエネルギッシュな動きに反して、クロセズは曲の大部分に静穏さを引き起こしながらトリッピーなアンビエントを曲の流れに投じた。

Rob Zombie – Dragula

これだけ多くの異なったリリースから素材を利用し、こんなにも多くのコラボレーターたちと共に『Mondo Sex Head』と同じぐらいまとまりのある音を出すことが出来るアルバムは、ちょっとした奇跡である。しかし、恐らく、適切な人々とコラボレーションを行ったゾンビの才覚のおかげで、激変した中でもオーガニックなグルーブを見つけることができたのだろう。例をひとつ挙げれば、『Living Dead Girl』が催眠状態のエレクトロニクスによって7分間のイージー・リスニングの曲に変わったりと、恐らくゾンビのファンの不意をつくだろうと思われた時があった。しかし、最終的に、すべてしっくりきたのだ。もちろん「Lords Of Salem」は、とりわけダークな失望のように今では聞こえる。もちろん「Superbeast」は、最初から最後までドラムンベースのパターンと連携している。もちろんアートワークでも彼はそうした。少し奇妙なロブ・ゾンビが、このプロセスの全てなのだ。

新しいアイデアに彼の過去をさらけ出すことによって、ゾンビと彼のコラボレーターたちは刺激的な新しい命をすでにクラシックとなった一連の曲に息を吹き込んだ。これらのリミックスは原曲を打ち負かすことは出来ないかもしれないが、彼の音楽を新鮮に保ち続ける男の意欲の一例として、彼らはロブ・ゾンビがクリエイティブな力を発揮出来るようにする考え方について決定的な洞察を提供したのだった。

Written By Terry Beezer


ロブ・ゾンビ『Mondo Sex Head』

  


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